事例2の必須フレームワーク6+6選 by 風さん
どうも、タキプロ15期の風さんです。
事例Ⅱは79点。高得点と呼ぶには些か地味ですが、一応X界隈の得点開示祭では事例Ⅱ最高点でした。
ならば、お世話になったタキプロや惜しくも散っていった仲間達を含む、次代の受験生に還元しなければ!
という熱い想いから、ブログ班に加えていただきました。よろしくお願いいたします。
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目次
はじめに
「俺は俺の責務を全うする!!
風さん
ここにいる者は、誰もB以下にしない!!」
…ということで、初投稿で不慣れではありますが、まだ5月なのでファイナルペーパーも気が早いし、1次試験がある方はまずは1次に専念して欲しいということで、主に多年度生の溜まった呪力を解放し、骨盤の歪みを矯正するための幾つかの思考実験を、イニシャルペーパーとしてご用意しました。
1次試験の企業経営理論にも役立つように書いたつもりですので、楽しんでいただけたら幸いです。
初回なので一応、自己紹介しておきます。
H.N.:風さん
年代性別:40代 男性
業種職種:コンサルティングファーム
受験回数:1次2回、2次3回
勉強方法:TAC+勉強会+独学
得意科目:1次情報、2次事例Ⅱ
好きな酒:クラフトビール
多年度生の呪力を合格力に変える
私も多年度生ですし勉強会にも結構参加していたので、自分のモノも含め長年に亘り年輪のように蓄積され、刻まれた呪いの力を数多く見てきました。
次回の私の担当カテゴリーは「3-1.勉強方法」らしいので詳細はそちらに先送りして、今回は事例Ⅱに特化したイニシャルペーパーということで、これからの5ヶ月間の勉強に役立つであろう暗黙知を、僭越ながら表出化させていただきます。
とはいえ、1日分のブログに書ける(読める)量は限られますので、今回はマーケティングに関するフレームワークを中心に、私なりの理解をご覧いただいて、ご自身の思考スタイルとの違いを見出すことで、柔軟体操のような効果を得ていただけたら嬉しいです。
事例Ⅱに必要な6+6のフレームワーク
さて、事例Ⅱに必要なフレームワークは、主に12種類だと、私は考えています。さらにそれらは、6つずつに分けられます。以下に示します。
事例Ⅱに必要な 6+6 のフレームワーク
- マーケティング・プロセスに関するフレームワーク
- 1.1 PEST分析
- 1.2 5Forces分析
- 1.3 3C+1C分析
- 1.4 SWOT分析
- 1.5 STP戦略
- 1.6 MM戦術(4P & 4C)
- マーケティング・ドメインに関するフレームワーク
- 2.1 コトラーの競争地位
- 2.2 ポーターの競争優位
- 2.3 プロダクトミックス
- 2.4 コトラーのブランド戦略
- 2.5 アンゾフの製品・市場マトリックス
- 2.6 アンゾフの多角化戦略
このうち、
前半6つの「プロセス」は私たち受験生が80分間でこれらを順不同で行い、解答用紙(誰に・何を・どのように・効果)に落とし込むための具体化のフレームワークで、
後半6つの「ドメイン」はその過程で最初から最後まで悩まされ続ける、「市場(誰に)」と「製品(何を)」の軸と粒度を決めるための抽象化のフレームワークです。
それぞれ簡単に説明します。
ドメインに関する6つのフレームワーク
ドメインとはエーベルによれば「顧客層・顧客機能・技術」であり、それぞれ「誰に・何を・どのように」に相当すると考えられています。これを「だなどこ」に置き換えると、
- 誰に = 市場(同様の目的・4Cを持つ顧客層・ターゲット)
- 何を = 製品(顧客機能を満たすための自社側の具体的手段・4P)
- どのように= 4Pに相当する製品提供時の差別化要素(技術・強み)
- 効果 = 4Cに相当する市場側の便益(ニーズ・目的) + 充足による自社への波及効果
のように「何を」が市場側のニーズという目的(4C)と、自社側の製品という手段(4P)に分解されます。
この時の、製品と市場(誰に何を)の軸と粒度を決めるためのフレームワークが6つあり、それらを整理して少し乱暴に1つにまとめると、下図のようになります。
「少し乱暴しようか」
風さん
基本的に右下から左上に向かって中小企業のあるべき姿に近づいていくのですが、とはいえ外部環境の変化などによってその戦略を変更する必要が生じ、上下左右へと製品領域あるいは事業領域をシフトさせなければならなくなる、というのが事例Ⅱの大きなシナリオで、左上から順に以下のフレームワークが相当します。
- コトラーの競争地位戦略:中小企業は「ニッチャー」一択につき余り考えない
- ポーターの競争優位戦略:中小企業は「差別化集中」一択につき余り考えない
- プロダクトミックス戦略:第2問あたりで出やすい(市場浸透)
- コトラーのブランド戦略:第3問あたりで出やすい(新規顧客獲得)
- アンゾフ・マトリックス:第4問あたりで出やすい(製品開発・市場開拓)
- アンゾフの4つの多角化:事例Ⅱでは出にくい(Ⅰ事業承継・Ⅲ下請脱却)
近年の傾向として第2問~最終問題までは、それぞれ設問ごとにこの軸と粒度が異なるものの、いずれも第1問で分析した環境変化の影響を受けて、それぞれの事業領域や製品領域の展開の仕方について助言させる、という形式が多くなっています。いわば相似形であり、ゆえに第2問以降の解答形式が全部「だなどこ」という状況が続いています。
なお、「勉強方法」の回でも触れますが、2次試験においてフレームワークを使う目的は3つ。
2次試験でフレームワークを使う目的
- 軸と粒度を意識することで誰でもロジカルに考えることができる
- 要素が網羅されているので誰でも漏れをなくすことができる
- 洗い出す時間を省くことで誰でも落ち着いて余裕を持って解答できる
特にこの3が重要で、「ニッチャー」一択、「差別化集中一択」と分かっているので、そこを悩む時間を省ける、というのが1次試験との大きな違いです。
帳を降ろす
では、どのように事業領域や製品領域の展開の仕方を決めるのでしょうか。 その手順に使用するのが、プロセスに関する6つのフレームワークです。これも、少し乱暴に1つにまとめるとこんな感じ。
- PEST分析:既存領域に影響するマクロ環境の変化を「与件から見つける」
- 5Forces分析:既存領域に影響する業界内外の脅威を「与件から見つける」
この2つは、試験対応としてはマーカーで以下のような箇所に色を塗るだけです。配色は私の場合の一例ですが、SWOT分析の「OT」を見つける全事例共通の作業とほぼイコールです。
橙:機会。「~したい人が増えている」「インバウンドが回復傾向にある」etc.
茈:脅威。「競争が激化している」「物価が高騰している」etc.
まず初めに、このマーキングによって、業界や自社の既存事業領域に影響するそれぞれの外部環境と内部環境を隔てる帳を降ろします。
領域展開
- 3C+1C分析:「OT」が市場と競合に与える変化を踏まえて自社の展開すべき新たな事業領域を分析し、狙うべきターゲットのニーズ(4C)と組むべき協力者(+1C)を「設問ごとに検討する」マーケット・インのアプローチ
- SWOT分析:ターゲットのニーズ(4C)に対し、活かすべき強み「S」と補うべき弱み「W」を「与件から見つけ」、脅威を退け機会に必中するための製品領域を「設問ごとに展開する」プロダクト・アウトのアプローチ
この2つは表裏一体で、マーケット側からのアプローチが3C、プロダクト側からのアプローチがクロスSWOTとなっています。試験対応としては以下をマーキングして、それぞれ対応する設問番号が分かり次第、メモを付記します。
赫:強み。「~力が高い」「好評である」「独自の~」etc.
蒼:弱み。「見劣りする」「できていない」「協力者」etc.
これらを「設問ごとに」双方向かつ同時並行的に行うことで、与件のセンテンスと設問との対応を整理し、組み合わせ誤りによる全滅を防ぎます。
なお、少なくとも事例Ⅱに関しては、解答要素の与件への埋め込み位置が設問番号に対して順不同で、かつ粒度が細かいため、設問との対応づけは段落単位ではなく、センテンス単位(句点「。」で区切られた範囲)で行う必要があります。
STPは差別化集中に使うもの
- STP戦略:STで市場集中(誰に)の、Pで製品差別化(どのように)の戦略を描く
- MM戦術:4Cでニーズ(効果)を捉え、4Pで具体的手段(何を)を戦術に落とし込む
最後にこの2つで、分析結果として展開した事業領域の中で戦略を描き、マーケティングミックス実行のための4P戦術に落とし込みます。
この時、セグメンテーションとターゲティングで行っていることは「集中」戦略の立案です。ジオ・デモ・サイコ・ビヘイビアで細分化し、集中型でターゲティングします。
「設問ごとのターゲット」を決めたら、それらの詳細な「設問ごとのニーズ」を4Cに落とし込みます。ここまでが戦術レベルでのマーケット・イン(図中の左)側からのアプローチです。
この後、プロダクト・アウト(図中の右)側からのアプローチを戦術レベルに落とし込むのですが、この時の手掛かりは以下の3つです。
プロダクト・アウトを戦術に落とし込む際のヒント
- 強み「S」
- 弱み「W」を補う協力者「+1C」
- ニーズ「4C」戦術
ここで、協力者の力を借りて弱みを強みに反転し、4Cを具体的手段4Pに反転します。
術式反転
弱みを強みに、4Cを4Pに反転することで、経営資源の少ない中小企業が中長期的な競争優位を生み出し保つための戦略を、具体的な戦術や施策に落とし込むことができるようになります。
ここで、4Pについてはそれだけでブログ1回分になりそうなので詳細は割愛しますが、STPのPで「差別化」戦略を描く際に、ポジショニングマップの軸に4Cを使うことで、対となる4Pへの術式反転が可能になり、「どのように」を戦術に落とし込む際の論理の飛躍を防ぐことができるようになります。
4Cから4Pへの術式反転の例
4C:保護者の金銭的負担を抑えたいというニーズ(Cost)
↓ 反転
4P:サブスクリプション販売による金銭的負担の軽減(Price)
まとめ
ドメインに関する6つのフレームワークで設問ごとの製品と市場(だ・な)を固めながら、
プロセスに関する6つのフレームワークでマーケティング・リサーチと分析・戦略立案・戦術への落とし込みまでを行い、
設問ごとの事業領域(だなどこ)を展開することで、あとは解答用紙に書き込むだけというメモが問題用紙に出来上がるはずです。
そこまでを試験開始から50分後くらいまでに一通り実施できれば、残り30分はウイニングランのように綺麗な文字で落ち着いて転記するだけ。
6+6のフレームワークを過去問などで何度も繰り返し使って、経験曲線効果を発揮すれば、きっとA評価をもらえるはずです。
まして多年度の方は蓄積した知識の量が違いますから、フレームワークで時間を稼いで、そのぶん落ち着いて対応することが出来れば、間違いなく合格できます。
頑張ってください!
次回は、Maki さんの登場です。
お楽しみに!
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