事例Ⅲ 製造業のあるべき姿をイメージし苦手意識を克服 by Moka
こんにちは、タキプロ14期のMokaです。
今回で3回目の投稿です。
私の自己紹介については、こちらとこちらの投稿をご覧下さい。
2次試験を受験された方、本当にお疲れ様でした! 暫くは試験のことは忘れてゆっくりと過ごされるのも良いかと思います。
今回は事例Ⅲがテーマですが、製造業のあるべき姿を理解することで、与件や問題の意図が何となく分かり、解答が纏まり易くなるのではと思って記事を書かせて頂きました。
■はじめに
就職してからずっと輸送機器関連のメーカーに勤務し、主に生産技術、開発、設計などをやってきました。製造は、時間とコストをかけて開発しても、利益がでるまで時間がかかることが多く、製造立ち上げ後の継続的な改善がとても重要です。今の職場では海外企業が顧客ですが、英語でKAIZENという単語ができた位、今は世界共通になっています。
事例3の出題の構成は、ある程度決まっていて、下記のようなパターンが多いかと思います。
第1問 SWOT
第2~ 生産の問題、課題、対策など
最後の問題 今後の戦略、新規事業についてなど
以下に、出題の背景や改善でみるべき点などを考察してみました。
■今後の戦略として新規事業が問われる理由について
事例Ⅲでは毎年、新製品開発などの新規事業に関する問題が出題されていますが、プロダクトライフサイクルという概念をご存じでしょうか。
下図にある製品のプロダクトライフサイクルの例を示しますが、ほとんどの製品は需要の増加と共に売上、利益がピークを迎え、その後は次第に需要が無くなり、採算性が合わず生産中止になります。
売れなくなる理由としては、代替え品の登場や技術の急速な進歩で優位性が低下したり、と色々考えられます。
特に、経営資源の少ない中小企業は、効率的に新製品開発や新規事業を進めるために、SWOT分析で技術、生産、営業面での強みや弱みを洗い出して、強みが活かせる分野に進出し、他社との連携等で弱みを補うような戦略を立てることが重要なのです。
一定サイクルで飯のタネになる製品を育てることが重要↓
■既存と新規の両輪をバランスよく回す経営が理想的
製造業においては、既存の製品やプロセスの改善と新製品開発や新規事業を両立させる経営戦略は、競争力を維持し成長を実現するために非常に重要です。
リソースが少ない中小企業においては、新規事業に必要なリソースを割り当てるために、既存事業を効率化して利益を蓄積すると共に、人、設備などの新規事業に割り当てるリソースを捻出する必要があります。
また、新製品の製造初期段階では、不具合や予想以上の工数発生などにより赤字になることが多く、既存事業と共通する設備や熟練工(令和3年度 靴職人など)などの資源が必要になる場合が多々あります。
■改善で見るべきポイント
改善で問われる点は、生産性、生産管理、IT化となっており、生産性は現場レベル、IT化は受注から出荷まで全社に関係する、と言ったイメージになります。
基本的に、改善の方向性はQCDの向上になるかと思いますが、与件文のヒントの切り分けが難しい場合があるかと思います。
そこで、私は以下のような視点で切り分けを行っていました。
生産性については、生産(作業)工程の中でボトルネック工程、またはボトルネックになりそうな工程を探して、4M(人、設備、手順、材料)の視点で要因を探し、準備したキーワードを使って解答を作成していました。例えば、人のスキル→OJT、設備の故障→保全、手順がない→マニュアル化、みたいな感じで関連するキーワードを整理していました。
生産管理については、計画と統制でQCD向上を図りますが、試験対策上、生産管理はコストと納期を意識するようにしていました。例えば、コスト面→過剰な在庫、納期面→生産計画の短サイクル化、みたいな感じで関連するキーワードを整理していました。
IT化については、受注から生産までの全社的な改善となるため、生産性や生産管理の解答と一部重複はOKとし、DRINK(DB、リアルタイム、一元管理、ネットワーク、共有化)で纏めるようにしました。
改善点については、与件にヒントがはっきり書かれていることが多いので、各論点に対応したキーワード等を準備するだけで6割以上の点数は取れると思います。こちらに覚え方などが載っていますので参考にしてみて下さい。
■おわりに
如何でしょうか? 製造業のあるべき姿は、既存製品の製造においては、ボトルネック工程がなく最適化された生産プロセスと、QCDに沿った適切な生産管理で品質、納期に問題がなく収益力があり、更に市場のニーズにあった製品開発やイノベーションにも投資し、将来の飯のタネも同時に作り続けていること、であり、与件文と問題は、それに近づくための助言を求めているように思われます。
以上になりますが、少しでも製造業のあるべき姿をイメージすることで、事例3の苦手意識の克服にお役に立てれば幸いです。
次回はMarkさんの登場です。
お楽しみに!
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