直前期の運営管理の取り組み方 by nyoko

タキプロ15期の nyoko と申します。この記事が投稿されるのは、もう1次試験超直前期となります。  今回は「1次試験の主要3科目」に位置付けられる「運営管理」の直前対策記事とさせていただきます。ご参考になれば幸いです。

■「運営管理」は攻めの科目!

先日投稿した記事で、私なりの1次試験の「攻め」の科目と「守り」の科目の分類を行いました。

「攻め」の科目:企業経営理論、財務・会計、運営管理、中小企業経営・政策
「守り」の科目:経済学・経済政策、経営法務、経営情報システム

「運営管理」は2次試験にも直結する1次試験の基幹科目であるため、1次試験では苦手意識があったとしても60点以上の合格点を積極的に狙っていくべき科目になります。それくらいの意気込みでないと次の2次試験で苦しむことになるからです。

ちなみに個人的に「運営管理」が他の6科目にはない特徴として、どの学校の基本テキストにも当てはまると思われるのですが、「基本テキストに書いてある内容は全て頻出論点で捨て論点が全くない」ということです。

先日、担当した「経営法務」は正直なところ、近年試験にはあまり出ていない論点もテキストには載っていて、ある程度強弱がつけやすいのですが、「運営管理」だけは、それが出来ないため、「この論点だけは落とさないように」みたいな記事が残念ながら書けません。

それでは「運営管理」の学習において、超直前期の時期だからこそ、抑えておくべきことを次のブロックから、記していきます。また、最後に次の2次試験に向けてのポイントも書かせていただきました。

■「引っかけ」に気を付ける!

超直前期に抑えること。それはズバリ「引っかけ」論点に惑わされないことです。

「運営管理」においては何となく似たような紛らわしい用語が多くあり、それ故に受験生が混同しやすくなりがちです。当然、出題者はそれを知っているので、選択肢で用語の入れ替え等で受験者を引っかけてきます。

受験生としては、この出題者側のトラップをできるだけ回避していきたいところです。

そこで次からは「生産管理」と「店舗販売管理」でそれぞれ代表的な「引っかけ」ポイントを紹介していきます。

超直前期の追い込みで、これらの違いをしっかり覚えておけば、本番で「あれどっちだったっけ?」を防げると同時に、得点の向上も見込めるはずです。

■「生産管理」の引っかけポイント

5S(整理と整頓)

・整理:必要なものと不必要なものを区分する。
・整頓:すぐに使用できるように決められた場所に保管する。

5S(清掃と清潔)

・清掃:異物を除去する。
・清潔:汚れのない状態を維持する。

生産性

生産性の基本公式=産出量÷投入量
本試験の選択肢では「投入量を産出量で除して」といった形で分子と分母を逆にしてくる。

段取替え

・外段取:ラインを停止しないで行う段取替え
・内段取:ラインを停止して行う段取替え
ちなみに1次試験のみならず、2次試験の事例Ⅲにおいても最重要知識の1つである。

製番管理方式と追番管理方式

・製番管理方式:「製造指図書」を発行して、製品の調達時点で全ての部品や材料に製造番号を付与する方式で個別生産に適している。

・追番管理方式:同一製品の追番(類型製造番号)を用いた生産管理方式で、多くの製品に共通して使用する部品の発注に適している。

※もし、選択肢に「製造指図書」という用語が出てきたら条件反射的に「製番管理方式」を思い浮かべるようにしたい。

定量発注方式と定期発注方式

・定量発注方式:在庫量が発注点に到達した場合に一定量を発注する。なお、「経済的発注量」は定量発注方式に用いられるものである。

・定期発注方式:あらかじめ定めた発注間隔で、発注量を都度計算して発注する。重点管理対象の発注品に利用する。

在庫関連用語

・発注残:発注済みだが、まだ手元に届いていない在庫。
・有効在庫:実質利用可能な在庫量。手持在庫-引当量+発注残で計算される。
・安全在庫:需要変動または補充期間の不確実性を吸収するために必要な在庫量。
・見越在庫:あらかじめ予測できる変動への備えとしての在庫。

主体作業と余裕の区分

どちらに区分されるか判断に迷いそうな事例
・材料の取り付けや取り外しは「主体作業」に区分される。
・機械の手入れや部品の運搬は「余裕」に区分される。

標準時間の定義

・標準時間=正味時間+余裕時間
・正味時間:規則的・周期的に発生する作業。観測時間の代表値×レイティング係数で求められる。
・余裕時間:不規則的・偶発的に発生する作業。

外掛け法と内掛け法

・外掛け法:正味時間に対して割り当てられる余裕率を求める方法。
余裕率=余裕時間÷正味時間
標準時間=正味時間×(1+余裕率)

・内掛け法:標準時間に対して割り当てられる余裕率を求める方法。
余裕率=余裕時間÷標準時間=余裕時間÷(正味時間+余裕時間)
標準時間=正味時間÷(1ー余裕率)

予防保全と保全予防

・予防保全:寿命を推定して、故障を未然に防ぐ保全活動→「維持活動」に区分される。
・保全予防:過去の経験をもとに、故障しない設備開発を行うための手段を講じる保全活動→「改善活動」に区分される。

■「店舗販売管理」の引っかけポイント

大規模小売店舗法と大規模小売店舗立地法

・大規模小売店舗法:平成12年に廃止された法律中小小売店保護のため、大型店の出店を抑制するのが主な目的であった。

・大規模小売店舗立地法:大型店の立地に関し、その周辺の地域の生活環境の保持のため、設置するものが配慮すべき事項を定めている。

※「環境」というキーワードがあれば、「大規模小売店舗立地法」を条件反射的に思い浮かべるようにしたい。

都市計画法の区域区分

・市街化区域:概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図る区域。
・市街化調整区域:市街化を抑制する区域
・用途地域:住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めた地域。
・白地地域:用途地域の定めがない地域

陳列

・横陳列(ホリゾンタル陳列):同一のグループを横に並べる陳列。同一グループ内の商品を比較しやすい
・縦陳列(バーティカル陳列):商品を縦に割り付ける陳列。商品グループ間の比較がしやすい

照明関連用語

・照度:単位面積当たりの光の量
・輝度:目に入る輝きの強さ
・色相:色合いや彩り
・演色:物の色の見え方

売上高予算

・商品投下資本利益率(GMROI)=売上総利益÷平均在庫高(原価)
・交差比率=売上総利益÷平均在庫高(売価)
※直近の本試験では直接計算させる問題よりも、上記の公式を理解しているかどうかが問われる傾向が高い。

仕入

・委託仕入:販売時に仕入れ先から顧客に直接移転される。販売先への移転がないため、商品に関する売上・仕入が発生しない。
・消化仕入:商品が売れると同時に所有権が販売先に移転される。その際、商品に関する売上・仕入が同時に計上される。


※他の仕入パターンもあるが、なぜか上記2つが本試験で出題される頻度が圧倒的に高いので、この2つさえ抑えておけば、試験対策としてはほぼ問題なし。

参照価格

・内的参照価格:消費者の過去の経験から構成される価格。
・外的参照価格:消費者が購買環境から感じる価格。
※「参照価格」は経済学でも出題される可能性あり。

ピッキング

・シングルピッキング(摘み取り方式):多品種少量型のピッキング。出荷先別に商品を集品する。出荷先が多く、出荷先の出荷量が少ない場合に適している。

・トータルピッキング(種まき方式):少品種多量型のピッキング。商品をまとめて集品し、あとで出荷先別に仕分けを行う。出荷先が少なく、出荷先の出荷量が多い場合に適している。

物流センター

・在庫型物流センター(DC):商品在庫がある物流センター。納品のリードタイムは短い。
・通過型物流センター(TC):商品在庫がない物流センター。納品のリードタイムは長い。

ロケーション管理

・固定ロケーション管理:商品の保管場所を固定して管理する。作業効率は高められるが、スペースの有効活用がしにくい。

・フリーロケーション管理:入出荷状況によって、自由に保管場所を設定して管理する。スペースの有効活用が可能だが、作業効率が低下しやすい。

輸送船

・RORO船:車ごと船内に乗り込んで荷物を積載する船。
・LOLO船:クレーンで荷物を積載する船。車は乗りこまない。

PLUとNonPLU

・PLU:商品コードを読み取った際にPLUマスタを参照し、精算処理を行う。
・NonPLU:価格情報をあらかじめ商品コードの中に埋め込んでいる。

マーキング

・ソースマーキング:JANシンボルの印刷・貼り付けをメーカーで行う。
・インストアマーキング:JANシンボルの印刷・貼り付けを小売業で行う。

■2次試験に向けて

最初に「基本テキストに書いてある内容は全て頻出論点で捨て論点が全くない」と書きましたが、詳しく書くと、それは「1次試験のみならず2次試験でも」という意味です。
過去問を見ると1次試験にはそこまで出題頻度が高くない論点もテキストに書いてあるのではと思う方もいらっしゃるかと思います。私も受験生時代はそう感じていました。私も受験生当時は1次試験対策中は1次試験の学習しかしておらず、2次試験の対策は全くしておりませんでしたので。
ただ、「1次試験にはそこまで出ないが、2次試験では非常に大事な論点」もあります。以下は1次試験では毎年出題されてはいないが、実は2次試験の事例Ⅲ(一部事例Ⅱや事例Ⅳ)では非常に重要な知識となります。

  • 受注生産と見込生産のそれぞれのメリット・デメリット(関連知識として「デカップリングポイント」も抑えておく)
  • 多品種少量生産と少品種多量生産のそれぞれのメリット・デメリット
  • ジャストインタイムのメリット・デメリット
  • 機能別レイアウトと製品別レイアウトのそれぞれのメリット・デメリット
  • 生産統制(進捗管理、現品管理、余力管理)
  • 内製と外注のそれぞれのメリット・デメリット(これは事例Ⅲだけでなく、全事例で問われる可能性あり。近年では比較的事例Ⅳで問われやすく、令和5年の事例Ⅳでも関連出題あり。また、関連知識として「OEM」も抑えておく。)
  • 2次元CADと3次元CADの違い
  • 客単価向上のためのインストアマーチャンダイジング(これは事例Ⅱ対策)

2次試験に合格するためには、1次対策のテキストにも載っている上記知識が問われた際に、すぐに思い浮かぶようにしなければなりません。大げさではなく、それくらいでないと、2次試験の合格はおぼつきません
今年初めて1次試験を受験される方は1次試験だけで見れば、上記の知識は重要度が中程度なので、手が回りきらないのは致し方ないにせよ、今後の2次試験のためにも、時間があるときに目を通すだけでも良いので、やっておいてほしいところです。それだけでも2次試験にはスムーズに移行しやすくなります。

■おわりに

「運営管理」は他の基幹科目である「企業経営理論」や「財務・会計」と比較すると、まだ短期集中でも得点を伸ばしやすい部類の科目だと思います。今回は混同しやすい「引っかけポイント」を挙げさせていただきましたが、重要ポイントを抑えれば十分合格点を取れる科目なので、後に控える2次試験も見据えつつ、ぜひ得点源にしていただければと思います。

次回は、MOV さんの登場です。 

お楽しみに! 

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