2次試験についてあまり誰も言っていないけど重要なこと byうにこ
読者のみなさん、こんにちは。
タキプロ13期のうにこ@webライターと申します。
最初は合格体験記を書かせていただきました。→こちら
2回目は、1次試験の企業経営理論についてです。→こちら
また、絶賛掲載中のタキプロ+で、女性座談会(前編と後編)やらアナログ学習のコーナー(こちら)でも参加させていただいています。
今回は2次試験の事例全体を通して、受験生の皆さんが気になっているだろうポイントについて、お話しさせていただきたいと思います。
その前に、ぽちっとお願いいたします!
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■今後コロナがテーマの問題は出題されるのか
私が受けた令和3年度の試験では、コロナのことが出題されました。
以前から、
「コロナに関する出題があるのか否か」
というのを気にしていた人も多いと思います。
試験勉強をしているときも、
「コロナのことも出るのかなあ。どんな感じで出てくるのかなあ」
「これまでの解答の仕方と、なにか大きく変わるのかなあ」
と不安に感じていたのが本音です。
通っていた予備校の先生も、
「コロナというテーマは避けられない」
とおっしゃっていましたが、・・・まさにその通りでした。
ばっちり出題されました。
ただ、先生は、
「コロナ禍という条件があっても、問題への取り組み方は変わらない」
ということも繰り返しおっしゃっていました。
実際、事例Ⅱで脅威(SWOTのT)に書くということはありましたが、それ以外の部分において、「コロナ禍」が影響するような問題はなかったように感じます。
置き配やセルフレジなどはコロナ禍での対策として強くアピールされていたように感じますが、置き配自体は流通業界ではそれ以前から拡大しようという動きがありました。
セルフレジも一般的になっていますし、移動販売も、決して珍しいものではありません。
ですから、コロナが出てきても、それほど意識しなくてもいいように思います。
ここまでコロナについての話題が出ているのですから、出ないわけがない、くらいのつもりでかまえておくといいでしょう。
たとえば、在宅勤務・テレワークといったテーマが考えられます。
また、対面ではなくオンラインというキーワードが出てくるかもしれません。
しかし、SWOT分析をして、ターゲットをしっかり意識したり、成長戦略を考えたりする、という問題形式は大きく変わらないと思います。
「コロナ禍での影響が直接かかわっているもの」という印象を与えつつも、そこだけに注目して解いていては方向性を見誤ります。
その意味では、本当に、とてもよくできた与件文と問題だと思います。
■将来に向けての戦略が2択のときはどちらを選ぶべきか
ときどき出題されるのがコレ。
令和3年度でも、事例Ⅲで出てきましたよね、
「高級化路線でいくか、標準化路線でいくか」
という問題です。
過去問をされた方、もしくは実際に試験会場で受けた方。
どちらを選びましたか?
ちなみに、私は迷わず高級化路線を選びました。
「せっかくの熟練工の技術力、使わないわけないやんか!」
という考えだったからです。
「とりあえず数年はこの技術力でしのいで、その間に技術継承をして、なんとか若手を鍛え上げる」
これが、事例Ⅲで描いた私の経営戦略でした。
一方、さまざまな予備校の模範解答では標準化路線を選んでいたものも多かったように思います。
そのため、どっちが正しいのか?というのは受験生の中では、重大なテーマでした。
しかし、蓋を開けてみると、合格者はどちらかに偏っていたわけではなさそうです。
つまり、高級化路線を選択しても、標準化路線を選択しても、どちらでも合格者が出ていました。
(ネット上の意見ではありますが、SNSなどをチェックしているとそのような感じでした)
ということは、どちらを書いても正解だということです。
模範解答がない、という怖さはありますが、もしこれがどちらか一方だけを公式な解答としていたら、もう一方を選んだ人たちは相当悩んだのではないでしょうか。
私も、
「これは標準化路線一択ですよ」
といわれたら、
「なんで!?」
と混乱したと思います。
しかし、どちらを書いても正解の理由が、実務補習を受けているときにわかりました。
■コンサルティングに正解はない
実務補習を受けているときのことです。
指導員の先生から、
「コンサルティングに正解はない」
といわれました。
一瞬、唖然としたのを覚えています。
でも、いわれてみれば当たり前です。
なにを重視するか、どこから成長させていくのか、コンサルが100人いても100人とも同じ戦略を考えるわけはありません。
そのときに思ったのです。
「ああ、だから高級化路線でも標準化路線でも正解なのか」
と。
どちらを選ぶか、と問われると、どちらか一方だけが正解のような気がしてしまいます。
しかし、実際にはどちらも選べるし、どちらにもメリット・デメリットがある。
それをどう判断するか、それがその人のコンサルティング能力ということになります。
公式な解答の発表がないのも、この辺りが大きく関係していると考えられます。
しかし、どちらも正解なら、試験ではなにに意識して解答すればいいのでしょうか。
■2次試験の解答では一貫性が重視される
特に2次試験の事例Ⅰ~Ⅲ(+事例Ⅳの財務分析)に共通していえることですが、
「解答では、全体の一貫性がとても重視されている」
というのが私の意見です。
実務補習中、ヒアリング内容をもとに診断報告書を書きましたが、そのときに重要視されていたのがまさに、
「一貫性のある戦略とそれに付随する方針や対策」
でした。
診断報告書では、メンバーがそれぞれ自分の分野(戦略や財務、人事など)を担当して書きます。
しかし、個々のメンバーが好き勝手に書くわけではありません。
「この企業の強みは〇〇で、こういう機会があるから、戦略は△△でいこう。
この戦略を達成するために、人事はこうして、営業はこうして、財務はこうして・・・」
という一貫性を大切にしながら、1冊の診断書を作成していくのです。
そして、2次試験ではそれらを1人で書き上げていたんだな、と後になって感じました。
ということはつまり、
「企業に対する支援として、一貫性のある主張ができる人」
を解答で判断しているのです。
その企業の強みや弱みを見抜き、どこを重視して、どれを利用して戦略を立てるのかを、矛盾なく社長に提示できるかどうかを判断しているといってもいいでしょう。
たとえば、事例Ⅰや事例Ⅲでは弱みがいくつも出てきます。
あまりにありすぎて、全てを解答に書ききることができません。
過去問を解きながら、
「この弱みも解決したいけど、どこに入れていいのかわからないっ」
ということが何度もありました。
しかし戦略を考えたときに、どの弱みを優先的に解決すべきなのかを判断するのがコンサルの仕事。
その上で、高級化路線を選ぶのか、標準化路線を推進するのかはその人次第です。
絶対にこっち、という答えはありません。
ですから、どちらも正解になるのだと思います。
その意味では、キーワードだけに注目して解答を点数化するのは危険です。
2次試験対策には、定番のふぞろいシリーズも使いました。
問題ごとにキーワードをチェックして、点数化するのはある程度は必要でしょう。
しかし、1つ1つの解答で高得点であっても、全体として一貫性のない解答の点数はおそらく低くなると思います。
特に事例Ⅱで最初にSWOT分析を書かせているのは、
「私はこの強みと機会を使いますよ。弱みと脅威はうまく回避していきますからね」
ということを、採点者に知らせているのだと思います。
そして、解答全体を通して、
「ほら、この強みを使ってるでしょう」
「この機会も、見逃してませんよ」
「で、ちゃんと弱みと脅威も避けてますしね」
ということを伝えているわけです。
ですから、このときだけは「ダブりOK」です。
つまり、最初のSWOTで書いた、特に強みは繰り返し解答に使ってもいい。
一般的に、内容のダブりは禁止とされていますが、SWOTで使った強みや機会はほかの解答でも必ず使ってください。
そうでなければ、一貫性が保たれません。
むしろ、使っていない強みや機会を最初のSWOTに書いてしまうと、
「この企業の強み、大問1以外でどこにも出てこないけど、どういうこと?」
「この強み、戦略で使ってないよね?じゃあ強みじゃないよね?」
となってしまい、一貫性に欠けて、説得力のない解答になってしまうのです。
実務補習を受けてから2次試験を受験できたら、もっと合格率も高くなるんじゃないかな、と何度感じたことかわかりません。
それくらい、実務補習は勉強になりました。
ただ一方で、10日間ほどで1つの企業を診断するというハードな試練を乗り切るためには、そういった能力を事前に備えている必要もあるんだと思います。
つまり、「一貫性のある視点」。
企業の社長は、誰よりも自分の企業のことを考えています。
その社長を納得させないといけないのですから、矛盾があってはいけません。
「一貫性のある視点で私は考えることができるんだぞ」
と、2次試験で思いきりアピールする必要があります。
その意味で、解答用紙はまさに「社長に読んでもらう、説得力のある診断書」。
偉そうに書いていますが、こういったことは実務補習中に感じたことでした。
実務補習を受けてから2次試験を受験できたら・・・云々、ということも、実務補習中にメンバーと言い合ったことです。
解答全体の根底に流れる、一貫性のある解答。
ぜひ意識してみてください。
■おわりに
長々と書いてしまいました。
読むのも大変だったでしょう。
ありがとうございます。
しかし、こういうことにもっと早く気がついていたら、私も予備校の確認テストで37点というひどい点数を取らなくて済んだのではないかと思います。
どうでもいいことですが、2次試験の外部模試ではもっとひどい点数の嵐でした(20点台もたくさんありました)。
そんな私でも、合格できたのです。
中小企業診断士は、どんな状況においても、冷静に、公平に、適切に判断し、企業のためになり、社長に心から納得してもらえる方法を提示することが重要です。
それは2次試験の段階から、チェックされているんだと思います。
今回はそういう視点で書かせていただきました。
これによって、受験生のみなさんの、2次試験に対するモヤモヤとしたものが少しでも解消すれば幸いです。
次回はmatsuさんの登場です。
お楽しみに!
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