これをやったら二次試験は不合格!(6):経営指標の選択に悩んで40分
こんにちは、ブルペンエース@タキプロです。
本シリーズでは、二次試験でやってはならないことをテーマに、本試験の際、ブルペンエースが実際にやらかしてしまった事故(失敗)をご紹介していきます。
受験生の皆様は、同じような失敗を犯さないように、ぜひ、本ブログを反面教師として頂きたいと思います。
さて、第6回は、「経営指標の選択に悩んで40分」についてお話します。
平成22年事例Ⅳは、地方都市に本社を置く、電子部品メーカー(製造業)が取り上げられました。積極的な技術開発と設備投資により、製品の小型化・高性能化と安定した品質を実現し、顧客である大手メーカーからの信頼を獲得してきた企業でしたね。
一方で、売上の多くを大手メーカー1社に依存している中、取引先からの大幅な納入価格引き下げ要求に直面したD社では、幹部が集まって問題にどう立ち向かうか議論している、という場面が与件文の中に描かれていました
この年、3回目の二次試験にチャレンジしたブルペンエースは、心身ともに疲労困憊ながら、一定の手ごたえを持って事例Ⅳの開始を迎えようとしていました
「今のところ、致命的な失敗はなさそうだ」
「事例Ⅳさえ、上手く処理すれば・・」
「神様、俺、努力は売るほどしてきたよ。頼む」
祈りにも似た、ブルペンエースの心の声は、果たして、神様に届くのでしょうか しかし現実は、そう甘くなかったんです
設問を読み進めると、第1問の経営分析で、前年の事例Ⅳで始めてお目見えした「長所」、「短所」問題が今年も健在であることが分かりました。(a)欄に経営指標、(b)欄に経営指標値、(c)欄に長所または短所について述べよ、とあります。
3回目の受験ともなると、自分なりの解答プロセスや事例Ⅳに対処するための方法論も確立しています。私は予め決めていた解答プロセスを実行に移しました。
「まずは与件文から経営指標に影響を与えそうな表現(箇所)を探そう」
【受注は安定的で収益も高く】
「これは収益性高いってことだから、○○利益率は確定」
【現在の生産能力には余裕がある】
「これは有形固定資産回転率が怪しいな」
ここまではすんなりと決まりました。ただ、残りの一つがはっきりしません。そこで、私は次のプロセスに移行します。P/L使って「利益率」を確認、続いてB/Sを使って「有形固定資産の回転率」を挙げて良いか、裏取りにいきました
「粗利益は 」
「D社が14.23% 同業が14.01%」
「思ったより差がないんだ」
「営業利益率は」
「D社が5.00% 同業が3.29%」
「ってことは営業利益率か 」
「有形固定資産回転率は 」
「D社が3.73回 同業が3.69回」
「短所で挙げようと思ったのに、同業より良いのか、微妙・・」
このあたりから、迷走がスタートしたように思います
「与件重視とは言え、同業より良い状態の指標を挙げて良いのものか 」
「与件にヒントはないけど、売上債権、棚卸資産、短期の安全性も調べてみるか・・」
「棚卸あんま差がない」
「売上債権、ちょっと悪いけど与件に何も書いてない 」
「当座比率、同じくらいで、短期の支払い能力は違うな 」
「自己資本比率は同業よりちょっとだけ良さそう 」
考えはなかなかまとまらず、時間だけが過ぎていきます
「仕方がない」
「先に計算問題をやって、経営指標は最後に書こう」
ところが、この判断が混乱に拍車をかけることに・・・
まず、損益分岐点の総費用線をフリーハンドで描くことに大変戸惑いました。そして、計算問題も相当手こずりました。第1問の経営指標に戻ってきた時、時計は残り15分を指していました
私は一刻の猶予もなく、どの経営指標を選択するか決断に迫られます。
「第 問は、量産効果の検証。1個当たりの固定費を削減すること」
「第問は、取替投資。設備投資で、変動費を下げること」
「ということは、経営指標として、利益率と有形固定資産はありだろ」
「でも、残りの1個は何なんだろ 」
ここで、私は、第 問に目を向けました。
第4問では 新工場建設に向けて余剰資金の一部を国債で運用することを計画しているとあり、設問1では、金利が上昇した場合に保有債券の市場価値にどのような影響が出るかを説明せよ。設問2では、設問1の影響を軽減するための方策を提案せよ。とありました。
今まで解いてきた過去問や模試では、第2問~第4問で聞かれる改善の方策と、経営分析で指摘する問題点(弱み)が、「裏返し」になっているケースが多かったこともあり、私は第4問で問われた「金利」と「保有債券の市場価値」に関係する経営指標を挙げることが求められているのだと思いこんでしまったのです
「利付国債か」
「営業外収入なのかな」
「営業外損益を指摘するなら経常利益率だな 」
「よーし、この3つで行こう 」
ドッカーン(大事故)
このような経過をたどり、事故は発生しました。極度の疲労と焦燥感が、私の判断力を削ぎ、そして思考力を奪っていきました。今振り返ってみても信じられないです。事例Ⅳの経営分析で、先に売上高営業利益率を挙げておきながら、3つめの経営指標に売上高経常利益率を選択してしまうなんて・・
それでは、試験当日の再現答案を見ていきましょう。
【平成22年事例Ⅳ 第1問 再現答案】
(a)売上高営業利益率
(b)5.00%
(c)大手メーカーから信頼を得て、安定的な受注と利益を確保してきた。一方、売上を1社に依存しており、業績変動リスクを抱えている。
(a)有形固定資産回転率
(b)3.73回
(c)定期的な設備投資により、生産能力を高め、売上を確保してきた。一方、生産能力に余力があり、固定資産の効率性が低下している。
(a)売上高経常利益率
(b)4.46%
(c)余剰資金で有価証券を購入し、営業外収益を得ている。一方、金利変動による、保有資産の資産価値が減少するリスクが生じている。
ぶっちゃけ、再現答案をBlogで紹介すること自体、ほんとにお恥ずかしいです!
第6回の失敗事例から学ぶ教訓
その:経営指標ごとの解答表現(型)を複数用意しておく。
その:経営指標は、収益性、効率性、安全性の観点で被りなく選定する。
※同じような特徴を持つ指標を二つ並べて選択しない。
明治大学リバティタワーの魔物 に飲み込まれてしまった平成22年。残念なことに合格を掴むことができませんでした。この惨劇を経て、私は、経営分析における問題点や原因、解決策の提案バリエーションを増やすため、過去問を使った「言い回し集」を用意しました。
様々な受験校が発行している「模範解答」をもとに、自己資本比率であれば、様々な受験校による同一年度の自己資本比率の解答のみを書き出した「言い回し集」を、持ち歩き、隙間時間で読み込みました
この作業により、経営指標ごとに言及すべき事項と、解答の表現パターンを習得することができました、また、解答作成に要する時間が短縮しただけでなく、どの経営指標であっても自信を持って解答できるようになるという効果がありました。事例Ⅳの経営分析を苦にされている受験生の方にはとてもお勧めです
これから受験される皆様は、「経営指標の選択」に時間取られすぎ、見当違いの経営分析をすることがないよう、気を付けてくださいね。
【実録】「これをやったら二次試験は不合格!やっちまったシリーズ」
第6回:経営指標の選択に悩んで40分 ←今回はここ
□ 第7回:小数点第3位の曲解
□ 第8回:社長の思いを踏みにじる
□ 第9回:設問の注意書きを読み飛ばしてますけど、何か?
□ 第10回:衝撃!○○欄を間違えるなんて・・
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