ポエムとロジック4
こんばんは。つっちー@タキプロ6期です。
前回、時間制限について触れましたが、今回は字数制限も含め、文章の完成度について考えます。
いったい文章に正解(完璧)というものがあるのでしょうか。
二次試験の解答要素については、各受験校の解答例にもずいぶんと違いがあり、どの考え方が正解かということはなかなか決められません。腑に落ちないこともありますが、そもそも二次試験というのは制限時間内にどこまで考えられたか、そしてそれをどれだけ表現できるかを試すための試験で、正解はないものだと割り切るしかありません。
では、細かい言い回しや言葉づかいについてはどうでしょう。自分が書いた答案を推敲すれば、文章のリズムや流れが悪い部分、言い換えた方が伝わりやすい部分などはいくつも出てきます。意味する内容が同じなら、洗練された、それ以上改善の余地がない文章が正解(完成形)といえるかもしれません。
ところが試験では、時間制限もあり、マス目の制約もあり、推敲というのが難しい。文字数対策として、例えば「コミュニケーション」を「意思疎通」と書いて5文字節約するといった手法や、解答要素を①、②、③と箇条書きにして書く流派などが存在していますが、個人的には抵抗がありました。文章の完成形からは遠ざかるような気がしたからです。その一方で、1点でも多く点を獲るためには、なりふり構っていられないという思いもありました。
こういったジレンマを整理して解消してくれたのが、以下の書籍の一節です。
もし論理性と「わかりやすさ」だけで文章を考えるのであれば、小さな語句の違いはあまり問題にならない。ということは他人が多少の添削をしても大して問題にならないことにもなろう。しかし文体とかリズムのことを考慮すると、文章はあたかも精密機械や人体組織のようになってくる。完成された文体は、へたにいじると故障してしまうし、切れば血が出もしよう。修飾後の並べ方や句読点の打ち方はもちろん、すべての言葉の選び方が、その筆者固有のリズムによってのっぴきならず厳選されている。
【本多勝一『日本語の作文技術』第九章 リズムと文体】
もともと文章のクセが強かった私は、後半部分に強く共感しました。また逆に、自分が試験で書くべきなのは論理的にわかりやすい文章であって、あまり細かい表現は気にしないでよいのだと、前半部分にも納得ができました。少しこじつけもあり自己満足に近いのですが、これによって私は文章の完璧主義について割り切ることができた次第です。
本多勝一氏の『日本語の作文技術』を読んでから、それまで感覚的に捉えていた文章の良し悪しを、規則で捉えて判断できるようにもなりました。
続く
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