定番論点をしっかり押さえる~事例Ⅲの対処法 by MASA
こんにちは。タキプロ関東所属のMASAです。
今回は事例Ⅲ対策について自身の学習経験も交えてご紹介致します。
以前の投稿は以下の通りです。
1.自己紹介
令和元年度試験に合格、令和2年5月に中小企業診断士登録が完了した企業内診断士です。
現在、東南アジアの製造事業会社に単身赴任中で、経営管理全般を担当しています。
2016年から受験を開始、2018年から海外赴任だったのですが、この間に1次試験、2次試験、口述試験、実務補習、と節目ごとに帰国し受験、ようやく合格しました。
合格までの道のりは合格体験記を参照下さい。
2.事例Ⅲの出題範囲
中小企業診断士試験2次試験案内には、出題範囲が以下のように記載されています。
筆記試験は、「経営革新・改善」、「新規事業開発(既存事業の再生を含む)」などの中から、次のように出題します。
(中略)
・「生産・技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」
生産、技術面の観点から事例企業を診断していく能力を確認する、ということになります。「高品質な商品(Q)を低コスト(C)で納期遅延することなく(D)、混乱なく効率よく生産し、販売できているか、という観点で該当企業の活動を診断する」能力を診る、ということになります。
この基本は事例Ⅲに取り組むときは常に念頭に置いておくべき鉄則だと思います。
なぜなら、設問は受験生がこれらの能力を持ち合わせているか、設問を通して確認しようとしていると思われるからです。
3.設問構造の把握
通常設問は4つか5つありますが、出題者は前項の要素を網羅的に確認したいと思っていると思われます。すなわち、以下のような内容を出題すると考えられます。
現状分析・生産計画・生産統制・事業(製品や営業など)戦略
これに加えて、いわゆる情報問題が出題されることがあります。(令和元年度はなし)これは、企業の生産活動を情報の側面からサポートする、というものではないかと思います。
まずはそれぞれの設問が上記カテゴリーの中でどの分野のことを訊いているか、という観点での設問分析をすることが的を射た解答を作るうえでの必須の作業となります。
4.定番論点を確実に
事例Ⅲは必要な知識をしっかりと定着させて解答に使えるようにしておく必要があります。逆に言うと、それをおさえることで得点を獲得することができると言えます。
以下に例を挙げます。
論点 | ポイント |
生産統制の3つのポイント | 進捗管理・現品管理・余力管理 |
生産計画策定のポイント | 短サイクル化・専任担当者による策定 |
在庫適正化のポイント | ロットサイズ適正化・営業と製造の情報共有・生産計画見直し |
納期短縮のポイント | 情報共有・マニュアル化・外段取り化 |
過去問演習をする中で、同じような論点が繰り返し問われていることに気づくと思います。それについては、設問文だけを見て解答を想起できるくらいまで定着させておき、与件文の根拠を探しに行く時間を短縮する取り組みをされることをお勧めします。
私の場合は、解答要素が即座に浮かぶくらいまで習得することを目的として、過去問10年分くらいの全設問と「ふぞろいな合格答案」シリーズに掲載されている合格者答案で自分の感性にフィットしたものをすべてExcelに書き出して纏めていました。
それを印刷して手元に持っておき、隙間時間に設問を眺めながら、解答の切り口を思い出す練習をしていました。
こういうアウトプットのトレーニングは効果があったと思います。
(実は事例Ⅰの記事にも同じことを書いています)
もちろん、この分野から外れる設問あるいは角度を変えた設問、というのもあり得ます。こういう変化球も常に想定して試験に臨んで下さい。
5.設問への取り組みには強弱がある
各設問はすべてが同じ難易度というわけではありません。
おおまかな目安として、現状分析的な問題は、与件文の該当箇所を編集することで解答が作れるため難易度が低く、助言など、与件文に記載のある事実から解答を導き出す問題は難易度が高い傾向にあります。したがって、難易度の低い問題は要素をしっかり抜き出して得点を極大化する、難易度の高い問題は完璧を求めないで外さない解答を作る、という戦略が必要だと思います。
私は学習の初期に難易度の区別が全く分からず、どの設問も同じように時間をかけて対応していたため、膨大な時間がかかる割に芯を食った解答はできていませんでした。合格年度は設問間の難易度を把握しながら軽重をつけていましたので比較的スムーズに対応できていたと思います。
6.図表の読み取り
令和元年の事例Ⅲは図表が出ませんでした。ただ、今までは幾度となく出てきています。
ただでさえ与件文の読み取りに神経を使うのに、図表まで解釈するのは勘弁、と思う気持ちもあります。しかしながら重要なヒントが隠れていることがありますので避けてはいけません。
素直に読み取れることのみを解答に含めることでいいと思います。
7.その他
今回この記事を書くにあたり、これまで事例Ⅲをテーマに書いてきたタキメンの記事をひと通り確認しました。その結果、書いていることはみんな殆ど変わらない、ということを改めて再発見しました。
正解は公開されませんが、試験である以上、出題者の中には正解はあると思います。最大公約数がいい、というわけではないですが、合格してきた人が自信をもって語っていることなので、信憑性は高いと思います。その人たちが異口同音に言っているということはそこに真理があるのだと思います。
受験生の皆さんもぜひタキメンの記事を参考にして、合格するとはどういうことか、ということを改めて考えてみて貰えればと思います。
8.お薦め参考書
事例Ⅲに限らず、事例Ⅰ、Ⅱともに知識を使いこなして解答化するのに役立つと思う書籍を以下にご紹介しておきます。
-必要な知識がコンパクトに纏まっていて使いやすいです。
-各事例で必要な知識の短問答集が必要知識の確認に有用でした。
「30日でマスターできる 中小企業診断士第2次試験 解き方の手順」(中央経済社)
-与件文のどこに着目して知識を引き出すかわかりやすく記載されています。
9.おわりに
今回は事例Ⅲについて書いていますが、前回事例Ⅰで書いたことと殆ど同じことを書いているように見えるかもしれません。
結論から言ってその通りです。なぜなら、事例Ⅳ以外は、与件文に沿って根拠を抽出し、知識も使って解決策を提示する、という点で全くプロセスが同じだからです。
事例によって注力するポイントは異なりますが、それだけです。
合格年度の私の事例Ⅲ得点開示結果は57点でした。
解答欄に当たり前のことを与件に沿って当たり前に記載しただけでしたが、他の事例同様、大きく外すことなく無難にこなせた、ということだと思います。
しかし当たり前のことを当たり前にこなすためには多少の訓練が必要です。
少しでも受験生の皆さんのご参考になれば幸いです。
次回はタキプロ関西からダックさんです。お楽しみに。
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