NPV以外で攻める事例Ⅳ by たんぽぽ
タキプロ14期、地方公務員(♀)たんぽぽ です。
今年度2次試験を受験された方は、合格発表までの間、さまざまな再現答案採点サービスなどにも出され、その返答も返ってきたり、まだ返ってこなかったり。。。
Xでさまざまな情報を検索され、一喜一憂の生煮え状態かと思います。
さてさて、そのような生煮えの時期ではありますが、このたびタキプロで「事例Ⅳ」の勉強法というお題をいただきました。。。
その事例Ⅳの概観って、ざっくりこんな感じではないでしょうか?
①財務指標
②CVP(損益分岐点)
③NPV(意思決定会計)
④今後の展開・課題
私が受験した令和4年度は、②で損益分岐点計算がなくて、まさかのセールスミックスが出て少々焦りましたが、まずは上記構成ぐらいをベースとして認識しておきたいものです。
ちなみに、私自身の事例Ⅳへの向き合い方は、「基本文系」「数学は決して得意でないけど、嫌いでもない」「財務会計はなんとなく好き」という感じなのですが、この際
「NPV以外で攻める事例Ⅳ」と題して(笑)お届けしようと思います。
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■財務指標
初問の財務指標の問題は、「安全性」「効率性」「収益性」から1つずつ・・・というのがこれまでの定番でした。年によって3つ拾い出すものが4つになる・・・ということもありましたね。
記述の仕方は、それぞれの指標を押さえながらD社の概観を総合的に述べるというのがこれまでの定番だったように思いますが、最近では悪い指標1つに注目してなぜそうなのか述べるという形が出てきました。
私が受験した令和4年度試験では、この「悪い指標に絞って理由を書く」という若干のイレギュラーパターンが出たことに加え、これまで例のなかった「生産性指標」というのが突然問われました。
この・・・「予定調和で作業的に初問をやり過ごそうと思っていたのに、のっけから違うパターン」という展開は、思っている以上に本番で焦りますっ!!頭、真っ白になるレベルです。
あと、4限目のこの時間の頭脳の疲労がハンパない!
初問の財務指標については、この「予定調和をちょっと崩して、初問で軽く不意をついて揺さぶりかけてやれっ」というのが今後、ポロポロ出てくるんじゃないか?という予感がします(笑)
そのため、定番に見える初問であるからこそ、あらためて「今回、何を聞かれているか?」を必ず確認する、それだけは最初にやる、ということを肝に命じましょう。
さて、財務指標。
私が2次の学習を始めた時は、それこそ思いつく指標を全部計算して書き出して・・・というような解き方をしていましたが、勉強するうちにそれではあまりに非効率であることが分かってきました。
さらに、過去問を通して学習を進めると、
●安全性なら、まあ負債比率か自己資本比率
●効率性なら、有形固定資産回転率か棚卸資産回転率
●収益性なら、売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率あたり
と、目星もつくようになってきます。
・・・んが、各指標を計算すると、「(他社と比べて)いい指標・悪い指標」は、いくつも出てきます。
つまり、どれを書いても間違いではない・・・という中で、あえてどの指標を選ぶか、というのは、与件でしっかりD社のストーリーを掴む(文系力)しかありません。
そしてこのことが、多くの受験生がそれなりに記述できるだろう財務指標の記述問題で、1点の差をもぎ取るポイントになると思うのです。
例えば令和5年度試験。
●(1段落目)「製品の生産はOEM生産によっている」
※全体を読むことで、D社が委託側だとわかってきます
○自社で設備や工場を持っていないため、有形固定資産が低く、有形固定資産回転率がいいかもしれない・・・と想定
○有形固定資産が低いんだったら、設備の負債調達をしておらず、負債比率が低いかもしれない・・・と想定
ただし、これはOEM生産をしていない他社と比べた場合・・・かもしれませんね。
財務指標でもうひとつ注意しておきたいのは、2つの数値の比較が
●同業他社と比べるのか?
●自社内の経年比較なのか?
という点です。
自社内の経年比較の場合は「数値の変化そのもの」に着目し、変化した要因を与件で裏付けるというのがベストです。
そうすると令和5年度の場合、有形固定資産回転率はむしろ悪化していることが分かります。
そしてここで、より「数値の変化」に注目するとむしろ「投資その他の資産」がぐっと増えていることがわかります。ここで
●(7段落目)D社は男性向けアンチエイジングの製品開発に向け、新たな設備投資を検討していて、今後多額の資金が必要なことも読み取れます。ここから総合的に
×新たな事業開発に向けた資金確保のため投資を行っている=固定資産回転率が悪化と紐付け
●(3段落目)「競争激化」「販売低迷」「売上高がさらに減少する可能性が高い」「原材料等の仕入価格が上昇する」「人件費等の削減は行わない」のあたりから、
×収益性に課題がある=売上が下がり、原材料費、販管費が高いあたりを想定
●(4段落目)「(男性向けアンチエイジング製品開発に向け)基礎研究を進めてきた」
×売上をまだ生んでいないが、研究開発費が嵩んでいる(販管費)を想定
といったようなことでしょうか。
ちなみに、令和4年度試験で度肝を抜いた「生産性」指標ですが、これは今後もちょっと気になります。
なぜなら、日本の生産性の低さは継続的なテーマでもあることに加え、現在、生活者や中小企業を取り巻く「物価高騰」「原材料・エネルギー高騰」という厳しい環境下にあって、それを加味した「実質賃金」は18ヶ月連続でマイナスです(9月現在)。
こうした中、中小企業庁系の補助金、支援策においても
①生産性を●%向上させる
②従業員の賃上げ●%を実現させる
というのが、結構申請要件なのですよね。
こうした補助金の申請をサポートするところでも活躍が期待されている診断士、今しばらく「生産性」には注目しておいた方が良いように感じます。
■CVP(損益分岐点)のいまさら
CVPの問題では、基本的な公式を覚えておくことは言うまでもありませんが・・・
●損益分岐点売上高=固定費/(1ー変動比率)
一方で、CVPの問題は案外、小学生でも使える以下のシンプル公式で解けてしまうことが多いのです!
●売上高ー固定費ー変動費=営業利益
●損益分岐点売上高ー固定費ー変動費=0
あれ?損益分岐点売上高を問われている問題じゃないぞ?と感じたら、まずコレを思い出すこと。
損益分岐点売上高とか、安全余裕率の公式が来るかも!と構えてしまうと、ちょっと違う角度の質問が出たときに、あれっ??どうやって解くんだっけ?と焦ってしまいがちです。
そんな時は、必ず上記のシンプル公式を思い出せるようにしておきましょう。
そういえば、令和5年度試験のCVP問題も、上記のシンプル公式による連立方程式で、一定解くことができましたよね。
■今後の展開・課題(記述問題)
最終問題の記述、ここは絶対押さえましょう。
設問から見えてくる「課題感の流れ」も掴みたいので、設問は前から順番に解いていますが、それでも私自身の戦略は、NPVは1回すっ飛ばして、最終の記述問題は「絶対埋める」です。
記述問題部分は、基本的な知識を問われる「暗記問題」でもあり、事例Ⅳが全体的に難しく点数がとりにくい場合は、ここで1点でも多くもぎ取りたい設問です。
ちなみに、私自身のファイナルペーパーを今めくってみると、
●為替予約とデリバティブのメリデメ(円安のとき、円高のとき)
●企業価値(インカムアプローチ、マーケットアプローチ、ストックアプローチの詳細)
●ROIで事業部を評価することの問題点とその改善方法
あたりが書かれていました。
そして、以下のことも、あらためて確認しておきましょう。
記述問題は、事例Ⅰ〜Ⅲまでの経営理論やマーケティング理論の知識も総動員しながら、それらを織り交ぜて記述することを求められる場合があるで。
例えば令和5年度試験でも、OEMのメリットを理解していること前提で、D社の財務諸表等と紐付けながら記述が求められる内容でした。
ともあれ、事例Ⅳ最終問題の記述設問は「計算しなくていい場所」のため、何か書きましょう。
1滴の気力を振り絞って、1点をもぎ取るのです。
■財務会計が好きになったワケ
今から遡ること15年以上前・・・当時、派遣社員として赴いた先で、事業経理を担当することになりました。もちろん、専用の会計システムがあったため、経理経験がなくとも、一定のルールのもと請求書なりの数字を入れれば、仕訳帳や総勘定元帳も自動的にできていました。
とはいえ、ちょっとした仕訳違いや伝票の入力漏れで、月次で通帳数字とシステムの数字を合わせるときに差異が出てきます。
これを、1件1件の仕訳をたどりながら、「あ、ここで間違えてた」と修正していくと、最後は必ず合います。
このときに「明朗会計ならば、数字は絶対に合う」という当たり前の事実に快感を覚えるようになったのです。
そうこうするうちに上司から「その気があれば、簿記を習ってみたらどうや?」と持ちかけられ、「はーい」と快諾。O簿記専門学校に研修として通わせていただき、結構まじめに勉強や課題をやっていたので、その後自費で受験した簿記3級は、自己採点でおそらく100点。
人生、何が起こるかわかりません。
その後、簿記2級もとりましたが(ちなみに紙試験とCBT試験、両方経験してますが、難易度の差がすごいっ!!)、
「自分は財務会計が好きである」という自己暗示も結構重要かもしれません(笑)
■おわりに
今回、NPVはすっ飛ばしてしまいましたが、勉強をしていないわけではなく、来る日も来る日もノートに書きつぶしながら過去問や予想問題を解いていました。
NPVに関しては、やはり繰り返し解く中で、自分なりの解法、それはつまりメモスペースにどういう風に数字のメモを取るか、どこから手をつけるか、という「整理の仕方」を確立することが重要な気がします。
また、受験対策がネット等でも多種多様に入手でき、多くの受験生が相応のテクニックを積んでいる昨今、試験問題をつくる側が、「作業工数を多くすることでふるいにかける」という対応をすることがあるような気がします。
実は、簿記2級試験にそれを実感したことがあるのですが、紙の試験では問題文の読み取りそのものが複雑化されており、試験対策委員から「読解力が落ちているから」というコメントが出た年があったように思います。
それを思うと、事例Ⅳの場合、計算で得た数値を小数点第何位で四捨五入するのかだとか、参照する数値の単位がそもそも違って出されるケース(表Aは千円単位なのに、表Bは円単位だとか)というのも出てくるかもしれません。
●設問で聞かれていることは何なのか?
●条件設定について記述しているのは文章のうちどこまでなのか?
などの整理をマークしながら問題文を読み解くことにも注意しておきましょう。
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さて次回は、とっしゅ さんの登場です。
お楽しみに!
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