4-5 一次試験 経営法務を突破するための秘策!~長期記憶を付けよう! by じゅん
読者のみなさん、こんにちは。
今回3回目のブログになるタキプロ14期じゅんと申します。8月5日、6日の一次試験に向け、最後の追い込みをされていると思います。昨年の自分は今頃過去問をひたすら解いていた記憶がありますねー。
特にこの経営法務は記憶力に頼るところが大きいので、なるべく忘れない様に実際の事例や仮定に紐づけて長期記憶にするようにしながら、それが難しいものはひたすら覚えていました。1か月先とはいえ他の科目を勉強していると短期記憶は残らないものですね!
今回はなるべく長期記憶になる様に、経営法務の実際の企業経営における位置付けについて書いてみたいと思います。
過去のブログはこちら「合格に大切な基本的考え方」 byじゅん – タキプロ | 中小企業診断士試験 | 勉強会 | セミナー (takipro.com)
中小企業診断士試験制度を読み解く byじゅん – タキプロ | 中小企業診断士試験 | 勉強会 | セミナー (takipro.com)
目次
■はじめに 実企業での経営法務の重要性
この時期は1次試験においてどう合格する点数まで持ち上げて行くか四苦八苦されている方が多いと思います。
経営法務って実際のところ、企業にとってそんなに大事なの?と考えて見える方も多いと思いますし、基本の問題として覚えることが多すぎる、2次試験には関係ないから何とか40点ギリギリ取れることに集中するという方も多いのではないでしょうか。
しかしながら経営法務は少なくとも企業の守りとして大切になります。
例えば、いくら良い製品やアイデアを持っていても、知的財産で守られていなくては、直ぐに模造品が出てきてしまいます。会社によっては知的財産を戦略的に利用しているところもあります。今後成長するであろう、また技術革新が進むであろう分野に集中的に知財を出願している会社もあります。
後追いで参入する会社でも、先発企業に知財で攻められないようにするために、先発企業の知財マップを作成し、自社の知財を知財マップ上で強化すべき点に戦略的に投資し知財の壁を構築している会社もあります。
こう考えると守りだけではなく、攻めとしても企業経営に利用できますね。
経営法務の過去問をそのまま暗記することも大切ですが、いろいろなシチュエーションを想像しながら記憶した方が長期記憶になりますし、問題に対して回答が柔軟に出来る様になります。
どうしても丸暗記だとすぐに忘れがちですが、A社のこの状況で何がベストかと考えながら設問を解き、それを長期記憶につなげるという流れですね。 では、出題範囲から学んだ経営法務の使い道がどんなものがありそうか、一つ一つ見て行きましょう。
■中小企業診断士試験の試験科目設置の目的と内容
経営法務科目における中小企業診断士試験の試験科目設置の目的と内容を見ると
- 事業開始、会社設立及び倒産等に関する知識
- 知的財産に関する知識
- 取引関係に関する知識
- 企業活動に関する知識
- 資本市場へのアクセスと手続き
- その他の経営法務に関する事項
が主たる範囲とされています。
これって、企業の根幹の法務課題が羅列されているといっても過言ではありません。もちろん、6)その他には海外輸出をするならば外為法に注意するとか考えなければならないことなどいろいろとありますが、先ずは上記の内容が把握できていれば通常の中小企業の現場ならば十分かと思います。
どちらにしても、中小企業診断士は法律を扱うわけではありませんので、中小企業の社長さんと話をしている時に気になる点をしっかりと把握し、法律の専門家の助言を受けるようアドバイスもしくは専門家を紹介する事が出来れば良いと思います。
法律って皆さんもご存じの様に、詳細までは知らないことが多く、初めから敬遠している社長さんも多いと思われます。
そんな中、弁護士と初めから話すのは気が重いけれどこんなこと困っているんだ、と言われた時の相談相手として診断士はぴったりです。その時に課題をさっと把握し、専門家が必要か否かをアドバイスすることで、診断士としてのステータスがぐっと上がる良いチャンスになるとも言えます。
ではまず、上記6項目に関して1項目づつ見て行きましょう。
■1)事業開始、会社設立及び倒産等に関する知識
私の知り合いにも起業しようと考えている方々がいます。その時にどの形態で起業するのかのアドバイスは必ず必要です。人によってはNPO法人の方が良いかもしれませんし、合同会社としての方が自由度が効くと思われるかもしれません。
ベンチャーでしたら初めは身軽に、そして成長が見えてきたら、企業ガバナンスや組織構築のためにどう会社形態を変えていったらよいのかなどが必要となってきます。
こういった組織の形態などだけではなく、実務として青色申告の申請や、労働、社会保険の届け出などなど、開業に伴う知識ですね。このあたりの実務知識は必ず必要です。自分が独立する時にも必要な知識です。
また、残念ながら事業の倒産や廃業に直面するかもしれません。
そんな時、会社法や会社更生法、民事再生法などの知識があれば、上手く専門家につなげることが出来ます。実際には後継者がいなくて廃業する中小企業も多いのでその時にも役に立ちます。
■2)知的財産に関する知識
中小企業が素晴らしい新技術や新製品を開発しても知的財産として守られていないとみすみす他社の参入を許すことにもなりかねません。また、製品によっては海外での知的財産も考えておかなくてはならないケースも増えています。ブランドなども同様です。せっかく育てたブランドが侵害されたりすることも考えられます。
最近では偽ブランドが横行している事業もありますから、偽ブランド対策をするのにも知的財産の知識が必要です。偽ブランドだけでなく模造品にも注意が必要ですね。私の個人的経験ではこの対策に結構苦労した記憶があります。次から次へと良くもまあ特許もクリアして模造品が出てくるものだと、半分感心しながら対応していた記憶があります。
逆に「地域団体商標制度」などを使用することが出来れば、攻めの知財戦略も可能となります。
また、最近はパテントトロールの動きが活発になっています。今までは大企業を中心にパテントトロールが活動していましたが、これからも中小企業には関係ないという事ではなく、何らかの特色を持った優れた中小企業では特にパテントトロールに狙われないとも限りません。そんなときは防御としての知的財産の知識が必要になってきます。
知的財産は自社の事業価値を高める戦略として、攻守どちらからでも使えるものとしての位置づけが大切だと考えています。
■3)取引関係に関する知識
日々のビジネスの根幹となる経営法務知識がここに入ります。会社を立ち上げました。さあ、お客様もついてビジネスが始まりました。初めのころは口約束で進んでいたものが、実際にビジネスが大きくなると契約書が必要となってきます。
個人的には海外駐在経験をした際に、英文の契約書を結構読みました。一度深く契約書を読み込むと他の契約書を読んでも、法律を学んでいなくとも、ある程度分かる様になるなというのが当時の感覚でした。
基本契約書から始まり売買契約書まで通して事業の立ち上げに関わったことで、貿易関係の知識もついたように記憶しています。この分野も習うより慣れろかもしれませんね。
最低限の契約書の知識を持っていることで契約書自体が一方的なものとなっていないか、基本的条項は契約書に入っているのか、万が一訴訟などになった時の対応はどう書かれているかなどなど多くの確認が大切です。専門家へ繋ぐことも出来ます。
今まで、基本契約なしでビジネスを行ってきた中小企業も多くあると思いますが、契約書をしっかりと結ぶことが今後の取引においては大切ですし、世間もその流れになっています。 売買契約書もそうですしフランチャイズ契約なども一方的な条件とならない様にすることが大切になります。
■4)企業活動に関する知識
民法、会社法、労働基準法、独占禁止法、不正競争防止法、製造物責任法などがこの分野に入ってくると思われますが、民法を本格的に学ぼうとしたら、いくら時間があっても足りません。
試験対策としてはこの辺りは過去問中心で後は事業承継関係を抑えるのがよいのではないかと思います。
会社法は頻出ですので、ここはしっかり押さえること。受験生ならよくご存じだと思います。株式会社に関する知識や組織再編でしょうか。
株式会社における知識は、残念ですが、過去問やりながらの丸暗記ですかね。この辺りは私は苦労しました。脈略のない丸暗記はあまり得意ではないのです。仕方ないから覚えやすそうな表や図をノートに貼ってひたすら覚えていました。
最近のトピックで言うと上場会社では監査等委員会設置会社が増えているのですが、過去問などでも私は見たことが無いですね。この辺りも抑えておいた方が良いかもしれません。
組織再編も覚えることが多いですが、最近はM&Aも多いので、何とか事例に紐づけて覚えるようにしていました。初めのころは組織再編ってこんなにいろいろなやり方があるんだと実務から離れて学びなおした記憶があります。
また、労働基準法なども知識のない中で企業活動をしていると、いろいろな人的な問題が良く起こります。日々の企業活動において守らなければならないルールですので、中小企業へのアドバイスをする際に先ずは確認が必要となります。
労働基準局から連絡があり臨検監督に入られたという話はよく聞きます。問題が無ければ大丈夫ですが、忙しい会社は残業が多すぎたり、しっかりと把握出来ていなかったりいろいろと問題が起こることも多いです。
あの事務所は夜遅くまで電気が点いているから臨検に入ろうと来られることもあると聞いています。人事労務に関しては、どうしても仕事に応じて労働時間が増えてしまい残業などの状況の把握が出来ていないと是正勧告が出される場合もありますから、日々注意が必要です。労務に関しては残業だけでなく、有給休暇の取得など、企業で働いて見える方々には現在も身をもって経験されていることですから理解は早いかと思います。
考えてみると、本当にこの分野は実際の事業を行う上でのルールが多いですね。実態と組み合わせながら覚えて行きましょう。
■5)資本市場へのアクセスと手続き
中小企業が成長すると必ず課題になるのが資金繰りや上場などです。先行きを考えると投資をしなければ成長できない。最近は非上場のベンチャービジネスに投資が出来るネット証券会社も成長していますから、資金の調達は銀行以外でもいろいろなところから出来るようになりました。
株式市場の知識を持っていることで、間接金融から直接金融への転換などの提案などが考えられるようになります。
また、有価証券報告書の記載事項やディスクロージャーなどの理解も必要です。会計はしっかりしていないと、脱税と言われる場合もありますので注意が必要です。
■6)その他の経営法務に関する事項
その他には1)~5)に入らないいろいろな法規制が入ってきます。例えば海外輸出入に関する貿易実務は契約書でカバーできますが、ハイテク製品であれば、以前のCOCOM、現在では安全保障貿易管理も理解することが必要です。工作機器などもこの分野に入ります。
この分野に関係する製品に関しては、ルールをよく読んでいないとマニュアルなどを電子的に送付しただけでも法律違反になる可能性もありますから注意が必要です。
■まとめ
全てを網羅する事はこの分野では不可能に近いですが、私なりに実際の事業経営で課題になりそうなところを書いてみました。
経営法務の知識を身に着け戦略的に考えることで、自社を守ると共に、他社への影響力を強めることに繋がります。また、社員を守り会社を成長させてゆく一助にもなるのではないかと思います。
法務の力というのは見えざる競争力をつける事、つまり企業経営理論の一環であるとも考えられます。それだけ重要だからこそ、別建てとして試験があるのだとも思います。
2次試験に関しては経営法務関係の出題はないと思われますが、この知識は今後、経営に関わる知識として有効活用できると考えられます。最低限の知識をここで身につけましょう。
丸暗記から出来るだけ脱却し、いろいろな状況を自分で想定し記憶することで、暗記科目として考えていた経営法務が生きた科目として記憶に残るようになることでしょう。
何事も実際の使われ方を想定しながら生きた学習を進めて行けば長期記憶もつき、1次試験合格へ1歩、1歩進むことが出来ます。
■おわりに
皆さんの1次試験合格を心から応援しています。1次試験は試験の点数だけが勝負です。2次試験の様に上位何%に入らなければならないとかは関係ありません。1次試験突破の人数が増えれば増えるほど合格人数も増えます!
是非とも1次試験を突破してください!
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次回はあっささんの登場です。
お楽しみに!
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