【Shellyの合格心得・第3回】タキプロ答練 夫婦関係の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ
Shelly@タキプロ8期である。早速だが、2次試験対策として以下の事例問題に取り組んでほしい。なお、前回の事例問題は、読者に大変好評を頂いた。本ページ右下の「現在読まれている記事はこちら」にあるブログ閲覧数は500回を超えた。今回も500回を越えた場合、ハンドルネームを変更する。変更後は「夫婦関係診断士」とする。
Shelly一家(以降S一家)は、貯蓄〇万円、総資産4,865万円の千葉市郊外に自宅を有するサラリーマン家庭である。主な事業はShellyが展開するサラリーマン事業と、Shellyの妻が展開する家事・育児事業である。家長のShellyは妻の家事・育児事業の分担要求に対する迅速な対応を得意とし、これはShellyの強みのひとつでもある。Shellyは15年間勤務するZ社の中で未だ出世が遠い存在であるものの、積極的な残業を行うことによって妻からの信頼を得てきた。数年前までは、勤務先であるZ社の業績は安定的で賞与も人並みに支給され、S一家は獲得した収入を内部留保に振り向けて成長してきた。
しかし、ここ数年の勤務先Z社を取り巻く経営環境は、市場規模の縮小や競争激化によって先行きの不透明感が募っている。Z社は、近年の業績下落にともなって、早期退職制度の実施等全社的に大規模なリストラクチャリングを断行した。その後も一斉定時退社日が週2日設定されるなど、時間外勤務の削減による残業代の引き下げ要求によって、S一家の収入は減少傾向にある。
S一家の取締役会では、この要求にいかに対応すべきかが議論されている。S一家の収入の多くはZ社に依存しているため、状況は深刻である。妻はまもなく第二子出産を迎える。新たな家族を迎えるにあたって、S一家は今年度期首に千葉市内に新築戸建て住宅を購入した。また、自家用車は手狭となり、老朽化が見られたことから、中古の外国車を取得済みである。他方、2人の子供が大学卒業を迎えるまでの教育資金は2,000万円であると推定された。
このような状況から、S一家は収益拡大による内部留保資金の蓄積が重要課題となっている。そこでShellyは、家事・育児事業の収益構造改善に着手した。まず、通信費や保険料などの固定費を削減するとともに、水道光熱費に着目したShellyは、毎朝トイレのタンクに風呂の残り湯を注ぐよう妻に指示した。さらに、ママ友同士の接待交際費へ目を向けたところ、妻からはこれ以上の変動費の削減は困難であると怒りの報告があった。
S一家のサラリーマン事業の見通しは明るいものではない。Shellyは新たな収益の柱として、将来の独立開業を見据えた中小企業診断士資格取得事業への投資を検討している。そのためにはより合理的な意思決定を行うため、「独学」か「受験機関利用」のいずれかによる学習方法の事前評価が望まれる。以下は、今期のS一家の実績財務諸表と、同期における同業他者(みずもん)の実績財務諸表である。
※数値はあくまでもフィクションである。
第1問(配点68点)
(設問1)
S一家及びみずもんの財務諸表を用いて経営分析を行い、みずもんと比較した場合において、S一家の問題点のうち重要と思われるものを3つ取り上げ、問題点①、②、③ごとにそれぞれの問題点の根拠を最も的確に示す経営指標を1つだけあげて、その名称を(a)欄に、また、経営指標値を(b)欄に示すこと。なお、(b)欄の値については、小数点第3位を四捨五入せよ。
(設問2)
設問1で取り上げた問題点の内容について(c)欄に80字以内で説明せよ。
第2問(配点32点)
S一家の資格取得事業について、今後5年間の予測情報をもとに検討することになった。Shelly夫妻は中小企業診断士資格の合格後、すぐさま独立開業することで合意している。5年間の売上収入は、表に示すように「ストレート合格して2年目で独立」の場合と、「2年目で合格して3年目で独立」の場合の2通りが予想されており、毎年、それぞれ確率50%で生じると予想されている。また、コストは学習方法によって異なる。受験期間中は、低コストで済む「独学」の場合と、高コストになる「受験機関利用」の場合の2通りが予想されており、こちらも確率がそれぞれ50%と予想されている。独立以降のコストはいずれの場合も同額で、年当たり40万円と予想されている。キャッシュフローは売上からコストを控除したものとみなすことができ、初期投資は5万円と見積られた。
(設問1)
各年のキャッシュフローの期待値を(a)欄に、正味現在価値の期待値を(b)欄に示し、「独学」「受験機関」の2つの学習方法の選択に対し、どのような意思決定を下すべきかを(c)欄に述べよ。なお、計算を簡便化するため、キャッシュフロー等を現在価値に割り引くことはしない。なお、期待値については、小数点第3位を四捨五入せよ。
(設問2)
初期投資に先だって、タキプロ勉強会参加費として1万円※を投資することで、自らに相応しい学習方法が判明すると仮定した場合、(設問1)で得られた結果はどのようになるか、根拠となる数値を示しながら120字以内で述べよ。
※実際の勉強会は東京500円、名古屋・関西1,000円(平成29年度)
【 事例の概要 】
今回は、幼い子供を抱えながらも出世がままならない一家の夫が、勤務先の業績低迷に伴う収入減少を背景に、家計の安定と子供の教育資金の確保を目指して決意した中小企業診断士資格の取得を成功させ、一家を経済的な成長に導びこうとする事例である。
【 解答の考え方 】
第1問は家計の経営分析、第2問は資格取得事業の経済的効果に基づく段階的意思決定の問題である。
受験生にとって、学習活動の投資額・コストは切り離せない関心事だ。投資額・コストを検討するには、最初に一家の財政状態を分析する必要がある。その上で、投資効率が最大となる学習環境を求めたい。それには「情報収集」が重要である。それも、リッチで生の情報が必要だ。情報収集こそが、合格までの金銭的・時間的不確実性を低減する第一歩と言える。合格1年目のメンバーが提供するタキプロの勉強会やセミナーは、情報を収集する格好の機会である。
私は、2年間での合格を絶対条件として試験学習に取り組んだ。受験機関を通学で利用したが、その間、合格に必要と直感したカリキュラムやオプション講座は即断で申し込んだ。誰かが「使える」と言った参考書は手当たり次第に購入した。妻への相談など皆無であった。私が試験学習に投下した総コストは100万円に達する。一方で、試験学習中、私は妻に家計の節約を何度も迫った。なのに、妻は私に一度たりとも学習費用の節約を口に出したことはない。全ての出費に対して、妻は本当に理解してくれていたのだろうか。私は学習初年度の2次試験不合格直後に、妻から離婚届を差し出されている。今もその真因は告げられていない。
現在、GWの真最中である。受験機関の特別講座を受講した方も多いだろう。今後も多くの模試がある。もしかすると、あなたは試験委員の書籍を全部買い揃えるかもしれない。ここで申し上げたいのは、特別講座の是非や、自身の合格のために何に投資するか、ではない。学習方法ごとの費用対効果は個人によって異なるから、精緻な測定などできない。
試験学習に注ぐ全ての費用を、確固たる効果とともに家族の理解を得るのは難しい。しかし、日頃から学習計画と投じた費用、その成果を家族と共有していれば、理解は得られやすくなる。費用対効果を見定めるには、裏付けとして実際の合格者の経験も参考にしたい。
解答を検討する前提は、Shellyの合格心得【第1回】と【第2回】にある。ご一読いただきたい。
【 解答の展開方法と模範解答 】
(第1問 設問1/設問2)
・ 展開方法
経営分析の問題である。経営分析では、指標選択の整合性はもとより、正確な数値計算が求められるのは言うまでもない。受験生ごとに差がつくのは、財務状況を説明する記述問題である。事例文中の言葉と決算書の特徴的な数値を示す項目から、S一家の問題を突き止める。
・ 模範解答
(a)(b) (c)
(第2問)
・ 展開方法
期待値及びデシジョンツリーによる段階的意思決定の問題である。投資後のキャッシュフローの発生状況から、最適な投資案を意思決定する。デシジョンツリーは平成23年度以降の出題がない。過去問が入手できる方は参照して欲しい。期待値・デシジョンツリーは、CVP分析、NPV計算等に続く頻度で出題されている。
第2問は、読者の方々に広く解答を求めたい。今この瞬間、学習に対してあなたが行う選択は、中小企業診断士資格の取得と、その後の活用についての意思決定である。ご自身の未来に対する投資活動を、キャッシュフローという「努力の対価」として評価してみてほしい。
明日も事例Ⅳ対策!
Shellyが勝手にコメント数勝負に挑んでいる「ろうてつさん」が、事例Ⅳの攻略方法をご説明するっす。
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