直前期の事例Ⅲのチェックポイント by nyoko

事例Ⅲ

タキプロ15期の   nyoko と申します。  前回に引き続き、今回も2次試験を担当させていただくこととなり、テーマは「事例Ⅲ」となります。この記事が投稿されるのが、ちょうど2次試験1か月前となります。もう、今更「事例Ⅲとは何ぞや」みたいな内容は適切とは思えないので、今回は少しでも事例Ⅲの得点アップにつながるような記事になればと思います。皆様のご参考になれば幸いです。

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■チェックポイント①「設問同士に大ヒントあり?」

個人的な印象なのですが、事例Ⅲ特有の特徴として、与件文を読まないでも「設問を見るだけで、ある程度解答を導く」ことが可能な設問もあると思っております。
第1問は基本的にはSWOT系の問題で、強みか弱み、または両方聞かれる場合があります。このとき第1問で「弱み」を聞かれているなら、はっきり言って大チャンスです。事例Ⅲは絶対に生産面(場合によっては営業面も)の弱みを解決する設問が2~3問あるので、もうこれをそのまま弱みとして使ってしまえば良いのです。

それでは実際の過去問で具体例を挙げてみます。こちらは令和4年の事例Ⅲ設問文となります。

第1問(配点 20 点)
2020 年以降今日までの外部経営環境の変化の中で、C 社の販売面、生産面の課題
を 80 字以内で述べよ。

第2問(配点 20 点)
C 社の主力製品であるプレス加工製品の新規受注では、新規引合いから量産製品初
回納品まで長期化することがある。しかし、プレス加工製品では短納期生産が一般化
している。C 社が新規受注の短納期化を図るための課題とその対応策を 120 字以内で
述べよ。

第3問(配点 20 点)
C 社の販売先である業務用食器・什器卸売企業からの発注ロットサイズが減少して
いる。また、検討しているホームセンター X 社の新規取引でも、 1 回の発注ロット
サイズはさらに小ロットになる。このような顧客企業の発注方法の変化に対応すべき
C 社の生産面の対応策を 120 字以内で述べよ。

第4問(配点 20 点)
C 社社長は、ホームセンター X 社との新規取引を契機として、生産業務の情報の
交換と共有についてデジタル化を進め、生産業務のスピードアップを図りたいと考え
ている。C 社で優先すべきデジタル化の内容と、そのための社内活動はどのように進
めるべきか、120 字以内で述べよ。

出典:令和4年 事例Ⅲ

第1問で聞かれている「生産面の課題」は与件文を読むまでもなく、第2問の短納期化、第3問の小ロット対応を軸に組み立てることは明白です。第4問のデジタル化を加えるのもありですね。これだけで解答を組み立てても確実に半分点数が取れそうです。

■チェックポイント②「組織体制に注目!」

実は事例Ⅲでも事例Ⅰ同様に、組織体制は絶対注目です。特に営業体制がどのようになっているのかが最重要です。事例ⅢのC社は極まれにしっかりしている営業体制の場合もありますが、ほぼほぼ「営業体制は脆弱」です(最初からそう決めかかって本試験に臨んでも良いくらい)。

  • そもそも営業部がない
  • 営業をしているのは社長自身

これは100%ではないものの、上記となっている場合は「営業面が大きな課題」である可能性が相当高いです。営業部がなければ今後営業部の設置が考えられ、社長しか営業していないのであれば、社長以外でも営業ができる人材を育成、または確保する必要が考えられます。

C社のストーリーとして、「下請け依存(受け身体質)から脱却し、C社からも積極的に提案を行って新規事業を成功させていく」という流れになっていくことが定番です。これを実現するためには、やはり営業の存在は欠かせないからです。

基本的に営業がいない、またはいても社長だけという事例が大半です。ただ、私が知る限り1回だけだと思いますが、逆に無駄に営業人員が多い事例もありました。この場合は適材適所の配置をしていくことが考えられますね。

■チェックポイント③「さりげなく書いてある弱みも見逃さない」

事例Ⅲでは基本的に弱みの記載があからさまなので、全事例の中では最も弱みは見つけやすいです。特に代表的な弱みは「納期」と「在庫」になります。が、たまにあからさまな記載ではなく、さりげなく弱みが書いてある場合もあり、ついつい見逃してしまいがちになってしまいます。ここでは、見逃しがちな弱みの記載の代表例を挙げていきます。

  • 段取時間を考慮したロットサイズとしている→ロットサイズが過大になっている(効率を優先し、発注量は意識していない)可能性が高いので、過剰在庫のリスクがあります。
  • 材料在庫は受注分のみ→今まではこれでも良かったのかもしれませんが、今後新規事業に拡大することを考えたときに欠品リスクが出てくるかもしれません。
  • 本社と工場で平均年齢が離れている→平均年齢が高い方にパワーバランスが偏っている可能性あるかもしれません。
  • 納品は午前と午後の2回となる→これまで納品が1回だとしたら、果たして今の組織で2回の納品に対応できそうなのでしょうか?
  • 工場建屋に高さの制約がある→大型化が進んだときに機会を失う可能性ありそうです。
  • チームで生産形態が違う(例:片方は少品種多量生産、もう片方は多品種少量生産)→両チームで共同プロジェクトを行うときに連携不安の可能性ありそうです。
  • 既存プロジェクトは従来通りの生産計画を変えないが、新規プロジェクトでは、これまでとは別の生産計画で進める→違う生産計画が混在すると、現場の作業者は混乱する可能性ありそうです。

こういった、さりげない弱みにも気づくことができ、解答に反映出来たら、70点以上の高得点も狙えます。

■チェックポイント④「C社社長は付加価値の高い事業を拡大していきたい」

C社社長の思い、端的に言えば事例Ⅲのゴールは、結局これに尽きます。なので、絶対に見逃してはいけないポイントとなります。試験的なことを言えば、これが最終問題に位置づけられ、他の設問よりも配点が高いことが多いです。配点が高いということは核となる最も重要な設問となります。このC社社長の構想に沿った助言、もっとくだけて言えば誰かに背中を押してもらいたいであろう、C社社長の背中を押してあげたいですよね。

  • 令和5年:食品スーパーX社との総菜の共同開発で自社企画製品の製造販売を実現したい。そのためには生産能力確保のため、専用設備も導入したい。
  • 令和4年:ホームセンターX社との新規取引を足掛かりに高価格帯の製品を拡大していきたい
  • 令和3年:直営店での自社ブランド製品の販売を拡大したい
  • 令和2年:付加価値の高いモニュメント製品の受注を増加させたい
  • 令和元年:新工場の稼働で熱処理の前工程の機械加工も含めた一括受注を拡大させたい
  • 平成30年:最近習得したインサート成型技術で付加価値を高めて、新たな販路を拡大したい
  • 平成29年:CNC木工加工機を付加価値の高い製品に育てたい

与件を読み込んで、C社社長の実現したい方向性を自分なりに明確にしていきます。私は用紙の余白に将来の方向性をメモしていました。そして、これらを実現するために必要なC社の「強み」は何であるのか、しっかりと把握する必要があり、第1問で「強み」を聞かれたら、それを最優先で答える必要があります。

■チェックポイント⑤「強みは4Mで抽出する」

事例Ⅲのセオリーとして、強みは4Mの観点で抽出するのが良いと言われております。

  • Man(人)
  • Machine(設備)
  • Material(材料)
  • Method(方法)

その中でも優先度が高いのは以下2つです。

  • Man(人)
  • Method(方法)

なぜなら上記2つは「模倣困難性が高い」からです。Man(人)の代表は「職人の技術」、Method(方法)の代表は「一貫生産体制」です。これらは、競合が明日から真似しようと思っても、まず困難ですよね。

一方、Machine(設備)やMaterial(材料)は、大雑把に言えば「モノ」なので、「資金力さえあれば手に入る」ものです。Machine(設備)は当然高価なものもありますが、それでも「職人の技術」よりは確実に手に入りやすいはずです(実際は競合よりも高い給料で職人の引き抜きということもありえなくもないですが、少なくとも事例Ⅲでは基本考慮しないので)。そのため、この2つは強みとしての優先度は落ちるわけです。

令和5年の第1問で強みを2つ聞かれていましたが、各資格予備校の模範解答については、それほどばらつきがなく、「職人の技術」と「多品種少量生産体制」を挙げていました。やはり、これもMan(人)とMethod(方法)を優先していますね。

■おわりに

2次試験1か月前の時期で、事例Ⅲを解く上で、意識していただきたいことを書きました。事例Ⅲは事例Ⅳほどではないものの、事例ⅠやⅡと比較すれば「演習すればするほど対応しやすい」事例であると考えます。それは事例ⅠやⅡと比べると、与件情報が分かりやすく、ある程度パターンにはめやすいところがあるからです。苦手意識を持つ方も少なくないかもしれませんが、立ち向かってほしいです。

次回は、MOV さんの登場です。 

お楽しみに! 

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