ラクして覚える経営法務 byたにけい

経営法務

読者のみなさん、こんにちは。
タキプロ13期のたにけいと申します。

3回目となるブログ執筆、今回は「経営法務」を担当します。よろしくお願いします。
【過去記事】事例Ⅳ ゴールデンウィーク特集

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■はじめに

さて、私は国家公務員なのですが、一つひとつの仕事は根拠となる法律に基づいて行うことを求められますので、会社法、民法といった法律の条文には日頃から接しています。しかし、これが「試験対策」となると、問題を解くときに法令集を確認することはできませんし、中小企業診断士試験で条文そのものが問われることも、まずないでしょう。

試験対策は、「過去問は最高の教材」と心得て、出題傾向・ポイントを押さえた勉強をして、内容を「暗記」することが必要になりますから、仕事における法律の接し方とは全く違うものになります。

弁護士さんや司法書士さんは別格だと思いますが、仕事で日頃から法律に接していても、悲しいかな「経営法務、余裕!」のアドバンテージにはなりません。しかし、試験勉強で蓄積した知識は、仕事では逆に大活躍することになります(最後に少々触れます)。

経営法務の勉強ポイント

「会社法」と「知的財産権」に重点をおいて得点源に!
★ 1次試験まであと2か月、直前期は、この2大テーマの攻略が最優先!
 ・・・なるべく楽に暗記できるように工夫してみましょう。

■暗記って得意ですか?

皆さんは暗記って得意ですか?

経営法務は「暗記3兄弟」なんて言われて、苦痛に感じている方も多いのではないでしょうか。Googleで「中小企業診断士 経営法務」と検索すると、「暗記」「覚えられない」といった候補ワードも出てきます。私も単純暗記が苦手なので、経営法務は決して好きな科目ではないのですが、覚え方を工夫できないか、もっと楽に暗記できないかそんなことを考えながら勉強していました。

今回の記事では、私が参考にしたり、実践した「覚え方の工夫」をいくつかご紹介します。また、出題数は少ないですが、受験生を悩ませる「英文契約書」の勉強についても触れます。ただし、私のように英語が苦手な人向けの勉強方法ですから、仕事で英語、英文を扱っている方、そもそも英語が得意な方は読み飛ばしてください。

暗記に関して、先日、世界の上位2%の高IQを持つ者しか入会できない「MENSA」の会員の方が、ランダムに並べられたオセロ盤の白黒の順番を暗記するというテレビ番組を観ました。その方は「白・白・黒・・・」のように覚えるのではなく、「この辺りは楽しそうなイメージ」とか、自分が思い出し易いことに結び付けて覚えていると言っていました。

オセロ盤を見て「楽しそうなイメージ」というのは、ちょっと私のような凡人の理解を超越していたのですが、とにかく「MENSA」会員のような頭の良い方でも楽に暗記するために何らか工夫をしているということですね。

「覚え方の工夫」それでは、会社法(機関設計)を見てみましょう。

■機関設計は、菱形チャート図にお任せ!

株主、株主総会といった用語はニュースなどでもよく見聞きすると思います。しかし、取締役と取締役会と代表取締役、監査役と監査役会は何がどう違うのか、「会計参与」なんて初めて聞くという方も多いのではないでしょうか。そして、問題集にはこれらが設置できる「組み合わせ」を問う問題が載っています。

他方で過去問を見ると、組み合わせを直接的に問う問題は意外と少ない印象ですが、「本問における会社は取締役会設置会社である」といったように設問の前提条件とされることがありますので、機関設計は会社法の問題を解く上での基礎知識となります。

テキストでは、設置できる組み合わせが「〇×表」のような形式でまとめられていることが多く、それを「根性で覚えていく」やり方が標準的ではないかと思います。しかし、私も40代・・・脳細胞が健全なはずもなく、「覚えたはずが、お酒を呑んだら忘れてた。いや、呑まなくても全部忘れてた。」の繰り返しで、どうしても覚えることができません。「もっと楽に定着できないものか・・・」すがる思いでインターネットを彷徨いました。

そんな中、平成30年度試験の合格者、ハンドルネーム「はる」さんが運営する「中小企業診断士CONSUL-CIRCLE」というサイトにたどり着きました。(https://consul-circle.com/

このサイトに掲載されている機関設計を「図で覚える」方法https://consul-circle.com/kikan-seltukei/)により、覚え方に関する悩みは一瞬で吹き飛びました。経営法務以外の科目の勉強法や解説も数多く掲載され、充実のコンテンツとなっていますので、ぜひ参考にしてください。

詳しくはリンク先サイトをご確認いただきたいのですが、私はこの方法を実践し、下の画像のように「スピード問題集」(TAC)を解く際に手を動かして図を書きました。これにより機関設計の問題は「百発百中」で正解できるようになりました。読者の皆さんも手を動かして実践してみてください。おもしろいように正解できます。

次は、会社法(会社分割・合併)を見てみましょう。

■会社分割・合併は、阿波踊りにお任せ!

会社分割・合併なども、パターンが複数ある上に、簡易手続や略式手続の可否が加わって覚えにくさ満点でした。

私はこれも「中小企業診断士CONSUL-CIRCLE」に頼りました。先ほど紹介した機関設計の覚え方も目から鱗でしたが、こちらは「リズムで覚える」方法https://consul-circle.com/houmu-kanni-ryakushiki/)というナナメ上のものでした。

とてもカンタンなので、リンク先サイトを確認してまずは基本形を体得してください

私はこの覚え方を応用して覚える範囲を拡大し、最終的には画像のような「まとめ表」を作りました。そして「リズムに乗って」問題用紙の余白に再現できるように練習しました。会社分割などの問題が出たら、設問を読む前に問題の余白に「まとめ表」を再現してしまい、その後、設問に合わせて「まとめ表」を確認するというやり方です。

「まとめ表」の再現に少々の時間を要しますが、出れば確実に正解できます。

余談になりますが、私は問題集の回転を通勤時間に行うように習慣化していました。そして、定時帰りができた日や、帰宅が遅くなっても構わない日は、乗車時間が長く、着席しやすい各駅停車の電車を選んで乗るようにして勉強時間を確保していました。

「まとめ表」を再現する時はリズムに合わせて身体が動いてしまいます。このリズムは・・・そう、「阿波踊り」のリズムが近いと思います。電車内で問題を解いていて軽い阿波踊り状態になり、踊りが最高潮に達した瞬間、身体がピョコついたところを向かい側の座席の人に見られていました!!(恥)

バツマル バツマル バツバツ ホシマル・・・。

電車内や職場の昼休みに実践する場合は、「ゾーン」に入らないように気を付けてください・・・この方法の注意点はそれだけです 笑

次は、横断的暗記のススメを見てみましょう。

■横断的暗記のススメ

経営法務は令和3年3月頃から勉強を始めたのですが、メイン教材の診断士ゼミナールの講義を受けてから過去問に挑戦してみたものの、全体的に難しく感じ、年度間の難易度の差も大きい印象を受けました。そこで、「スピード問題集」を併用して、まず基本的な問題を確実に正解できるように取組みました。

問題集を回転していくと、債権、不法行為、製造物責任賠償請求、詐害行為取消権、遺留分侵害額請求権、消費者契約法について、消滅時効あるいは取消権を失う期間などの定めを問う問題を毎回間違えている(正確に覚えていない)ことに気付きました。

「〇〇を知った時から〇年」というパターンですが、3年、5年、10年、20年といろいろと出て来るし、出て来るページもバラバラで、覚えにくさを感じていました。

そこで、画像のように横断的に暗記できる資料を作って、本試験の2週間くらい前からまとめて暗記しました。似た言葉、概念、パターンが出てきたら、このように横断的に覚えるとスッキリします。

(画像は勉強方法を紹介するためのもので、今年度の法令改正に関する確認をしていません。ご注意ください。)

経営法務以外の科目でも、需要予測手法の一つ「指数平滑法」(運営管理)と、個別証券の期待収益率を求める「CAPM」(財務・会計)の式の構造が似ていて、それぞれの科目を勉強する度に「どこかで見たことあるな」とモヤモヤしていたので、両者をテキストから探し出して並べて覚えました。

指数平滑法 今期の需要予測前期の予測α×(前期の実績-前期の予測
CAPM   個別証券の期待収益率RリスクフリーレートRfβ×(市場期待収益率Rm-Rf

次は、英文契約書対策を見てみましょう。

■英文契約書の問題・・・「しんだんぐりっしゅ」は捨てちゃう?

英文契約書の問題は、過去問を見てもぜいぜい1~2問ですから、捨ててしまいたくなる気持ちはよくわかります。どの程度まで勉強すればいいのか本当に悩みますよね・・・しかし、経営法務の標準的な問題数は24マーク、1マークは単純計算で「4点」です。問題数の多い企業経営理論や運営管理と比べたら、大変貴重な1マークになりますから、私には「完全に捨てる」勇気はありませんでした

診断士試験における英文契約書の内容は、きっと商取引の条件に関するものでしょうし、文章として理解できなくてもキーワードくらい分かれば、なんとか出題意図が理解できるのではないかと考えました。

そこで、「最低限」の英単語、言い回しだけは割り切って覚えることにして、①過去問7年分から英文契約書の問題だけを切り抜いた資料と、②過去問の解説やインターネットで情報収集した様々な勉強法で取り上げられていた英単語・フレーズを適当に手書きした資料を、職場の昼休みに「10分間、眺める」ことにしました。この資料は「しんだんぐりっしゅ」と呼んでいました。

ただ眺めていただけなのですが、英語が「言語」だからなのか、毎日眺めていると「暗記」というより「慣れる」感じで覚えることができました。当時、手書きで作成した英単語・フレーズを改めて表形式に書き出し、お土産資料を作りましたので、直前期の勉強の参考にしてください。

お土産資料(Excel)をダウンロードできます。

そして、もう一つのポイントは問題を解くときです。私は、本文を読む前に選択肢を確認するようにしていました。選択肢を先に確認することで、出題意図を掴みやすくなりますし、本文を読む時に注目すべきキーワードを探しやすくなります。

令和3年度の英文問題は1問(2マーク)出題されました。問題は信用状(LC)による決済手続きに関するものでしたが、英文自体は3行程度、やや拍子抜けしました。しかし、選択肢を先に読むことで出題意図がすぐに理解できましたし、英文は過去問で出題されたものと同レベルだったため、内容も理解した上で解答できました。これにより2マーク(大きい!)を確保できました。

1日10分、楽に取り組めるなら英文問題をやってみてもいいかな・・・そう思っていただけたなら幸いです。ただし、「会社法」と「知的財産権」が最優先であることを忘れないでください。 この2つに大きな不安があるなら、英語をやっている場合ではありませんので、ご自身の勉強の進み具合と相談してください。

次は、おまけコーナー

■実務に役立つ経営法務(おまけ)

詳しくは書けませんが、診断士試験の合格後、仕事で民法や破産法の知識が必要な案件が突如発生し、その対応方針を私が中心となって考えなければならないという場面がありました。担当業務の異なる複数の部下の連携を図り、関係部署の協力も得て、極めて短期間で解決しなければならなかったのですが、経営法務の勉強による基礎知識があったため、とてもスムーズに問題の全体像が把握できました

この仕事はマジで大変・・・疲労困憊だったのですが、試験勉強中は、暗記、暗記としか思っていなかった経営法務の知識を実務に役立てることができたことには感動を覚えました。上司や部下からの信頼も一層、厚くなりました(はずです)。使い慣れた診断士ゼミナールのテキストもしっかり再確認しましたよ。

まさかの実戦投入・・・つ、つかれた・・・

独立を目指す方、企業にお勤めの方も日々の商取引の法的根拠、商品・製品に関する各種権利関係といった法律知識があれば、業務にもきっと役立つのではないでしょうか。

おわりに・・・1次試験、難化したらどうする?

■おわりに

苦手な暗記を楽にしたい一心で覚え方を工夫した経営法務ですが、令和3年5月末に実施されたTAC「1次公開模試」を受験したところ、C判定(ボーダーライン)となってしまい、本試験に向けて「万全」とは言えない結果となりました。私には1次試験に絶対に一発合格したいという強い思いがあったのですが、「今年の試験が難化して足切りされたらどうしよう」という不安に襲われました。

幸いなことにTAC模試の解説冊子がとても充実した内容だったため、「暗記科目は勉強に比例して、本試験直前まで伸びるはず」と気を取り直し、模試の問題を4回転させました。直前期の復習が奏功して本試験では84点という高得点をマークすることができ、ストレート合格につながりました。

この解説冊子は経営法務以外の科目の直前期の勉強にも大変役立つものでした。他社さんを含めて模試を受けた方、特に「暗記3兄弟」は、模試の解説冊子もフル活用してください。

また、年度による難易度変化が大きいことは経営法務の特徴の一つです。平成30年度は特に難化し、8点も得点調整されていますので、この年度の過去問を初めて解いたときは大変難しいと感じました。来る8月7日(日)の試験当日、読者の皆さんが「今年は難しい、もうダメかも!」と思ってもパニックになる必要はありません。周りの人達も同じように「難しい!」と思っていますから、そんなに落ち込まなくても大丈夫です。

まずは深呼吸で気持ちを落ち着けましょう。このような状況に陥った場合を想定して私が考えていた戦略は、①足切り(40点未満)を避けることを最優先に据え、②基本的な問題をケアレスミスで落とさない、③マークミスを絶対しない、④タイムマネジメントを意識する・・・余分なことは考えず、守りに徹することです。7科目平均で6割取れば合格ですから、経営法務の出来が多少悪くても、他が良ければ合格可能性は十分にあります。

そして、経営法務の時間が終わったら、残り2科目のモチベーションに影響を与えないように好きなお菓子でも食べて、気持ちを切り替えてください。私はラムネやチョコレートで糖分補給してリラックスしました。

楽して覚える経営法務、いかがだったでしょうか。これから1次試験まで約2か月あります。暗記科目は試験開始の数分前まで実力が伸び続けます。今日覚えるキーワードが本試験の「4点」につながるかも知れませんよ。努力を重ねた自分を信じて駆け抜けてください。

タキプロ一同、応援しています!!


次回はガーナさんの登場です。
お楽しみに!

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