【二次試験対策】 事例Ⅳへの対応力をつけるには?(後編) ~経営分析問題の解き方

 

皆さん、こんにちは!

月曜日担当の、はっしー@タキプロです。

 

例年事例Ⅳでは、第一問に財務指標を使って、財務上の問題点、課題、解決策などを説明させる「経営分析問題」が出題されていました。

 

昨年は経営分析問題が出ませんでしたが、復活は十分考えられるので、対応力をつけて置く必要があります。どの財務指標を選ぶか、また限られた文字数(なぜか60字以内が多い)でどう手際よく記述するか、慣れないうちは戸惑いますよね。一次知識の活用力が必要なためですが、コツが分かれば決して難しくないと思います。

私なりの解き方をご紹介しましょう。 

基本は、以下の3原則です

①   与件文の内容から何が問題となっているかを読み取り、関連する財務指標を考える

②   収益性(利益率)/効率性(回転率)/安全性のバランスを取る

③   指標を選定する理由がかぶらないように気をつける

 

最初のうちは、主要な財務指標をとりあえず全て計算して問題を発見しようとしがちですが、与件文から問題点を拾い出し、与えられた情報の中で仮説を立てて、それに関連する財務比率を選ぶという、逆の発想が求められます。

 

H23事例Ⅳ(水産加工メーカー) 第1問:設問1を例に考えてみましょう。この問題は、D社の財務上の問題点を特徴づける財務指標を3つ取り上げ、その原因と改善策を求めています。このうち、財務指標の選び方と原因の書き方について取り上げます。

 

まず与件情報から、問題点を読み取り、関連する財務指標を考えます。

・「年に数回、飛び込みの需要に応じている」                       ⇒ 必要以上の在庫?(棚卸資産回転率) 

 

・「大手スーパーとの取引が売上の15%、販売が順調に伸びている」⇒ 売掛金の増加?(売上債権回転率)

 

・「工場設備は生産能力に余剰があるものの、老朽化がみられ」               ⇒製造コスト高?(売上総利益率)

 

・「工場用地はすでに取得済み」                           ⇒遊休資産?(有形固定資産回転率)、あるいは                  ⇒原資が借金なら借入過大?(負債比率、売上高経常利益率)

 

実際に比率を計算してみると

 

D社(H22年)

 

同業他社(H22年)

判定

棚卸資産回転率

6.66回

10.63回

問題あり
売上債権回転率

6.86回

9.77回

問題あり
売上総利益率

19.51%

20.47%

問題あり
有形固定資産回転率

6.09回

5.13回

負債比率

290.99%

238.4%

問題あり
売上高経常利益率

0.61%

1.24%

問題あり

D社は、収益性では売上総利益率と売上高経常利益率、効率性では棚卸資産回転率と売上債権回転率、安全性では負債比率、に問題ありそうです。

 

ここで「収益性(利益率)/効率性(回転率)/安全性のバランスをとる」、「指標選定の理由がかぶらない」、を念頭に置いて、問題点と与件との因果関係を整理すると以下の4つになります。 

 

・設備老朽化                                         ⇒製造コストが高い(売上総利益率:収益性)

 

・飛び込み需要対応                                  ⇒在庫過多(棚卸資産回転率:効率性)

 

・在庫過多、土地取得                                ⇒借入依存度高い(負債比率:安全性)

 

・大手スーパーへの売上急増                           ⇒売上債権増加                               ⇒資金繰り圧迫(売上債権回転率)

 

一方、設問2にキャッシュフロー面から経営課題を問う問題があるので、売上債権回転率はそちらへ回す。また負債比率で借入過大を指摘するので、収益性では経常利益率より売上総利益率を選び、生産コスト高に焦点を当てる。

 

以上より、財務指標としては、売上総利益率、棚卸資産回転率、負債比率の3つを選び、財務上の問題点の原因を以下のようにまとめます。

「原因は、①設備老朽化により製造コストが高い、②飛込み需要対応で在庫が過大、③在庫保有や土地取得のため借入依存度が高い、である」

 

経営分析問題は、与件の記載内容に基づいて問題点の仮説をすばやく立て、指標計算で検証し、因果関係にまとめるのが基本パターンです。記載内容から仮説を立てるスピードがカギですが、過去問を繰り返し説いて慣れれば決して難しくありません。過去問の第一問だけを30分で集中して解く練習も有効です(私もやりました)。繰り返すうちに、分かったと思える瞬間が必ず来ます。苦手意識を持ったままではもったいないですよ!

 

今回は事例Ⅳへの基本的な取り組み方について、前編・後編に分けてお話ししましたが、この点がまだ良く分からないとか、ご質問やお悩みがあれば、お気軽にコメントを下さい。

それでは、また来週!

 


タキプロ勉強会のお知らせ

 

【今後の予定(東京)】

・4/7(日) 9時半~12時 京橋プラザ区民館 題材:H23事例1&1次対策(希望者あれば)

・4/11(木) 19時~22時 京橋区民館 題材:H23事例2&1次対策(希望者あれば)

・4/21(日) 9時半~12時 京橋区民館 題材:H23事例3&1次対策(希望者あれば)

・4/25(木) 19時~22時 八丁堀区民館 題材:H23事例4(予定)&1次対策(希望者あれば)

*2次試験対策では、すべての設問を議論の対象とすることは時間の都合上できません。なるべく受験生の希望を反映するため、参加申し込み時にディスカッションをしたい問題をご記載いただければと思います。
また、題材の事例について事前に解答を作成し、5部程度コピーをお持ちください。
*1次試験対策を希望される方は、参加申し込み時に対策をしたい科目と、どのようなことをしたいかを簡単にご記載ください。

 

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