これをやったら二次試験は不合格!(8):社長の思いを踏みにじる
こんにちは、ブルペンエース@タキプロです。
本シリーズでは、二次試験でやってはならないことをテーマに、本試験の際、ブルペンエースが実際にやらかしてしまった事故(失敗)をご紹介していきます。受験生の皆様は、同じような失敗を犯さないように、ぜひ、本ブログを反面教師として頂きたいと思います。
さて、第8回は、「社長の思いを踏みにじる」についてお話します。
平成20年事例Ⅰは、ブルペンエースが初めて挑戦した中小企業診断士本試験です。解答プロセスの存在を知らず、解答技法は未熟で、一次知識も心許無い、ないない尽くしの素人さんによるチャレンジでした
もちろん、ストレート合格なんぞ夢のまた夢。
「CBAB」という結果で惨敗するのですが、今振り返ってみると、解答プロセスや一次知識を具備していないなんて、些末なことであり、合否を左右するポイントではなかったと思います
初年度の私は中小企業診断士を志す者にとって、重要な「あるもの」を欠いた状態で幕張メッセの受験会場にいた、という実話をご紹介したいと思います
平成20年事例Ⅰは、三代目の社長として就任した現社長(40代で創業者の長男)が、2009年から始まる借入金の返済を間近に控え、営業利益率を高め、営業キャッシュフローを増やし、長期借入金の返済原資を稼ぐため、経営革新を図ろうとする様が描かれていました
社長に就任した後、現社長はコスト削減と生産性向上を図るための施策を講じており、(第問、第問で問われています)、3M(材料費、労務費、工場設備等)に手を入れることで、粗利益率の向上を目論んでいますただ、価格競争が激しい航空業界にあって、A社のアントレー事業は航空会社にとっての付随サービス(単体でお金を取れない)であり、今後、ますますのコスト削減(納入価格の低減)を求められる可能性が高く(第 問で問われています)、厳しい事業環境におかれているようです。
コスト削減、工場の生産性向上だけでは、営業利益率の改善が見込めないという切羽詰まった状況を打破するため、新規事業に進出した現社長が、その成否について、一縷の望みをかけて相談している・・という設問が第 問の位置づけでしたね
第5問(配点20点)は、一般消費市場への展開というA社の新規事業開拓の正否について、中小企業診断士として意見を求められた。この新規事業が「成功すると思う」か「失敗すると思う」かを明確にして、その立場から、理由を100字以内で述べよ。という問いかけでした。
「その立場から」という表現が、今思えば、大変特徴的な気がします。
第5問は中小企業診断士としての基本的なスタンス、あるいは、中小企業を応援する者としての覚悟が問われた設問だったのではないでしょうか
そして、平成20年事例Ⅰ第5問は、新制度が始まった平成13年以降の数ある設問の中でも、平成13年事例Ⅰ第1問と並び立つ象徴的な設問だったように感じます
※新制度になり、まず最初の設問は、中小企業診断士は、A社の戦略策定にあたって、まずどのような分析を行うべきか。50字以内で述べよ。でした。
それでは、受験当時、中小企業診断士とは何を為す者か、突き詰めて考えたことがなかったブルペンエースの本試験を振り返ってみましょう
「新規事業かぁ・・」
「なんとなく駄目そうだな」
「A社は安心の商品をリーズナブルな価格でしか提供できないんだろ」
「競合ひしめく一般市場じゃ、差別化できず、勝ち抜けんとちゃうんか」
「まず、自社ブランドとか定着させるの、えらい時間かかるしな」
「そもそもA社はブランド持っとらんし・・」
「BtoBしかやっていないから、マス向けのノウハウはないな」
「コールセンターとか、クレーム対応大変なんだよなぁ(実体験)」
「マス向け事業やったことない会社には到底無理だわ。」
ドッカーン(大事故)
という経過を辿り、辛く、厳しい経営環境下にあっても、起死回生を図ろうとする「現社長の思い」を私は踏みにじる解答をしてしまったのです。相談を持ちかけた現社長は、「失敗する」と聞いて、とてもがっかりしたでしょうね。相談したこと自体後悔されたかもしれません
それでは、試験当日の再現答案を見ていきましょう。
【平成20年事例Ⅰ 第5問】
「失敗すると思う」
一般消費者向けの製品には味やおいしさでの差別化が必要であり、リーズナブルで安心というA社の強みだけでは、一般消費者向けの展開を行うには弱く、その他の製品群に埋没してしまう可能性が高いと考えられる。
中小企業診断士に、求められている事は、「苦しんでいる」、「困っている」、「弱っている」、中小企業の経営者に「寄り添い」、「励まし」、「導き」、「経営を好転させる」事ではないでしょうか
この年、初めて中小企業診断士試験に臨んだ私に決定的に欠けていたもの、それは、「中小企業の経営者を応援するという姿勢」でした。「強みを見つけ出し」、「機会を探り」「一緒になって知恵を出し」、「事業の方向性を設定する」という、中小企業診断士の基本的な姿勢が問われた平成20年の事例Ⅰ。私は試験に臨む上で、最低限の志や姿勢を備えていませんでした。このような受験生を通過させるほど、中小企業診断士試験は甘い試験ではないということを、痛感したブルペンエースでした
第8回の失敗事例から学ぶ教訓
その :中小企業診断士は社長の思い(想い)を貶してはならない。
その :事例企業の「強み」を最大限活用した、前向きな提案を心がける。
ちなみに、社長の思いを踏みにじり、A社に衝撃を与えたブルペンエースですが、A社が新規事業を進める上で、克服すべき課題が多々あったことも事実です。受験上のテクニックですが、克服すべき課題を提示するときは、以下のとおり、前向きに指摘してみては如何でしょうか
「新規事業?そりゃ成功しますよ。いや、ぜひ、成功させましょう」
「御社には、第3工場がある上、、高品質の生産、供給体制がありますし、更にシェフの名声も活用できますよね 」
「アントレー事業と、新規事業のシナジーも期待できますね」
「ただ、成功に向けては留意すべき事項もありますよ」
「いままでは、航空会社に依存してましたから、受動的な営業風土は解決しないといけません」
「さらに、一般消費者向けの事業ですから、カスタマーサポートはシビアになりますよ」
「加えて、A社ブランドの構築に力を注ぐ必要ありますね」
「この辺の課題は、一緒になって解決していきましょう。私も微力ながら貢献させてもらいますし」
これから受験される皆様は、「事例企業の弱み」を上げ連ねた挙げく、「前向きに頑張っている社長の思い」を踏みにじり、中小企業診断士としての資質を問われてしまうことがないよう、十分ご注意くださいね。
【実録】「これをやったら二次試験は不合格!やっちまったシリーズ」
第8回:社長の思いを踏みにじる←今回はここ
□ 第9回:設問の注意書きを読み飛ばしてますけど、何か?
□ 第10回:衝撃!○○欄を間違えるなんて・・
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