事例Ⅲは設問との対応付けが全て byぶらんち
こんにちは。3回目の投稿となる「ぶらんち」です。
2次試験の4科目はそれぞれ特色がありますが、事例Ⅲは課題や提案内容に苦労するというよりも、設問との対応付けが難しいという印象ではないでしょうか?
今回は、令和2年度事例Ⅲを通じて、設問の対応付けについて紹介いたします。
※ご自身でまず解いてから本記事を読んでいただけると幸いです。
目次
■事例Ⅲの設問構成パターン
事例Ⅲのテーマは生産・技術です。生産現場の効率性向上により生産性を上げ、強みを活かして市場開拓を行うストーリーが多いです。そのため、必然的に事例Ⅲの企業は工場(製造業)が多いです。工場現場を見たことがない方は予件文を読んでもイメージがつかないもしれません。
とはいえ、工場の問題点や改善点・解決策はだいたい決まっています。ポイントは「強みは活かす」「弱みは克服する」です。
事例Ⅲは最初に「強み」「弱み」を答えさせて、第2問以降で「弱みの克服」について考え、最後に「強みを活かす提案」をするのが王道パターンです。
そのため、第1問で書いた弱みが以降の回答で解決されていなかったり、強みに触れない今後の戦略を書いてしまうと、一貫性が欠如した答案となってしまいます。ひと通り回答の方向性を決めてから第1問の回答を作成した方が良いでしょう。
■C社の「強み」と「弱み」
2次試験はどの事例もSWOT分析が大事です。ただ、事例Ⅲについては「強み」と「弱み/克服案」がパターン化されており、事例Ⅰ・Ⅱに比べてそれほど難しくありません。
C社の強み
- 技術力・品質が高い
- 開発力がある
- 一貫生産体制である
⇒ 予件文にある機会をとらえ、強みを活かした今後の戦略を提案(助言)
C社の弱み/克服案
- 製造リードタイムが長い
⇒ 生産工程を見直す
⇒ チーム編成を見直す
⇒ 工場レイアウトを見直す
⇒ 外注管理を強化する - 在庫(仕掛品)が多い
⇒ 生産計画の頻度を上げる
⇒ 発注管理を強化する
⇒ 在庫管理を強化する - 標準化・マニュアル化がされていない
⇒ 標準化・マニュアル化を進める - 情報の共有化がされていない
⇒ 情報を共有化する - 大手取引先に依存した取引構成
⇒ 商品の競争力を上げ、下請けからの脱却
■設問との対応付けには細心の注意を
令和2年度事例Ⅲ 第2問(40点)
C 社の大きな悩みとなっている納期遅延について、以下の設問に答えよ。
(設問 1 )
C 社の営業部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策について、それぞれ 60 字以内で述べよ。(設問 2 )
C 社の製造部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策について、それぞれ 60 字以内で述べよ。
令和2年度事例Ⅲ 第3問(20点)
C 社社長は、納期遅延対策として社内の IT 化を考えている。C 社の IT 活用について、中小企業診断士としてどのように助言するか、120 字以内で述べよ。
令和2年度は納期遅延対策のみで60点分も出題されています。予件分析が上手く出来たとしても、設問との対応付けを誤ってしまうと、それだけで両方の設問で大きく点を減らしてしまう恐ろしい設問構成です。
ちなみに問題点は以下の通りです。
C社の弱み(予件から抽出)
- 仕様変更や図面変更などで顧客のやり取りが多く発生する
- 造形物のイメージの摺合わせに時間を要する
- 図面承認後の製作段階でも打ち合わせが必要な場合がある
- 製作期間を考慮せずに最終引き渡し日を設定している
- 製作期間が生産計画をオーバーすることがある
- 各作業チームの技術力に差がある
- 最終検査で修整や手直しが生じる場合がある
- 工程順序や工数見積もりなどの標準化が確立していない
- 「材料・工事運搬」と「歩行」のモノの移動に関連する作業が多い
- 作業者の打ち合わせによる「不在」が多い
C社さん、納期遅延の要因多すぎじゃないですか…?(よく受注減らないな…)
もう少し整理してみましょう。
C社の弱み(内容整理)
- 製作前プロセスに時間がかかるせいで十分な製作期間を確保できていない
→ 製作前プロセスに時間がかかるのは摺合わせ・打ち合わせに時間がかかるから
→ 摺合わせ・打ち合わせに時間がかかるのは顧客とのイメージ合わせの方法が悪いから - 製作期間が生産計画をオーバーしてしまう
→ 各作業チームの技術力に差があるので効率的に割振りできないから
→ 基準となる工程順序や工数見積もりなどの標準化ができていないから
→ モノの移動や作業者不在で予定通りに作業が進まないから
→ モノの移動に時間がかかるのは建物が狭いから
→ 作業者不在が発生するのはイメージの摺り合わせに時間がかかるから
設問に合わせるためには、主語を「営業部門」「製造部門」に分け、さらに「IT化」で解決できることを分ける必要があります。
営業部門の視点で出来ること
- 工数見積もりを標準化する
- 3次元CADの導入でイメージ合わせの方法を改善する
- 製作前プロセスの段階で製造部門の担当者を同行させ、製作期間を確保した最終引き渡し日を顧客と合意する
製造部門の視点で出来ること
- チーム編成を見直し、技術力を平準化する
- OJTなどで技術力を底上げする
- 工程順序を標準化する
- 工場レイアウトを見直しモノの移動時間を低減する
IT化の視点で出来ること
- 受注管理、生産管理、納期管理のデータベース化
- 営業部門・製造部門のリアルタイム共有による打ち合わせ削減
- 3次元CADの導入でイメージ合わせの方法を改善する
上記はぶらんちが本試験で切り分けた内容です。
第2問のように文字数制限が少ない場合、切り分けを間違えると加点要素が入りきらず、大きなマイナスにつながったものと考えられます(ぶらんちは70点だったので、大外しはしていないと思います)。
尚、「ぶらんちの切り分けには3次元CADが2回あるじゃないか」といった意見もあるかもしれません。
…はい、切り分けきれずに2回書きました。本当はダメなんだろうと思いますが、どうしても切り分けが分からない場合は両方に書いてしまった方がよいと思います(部分点狙い)。
■おわりに
いかがでしたでしょうか?
もし事例Ⅲに伸び悩みを感じている方は、設問の対応付けに気をつけて過去問分析してみると良いと思います!
次回はサンドバッくんの登場です。
お楽しみに!
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