タイプ別事例Ⅳの取り組み方 by nyoko
タキプロ15期の nyoko と申します。 今回で5回目の投稿となりますが、初めて2次試験向けの記事を担当させていただくこととなりました。そして、何といっても2次試験の花形「事例Ⅳ」(と私が勝手に言ってるだけですが)を担当させていただくこととなりました。遂に自分の番がやって来たかと光栄ではありつつも、2次試験受験歴2回の中で令和4年が57点、合格はしたものの令和5年が53点と、正直あまり振るわなかったので、他の方の記事に比べると、参考にはならないかもしれません。では、嫌いだったかというと、そんなことはなく、むしろ勉強していて一番楽しかったのは断然「事例Ⅳ」でした。
この記事が投稿されるのが、1次試験直後のタイミングなので、今回は1次試験が終わったばかりで「2次試験に初めて挑戦される方」と「2次試験受験経験ありの方」で分け、それぞれの取り組み方について、自分なりに書いていきます。少しでもご参考になれば幸いです。
タキプロ15期メンバー募集
★参加応募受付中★
下記バナーから参加申し込みいただけます!
■2次試験に初めて挑戦される方
合格発表は9月3日(火)ですが、自己採点で1次試験合格を確信されていることと思います。少し気が早いですが、まずは1次試験合格おめでとうございます!もしかしたら、まだ1次試験の合格の余韻に浸っており、2次試験のことなど考えられないという方もいらっしゃるかと思います。そのお気持ちよくわかります。1次試験に合格するのは大変な労力がいることですからね。
ただ、もう合格の余韻に浸るのはここまでです。気持ちを切り替えて早速2次試験対策に取り組みましょう。
事例Ⅳ対策にあたり、まずお伝えしたいのは、いきなり過去問に入る前に「事例Ⅳ対策の問題集を購入しましょう」です。すでに購入されている方もいらっしゃるとは思いますが、まだという方は今すぐ購入しましょう。市販されているものとしては、以下3つが代表的なものとなります。
- 事例IVの全知識&全ノウハウ(同友館)
- 30日完成! 事例IV合格点突破計算問題集(同友館)
- 第2次試験 事例IVの解き方(TAC)
全部購入する必要はありません。この中の1つだけでいいので購入しましょう。ちなみに私はTACのものを購入しました。
私が知る限り、事例Ⅳ対策の問題集を購入しないで、合格した方を存じ上げません。資格予備校通学・通信・独学問わず、皆さん必ず購入されております。
1次試験の「財務・会計」で高得点取れる実力があれば、購入する必要ないのではと思っている方がいるとしたら、それは大きな間違いです。過去問見たら絶句すると思います。1次試験の知識は最低限のものであって、それだけでは到底2次試験の事例Ⅳに太刀打ちできません。
以前、元TAC講師で、現在は「遠藤塾」という診断士試験対策の学校を主宰する遠藤先生という方がYouTubeで、確か「1次試験の財務・会計は小学生の算数、2次試験の事例Ⅳは大学入試。それくらいレベルが違う。」とおっしゃっておりました。これでレベル感の違いがお分かりいただけるのではないでしょうか。
最初のうちは問題集で初歩的とされる問題も解けないかもしれません。でも、それで当たり前です。私もそうでした。それでも毎日、最低でも1時間は時間を取って、9月までには問題集1周できるようにはしたいです。毎日やらないと、やはり実力が伸びていきません。
ただ、時間も限られている中、事例Ⅳだけでなく、事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲも並行学習するので、効率よく学習する必要もあります。事例Ⅳも単元ごとに重要度が違うので、問題集の順番通りに解く以外にも、毎年頻出の最重要単元から始めていくというのも手です。以下が私の重要度付けですので、ご参考にしてください。重要度の順は◎→〇→△です。◎の3テーマは毎年必ずと言っていいほど、出題されるので、時間のない方はここから優先的に取り組んでください。
テーマ | 重要度 |
経営分析 | ◎ |
損益分岐点分析(CVP) | ◎ |
正味現在価値法(NPV) | ◎ |
セールスミックス | 〇 |
企業価値 | 〇 |
キャッシュフロー計算書 | 〇 |
リアルオプション(デシジョンツリー) | 〇 |
為替・オプション取引 | △ |
のれん・連結決算 | △ |
事例Ⅳに限って言えば、過去問に入るのは10月からでも決して遅くないと思います。9月までは事例Ⅳの解法テクニックをとにかく脳に叩き込むことに専念してよいかと思っています。過去問演習について、本当は直近5年分できればベストなのですが、時間的に厳しければ直近3年分でいいので、事例Ⅳの解法テクニックを、実際の過去問にどう落とし込めばいいのか、実践していただきたいです。
また、これは事例Ⅳだけのためではないのですが、2次試験初受験の方は1回でいいので、資格予備校の模擬試験を受けることはお勧めしたいです。なお、自宅受験はダメです。会場受験で受けてください。資格予備校によっては、もう会場受験できないところはあるかもしれませんが、まだ会場受験可能なところがあれば、申し込んでみてください。
会場受験で受ける意義は「本試験に近い環境を体験できること」です。自宅受験ではどうしても緊張感が会場受験よりは低くなってしまうからです。本試験前に、緊張感のある雰囲気を味わっておくことは重要かと考えます。
なお、事例Ⅳにフォーカスした場合、初受験だと、恐らく全部の問題が解ききれず、途中で時間終了となってしまうかもしれません。しかし、それは当たり前のことで、これは本試験でも起こりうることです。ただ、早めに(失敗)体験しておくことで、本試験で時間をかけるべき問題(時間配分)を意識することができます。
■2次試験受験経験ありの方
受験経験者の方は、もう、この時期ですから、問題を解く際のご自身の型はある程度決まったでしょうか?決まっていないようであれば、そろそろ決める時期になったかと思います。例えば、以下のようなことです。これらについては個人的に全部取り組んでほしいです。
- 与件文や設問文の全体の流れも見ずに、いきなり経営分析から解いていませんか?→初受験の方ならそれでも仕方ないですが、経験者ならお勧めしません。
- 設問全体の流れを見て、確実に取るべき問題を選べますか?
- 経営分析で、闇雲に定番指標を計算するのではなく、与件文や後の設問の流れから指摘すべき経営指標の当たりは、ある程度付けられますか?
- 生産性の公式も抑えてますか?
- 損益分岐点分析(CVP分析)の計算式は公式の暗記ではなく、理解した上で使いこなせていますか?
- セールスミックスは制約条件1つであれば、確実に得点源にできる自信ありますか?→令和4年で初めて制約条件2つのパターンが出題されたそうです。この時はほとんどの受験生(自分も含め)が出来ませんでしたが、これからの受験生は制約条件2つのパターンが出題されてもいいように、できれば対応する必要があります。
- 正味現在価値法(NPV)の自分なりの解き方の手順(まず何に注目するか等)は決まりましたか?→NPVは捨ててもいいという方もいらっしゃり、それについて異議を唱えるつもりは全くないですし、それも戦略としては正しいと思います(特に初受験の方)。ただ、私のスタンスは捨ててほしくない派です(特に経験者の方)。
- フリーキャッシュフロー(FCF)やタックスシールドの計算式の意味を理解し、問われたら、口頭でも、すぐに答えられますか?
- 企業価値の算出において、継続価値の考慮有無を見極められますか?また、継続価値の算出方法は理解していますか?
- 事例Ⅳの最終問題は記述問題が定番ですが、設問文だけを読んで一般論的な回答にしていませんか?第1問の経営分析で指摘した課題を解決する流れに沿った回答とすることを意識できていますか?
- 計算問題に意識が行き過ぎて、与件文を読むことが疎かになっていませんか?経営分析や最終の記述問題で重要なのはもちろん、実は与件文にも計算問題のヒントが隠れていることもあります。(例:令和2年第4問設問1のROIの算出について与件文にヒントあり)
- 少なくとも直近の過去問5年分の問題は80分以内で確実に解けるくらいマスターしましたか?→この時期でまだ、おぼつかないようであれば、厳しいことを言ってしまいますが、演習量が不足しています。
■1点でももぎ取るために意識してほしいこと
あとは少々小手先になるかもしれませんが、1点でも多くもぎ取るために、以下は意識しておきたいところです。
- 自分の電卓は「√」ありか。「√」機能がない場合、「√」キーありの電卓を購入する。近年、標準偏差を算出する問題はまずないものの、万一本試験で問われた場合、後悔することになるため。→実際「√」キーがない電卓も少なくないので。自分が普段利用している電卓に「√」がないことを本試験1週間前に気づいて、慌てて買いました。
- 単位に気を付ける。四捨五入は「小数点第2位か第3位か」、金額は「円か千円か万円か」等。単位で計算ミスを誘う問題も少なからずあり。
- 計算過程を書かせる問題は何でもいいから、必ず何か書く。確証はないが、過程の式で部分点をもらえる可能性はあり。一方、何も書かなければ確実に0点となるため。
- 上記に関連して、「計算過程のある問題」と「計算過程のない問題」。どちらも難問と感じたら、「計算過程のある問題」にリソースをつぎ込む。
- 設備投資判断可否を選択させる問題の場合、もし、NPVを解けなかったとしても、投資可否はどちらか必ず書く。なお、セオリーは迷ったら「投資あり」。与件文の流れにもよるが、投資をしなければ結局「今と何も変わらない(これ以上の成長は望めない、もしくは外部環境の変化に対応できない)」ため。
- 最終の記述問題を疎かにしない。事例Ⅳで最も痛い失点は、計算問題に意識が行き過ぎて時間を消費してしまった結果、最終の記述問題を白紙で提出してしまうこと。
■本試験で落ち着いて対応するために
実際に本試験の問題を見たら、ほとんどの受験生が当日こう思うはずです。
「こんなの過去問や模試で見たことない。どうやって解けばいいんだ!」
全然大丈夫です。あなただけではないです。きっと、ほとんどの受験生が同じ心境になるはずです。
事例Ⅳは出題者側も受験生が過去問を徹底的に対策して、本試験に臨んでいることは織り込み済みなので、毎年手を変え品を変え、過去問とは角度を変えて、簡単に点を取らせないようにしております(少なくとも私はそう思っています)。
そんなときは慌てる前に1回深呼吸してみます。そして、まずは設問文を一旦全部見てみましょう。
落ち着いてみてみたら、「この設問なら、まだ何とかいけそう」、「完答までは無理かもしれないが部分点ならいけるかも」。事例Ⅳに真摯に取り組んだ方であれば、そう思えてくるはずです。
■おわりに
事例Ⅳは「もうやることは全てやり切った」と胸を張って言えるくらいの状態で本試験に臨んでいただきたいです。事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲはどこまでやっても、本当に自分の実力がついたのか、手ごたえがつかみにくいです。
一方で事例Ⅳだけは、やるべきことは事前にある程度決まってますし、演習量に比例して、自分の実力の伸びが確実に実感できます。不合格だった令和4年は、実は恥ずかしながら、事例Ⅳの問題集でNPVやキャッシュフロー計算書をちゃんと理解できないまま、本試験に突入してしました。合格だった令和5年は、問題集や過去問をやるだけやり切って、「もう何でも来い」という状態で本試験に臨むことはできました(ただし、実際は残念ながら事例Ⅳだけは前年より下回ってしまいましたが)。
そこまでの状態になれば、「どこかの事例でしくじったとしても、まだ事例Ⅳできっと巻き返せる」、「当日事例Ⅳの問題を見るのが楽しみ」、といった事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲでも、気持ちの余裕が少し生まれるという、他の事例に臨む上でもメリットが出ます。自分が合格できたのは、(実際の点数は置いといて)事例Ⅳの達成感をもって本試験に臨むことができたことも、少なからずあったと今でも思います。ぜひ、事例Ⅳはとことん、やり切ってほしいと思います。
次回は、MOV さんの登場です。
お楽しみに!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
↓下のボタンを押して、読んだよ! と合図していただけると、とっても嬉しいです。
(診断士関連ブログの人気ランキングサイトが表示されます[クリックしても個人は特定されません])