リスクマーチャンダイジング
こんばんは。ごとりん@たきぷろ6期です。今日は,リスクマーチャンダイジングについてひとしきり考えてみたいと思います。ただし,「考える」といっても,お題がないとテーマが不鮮明になりますから,以下のような例題はいかがでしょう。
「例題 アメリカのアウトレットモールは日本のアウトレットモールと比較すると,値段の割引率が一般に高いといわれている。アメリカのデパートメントと日本の百貨店の収益構造と関連させて,理由を考察せよ」
日本の「百貨店」はよく「場所貸し」といわれます。これは,土地や建物は百貨店の所有物なのですが,建物のなかにある販売員はメーカーや卸売商の社員で,しかも商品は事実上返品制度であることを揶揄した表現です。百貨店の店員が販売業務に携わることがなく,収益は出店の手数料ということになると,事実上,「地主」に近い収益構造ということになります。
こうした「場所貸し」のメリットはもちろんあります。まず,在庫を自社で抱える必要がありませんし,余計な人件費もかかりません。老舗の百貨店はたいてい副都心に自社ビルと土地を持っていますから,出店したいというメーカーや卸売商などは結構な数です。ある意味ではかなりうらやましいビジネスモデルですが,もちろんデメリットもあります。
まず在庫の抱え込みといったリスクをとらないので,仕入れのノウハウが社内に蓄積されません。コンビニエンスストアや総合スーパーなどが,POSシステムを導入して,売れ筋商品と死に筋商品の見極めに仕入れ技術を成長させてきたわけですから,このノウハウの蓄積の有無は,今後大きな影響をもつことになります。たとえばコンビニエンスストアは,買取仕入れが原則ですから,仕入れにさいしても真剣度が違います。膨大なデータの蓄積と経験値を積み重ね,その結果として現在のオニギリや弁当などのプライベートブランドの提供につながっているわけですが,百貨店は返品自由であるがゆえに,そうしたプライベートブランドの創出には失敗したといえます。
また,販売員の育成という観点からしても,自社社員が販売の現場に立たないわけですから,長期的には百貨店の販売ノウハウは低下していきます。たとえば出店計画をみても,コンビニエンスストアは市場調査を綿密におこなって,地域にドミナント戦略などの仕掛けを施します。一方,老舗の百貨店は副都心など昭和の時代から固定化されたエリアに展開するのが通常です。
こうした長期にわたる知的資源の蓄積の有無が,百貨店の凋落の一つの要因となっています。改善点としては極めて明確で,仕入れを買取仕入れとして自社がリスクをとって品揃えをおこなっていくことです。こうした品揃えの商品政策をリスクマーチャンダイジングといいます。ある程度リスクをとって仕入れをおこなうことで,仕入れ技術を進化させていくことができます。また,リスクをとることで,いったん仕入れた商品を売りきる必要があるわけですから,販売技術も磨かれていくことでしょう。実際にアメリカのデパートメントストアは買取仕入れが原則ですから,アメリカのデパートメントストアに買取仕入れができて,日本の百貨店にできないはずはありません。
さて,それでは例題の答えです。アメリカのデパートメントストアは買取仕入れですから,売れ残った商品は,返品できません。そのまま抱え込んでいても仕方がないので,かなりの格安でアウトレットモールに売切ってしまいます。アメリカのアウトレットモールではしたがって格安で,デパートメントストアの在庫が販売されることになります。
一方,日本の百貨店は売れ残った商品は返品してしまいます。返品された商品は,メーカーに戻されますから,日本のアウトレットモールは,メーカーから仕入れるかたちとなります。多少の品傷みや古いモデルとはいえ,正式ルートに近い経路で仕入れるわけですから,アメリカのアウトレットモールと比較すると仕入原価はあがります。したがって,日本のアウトレットモールは,アメリカと比較すると値下げ率の幅が狭くなるわけですね。一次試験の「運営管理」などの学習の参考になれば,幸いです。
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