今後の世界を想像してみよう byきゃみやん
皆様、こんにちは。名古屋タキプロ11期生のきゃみやんと申します。
(過去ブログ記事はこちら)
まだまだコロナ禍の終息(≠収束)が見えない中、少しずつ世の中が変わりつつあり、「もう二度と以前の世界は戻って来ない」という声も聞こえてきます。
今後世界がどうなっていくのか答えは誰にも分かりませんが、その姿を少し想像してみてはいかがでしょうか。
試験直前であまりそんなことに割く時間は取れないかもしれませんが、そのような考えを巡らす事は、中小企業診断士試験の各科目に関する知識を使う事にもなりますし、二次試験で事例企業の課題を理解して助言する思考にも繋がるものがあります。
加えて、これが最も重要かもしれませんが、晴れて診断士になった後に実際に中小企業からそのような相談をたくさん受けるでしょうし、それこそが診断士の真価が問われる所かもしれません。
私が本職で所属するコンサルファームにも、事実、コロナ後の業界展望・分析、コロナ禍で生じつつある課題への対応策、近いうちに確実にやって来る経営難、などについての相談がクライアントから少しずつ来るようになっています。(クライアントのほとんどが大企業なので、相談をする資金的・時間的余裕が限られた中小企業は事情が異なるかもしれませんが…)
尚、私が以下に記載する今後の世界についての想像は、私個人の見解であることをご留意いただければと思います。
◆コロナの終息パターン
まず、コロナがどのような形で終息するか、これをどう仮定するかは今後の世界を想像するにあたって重要となります。
もちろん、望ましいのはワクチンや治療法が確立され、完全にコロナのリスクが排除された世界に戻ることです。ただ、こういったベストケースだけを想定して企業の戦略を立てる事は危険です。
そこで、他にいくつかの想定されるパターンを考えてみましょう。
簡単なのはベストケースの対極ですね。ワーストケースは、コロナに打ち勝つことができないばかりか、変異等によって今のようなロックダウンや自粛生活が半永久的に続く世界でしょうか。
(もちろん本当のワーストケースは人類滅亡かもしれませんが、経済活動が消滅しない範囲でのワーストケースとしています)
もう一つの想定はベストとワーストの中間です。幅が広いので、ここでは日本政府が提唱するような”新たな生活様式”が半永久的に続く世界ですかね。
パターン① 完全元通り
パターン② 新しい生活様式
パターン③ ロックダウン、自粛生活
このように、ベストケースとワーストケースを考えて、その中間点ぐらいを設定する3パターンでの想定は、実際のコンサルの世界でも定番です。(コンティンジェンシープランを検討する出発点でもあります)
やはりパターン③のワーストケースで色々と想像する方が思考練習としては適していますかね。
◆パターン③の世界(ミクロな視点)
既に私の所属するコンサルファームは在宅勤務が4ヶ月目を経過し、何やらコロナが終息しても在宅勤務をスタンダードにするだとか、都心の家賃が高いオフィスを解約するだとか、色々な噂が聞こえてきます。
また、我が家は緊急事態宣言の解除後も警戒は解いておらず、外食や生活必需品以外の買い物、子どもの散歩以外の外出は控えていますので、こちらも4ヶ月経過です。(早く居酒屋でワイワイしたり、温泉に浸かって息抜きをしたり、テーマパークで子どもの笑顔を見たりしたいですね…)
さて、皆さんも似たような感じかもしれませんが、この4ヶ月、私がどのような生活だったか振り返ってみます。
・スーツやお洒落な私服は全くの不要
・食材やお酒、洗剤等含めほぼ全て宅配
・野菜は庭の自家菜園から調達
・1日3食全て私か妻の手料理
・飲み会は子ども乱入アリのオンライン
・会社補助のモニターやIT備品で書斎が充実
・会社補助で業務上必要な書籍を大量購入
・サプリや自宅用運動器具を購入
・テントを買って庭でキャンプ気分
パターン③の世界が続くとすると、こういった生活がスタンダードになると思うので、これらに関連する業界はむしろ伸びるでしょう。
一方、今まで外行きのお洒落を提供していたファッション業界は、家用のくつろぎや”Zoom映え”を提供するようになるかもしれません。(しかも画面に映るトップスのみ)
店舗で営業していた飲食店は、出前やテイクアウト専門に業態を変えていくかもしれません。自宅での手料理用に、秘伝のレシピやプロの職人技を売る(もしくは使用するライセンスを供与する)ビジネスを始めるかもしれません。
無機質で無駄が少ないデザインのオフィス機器・備品は、自宅用にデザイン性の高いものに一新されるかもしれません。オフィス機器メーカーの商品をIKEAやニトリのオンラインショップで買い、ハウスメーカーは仕事部屋のプランニング専用人材を育成・登用するかもしれません。
このように手を替え品を替え何とか乗り切れる企業もあると思います。しかし、それが難しそうな企業はどうするのでしょうか。例えば、キャンプ場やテーマパーク、ライブハウスはどうするのでしょうか。
自宅の庭でキャンプをする人にオンラインでアドバイスをするキャンプコンサルタントになるのでしょうか。VRでアトラクション映像を提供するVRコンテンツ製作会社になるのでしょうか。
それとも、1日辺りの入場者数を数組に絞り、時間や場所をバラけさせ、他の組と一切接触がないようにして営業を続けるのでしょうか。
そうすると需要に供給が追い付かず、使用料や入場料がハイパーインフレを起こしてしまうかもしれません。
それを防ぐために使用権や入場券を抽選制にすると、一度も当たらないで人生を終える人がほとんどになってしまいます。
このような感じで、勉強の合間でも良いので、少し自分の自粛生活を振りながら、色々と考えを巡らせたり、オンラインで試験仲間や友人と議論してみてはどうでしょうか。
コンサルや診断士としての思考練習にもなりますし、仮にパターン③になった時の生活を充実させるヒントにもなりますし、勉強の息抜きにもなります。
◆パターン③の世界(マクロな視点)
自分の生活周りではなく、グローバルな視点から考えてみるのも良いと思います。
コロナが欧米にも急拡大した2〜3月以降、国境を跨ぐ移動や不要不急の国内移動は急減しました。
パターン③になればそれが常態化し、法制度も整えられていくはずです。強行した場合の逮捕・罰金が重くなり、今まで以上の私刑もあり得るかもしれません。
グローバル企業はどうなるのでしょう。これまでのように世界中に子会社や支店、工場を持ち続けるのでしょうか。
出張できないためそもそも設立できないし、設立しても出張や出向で支援できないので、海外拠点を比較的コロナを抑えている日本に戻していく動きになるのでしょうか。
20世紀初頭の世界恐慌後、各国が自国勢力圏のみで経済を回すブロック経済に走ったのと似た状態になるのでしょうか。(史実では、ブロックを持つ国と持たざる国との対立を招いて戦争の遠因となりましたが…)
そのような意見もある一方、日本という一ヶ国だけに集中させるのは逆にリスクだという観点から、むしろ今まで以上に拠点をたくさんの国に分散させるのでは、という意見もありますね。
どちらが正解かは分かりません。
仮に後者だとした場合、日本本社からの出張や出向をしなくて良いように、現地での優秀な社員採用や育成に注力する必要があります。
本社が意思決定していた重要事項を現地で完結できるよう、現地拠点への権限移譲と機能付与が必要となります。開発も現地で完結させなければなりません。
日本から送っていた部品や材料も、ほぼ現地調達に切り替える必要があるかもしれません。文字通り全てが現地で完結する地産地消となるかもしれません。
そうなった場合、日本本社が現地拠点との資本関係を継続させるメリット・デメリットはそれぞれどうなのでしょうか。
現在、コロナ禍への財政出動で各国政府は莫大な国費を投じています。この事によって、今後各国政府が税収の確保に走る事は想像に難くありません。
その際に税収を確保する先が自国民からでは意味がないので、他国民、特に他国企業になる可能性が高いのではないでしょうか。国同士の税金の取合いの始まりです。
グローバル企業は経営リスクだけでなく、これまで以上の税務リスクに晒されるかもしれません。経営リスクを克服しつつ、税務リスクを排除できる新たなビジネススキームが必要になるかもしれません。また、これまで世界を飛び回って活躍していたグローバル人材は今後存在しなくなり、人材リスクにも晒されるかもしれません。
そうではなく、かなりゆっくりではあるもののオンライン化・電子化が進み、これまでと変わらないスキームで、オペレーションだけがオンライン・電子になるだけの変化に留まるかもしれません。
これも私は正解が全く分かりませんが、少し広い視点で考えを巡らしたり、皆さんが所属する企業の動きを参考にしてみたり、あれやこれやと思考して議論してみると良いかもしれません。
そして、経済討論番組や記事を見たり、コロナ後の世界について書かれた書籍を読んで答え合わせをするのも面白いと思います。(答え合わせに使った”答え”が本当に正しいかは分かりませんが…)
◆診断士として
時間がある方はただ考えるだけでなく、企業経営理論で学ぶ理論に当て嵌めてみたり、経済学のグラフを書いて動かしてみたり、財務会計の知識を使ってPLシミュレーションをしてみたり、色々と試しても良いでしょう。
やはり知識というのは、自分自身に置き換えたり、実際に起きた事に当て嵌めたりすることが、最も理解が早くかつ定着するものだと思っています。
試験までモチベーションを切らさず、このような厳しい状況の中で、皆さんが合格を勝ち取れることを願っています。
そして、もちろん資格がないとできないわけではないですが、実際にコロナで困っている中小企業の方々をサポートできる方々が一人でも増えることを願っています。
最後に、ここで想定したパターン③について、そんな事態にはならず、いつしか「全く架空で、絵空事で、夢物語で、ありもしないことを考えていたな」と言える日が来ることを願っています。
次回はTatchyさんです。お楽しみに!
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