二次試験対策の全体感 by F田

4事例共通

読者のみなさん、こんにちは。
タキプロ14期のF田です。

6月も半ばを過ぎました。
一次試験まで二カ月を切り、そろそろ仕上げの段階に入っている方も多いのではと思います。
一方で、「二次試験に向けた準備もぼちぼち始めていこうかー」
という方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

そこで本日の記事では、
・一次試験の受験を控えながら、先を見据えて二次試験の勉強に取り組み始めようとしている初学者の方
・二次試験は経験済みだが、勉強の進め方や本番に向けた準備について迷いや悩みをお持ちの方

に向けて、二次試験対策の全体感、4事例共通のノウハウをお伝えしていきたいと思います。

個々の事例についての対策や、個別ノウハウについての記事も、タキプロブログにはたくさん掲載されております。
是非チェックしてみてください!
・事例Ⅰ
・事例Ⅱ
・事例Ⅲ
・事例Ⅳ

それでは、早速行ってみましょう!

今日も読んでいただきありがとうございます。
⬇︎をポチッと!何卒です。

1.二次試験 何を問われているのか

「設問内容が抽象的で何を問われているかよくわ分からない」

二次試験の勉強を開始し、過去問にあたった受験生の多くが感じることではないかと思います。
与件文は長いし、設問は抽象的だし、何を書いたら良いのか分からない。私も二次試験の勉強を始めたとき、過去問を見てそのように感じました。

何を問われているか、ざっくり言い切ってしまうと、「経営戦略の策定プロセスについて」が中小企業診断士の二次試験で問われることです。一次試験の「企業経営理論」で勉強するあれです。

簡単な図にしてみました。
一次試験で学習する内容は、もう少し細かいと思いますが、ここでは二次試験の勉強を進めるうえで理解すべきポイントに絞って多少アレンジを加えております。

簡単に説明します。

経営戦略の策定プロセスとして、まず頭に来るのが「経営理念・経営目標」です。
これを実現するために「戦略」を立案します。
戦略を立案するための材料が「内部環境(強み・弱み)」と「外部環境(機会・脅威)」です。
経営理念・目標を実現するための戦略の大枠を、内部環境と外部環境を材料として立案したらそれを具体的な個別施策に展開します。
ここで認識していただきたいのが、二次試験は4つの事例から構成されるということです。

 ・事例Ⅰ:組織・人事の事例
 ・事例Ⅱ:マーケティング・流通の事例
 ・事例Ⅲ:生産・技術の事例
 ・事例Ⅳ:財務・会計の事例

二次試験の特に事例Ⅰから事例Ⅲは、過去問の与件文や設問をざっと見ても何が違うのかよく分からないのですが(私はそうでした)、どこの領域の個別施策について問うているのか、が事例によって異なるという点が大事なポイントです。
事例Ⅰなら組織・人事視点での施策について問われており、事例Ⅱなら流通・マーケティング視点での施策について問われている、と理解しておくだけでも、何を問われているのかかなりクリアになります。

最後に「効果」です。
具体施策を実行した結果として、経営目標の達成や経営理念の実現に繋がります。これが、効果です。

事例Ⅳを除き、二次試験の設問では上図のプロセス内のどこかについて問われている、と考えればOKです。

例えば、

「B社の強みと弱みを述べよ」

と聞かれたら、「経営目標を実現するための戦略を作るにあたって関係してくる強みと弱みは何か、与件文を根拠に書け」、ということですし、

「~を実現するための施策について助言せよ」

と聞かれたら、事例Ⅰであれば「経営目標を実現するための戦略の中で組織体制や人事制度に関する具体的な施策として何を行うべきかを、内部環境・外部環境も考慮し、与件文を根拠に提案せよ」という問になります。
このように考えると、設問の抽象度がぐっと下がって何を書くべきか分かりやすくなります。

そしてもう1点大事なポイントです。「経営戦略の策定プロセス」を埋めるための情報、つまり問に対する解答の作成に必要な情報は、与件文の中に記述されています。
基本的には、与件文に書かれていることそのもの、または与件文に書かれていることから当然に推測できること、以外の解答は得点に結びつきにくいと考えられます
中小企業診断士の二次試験は答えのない試験ではありますが、点数が付く以上採点の基準は設けられているはずであり、与件文に根拠のない「独創的な戦略」は採点基準に乗りにくいと推測されるためです。

・二次試験で問われるのは、「経営戦略の策定プロセス」
・事例ごとに、個別施策としてどの領域について問われているかが異なる
・解答作成に使用する要素は、与件文そのものの一部抽出、または与件文から当然に推測されるものに限定される

以上3点が本項でお伝えしたいポイントになります。

上に、「事例Ⅳを除き」ということを書かせていただきました。
これは少し二次試験の勉強を進めた方であればお分かりいただけると思いますが、事例Ⅳは他の事例と違って計算問題が主体となる問題構成になっています。

・経営分析
・損益分岐点分析(CVP)
・意思決定会計
・セグメント別会計
・キャッシュフロー分析
など

上のような分類で、ある程度パターン化された計算問題が中心となった出題になりますので、「何を問われているか」という視点では、事例Ⅳは他と比較してわかりやすい事例になります。

問われていることが分かりやすいからと言って、簡単に解けるわけではないのが事例Ⅳではありますが。

2.勉強の進め方

二次試験の勉強方法は、

「過去問演習の繰り返し学習」

これに尽きると思います。
市販のテキストや予備校のテキスト、勉強会への参加などのインプット学習ももちろん有効です。
ですが、実際に二次試験への対応力を身に着けるためには何といっても実践が大切です。
過去問演習で作成した自分の解答を、

「ふぞろい」で採点してみる
・予備校などから提供される模範解答と比較してみる
・勉強会に参加してほかの受験生の解答と比較してみる

そこで得られた気づきや学びをインプットとして、再度過去問演習、というサイクルで繰り返し学習を行い、後述する

・解答プロセスの作りこみ
・解答の型の作りこみ
・ファイナルペーパーの作りこみ

に落とし込んでいく、という流れが効率的な学習方法と考えます。

ここは様々意見があるところではないかと思いますが、上記の「解答プロセス」、「解答の型」、「ファイナルペーパー」は、受講している講座や予備校、合格者のブログなどで公開されているものをそのまま使うのでなく、繰り返し学習の成果として「自分で作り上げる」ことで実際に試験で有効に活用できるものになると私は考えています。

予備校や通信講座がそれぞれ独自のメソッドを展開しているということは、裏返すと二次試験の解答プロセスや解答の型に「絶対的なものは無い」ということです。誰かが作ったものは細部で自分と合わないところが必ず出てくると思いますので、他者が作ったものは大いに参考にしつつも、最終的には自分で作り上げることが大切と考えます。

3.解答プロセス

試験本番の80分間の具体的時間割当と手順が解答プロセスです。

前項でも触れた通り、解答プロセスは最終的には自分自身で作り上げることが大切ですが、王道パターンというか、「これだけは絶対押さえておくべき」という内容もあります。

①与件文に段落番号を振る
解答骨子を作成する際に、使用する要素を与件文から抽出します。何段落目に抽出要素があったか、のメモのために事前に段落番号を振っておくことで以降の作業を効率化できます。

②与件文の1段落目と最終段落をまず読む
特に事例Ⅰと事例Ⅱでは必須と思います。事例Ⅲは先頭だけでも可、事例Ⅳに関してはこのプロセスは絶対では無いと考えています。
目的は次のプロセスである設問解釈の効率化です。先頭段落には事例企業の業種や従業員数、役員体制、資本金などの規模感が記載されています。また特に事例Ⅰと事例Ⅱでは、先頭段落と最終段落に事例企業にとっての大きなテーマが集約して書かれている与件文構成となっていることが多いです。ここを設問を読む前に把握しておくことで、設問理解がスムーズになり解答の方向性も決めやすくなります。

③与件文を読む前に設問を読む
設問文から先に読むことで、与件文を効率的に読み進めることができます。
設問を読んで、後述する「解答の型」としてどれを適用するか決めてしまいます。設問から読み取れる制約条件もメモ又はマーキングしておきます。その作業を行うことで、与件文から抽出しないといけない内容は何か、ある程度あたりが付けられます。逆にこの作業を事前に行わずに与件を読み始めると、何を抽出したら良いか分からないため結局後で設問を見てから再度与件を読むことになり非効率になりがちです。

④与件文を読む
ここで初めて与件文全体の読み込みに移ります。与件文の読み込み方は個々人の特性により最適解は様々と思います。短期記憶力に優れ文章の理解力も高いような方であれば、③の作業後、1回目の与件文読み込みで解答に必要な要素の抽出ができてしまうかもしれません。私はそうではないので、1回目の読み込みで設問と対応する段落の紐づけを行い、各設問の解答骨子を作るにあたって対象の段落を深く読み込む、という流れで与件文の読み込み、解答骨子の作成を進めました。

4.解答の型

解答の型は、解答の文章の組立、構文のことです。
設問のタイプによって、また事例の種類によって解答の型をあらかじめ決めておくことで、一から文章を考えるのに比べて格段に解答作成の時間が短縮できます。また、型を決めておくことで文字数制限への対応もある程度やりやすくなります

解答の型もプロセスと同様に最終的には「自分の型」を作り上げることが必要と思いますが、参考までに私の解答の型(事例Ⅰ~Ⅲ)を下記に事例別に紹介させていただきます。

■事例Ⅰ
①羅列型
「強みと弱みを述べよ」的な環境分析系の設問では、強みと弱みを列挙する羅列型構文を適用。

②施策⇒効果
「助言せよ」系の問題や要因・理由指摘系問題に適用する型です。施策を多面的に並べて、因果を通して効果を記述します。要因指摘系問題の場合、「効果」を「結果」に読み替えます。

③内外環境⇒施策⇒効果
設問要求によって②と使い分けます。施策の根拠となる環境因子(SWOT要素)からの施策設定、効果への因果展開を記述します。

■事例Ⅱ
①羅列型
事例Ⅰと同様

②ダナドコ・4P
事例Ⅱでは必須となるフレームワークであるダナドコ(誰に、何を、どのように、効果)を適用した構文です。助言系問題、要因・理由指摘系問題に適用します。「どのように」の部分では4P(商品、価格、流通、販促)視点での施策を設定し、効果は「売上拡大」をベースとして「客数増加」や「客単価UP」のように施策と因果を通して記述します。

■事例Ⅲ
①羅列型
事例Ⅰと同様

②QCD問題⇒施策⇒効果
「助言せよ」系の問題や要因・理由指摘系問題に適用する型です。事例Ⅲの場合はQCD問題を背景としてそれを改善するための施策展開、効果の流れで因果を通します。

③内外環境⇒施策⇒効果
事業戦略を問われるパターンの設問に適用します。基本的には事例Ⅰと同様の構文ですが、事例ⅢではQCD視点での強み弱みや、技術面での強み弱みが内外環境要素となります。

5.ファイナルペーパー

解答プロセスや解答の型はすべて自分で作り上げずとも、ある程度他者が作成したものの流用で機能する部分もあると思いますが、ファイナルペーパーだけは一から自分で作成されることを強くお勧めします。

ファイナルペーパーは試験直前に見返すことを目的として作るものです。試験直前まで見返す必要があるということはどういうことかというと、そらで言えるまで自分の中で知識として定着していないということになると思います。そらで言えるレベルで知識・ノウハウとして定着していれば、わざわざファイナルペーパーにして直前に見返す必要はないからです。

完全に定着している知識・ノウハウ、そうではないもの、これは個々人により当然大きく異なります。だから、ファイナルペーパーだけは少なくとも自分で一から作る必要がある、というのが私の持論です。

また、一から自分で作成する作業を通して、定着していない知識が整理され、理解が深まるという効果も期待できます。

ちなみに私は、1年目は一次試験合格、2年目は一次免除で二次試験のみ、の受験でしたので一次知識が頭からかなり抜け落ちておりました。事例Ⅰでは組織形体に関する一次試験知識、事例Ⅱでは4P分析や3C分析のような一次試験知識が必要になりますので、ファイナルペーパーには二次試験で使用する一次試験知識を書き出しました。それ以外の要素はほとんど含めず、ボリュームとしては各事例A4用紙1枚程度のボリュームとなりました。

ファイナルペーパーについてより詳細な情報が必要な方は、こちらをチェックしてみてください。

6.終わりに

いかがでしたでしょうか。

中小企業診断士の二次試験では、模範解答が公式から発表されることはありません。
また、それゆえに各予備校やテキストによって、さまざまな解法や解答例が説明されており、勉強を進めるうえでどれを選べば(信じれば)良いのか分からないといった事態に陥りがちです。

雲をつかむようで手ごたえを感じにくく、勉強を続けていてもなかなか自分の成長を感じにくい二次試験ですが、この記事を通して、受験生の皆さんの暗中模索のもやもや感を少しでも払拭できれば幸いです。

次回は よんてん さんの登場です。お楽しみに!

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