実務経験は2次試験の敵 by サト from TKPエイジレス

中小企業診断士2次試験開始

読者のみなさん、こんにちは。
タキプロ14期、独立開業してから中小企業診断士を志したサトと申します。
50代以上で構成されたTKPエイジレスのメンバーでもあります。

2次試験は、自分が得意とする専門分野ほど高得点が取りにくいと言われています。

この記事では、2次試験では、なぜ得意とする専門分野で高得点を取りにくいのか、そこから脱却するために、私がどうしたかについてお伝えします。

■はじめに

私は、大手IT企業でコンピュータシステムのコンサルティングや開発に約37年携わり、2016年にウェブコンサルタントとして独立開業しました。
中小企業診断士の資格取得を志したのは、その後でした。

コンサルタントなので、箔付けのために中小企業診断士の資格も取っておこうと考えました。
過去問を調べたところ、知っていることばかりなので、これならば簡単に取れると思ってしまいました。

資格取得にあたり心がけたのは、勉強時間を最小にすることでした。
起業して、やりたいことがたくさんあったため、勉強に時間を取られたくありませんでした。

何回か受けているうちに合格するだろうと考え、最初の年の1次試験は前年の過去問を解き、分からないことをテキストで確認し、2科目の科目合格でした。
2年目も同様で合計417点で5科目の科目合格でした。
最終的に1次試験は3年目で合格しました。

最初の2次試験は、1次試験合格後から対策したため、事例Ⅳの過去問を解くことで精一杯で、事例Ⅰ~Ⅲは時間内に解答を書く練習だけしました。

結果は、DCCCでした。

それなりの解答を書いたつもりでしたので、この結果は意外でした。
それから、本格的に2次試験について調べました。

■2次試験の特徴

中小企業診断士2次試験にはいくつかの特徴があります。

(1)正解も採点基準も非公表

まず、正解も採点基準も非公表ということです。
そのため、「ふぞろい」では、再現答案を集め、試験結果と照らし合わせ、どのような解答が高得点を取っているのか、探り出しています。
おそらく、一部の予備校でも同様なことを行っていると思います。
逆に言うと、それ以外に、高得点を取れる解答を推測することはできません。

(2)採点者も不明

次の特徴は、採点者も不明だということです。
受験生時代、私は中小企業診断士の方が採点しているのだと思っていました。

しかし、合格し、中小企業診断士協会に所属して耳にしたことは、
「2次試験の採点者の募集は見たことも聞いたこともない」
「おそらく、作問者が独自の方法で人を集めて採点しているのだろう」
という言葉です。

昨年度の2次試験の受験者数は8,712人、試験日(2022年10月30日)から発表日(2023年1月12日)までの間、土日祝日、年末年始を除くと47日です。
さらに、4科目の得点を合計して、合格発表の準備も必要です。
1日平均185人以上の採点をしなければなりません。

作問者が厳密な採点基準を作り、複数人で採点していると考えるのが自然です。
試験の出題委員は大学の先生方です。
そうすると、問題と解答を十分に理解していない人が採点している可能性もあります。

■2次試験の採点基準の推測

仮に問題と解答を十分に理解していない人が採点する場合もあるとすると、採点基準は次のようになるのではないでしょうか。

  1. キーワードごとに得点を決める
  2. キーワードが含まれていても、文章に論理性がない場合は減点する

これは、よく言われている採点基準と一致しています。

ふぞろいで高得点となっているキーワードを盛り込み、論理的に記述する

これが、高得点を取るコツとなります。

■実務経験が豊富な人が陥りがちなこと

実務経験豊富な人が、与件文と設問文を読むと、経験からすぐに課題と解決策が頭に浮かびます。
過去の経験から、よくある課題とその解決策が思い浮かぶのですが、ふぞろい流では高得点にならないことがあります。
いわゆるポエム解答です。

解決に力を入れるべき課題が頭に浮かび、その課題解決のコツを詳しく書こうとしてしまいます。
基本を無視したり、奇をてらったりして、ポエム解答になってしまうわけではありません。
逆に、ふぞろい流キーワードは、ピントの外れたキーワードに感じてしまいます。

比喩として、「腹ペコの状態で自分のために作る料理の手順はどのようになるか」という問いを考えてみてください。
腹ペコなので、家にある材料で、早く作れて、ボリュームのあるものを作ろうとすると思います。
栄養のバランスや翌日以降の料理のことなどはなかなか考えられません。
そこで、解答は「家にある材料から、早く作れ、ボリュームのある料理を作る」となります。
ところが、この状態でも「栄養のバランスを考慮する」「翌日の献立も考慮する」などが、いわゆるふぞろい流の解答です。

ポエム解答を書きがちな実務経験豊富な人は、経験豊富だからこそ、状況にあわせた現実的な解答を書いてしまうと言えます。

次に、実際の設問文と与件文を例に挙げて説明します。

2020年度(令和2年度)事例Ⅰの第2問です。

A社では、情報システム化を進めた若い女性社員を評価し責任者とした。ベテラン事務員の仕事を引き継いだ女性社員は、どのような手順を踏んで情報システム化を進めたと考えられるか。

出典:令和2年度中小企業診断士2次試験事例Ⅰ第2問

関係する与件文は、次のとおりです。

複雑な事務作業や取引先との商売を誰よりも掌握していたベテランの女性事務員が主に担当した。
 ……中略…… 
また、総務担当責任者も前任のベテラン女性事務員と2年ほど共に働いて知識や経験を受け継いだだけでなく、それを整理して情報システム化を進めたことで抜擢された若い女性社員である。

出典:令和2年度中小企業診断士2次試験事例Ⅰ

実務経験豊富な人は、この状況であれば、「複雑な事務作業や取引先との商売」を「整理」することが最も重要であり、そのために社内や取引先との事務作業を整理するために社内の関係者および取引先と折衝を行うことが頭に浮かび、その内容や方法を詳細に書こうとしてしまいます。

ところが、ふぞろいによると高得点となるキーワードは、「ベテランから受け継ぐ」「複雑な事務作業」「取引先との関係や商売」「標準化」「DB化」「データを一元管理できた」「従業員教育」です。

実務経験豊富な人が頭に浮かんだまま書いた場合、ふぞろい流採点では「複雑な事務作業」と「取引先との関係や商売」で6点になるかと思います。

このように、実務経験豊富な人が頭に浮かんだままを書いてしまうと、あまり得点が入りません。

もちろん、ふぞろいに得点の入るキーワードがすべて網羅されているわけではありません。
数の少ない解答は、ふぞろいのキーワードには出てきません。
あくまでも一つの目安として考えてください。
そのため、実際にはもう少し高い点になることもあります。

■勉強会でのアドバイス

私は2次試験を4回受けましたが、最終年度はココスタやタキプロでZOOM勉強会を開催していることを知り参加しました。
そこで、実務経験からポエムな解答を書いてしまうと相談したところ、次のようなアドバイスをもらいました。

「2次試験は、作問者が作った箱庭のようなものです。
現実の世界を離れて、箱庭の論理で解答を書くようにしてください。」

そこで、試験時の頭脳活動をその箱庭の論理に封じ込める方法を考えました。

■実務経験によらない解答を書く対策

実務経験豊富な人がふぞろい流で高得点を取るためには、どうすれば良いでしょうか。
私は、次のように考えました。

(1)ふぞろい流高得点となるキーワードを丸暗記する

上の例であれば、DRINK(D:データベースの活用、R:リアルタイム、I:一元管理、N:ネットワーク、K:共有化)です。

実務経験豊富な人にとっては、このケースでは「DB化」や「一元管理」などは重要度の低いキーワードです。
それでも、ふぞろいで頻出であるため、あえて書きます。

(2)与件文から作問者の意図を推測する

実務経験豊富な人は、ベテラン女子従業員と共に働くことには、あまり重要性を感じないと思います。
業務内容は、ヒアリングや観察、調査によって分かるからです。

しかし、ベテラン女子従業員と共に働いて知識や経験を受け継いだことを作問者がわざわざ書いているため、解答要素として考えているだとろうと推測するわけです。

(3)ふぞろい流キーワードがすぐに頭に浮かぶまで繰り返し練習

このように「ふぞろい流キーワードの暗記」と「与件文から作問者の意図を推測」により、ふぞろい流採点で高得点を取れると考えました。

ところが、それでは不十分でした。
試験本番では時間に追われる中で、最初に頭に浮かぶ考えを消し去ることが、なかなかできません。
当たり前のことはあまり重要性を感じないため、なかなか解答として思い浮かびません。
その結果、最初に頭に浮かんだことを書いてしまいがちです。

それを避け、ふぞろい流高得点解答を書けるようになるためには、ふぞろい流キーワードが最初に頭に浮かぶようになるまで、繰り返し過去問の練習が必要でした。

■おわりに

私は、2次試験はコンサルティングのケーススタディではなく
作問者が与件文に潜ませたヒントを基に「正解」を見つけるゲームだと思います。

現実の市場を考えないようにしました。
自分のアイデアを駆使して、
会社を発展させる助言をする場ではないことを意識しました。

作問者が作った箱庭の中で、「正解」を与件文と設問文から見つけるゲームです。

このゲームで合格点を取るために必要な知識は多くはありません。
そのため、2次試験は国語の試験だという人もいます。

実務経験豊富でポエム解答を書いてしまいがちな方は、この記事を参考にしてみてください。

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