キャッシュフロー②/うめ
こんにちは、うめです。
今日のテーマは、前回に引き続き、キャッシュフローです。
前回の記事は、こちら。
前回同様、平成26年(一次試験)の第13問を題材に、続きを解説します。
(わかりやすく解説するため、正確性を欠く部分があることをご了承ください。)
(平成26年)
第13問
以下のデータに基づいて、A社のフリー・キャッシュフローを計算した場合、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
【A社のデータ】
営業利益 200百万円
減価償却費 20百万円
売上債権の増加額 10百万円
棚卸資産の増加額 15百万円
仕入債務の減少額 5百万円
当期の設備投資額 40百万円
法人税率 40%
〔解答群〕
ア 70百万円
イ 80百万円
ウ 120百万円
エ 130百万円
FCF=営業CF+投資CF
=営業利益×(1-法人税率)+減価償却費-運転資本増加額 +投資CF
=200 ×(1- 0.4 )+ 20 -(10+15+5) -40
=70(正解は「ア」)
前回は、
①なぜ、営業利益に(1-法人税率)をかけるのか?
②なぜ、減価償却費を足すのか?
について解説しました。
今回は最後に残った、
「③なぜ、運転資本の増加額を引くのか?」
について、次回にもまたがって解説していきます。
まず初めに、「運転資本」ですが、
運転資本とは、営業活動に投下されている資金のことで、
ここでいう運転資本とは、「売上債権+棚卸資産−仕入債務」をいいます。
売上債権の増加・棚卸資産の増加・仕入債務の減少
によって、運転資本は増加し、キャッシュフローは減少します。
売上債権の減少・棚卸資産の減少・仕入債務の増加
によって、運転資本は減少し、キャッシュフローは増加します。
では、なぜ運転資本の増減によってキャッシュフローが増減するのかを、
細かく分解してみていきましょう。
今回は、売上債権・仕入債務にスポットを当てて解説します
(棚卸資産については、次回)
今回取り上げた問題では、売上債権が10増加しています。
運転資本が10増加すると、結論としてキャッシュフローは10減少します。
下の図を見てください。
これは、前期末(当期首)の売上債権(売掛金)が0で、当期で売上債権が10増えた状態を表したものです。
売上は1000(現金売上990、掛売上10)ありますが、売掛金10はまだ回収できていないため、
当期に売上で獲得したキャッシュは1000ではなく990です。
売上債権が10増えるということは、当期の売上のうち、回収できていない部分が10あるということなのです。
営業利益400は、売上・費用とも未収や未払いがない前提で計算されています。
全額回収・支払いがされている場合、当期のキャッシュの増加額は、
税引後利益240+減価償却費(非資金費用)200=440となります
(つまり、「営業利益×(1-t)+減価償却費」)
しかし、売上1000のうち回収できていない部分が10あるので、入ってくるキャッシュを計算するときは、
最後に未収分の売上債権増加額10を引かないといけません。
これが、売上債権が増加するとその分キャッシュフローがマイナスになる理由です。
少しわかりにくいですね。
こういう時は、極端な例で考えてみましょう。
当期首売掛金残高0
当期売上1000(全額掛売上、全額が入金されていない)
費用0
当期末売掛金残高1000(運転資本の増加額1000)
の場合、
営業利益は1000となり、法人税額(40%)400が発生します。
当期のキャッシュの増加額は営業利益1000から法人税額400を差し引いた600かと思いきや、
売上1000のうち、全額が回収できていないため、税引後利益600から1000を引いたー400(400の減少)
となります。
FCFの公式に当てはめると、
FCF=営業利益1000×(1-40%)−運転資本の増加額(1000)
=-400(計算上利益が出たので法人税を支払ったけど、売上金額が回収できていない状態)
これで運転資本の増加分、フリーキャッシュフローが減少することがわかります。
余談ですが、「黒字倒産」という言葉がありますが、
これは、計算上は利益が出ているんだけど、売上金額が回収できないため、
手元資金がなくなり支払不能に陥って倒産する、という状態です。
仕入債務はこの逆を考えればいいだけです。
当期に掛仕入1000したけど、1円も支払ってなければ、仕入債務の増加額は1000となり、
その分キャッシュは出て行ってないので、最後に仕入債務の増加分を足すことになります。
次回は、「③なぜ、運転資本の増加額を引くのか?」について、
棚卸資産にスポットを当てて解説します。
次回は、5月末ごろに再登場の予定です。
明日はセンピさんです。
========================
【勉強会・セミナーの詳細、お申込みはこちらのページから】
【メルマガの過去記事はこちらのページから】
【メルマガの購読はこちらのページから】
========================
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
↓下のボタンを押して、読んだよ! と合図していただけると、とっても嬉しいです。(診断士関連ブログの人気ランキングサイトが表示されます)
皆様の応援がタキプロの原動力となります。
ぽちっと押して、応援お願いします♪