2次試験「考える」の攻略3【by Terukin】
皆さん、こんばんは。Terukin@タキプロ6期生です。
1次試験の結果のほうはいかがでしたでしょうか。1次受験後、2次試験までは約2ヶ月しかありません。1次試験の合否がわかるのはまだ先ですが、2次試験に向けてすぐにスタートダッシュが必要です。1次試験に注力していて、2次対策からしばらく離れていた方もいらっしゃると思いますが、もうしばらくの辛抱です。合格を目指して全力で走り抜けましょう。
さて、ブログのほうは、引き続き、2次試験の解答プロセス「読む」「考える」「書く」です。2次試験も残り3ヵ月です。解答プロセスをしっかりと固めるために、自分としてこれで満足だというものができるまで試行錯誤を繰り返しましょう。
「読む」「考える」「書く」では、以下の内容を実施します。
■読む
・設問を読む
・与件本文を読む
■考える
・設問と与件文の対応づけ
・経営戦略を考える
・解答構成を考える
■書く
・書く(考えながら書く/意識すること)
・最終チェック
今回も「考える」のプロセスの中の「経営戦略を考える」です。前回は、「考える」の要素として「問題解決能力」と「分析能力」について説明しました。診断士の試験にあたり、この「問題解決能力」と「分析能力」を意識することは、「考える」って「何を考えるの?」とならないように、そして、合格に近づく解答のために必要なことだと思います。
■事例企業のあるべき姿を考える
事例企業のあるべき姿というのは、事例企業の進むべき方向(方向性)、目指すべきゴールのイメージです。設問文、与件文からある程度、事例企業のあるべき姿の仮説を立てることができます。言い換えると、2次試験においては、出題者が「こういう方向で解答してほしい」と主張している部分を探します。
これを見つけるコツは、まず「社長の言葉、想い」を探すことです。「社長は、・・・と考えている」「A社は、・・・が課題である。」といった記述を探すことです。これらは、与件本文の途中にあることもありますが、事例の最終段落や戦略に関わる設問(最後の設問が多い)に書かれていることがよくあります。
=平成26年度 事例Ⅰ=
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=平成25年度 事例Ⅰ=
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事例Ⅰは、事例企業の方向性を意識しないと、組織人事的には様々な方向で解答できてしまうこともあり、特に意識が必要です。事例Ⅰ以外であれば、
=平成26年度 事例Ⅱ=
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=平成26年度 事例Ⅲ 第4問=
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こういった箇所が、あるべき姿、事例企業の進むべき方向(方向性)、目指すべきゴールイメージとなります。あるべき姿は、どの設問を「考える」場合にも、80分間意識し続ける必要があります。各設問は、あるべき姿を実現させるために存在している「分析」や「問題解決」にあたるからです。そして、解答の一貫性を確保するためにも重要なことになります。
■経営戦略の策定
あるべき姿と現状には、ギャップがあります。ギャップを埋めるために、設問に応えることで、全体としてあるべき姿に対する「問題解決」を図ります。
事例企業は、今まで、成長し、成功をしてきましたが「経営環境の変化」により、これまでのビジネスモデルを続けるだけで
は「変化に対応できない」という状況にあります。
これは、すべての事例企業に共通しているものです。そのため、今後の戦略を策定し、経営改善、新規事業、既存事業の再生といった観点で提案が求められています。
企業経営は、「経営理念-経営ビジョン-経営環境-全体戦略-機能別戦略」で成り立っています。このフレームワークの上位の変化に対して、下位を対応させていく必要があります。成長・成功している時は、これらが一貫していますが「ビジョン」「経営環境」など上位の変化により、それまで整合が取れていた「上位と下位の関係」が成り立たなくなり、見直しが必要になります。そこで、「経営戦略の策定」では、以下のように考えます。
(1)「環境変化」に「全体戦略」をあわせる
全体戦略では、「機会」に「強み」を投入していくことが、基本的な考え方です。その他にも「脅威」に対して「強み」で差別化する、「弱み」を克服して「機会」を活かす、などの考え方があります。そして、全体戦略の「有効性や実行性」があるかどうかの「根拠や理由」は、与件にある事実になります。この段階では、SWOTの抽出で、大枠の戦略をつかみます。
「平成26年度 事例Ⅰ」であれば、①技術革新のスピードが速い、②製品ライフサイクルが短い、③公的助成金が整備された、という環境に対して、①研究所や研究機関との連携で培った関係性、技術、経験、②アイデアや提案力、③品質向上ノウハウ、という強みを活用して、「独創的な技術を武器に事業を展開できる研究開発型企業」として生き残る。という方向性になります。そのためには、更なる「研究開発力の強化」「新規事業の資金確保」が必要になってきます。
(2)「全体戦略」に「機能戦略」をあわせる
全体戦略を受けて、組織・人事戦略(事例Ⅰ)、マーケティング・流通戦略(事例Ⅱ)、生産・技術戦略(事例Ⅲ)、財務・会計戦略(事例Ⅳ)といった機能戦略を考えます。全体戦略を考慮していない機能戦略は、解答全体として整合性が取れていないことになります。
「平成26年度 事例Ⅰ」であれば、
- 第1問(どのような経営環境の変化があるか)で「外部環境分析」
- 第2問(成長できなかった理由)で「内部環境分析」
- 第3問(組織管理上の新たな課題)で「全体戦略」
- 第4問(良品率が大幅に改善した要因)で「組織戦略」
- 第5問(高度人材の長期的な勤務)で「人事戦略」
というように、事例企業の全体のフレームワークができます。つまり、設問間の関係についてもここで分析し、事例企業に対する「提案書」として、一貫性のある構成をイメージします。
これで、「経営環境の変化に対応し、あるべき姿に対して、全体戦略と機能戦略によって、問題を解決するための構造」ができあがったことになります。ここまでを短時間で実施しなければなりませんので、トレーニングが必要ですね。
今回は、「経営戦略を考える」を説明しました。次回「考える」の4回目を記載したいと思います。
それではまた。
Terukinのプロフィール: いわゆる「多年度受験」で2次試験は5回目にしてようやく「2014年度「中小企業診断士」に合格。1次試験の受験回数も数知れず。「合格するまで受験する」ことを信条に、モチベーションを維持し続けた。多年度受験で苦労している受験生にどのようにして合格に至ることができたのか。自身の経験から参考になることを伝えたいと考えている。 |
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