事例Ⅲには背景情報が詰まっている。byきき
タキプロ14期のきき と申します。
受験生のみなさんは2次試験まで1か月を切り、追い込みをかけられているところかと思います。
今日は、2次試験の事例Ⅲについてというテーマなのですが、私は製造業で働いていた時に受験したこともあり、
事例Ⅲに特化した勉強はしていませんでした。
ですので、直接的なノウハウというよりは、製造業以外の業種にいる方に、背景情報についてお伝えできればと思います。
少しでも製造業にイメージが付くと幸いです。
自己紹介記事はこちらです。
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■はじめに
私の事例Ⅲの勉強方法は、
◎過去問を令和2年度分からさかのぼって5年分解く
◎よく出てきた単語を覚える
という単純なものでした。というのも、他の方の記事でもかいてあるように、事例Ⅲは似通った問題が出てくることが多いです。
業種が製造業に絞られているということもありますが、課題、解決策もぶれません。
なぜかというと、日本の製造業の抱える問題はほとんどどの会社が同じだからです。今回はその問題の背景情報についてお伝えしていきたいと思います。
■生産管理、生産統制
製造業は他の業種に比べて工程数が多く、また、工程ごとに部署が分かれていることが多いのが特徴です。
中小企業では製品によって大型ラインを構築するわけではないので、同時並行的にたくさんの種類のものが流れてきます。
そんな多品種少量の中、生産管理、生産統制がされておらず、納期が長い傾向にあります。品質は中~高、価格は、中程度の立ち位置でしょうか。
教科書的には各工程の情報を加味して適切なスパン(月次、週次、日毎)で全体の生産計画を立て、実績管理すればいいだけやないか、ということなのですが、それが簡単にはいきません。
それができない原因は、次の属人化が要因となっています。
■属人化
生産計画を立てる際に、繰り返し品は通常、実績情報から生産時間を見積もることになります。
A商品の加工→検査は過去3日でできていたから、今回も3日、ということですね。でも実績管理をすると大体3日では終わりません。
よくあるパターンは、
①加工の過去のデータを探したが見つからず、見つけるまでに3時間かかった
②前回はベテランが作業していたので工具の取り付けが1時間だったが、今回は新人だったので2時間かかった
③加工と検査で部署間の連携がとれておらず、加工と検査の間に1日空いてしまった。(前回は上長同士の連携がうまくいっていた)
これは製造業に限らずどの業種でも起こっているのではないでしょうか。皆さんも自社のことに置き換えて考えてみてください。
私が作業をしていても、過去のエクセルがあるとないとでは大違いですし、他部署との連携がうまくいかないことなんて日常茶飯事です。
きっちりと生産統制を行うには、誰でも同じ作業ができること(標準化)、必要なデータが整備されていること(デジタル化)、全社の統制が取れていること(見える化、情報共有、部署間連携)、は必須となってくることがわかると思います。
町工場でこれらの問題に取り組み、頑張っている企業がありますので、気になる方は、このページ(全国中小企業クラウド実践大賞)を確認ください。
■じゃあなんで属人化してしまったのか(余談)
日本の企業の特性だと思いますが、
終身雇用を前提として組織が作られているので、標準化するメリットが出づらかったということがかなりあると思います。
それぞれのやりたい方法でやっているほうが、局所的な効率は良かった。また、人が入れ替わることを想定していなかった。ということです。
現場レベルでは、目の前のものを早く、安く、正確に終わらせることが一番評価を得られます。従って、現場主導の標準化は、進まない傾向にあります。
従って、標準化することによるメリットデメリットを経営層が把握し、経営層の指揮のもと、トップダウンで標準化する必要があり、それができている企業は非常に成長が早いです。
■おわりに
表面的な課題は大体生産管理不足ですが、裏を返せば組織的な問題や歴史からくる文化的な問題など、根が深いですね。試験中はあくまで書いてあることに回答するというプロセスが正しいと思いますが、問題の根底にあるものを認識しておくと、どこかで役に立つことと思います。
次回は、ゲンゾー さんの登場です。
お楽しみに!
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