事例Ⅱ 多数派となる答案を書こう by 五鉄

事例Ⅱ

こんにちは。今日もタキプロ・ブログにアクセスしていただきありがとうございます。
タキプロ12期の五鉄です。自己紹介は こちら をご覧ください。

1次試験まで「あと8日」となりました。昨年に続き、会場入口で検温があると思われます。発熱していると受験できなくなりますので、受験される方々は試験直前に無理をせずに体調管理に努めてください。

今回は2次試験の事例Ⅱについて書かせていただきます。1次試験を受験する方は同受験後にお読みください。

■はじめに

事例Ⅱについては「助言問題では何でも提案できてしまう」という話もある一方、「思ったほど得点が伸びない」という話もあります。今回は、私が受験した令和2年度の問題を使って、私流のお勧めを書きます。

令和2年度過去問のネタバレあります。(ご注意ください!)

与件文とB社についての概要は、じーちゃんさんが良くまとめていらっしゃいますので、こちらをご参照ください。

■アンゾフの製品・市場マトリックス

令和2年度第3問は、アンゾフが出題されました。 

令和2年度 第3問 
B社社長は最近、「眠る前に飲むハーブティー」の自社オンラインサイトでの販売を手がけたところ、ある程度満足のいく売上げがあった。
(設問1)上記事象につき、アンゾフの「製品・市場マトリックス」の考え方を使って50字以内で説明せよ。

1次知識の「ど真ん中」を問う直球問題でした。私は速攻で「多角化戦略」として答案を書いたのですけれども、試験の翌日以降に公開された主要予備校の模範答案骨子は以下の通りでした。

予備校Aと予備校B:   新製品開発戦略
予備校Cと予備校D:     新市場開拓戦略
予備校E:                   多角化戦略

こんなに模範答案が割れることは驚きでした。そのなかで、予備校Bは「ここを間違えると致命的」とまで解説していたため、私が選んだ「多角化戦略」は少数派で、外れだったかなと覚悟をしました。

■ロジックをアピールする答案を

ところが「ふぞろい」新刊で「解答ランキングとふぞろい流採点基準」を見てみると、合格者の最多数派と高得点解答は「多角化戦略」でした。さらに、最多数派ではなかったものの、「新製品開発戦略」と「新市場開拓戦略」を選んだ合格者も多く、これらも「広い意味で多数派」と言っても良いような状況であることがわかりました。

はなはだ後講釈的な私見ではありますが、「市場浸透戦略」以外の3つの戦略の中からどれを選んでも、書き方次第で或る程度の得点を取れたのではないかと思います。

答案骨子例(五鉄作)
・既存ヘルスケア市場に安眠効果がある新製品を投入する「新製品開発戦略」 → 得点
・既存ハーブ由来の製品を企業向け市場から消費者向け市場へ変える「新市場開拓戦略」→ 得点
・安眠効果がある新製品を企業向けとは異なる一般消費者市場へ直販する「多角化戦略」 → 得点

上記の答案骨子例①②③のように「その戦略」を選んだ理由、すなわちロジックを採点者にアピールできるようにわかり易く書くことがポイントだったと考えています。たとえ自信が十分ではなかったとしても、「筋が通った答案」「採点者(=読者)にわかりやすい答案」を書くことで得点に繋げることができると思います。

■オリジナリティは必要ない

事例Ⅱの助言系問題は「何でも書ける、何でも提案できてしまう」と言われますが、多くの合格者や諸先輩が書いていらっしゃるように、与件文と設問文からの繋がりに乏しいような思いつき、すなわち「アイディア勝負」に出ることはとても危険と考えられます。

2次試験受験の1か月前まで、私もアイディア勝負に出る傾向にありました。事例Ⅱに限らなかったのですが、過去問を解いて「ふぞろい流」で自己採点してみると、得点が伸びませんでした。自分が独自に思いついたこと、特にオリジナリティ溢れる提案を書いてしまうと「得点キーワード」に絡みにくいことを痛感しました。

■多数派答案を書くための自己流対策

私は予備校には通っていませんでした。1次試験で使っていたスタディングの2次試験対策も「自分には合わない」と感じていましたので、「ふぞろい流採点基準」への対策だけを単純に考えてみました。主眼は「個性を出さないこと」と「誰にでも書けるような、或る意味で凡庸な、わかり易い解答骨子を作ること」です。

具体的には、助言系・提案系の過去問につき「ふぞろい流の採点基準」を見て「合格者の多数派が解答した要素」のうち自分として腑に落ちたものを暗記用ノートに書き出すこと、書き出したリストにある解答要素を与件文にある材料やキーワードと組み合わせて答案骨子を作ること、でした。

字が汚くお恥ずかしいのですが、その暗記用ノートの該当ページの写真を添付します。

暗記用ノートは通勤途上の隙間時間に復習するために作ったものです。所謂ファイナル・ペーパーではありませんでしたが、2次筆記試験本番で事例Ⅰを終えた休憩時間に、この頁を見ました。自分自身への戒め、アイディア勝負に出ないことを反芻するためでした。事例Ⅱの最終問題は以下でした。

令和2年度 第4問 (20点)
B社社長は、自社オンラインサイトのユーザーに対して、X島宿泊訪問ツアーを企画することにした。社長は、ツアー参加者には訪問を機にB社とX島のファンになってほしいと願っている。絶景スポットや星空観賞などの観光以外で、どのようなプログラムを立案すべきか。100字以内で助言せよ。

「どのようなプログラムを立案すべきか」は、まさに「どのように?」の助言系問題でした。暗記用ノートに記載した解答要素リストから「使えそうな要素」を拾い出し、与件文と設問文からキーワードを選んで、以下の答案骨子を組み立てました。

  • ハーブの収穫体験:    体験+島民と交流
  • 調理参加と試食会:    体験と試食+島民・従業員と交流
  • 工場見学:              従業員と交流
  • 「効果」:       関係性強化 → ファン化 → リピート訪問 → 島の活性化       

この第4問については、主要な予備校とふぞろいは全て同じような模範解答を公開しています。結果として、上記の解答骨子は概ね的中でした思いつきやアイディア勝負に出なかったことが功を奏し解答要素リストを基に組み立てた助言骨子が、結果的に「多数派」の答案に繋がったと思っています。

■おわりに

令和2年度事例Ⅱの私の得点は80点でした。この得点は期待を大きく超えた望外のもので、2次筆記試験全体の合格に直結しました。幸運も可也ありましたけれども、多数派となる答案を目指したことが最大の勝因でした。

助言系問題に対しては、与件文と設問文を踏まえつつ個性を出さずに、或る意味で凡庸な、わかり易い解答骨子を組み立てることにより、多数派となる答案を書くことを心掛けましょう。

私の経験を基に事例Ⅱへの取り組み例をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。皆さんにとって、少しでも参考になれば幸いです。

次回はコウさんの登場です。
お楽しみに!

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