【日曜日は名古屋の日】 平成19年度事例Ⅳは悪問か?② ~うめもん流経営分析問題へのアプローチと受験生と診断士の目線の違い~
うめもん@タキプロ名古屋です。
それでは後半、本試験現場で解いた再現答案と、現在のうめもんの考える答案を比較しながら、解析したいと思います。
1.題意の把握「これまでの経営政策を続けた場合に生じると考えられる課題」とは?
漠然としていて、本試験の時間帯で絞りきるのが難しい題意です。また、与件文にヒントとなる情報が少ないので、指標3つのうち最後の1個に大いに悩みます。
現在、うめもんが考える課題と原因は以下のとおりです。
①売上の減少
これは、与件より明らかです。
原因も与件にあるとおり、「従来の主要取引先であるD社製品取扱薬局の減少」です。60字ですので、その前段の外部環境の変化にまで言及する余裕があります。
指標は、②の解答との重複を避け、「従業員一人当たり売上高」が適切と思います。
②利益の減少(固定費型企業)
これもPLから素直に読み取れます。
ただし、論述の部分は難しい。直接的な理由は①で解答している「売上の減少」ですので、ストレートに書いてしまうと解答の重複を起こします。
うめもんは、ここを「固定費型企業」と考えました。CVP分析の第2問、インターネット通販に関する第4問設問2などからも、出題者はD社の経費構造に着目(強調)しているとの推察です。
また、直接の固定費の科目なり、他社比較がないので、一概に「高い」とは書けません。この点にも少し工夫とテクニックが必要です。
指標は、数値的に差異が大きいのは「売上高経常利益率」(4.6ポイントの悪化)ですが、第2問とあわせて「売上高営業利益率」(4.3ポイント悪化)のどちらでも問題ないと思います。
③キャッシュフロー管理の甘さ(成功体験依存)
直接の原因は与件に記されていませんが、現在のうめもんがあげるとするとこれになります。
設備投資で費用が入用なのはわかっているのに、ストレートに言ってしまうとお金の使い方がヘタクソなままの予想財務諸表です。
これは、顕著である有価証券の保有以外にも、BSから以下の点が読み取れます。(単位:百万円)
・当期純利益27のうち、純資産への取り込みが7。すなわち20を配当金として支出しており、74%もの高い配当性向。
・平成19年度が償還時期であった可能性もありますが、これから費用が入用なこの時期に負債を返済している。しかも、有価証券の取崩しは微々たるもので、ほとんどが現金から。
高額商品でも固定客がいて、従来は経営が安定していたため、資金繰りやお金の使い方に無頓着であったように読み取りました。それが競合の激化している現在でも改善されずそのままである点を問題点として指摘したいです。
指標は難しいです。数値だけで見れば「当座比率」ですし、有価証券の保有を指摘するのであれば「固定資産回転率」でしょう。が、どちらも逆にピンポイント過ぎて「最も」とは言いがたい。ここは「総資本回転率」にしたいと思います。
2.再 再現答案
これの考えから、今解答を作るとこのようになりました。
問題点①
(a)従業員一人あたり売上高 (b)19.33百万円
(c)大手ドラッグストアやインターネット販売が普及するなかで減少傾向にある伝統的な町の薬局を販売チャネルとしていることである。
問題点②
(a)売上高営業利益率 (b)6%
(c)売上減少にもかかわらず、売上原価や販売費・一般管理費が売上規模と連動しておらず、費用の固定化が発生していることである。
問題点③
(a)総資本回転率 (b)1.11回
(c)開発投資が求められるなか、収益減少にもかかわらず、多額の配当金や借入金の返済が行われており、方針、管理が甘いことである。
3.結論 与件からまず問題点を把握するプロセスを
このように、数字の大乗に囚われることなく、設問要求に忠実に、与件と合わせてまずは問題点を把握するプロセスから考えると、確かに情報が少ないですが、財務諸表と合わせると問題点は把握でないことはない。後は、この問題点に従って指標を選択すればよいだけ。
財務諸表の数字だけでなく、与件、設問全体も使って解答を作ります。
与件だけでは問題点の把握が難しいことから難問だとは思いますが、悪問とまでは言えない、がうめもんの結論です。
なお、試験対策的には、配点が25点と少ないこともあり、与件に因の薄い問題点の③は除いて2つを確実に解答することが重要と思います。
長い記事への最後まで、お付き合いありがとうございました。
以上 うめもんでした。
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