愛顧向上!商売繁盛!事例Ⅱのおかげで合格できたよ! byたにけい
読者のみなさん、こんにちは。 タキプロ13期のたにけいと申します。
共著を含めたブログ執筆は7回目となります。今回は2次試験対策、事例Ⅱに関する記事を担当します。よろしくお願いします。
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目次
■はじめに
読者のみなさんの中には、今年度の1次試験を新型コロナの感染者急増や大雨災害という厳しい状況下で受験された方も多いと思います。
Twitterをフォローしていると、直前に感染が判明して受験断念を余儀なくされた方もいらっしゃるようでした。年に一度しかない受験機会です。数百時間の勉強を積み上げてきたであろう受験生にとってあまりに残酷で、肉体的にも精神的にも厳しい年度になってしまいました。
今日は8月30日、そんな激動の8月が終わろうとしています。そして、10月30日の2次試験(筆記)までちょうど2か月になりました。特に2次試験を初めて受けるという方は、過去問の研究を始めてはみたものの、何をどう勉強すれば合格できるのか、悩みに悩む時期ではないでしょうか。
模範解答も示されず、ただでさえ掴みどころのない2次試験です。その上、1次試験から2次試験までの期間が短すぎる!この準備期間が極めて短いという制約条件が2次試験のハードルを一層高めています。
私が合格した令和3年度の試験日程を振り返ると、1次試験から2次試験までの日数はわずか77日でした。1年以上かけてじっくり勉強したマーク式の1次試験対策に比べ、得体の知れない記述式の2次試験対策を十分にできたとは思えませんでしたが、診断協会の胸を借りるつもりで受験しました。(2次試験が2年連続で不合格だった場合は撤退するつもりでした)
2次試験当日も難しいことは考えず(考えられず)、無我夢中で問題に取り組みました。本当に幸運なことに「246点」というギリギリセーフの点数ながらもストレート合格という結果を勝ち取ることができました。
なかでも事例Ⅱは、コロナ禍で苦戦する老舗豆腐店を題材としており、一人の消費者としてもイメージしやすい業種でした。4科目中で最高の73点をマークし、私のギリギリ合格にも大きく貢献してくれました。
今回は、主に初めて2次試験を受験する方を対象として、事例Ⅱの勉強法や答案作成プロセスを、ストレート合格者が実際に使用した問題文の画像などを使って解説することで、受験生の合格可能性を1%でも高めます。
■初回受験生の受験姿勢とモチベーション
合格体験記にも書きましたが、私は1次試験の一発合格に強いこだわりを持っていたため、1次試験が終わるまでは2次試験対策をほぼ何もしていませんでした。唯一、事例Ⅳ対策として電卓の操作訓練のみ、7月から週末に30分程度取り組んだ程度です。
令和4年度の1次試験の合格発表は9月6日ですが、1次試験の合否見込みが分からないと、2次試験対策をどうすべきかモヤモヤしますね。自己採点がまだ済んでいないという方は、すぐに取り組んでください。
私は、TACさんの「データリサーチ」という無料のWeb採点サービスを使って1次試験の翌週に自己採点しました。このサービスは1次試験の翌日から利用できましたが、正直、結果を見るのが怖くてすぐには手が出せませんでした。
しかし、自分なりに時間をかけて、家族の協力も得ながら受験したわけですから、現実を直視すべく勇気を振り絞って自己採点したことをよく覚えています。
私は1次試験に一発合格したくて「各科目7割」(490/700点)を目標にしていたのですが、自己採点ではこれを上回る524点となりました。案ずるより産むが易し…ついさっきまでビビっていた自分とはまるで別人、2次試験に向けて勇気リンリン、一気に勢いづきました(単純!)。
7科目もある難しい1次試験に見事合格したのです。2次試験への恐怖心は大きいですが、まず、ご自分を褒めて、家族、受験仲間、親しい人と合格を大喜びしてください。勝利の美酒やご馳走を食べてお祝いするのもいいですね!
振り返ってみると、この「勢いに乗じる」ということが2次試験をストレート突破する原動力になったと思います。1次合格の高揚感をそのままに、すぐに2次試験の勉強を始めてください。
2次試験の受験経験がある方と比べると、勉強時間、知識量、場数で圧倒的な差を感じますが、アレコレ考えず(考えられず)に2次試験に挑めるのが初回受験生の強みです。思い切り勢いをつけて無我夢中で2次試験を飛び越えてください!
■短期集中!150時間の勉強スタイル
私の2次試験対策は、平日は通勤電車で事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの答練、休日は自宅で事例Ⅳに取り組むというスタイルで、アッという間の77日を駆け抜けました。
この77日は1秒たりともムダにはできませんが、私には令和3年7月、職場でも屈指の激務部署に人事異動するという悲劇(しかも未経験の業務です…)があり、勉強時間は、平日は通勤電車と昼休みの合計で正味1時間~1時間半程度、休日は自宅で4時間~5時間程度を確保するのが限界でした。
このため、2次試験対策は、77日で累計150時間程度となりました。私にはこれが仕事や家庭生活と両立しながら捻出できる現実的な勉強時間でした。
平日の勉強時間では、1日に1事例に取り組むのが精一杯です。連続した1時間半の確保も無理なので、以下のように手順を分割して答練するルーティーンとしました。
たにけいの答練ルーティーン
①いつもの通勤電車に乗り込み、とりあえず朝刊の主要記事を10分くらいで読む。
②特別快速で4つ目の駅までに与件文と設問を読み込む。(30分)
③職場の昼休みに答案骨子を作る。(20分)
④帰りの通勤電車で答案を書く。(30分、座れなければ立ったまま…)
1次試験の勉強中は、帰りは空いている各駅停車を選んで乗車し、着席+勉強時間を確保していました。
しかし、激務部署に異動してからは残業が多くなり、早く帰宅して休養するために帰りも混雑した特別快速に乗らざるを得ません。最寄り駅を始発とする電車がほとんどなので、朝は必ず座れますが、帰りはほとんど座れないのです。
通勤時間は貴重な勉強時間です。座れないからといって何もしないわけにはいきません。クリップボードで答案用紙(B罫の方眼ルーズリーフを愛用)を挟み、電車の揺れに耐えながら立ったまま答案を書いていました。二宮尊徳もビックリです。おかげで、周りが騒がしかろうが、机やイスが少々ガタついていようが、目の前の問題に没入できる図太さが備わりました!
2次試験の勉強を始めた8月23日(1次試験の翌日)から9月末の1か月で、通勤電車に揺られながら令和元年度から平成27年度の事例Ⅰ~Ⅲを1回ずつ確認することができました。回数にあまり意味はないと思いますが、過去問は2次試験までに3回くらいやりました。ただし3回目は答案作成する時間がなく、解答骨子のみを考える感じになりました。
このように手順毎の時間感覚を養成するのには分割方式の勉強が奏功したかもしれません。しかし2次試験には80分の制限時間がありますから、「80分通し」での答案作成経験が得られないことが不安でした。
そこで、令和2年度の過去問だけは内容を見ずにストックしておき、10月中旬頃の日曜日、本番と同じ時間帯で問題に取り組む「セルフ模試」を行いました。私は受験校の模試は受けていませんが、余裕がある方は受験校の模試を受けて本場さながらの雰囲気を体験するのも良いと思います。
読者の皆さんの中で、どこから手を付けたらよいのか分からない、これから初めて過去問に取り組むという方には、平成30年度の事例Ⅱをお勧めします。
老舗旅館の事例で業種がイメージしやすいですし、インバウンド、SNS、地域内での連携といった切り口で答案を構成することになるため、「事例Ⅱというもの」の全体像をつかみやすいです。まるで旅行に来たような、楽しい気分になれると思います。ぜひ挑戦してみてください。
■勉強の到達点とファイナルペーパー
1次試験は過去問題集を何度も回転させて8割、9割できるようになれば、合格への手応えを感じられるでしょう。しかし、どれだけ時間をかけても手応えを感じにくいのが2次試験の勉強です。
与件文のキーワードが光って見える(!)という怪奇現象のような体験や、ある日、霧が晴れるように問題が解けるようになる…いわゆる「開眼」を経験したとおっしゃる方もいます。
私には、この「開眼」がどういうものかハッキリ分からないのですが、事例Ⅱに関していえば、後ほど説明する「フレームワーク」を上手く使えたときなどに「あっ、そういうことか!」という感覚を覚えることはありました。
これはあまりに主観的で読者の皆さんに的確にお伝えすることが難しいですから、私が思う到達点は次のように説明することにします。
たにけいが思う、勉強の到達点
自分が納得して作ったファイナルペーパーが完成していること。愛おしく思えれば、なお良し。
事例Ⅱの2次試験の答案作成は、1次試験の知識がベースとなります。私は1年以上をかけてじっくり1次試験の勉強したため、教科書的な知識はそれなりに蓄積していました。
マーク式であればこのレベルで十分ですが、2次試験対策は、1次試験の知識を「答案という文書作成に使える形で、自在に引き出せる、手書きで記述できるようになること」が必要です。そのためには、いわゆる「ファイナルペーパー」を作成するとよいです。
ファイナルペーパーを作るかどうかは人それぞれですが、2次試験の勉強を進める過程で、アタマの中を整理するためには「作りたくなる」のが自然ではないかと思います。
他人が作ったファイナルペーパーを「参考にする」のは有益ですが、そのまま暗記しても使いこなせません。ファイナルペーパーは自分のアタマにインプットされている知識を、いつでもどこでも「可視化」できるようにする道具であり、試験会場まで行動を共にする相棒です。自分が納得いくまで磨き上げましょう。
■「だ・な・ど・こ」フレームワーク
2次試験対策では、受験校の講座、参考書、ネット記事などで様々な「フレームワーク」の情報を集め、知識としてアタマの中にストックしておくと「答案が作りやすく」なります。
事例Ⅱの基本フレームワークは「だなどこ」です。これは他の事例でも使えることがありますし、絶対にマスターしていただきたいです。①誰に、②何を、③どのように、④効果の4つで「だ・な・ど・こ」です。
今回のブログ記事の「はじめに」のうち、赤色フォントで示した文章ですが、この「だなどこ」フレームワークを意識して書きました。もう一度見てみましょう。
「だなどこ」適用サンプル
(だ)誰に:今回は、主に初めて2次試験を受験する方を対象として、
(な)何を:事例Ⅱの勉強法や答案作成プロセスを、
(ど)どのように:ストレート合格者が実際に使用した問題文の画像などを使って解説することで、
(こ)効果:受験生の合格可能性を1%でも高めます。
フレームワークを意識した文章であることを理解していただけたでしょうか。
上の文章は2次試験で指定されることが多い「100文字以内」となるように99文字で書きました。このように自分が伝えたいことを必要十分に盛り込んで、指定文字数内で端的・簡潔に書けるように答練していきます。
■問題を解くときのルーティーン
私の解き方は「ふぞろいシリーズ」(同友館)6割、「診断士ゼミナール」4割くらいでできています。事例Ⅰ~Ⅲは全て同じ解き方をしており、世に溢れる勉強法と比較しても、全体としてはオーソドックスだと思っています。
「まずはマネしてやってみる」ことを大事にしていましたので、勉強を始めた頃は「診断士ゼミナール」を完コピし、出題形式に慣れてきたら「ふぞろい」やネットで調べた情報を参考にアレンジを加えました。
それでは、2次試験当日に実際に使用した問題文などの画像を使いながら、ルーティーンを説明していきますね。
まず初めに、問題用紙を破ります。私の破り方は、ホチキス止め部分を丁寧に破って表紙を取り外し、設問のページは定規をガイドにして切り離す方法です。2次試験当日に落ち着いて破れるように、1次試験の問題冊子を実験台にして破る練習をしました。
これで設問と与件文を同時に確認しながら答案を検討できますし、白紙になっている表紙の裏側をメモ用紙にできます。冊子の状態よりも作業性が格段に上がると思いますが、破る/破らないは好みの問題です。ご自分が決めたやり方で構いません。
うまく破ることができたら、問題文に段落番号を振ります。情報を整理しやすくする意味と、無心で番号を記入することで気持ちを落ち着ける効果があります。そして、段落番号①、企業の概要を一読します。(この与件文は①が短いので、①+②を読みました)
次は、与件文の中間段落を全部飛ばして、最後の段落(この与件文では段落番号⑩)を読みます。
与件文自体、一連の文章ですから、最後の段落は「起承転結」の「結」に当たります。特に事例Ⅱでは、与件文全体を受け止めた「まとめ」として、最後の段落に事例企業の問題点や課題、社長の思いが書かれていることが結構あります。
この段落の内容を把握しておけば、この後で設問を理解する際、「助言の方向性」を考えながら読むことができるのです。
ここまでで与件文の最初と最後を読みました。そのまま与件文を読み進めてしまいそうになりますが、ここではいったん設問に目を移します。設問を先に読むことで与件文を読み進める際のポイントをつかみます。
これを適当にやってしまうと「問われたことに答えていない」「アイデア勝負の自分勝手な助言を書く」という悲劇を生みます。
下の画像を見ると、大きく「かし」とメモしています。これは、時間に追われてプレッシャーに押しつぶされそうになっても、答えるべきことは菓子類についてであって、豆腐のことではないという点に十分な注意を払うためのメモ書きです。
設問を読む際は、キーワードを四角カコミするなどして「何を問われているのか」「何を答えなければならないのか」噛みしめるように理解しましょう。
設問を確認したら、いよいよ与件文を読み進めていきます。
与件文は2回くらい読むとよいでしょう。1回目は全体的なストーリーの理解を重視、2回目はキーワードなどに注意を払いながら、与件文の欄外や表紙を破って作ったメモ用紙にメモ書きしながら読み込みます。
私は「強み(S)、機会(O)は青」「弱み(W)、脅威(T)は赤」のフリクションボールペンでアンダーライン+S・W・O・Tの記号を記入しました。色ペンを何色も使って視覚的に整理する方もいます。好きな色でやりましょう。
事例Ⅱは、第1問でSWOTを直接的に答えさせる問題が出る傾向があります。また、第1問から第4問を一貫性ある答案とするためのベースとなる作業ですので、一目でSWOTが分かるようにしておくことはとても重要です。
勉強を始めた頃は、強みが弱みにもなる場合もあるし、脅威を機会(ピンチをチャンスに!)と捉えることもできると思って、いちいち考えこんでしまっていました。
考えすぎてSWOTのどれに当たるのか決められないことすらあったのですが、あまり難しく考えずに最初にピンときたもので整理することにしました。
強みが弱みになるか、脅威を機会にできるかといった検討は、与件文を全部読んで答案を下書きする段階で改めて考えればよいでしょう。
■事例Ⅱの第1問は最後にやるの?
問題を解く順番について、勉強を始めた頃は第1問から順番にやっていました。ある日、「ふぞろい14」を読んでいたら「最後にSWOTの答案を作る」という解き方が紹介されていました。
私はこの方法をマネして、SWOT問題は解答骨子のメモ書きにとどめておき、第2問以降の答案を作成後、答案で使用したキーワードだけをメモ書きの中から選んで作文するようにしました。
答案用紙の第1問の解答欄が試験時間の最後の方まで白紙状態になりますので、見た目的には不安になりますが、こうすることで第1問から第4問に「一貫性」がある答案を作ることができます。第1問から順番に解く場合でも、最後に一貫性のチェックを行うことを推奨します。
私は、昨日まで2回目の実務補習を受講していました。実務補習で作成する「経営診断報告書」においては報告書全体としての「一貫性」の確保が非常に重要です。これにより実習先企業の経営者に対して筋の通った説明ができます。
2次試験の答案は事例企業に対する一種の「経営診断報告書」といえるため、実務と同じく「一貫性」の確保が重要なのです。
■みんな苦手な助言問題
第4問で出題されることが多い「助言問題」には誰しも苦戦します。アイデア勝負に走って与件文から外れた助言は、大事故につながります。しかし、与件文のキーワードを書き写すだけではモノ足りない答案になります。
過去問演習を通じて、「助言」とはどういうものなのかが腹落ちしていると、与件文を読み込んだ時に「事例企業のために一生懸命助言しよう!」という気持ちが自然に生まれ、1次試験の知識により理論的に裏付けられた答案が「沸き上がってくる」感じがあります。これが巷に言う「開眼」かも知れません。
ここからは具体的な答案作成方法を見ていきましょう。設問は次のとおりです。
令和3年度事例Ⅱ 第4問
B社ではX市周辺の主婦層の顧客獲得をめざし、豆腐やおからを材料とする菓子類の新規開発、移動販売を検討している。製品戦略とコミュニケーション戦略について、中小企業診断士の立場から100字以内で助言せよ。
問われているのは、1つ目が菓子類についての製品戦略、2つ目がコミュニケーション戦略です。
設問を噛みしめるように読んでおかないと、製品を菓子類ではなく豆腐と思い込んでしまったり、製品戦略とコミュニケーション戦略のどちらかを書き忘れる(文字数オーバーもありうる)おそれがあります。
また、「助言」として具体的に何を挙げるのか、「中小企業診断士として」のアイデアを求められています。ここで注意したいのは、与件文を無視したアイデアや、知識の裏付けや説得力に乏しい思い付きアイデアは求められていないということです。
そしてキーワードは「なるべく」与件文に使われているものを採用するとよいです。
■答案構成と文字数の割り当て検討
答案の方向性を「だなどこ」フレームワークに当てはめて考えると、【誰に】X市周辺の主婦層に、【何を】豆腐やおからを使った菓子類を(製品戦略)、【どのように】どのようなコミュニケーション戦略で、【効果】落ち込んだ売上の回復…という感じになりますね。
私の答案は次のようなものです。設問毎の得点は不明ですが、事例Ⅱとして73点、第4問の配点が25点であることを踏まえると、合格者の中では標準的な答案だと思っています。
たにけいの答案
製品戦略は、①京都で修行した和菓子店とコラボした菓子や②親子で作れる菓子キット等である。顧客との交流は、IMによる商品受注や試供品モニターなどの双方向コミュニケーションである。これにより売上を増加させる。(100文字)
私は、必ず指定文字数の95%以上が埋まるように答案を書くようにしており、この設問は100文字ぴったりで作成しました。101文字ありますが、文末の「る。」は1マスに記入していますので、1文字扱いになります。
頭からサラサラと文章を書いていくやり方は必ず失敗します。指定文字数内で加点要素をふんだんに散りばめるためには、戦略的に作文する必要があります。
まず、書き出しの「製品戦略は~」と「顧客との交流は~」は、設問で問われている「製品戦略」と「コミュニケーション戦略」に対応させています。文末の「これにより~」は戦略を実施したことにより生まれる「効果」です。
この3つは、設問に対して正面から答えるべき必須項目になりますので、設問を読んだらすぐに文章構成の大ワクとしてメモ書きします。
次に、文字数の検討です。100文字が指定されていますので、先に決めた3項目に文字数を配分すると、製品戦略とコミュニケーション戦略を各45文字、効果を10文字くらいで書ければちょうど良さそうです。この文字数割り当ては過去問の答練で身に着けてください。
そして与件文を読んだ上での判断として、製品戦略の答案に多面性を持たせるため、製品は2種類を開発することにしました。45文字を2つに分けて①、②の番号を付けた上で各20文字程度で書くことにしました。ここまでは骨子作成の段階で決めてメモ書きします。
最後に、製品戦略の「①~、②~」と、「IMによる~」に入る具体的な中身を与件文にあるキーワードを使いながら嵌め込んでいく…パズルのように作文しています。
骨子作成時点での文章構成の大ワクは下の画像のようになります。字が汚くて読めないとは思いますが、上段が2次試験当日にメモしたもの、下段は読みやすいように今回、書き直してみたものです。文章の空いているところにパズルのピースを嵌め込んでいきます。
答練の際は、下段のように1行が20文字になるようにして作文していました。2次試験の答案用紙は1行が20文字ですので、答練の時から1行の文字数を意識することをお勧めします。
筆記用具は、メモ書きにはパイロットのフリクションボールペン、答案には三菱鉛筆のクルトガシャープペン(0.5)を使用しています。
■助言のアイデア出しとキーワードの使い方
助言のアイデアや使用するキーワードをどのように捻り出したのか振り返ってみます。
【製品戦略①】京都で修行した和菓子店とコラボした菓子
京都と事例企業が所在するX市のつながりは、与件文の冒頭に記述があります。経営資源が限られる中小企業では、他の企業等との連携によりWinーWin関係を築くことは有効な施策になります。「コラボ」というキーワードは、与件文に使われています。
【製品戦略②】親子で作れる菓子キット等
「菓子キット」は与件文にないキーワードですが、与件文に登場する「手作り豆腐セット」の成功体験の菓子類への応用です。過去の成功体験を新製品に応用するアイデアは、2次試験において定石だと思います。また、設問で対象顧客が主婦層と指定されていること、与件文に収穫祭への子連れ参加が多くなったとあることから、親子で楽しめる製品が適していると考えました。
【コミュニケーション戦略】
「コミュニケーションは~」と書き出すと文字数を使ってしまうので、「顧客との交流」に言い換えて文字数を節約しました。
交流のツールとして、与件文には「高齢者にIMが敬遠される」とあるものの、設問で対象顧客は主婦層と指定されており、高齢者とは別の顧客属性であるためIMを使っても問題ないと考えました(IM=インスタントメッセンジャー、LINEをイメージしてください)。
「試供品モニター」は与件文にないキーワードで、少々冒険になります。「試供品モニター」は過去問の答練を繰り返す中で、顧客と双方向コミュニケーションを図るための取組として模範解答でもよく使われていました。
また、与件文には試食販売により豆腐の売上を伸ばしたとの記述がありますので、事例企業は体験型の販売活動が得意(強み)だと考えられます。試供品に対する意見を製品開発に生かすことで顧客との交流も促進されると考えられますので、思い切って使いました。
最後、大切ですが忘れがちになるのが「効果」です。私の答案では「これにより売上を増加させる」が効果になります。ややあっさり書いてしまったのですが、事例Ⅱでは「売上増加」は最重要ですので、大外れにはならないと考えました。
■おまけコーナー
私の2次試験の勉強時間が150時間程度ということで、「2次試験スタートダッシュセミナー」(8月11日開催)の超短期合格者対談に登壇しました。セミナーへのご参加ありがとうございました!
よろず相談員として受験生の方の相談に答えるなど、私も貴重な経験ができ、充実したセミナーとなりました。タキプロでは、今後も時節をとらえてセミナーを開催企画しますので、ぜひご参加ください。
セミナー当日は、参加者への「お土産資料」として、私が実際に使った問題用紙、再現答案、ファイナルペーパーを進呈しました。
今回、私の担当記事を読んでくださった皆さんにも、お土産資料として「事例Ⅱ」の問題用紙、再現答案、ファイナルペーパー、タイムマネジメント表をダウンロードできるようにします。
2次試験の勉強を始めたばかりで、問題用紙の実物やファイナルペーパーを見たことがないという方は、一つのサンプルとして勉強のご参考にしてください。
↑お土産資料(Excel)をダウンロードできます。
■おわりに
今回は令和3年度事例Ⅱの第4問を中心に、私が2次試験当日、何を考えながら答案を作成したのか振り返ってみました。
2次試験は、実質的には相対評価により合否が決まります。私も受験生時代は、2次試験の合格は相当難しいと思って勉強していました。
それゆえ、ストレート合格という成功体験は平凡な日々を過ごしていた自分に大きな自信を与えてくれ、タキプロをはじめ合格後の活動で知り合ったたくさんの方から様々な刺激を受け、とても充実した日々を過ごしています。
2次筆記試験までの期間は、タキプロブログも2次試験対策を中心にノウハウを提供していきます。タキプロを勉強の伴走者にして、読者のみなさんにぜひ合格をつかみ取っていただきたいです。
タキプロ一同、皆さんの受験を応援しています!!
次回はぺさまさんの登場です。
お楽しみに!
「二次ブーストセミナー」
9月11日(日)
20:00〜21:00
令和3年度合格者による相談会!
あなたのお悩み、お聞かせください。
詳細・予約は下のバナーから!
※ご好評のため、現在満席となっております。
キャンセル待ち受付となりますので、ご了承ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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たにけい様
大変有意義なブログを掲載いただきありがとうございます。
特にファイナルペーパーは参考にさせていただきます。
そのファイナルペーパーで質問があります。
「4P―4C―2V」との記載がありますが、この中の「2V」は何を意味されているのでしょうか。
差支えなければご教示いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
近棟 伸邦 様
こんにちは!執筆者のたにけいです。ご質問ありがとうございます。
4Pと4Cの対応関係は受験校のテキストでもよく見る基本知識です。近棟様も既にこの論点をマスターされた上での「2V」のご質問と存じます。
2Vの「V」は「顧客価値」(Value)の頭文字で、①顧客価値の創造(Value generation)と②顧客への価値伝達(Value transmission)で「2つのV」となります。
①価値創造は「顧客ニーズを満たすことができる商品を開発するフェーズ」を指します。
4Pの製品(Product)と価格(Price)に対応し、4Cの顧客価値(Customer Value)と顧客コスト(Customer Cost)に対応します。
②価値伝達は「創造した価値を顧客へ届けるフェーズ」を指します。
4Pの販売促進(Promotion)と流通(Place)に対応し、4Cのコミュニケーション(Communication)と利便性(Convenience)に対応します。
4Pは生産者側、4Cは顧客側の立場でマーケティング戦略を考えますが、2Vは上記のように顧客価値の創造過程(フェーズ)という切口で捉えるものです。
マイナーというか少々細かい論点だとは思いますが、1次試験では4P、4Cとの対応関係を問われた場合に暗記(理解)しているか、2次試験では多面的な切口からの答案作成という意味で役立つかもしれません。
以上をご回答とさせていただきます。
近棟様の診断士試験への挑戦を応援しています!!