中小企業診断士試験制度を読み解く  byじゅん

■はじめに

おはようございます。じゅんです。4月9日です。二十四節気では清明。「清浄明潔」の略で、春の清らかで生き生きとした様子を表しているそうです。

桜は散ったところも多いですが木々の若葉が芽吹き、花が咲いて、これから春本番です。花粉症に悩まされる方々も多いと思いますが、8月の1次試験に向けて頑張ってゆきましょう。

さて、今日は試験制度のお話です。2次試験が何たるかも詳しく知らずに1次試験を受けてしまった私個人に対しての反省を込めたお話が出来たらと思います。(前回のブログはこちら「合格に大切な基本的考え方」 byじゅん – タキプロ | 中小企業診断士試験 | 勉強会 | セミナー (takipro.com)

■中小企業診断士とは 制度、役割、業務

中小企業診断士の試験制度のお話に入る前に、初めに経済産業省のHPを見てみましょう。中小企業診断士の登録においては、経済産業省のHPに以下の如く説明されています。(出典:経済産業省HPより)

概要・目的

中小企業の発展のため、中小企業の経営について診断・助言を行うことが重要であることから、経済産業省では経営の診断・助言について一定の能力を有すると認められる者を中小企業診断士として登録している。中小企業診断士の資格については、5年間の更新制としているが、平成31年4月1日現在、約27,000人の診断士が登録されている。

根拠法令

中小企業支援法(第12条第1項) 昭和27年度

次に、中小企業診断協会の説明によれば(出典:一般社団法人中小企業診断協会HPより)

(1)中小企業診断士制度について

 中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。法律上の国家資格として、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。


 中小企業診断士制度は、中小企業者が適切な経営の診断及び経営に関する助言を受けるに当たり、経営の診断及び経営に関する助言を行う者の選定を容易にするため、経済産業大臣が一定のレベル以上の能力を持った者を登録するための制度です。


 中小企業基本法では、中小企業者が経営資源を確保するための業務に従事する者(公的支援事業に限らず、民間で活躍する経営コンサルタント)として位置づけられています。

(2)中小企業診断士の業務とその役割について

 中小企業診断士は、企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスが主な業務ですが、中小企業と行政・金融機関等を繋ぐパイプ役、また、専門的知識を活用しての中小企業施策の適切な活用支援等幅広い活動が求められています。

中小企業診断士の業務とは?

 中小企業診断士の業務は、中小企業支援法で「経営の診断及び経営に関する助言」とされています。
 「現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイス」が主な業務ですが、その知識と能力を活かして幅広く活躍しています。

中小企業診断士の役割とは?

 中小企業診断士は、まず企業の成長戦略の策定について専門的知識をもってアドバイスします。また、策定した成長戦略を実行するに当たって具体的な経営計画を立て、その実績やその後の経営環境の変化を踏まえた支援も行います。このため、中小企業診断士は、専門的知識の活用とともに、企業と行政、企業と金融機関等のパイプ役、中小企業への施策の適切な活用支援まで、幅広い活動に対応できるような知識や能力が求められています。

■中小企業診断士の役割と質の担保

これらをご覧頂いて分かる様に、中小企業診断士とは

「中小企業者が適切な経営の診断及び経営に関する助言を受けるに当たり、経営の診断及び経営に関する助言を行う者の選定を容易にするため、経済産業大臣が一定のレベル以上の能力を持った者を登録するための制度」(出典:一般社団法人中小企業診断協会HPより)

つまり、簡単に言えば、中小企業に助言する人の質を担保して中小企業が成長することを助ける人々の資格制度です。

こんな話は分かってるよ、という声が聞こえてきそうですが、もう少しお付き合いください。

では、ここで皆さんに質問です。何故あなたは合格のための平均勉強時間1000時間ともいわれる中小企業診断士の資格を取りたいのですか?中小企業を助けるコンサルタントとしては別に資格は無くともコンサルタント業は可能です。

まず、資格審査は国のいう質の担保という事が挙げられます。資格のないコンサルタントの方々で素晴らしい能力をお持ちで成功されている方々は多く見えます。必ずしも資格は必要ではなりません。

資格勉強をする多くの時間の替わりに実際のコンサルスキルを学び、実践した方がより良い提案を中小企業に提案できるかもしれません。

しかしながら、実際の中小企業を考えてみましょう。社長が頑張って事業を起こし、ある程度の規模までは来たが、社員が増えるにつれ人事制度を構築しなければならない、いやいやIT化が遅れているのでDXを進めないといけない、そんなことよりも新製品開発と販路開拓が重要だ、などなど課題が山積み、プライオリティを決めかねているどこから手を付けてよいのか分からない、銀行からもやいのやいの言われるといった状況が目に浮かびます。

そんなときにお役に立てるのが中小企業診断士なのです。中小企業診断士の資格があれば一定の質は担保されていると見なされます。それならば、資格は取っておいた方が良いですよね。資格があるだけでレベルが保証されるのですから。

中小企業診断士として一人の人が全てを解決することは難しい案件が多くあります。中小企業の社長にとっては相談する診断士は一人で、その診断士から他のスキルをもった人々を集めて貰い解決する方が全体最適も考えてもらえるし、プライオリティも検討できると良い事づくめです。そういったサポートが要求されているとも考えられます。

■試験制度のお話 1次試験

こんな状況を考えてみると、現在の試験制度はこういった中小企業診断士を育成し、選抜し、登録させることを考えていると推測されます。

ここからは試験制度のお話です。上記の考え方から推測すれば1次試験は経営全般に関して知識、理解を幅広く求める試験内容となっています。

自らの得意不得意はあるにしても、最低40点の得点が必要で、弱みを補うだけの強みにより平均60点を取る必要があるという設計です。自分の不得意な分野でもある程度の理解があれば専門家を斡旋できるという事でしょう。

こんな状況が思い浮かびませんか?

社長「じゅんさん(中小企業診断士)のおかげで売り上げも伸びてきました。ありがとうございます。しかしながら売り上げが上がって来るにつれて、事務量が増えて困っています。何とかなりませんか?」

じゅん「いやー、営業マーケティングは分かりますが、ITはさっぱりなので私に聞かないでください。」

これでは社長は困りますよね。

出来れば

じゅん「そうですね、私の得意分野ではありませんが、受発注の仕組みや在庫管理が今後重要になってきますから、その辺りに詳しい人を次回お連れします。お任せください。」

こうなれば最高ですね。そして出来れば、会社全体のビジョン、目標を把握してやるべきことのプライオリティを社長に進言できるようになれば素晴らしいですよね。

こういった様に社長にお話しできる基礎知識を経営全般において持っておくことが必要であると考えると、1次試験はそのように設計されています。最低でも40点という事は全くその分野が分からないという事ではなく、最低限の基礎知識はもっておいて下さい。

経営はいろいろな事の組み合わせですよ、と言っていることに他なりません。そして経営のいろいろな知識を持ち合わせることで優先順位付けも可能になってきます。(経営の本質は優先順位をつけて粛々と活動することと思っています)

■試験制度のお話 2次試験

では2次試験はどうなのでしょうか?

2次試験は筆記試験口述試験です。口述試験はほぼ全員が合格するという事ですので、筆記試験に焦点を当ててみましょう。

筆記試験はペーパー上での事例に対して的確な助言が出来るかという試験です。ここで必要なのは実際に中小企業診断士となって会社の社長にヒアリングすることを考えてみましょう。

社長「最近、競合会社が現れて価格が下がるし、販売台数も落ち込んで大変なんだ。どうしたら良いだろう」

じゅん「それでは、プロモーションやSNSで宣伝して売り上げを増やしましょう。」

こんな会話で良いのでしょうか?(こういう具体的な対策のみ求める社長さんも多いですが…)

本来は、競合会社の強みは何で、なぜシェアを奪われているのですか?とか価格を維持するための方策は何かアイデアがありますか?実行できますか?売り上げが落ちているのは競合が強いからだけですか?御社のサービスなどが弱みになっていませんか?

など、ヒアリングでは何を聞くかが大切で、そのヒアリング結果の中でも最も経営に影響を与えていると思われる本質的課題に対して対策を立てていくことが求められます。

2次試験はこういったこと、ヒアリングや分析の結果として合理的に結論、解決策を考えるための課題が既に事例化されています。実戦よりもヒアリングの手間が省かれているという事ですね。(コンサルティングをする場合、ヒアリングの仕方や内容を間違えてしまうと適切な提案が出来ないことになります。その部分が必要ないという事です。)

その事例の中で何が重要であるのかを設問に即して探し纏めるという作業です。(ここではあくまで事例と設問に即してという事です。自らの経験などを回答してはいけません。)

分析力と構想力が必要であり、1次試験の知識やフレームワークを使ってという事になります。その上で口述試験という最低限のプレゼン、説明能力が試されます。

今まで見てきたように、中小企業診断士の試験制度は、中小企業診断士が実際に適切なアドバイスを行うにあたり、必要な能力、知識が備わっているかを判断する必要不可欠な試験内容となっています。

他の資格試験においてはペーパー試験のみで適切なアドバイスをする能力を判断する試験を課していないものも多くあり、その意味では難関試験の一つとなっていることも理解できます。

言い換えれば、中小企業診断士は中小企業が各々異なっている中で最適の企業戦略を提供するためのフレームワークや、知識、ヒアリング能力、計画立案、実践能力などを適切に提供する最低限の能力を担保する試験と言ってよいのではないかと考えています。

■おわりに

最後に皆さんが中小企業診断士になりたいと思われた目的も考えてみてください。純粋に中小企業を助けたいという方も見えれば、自らのスキルアップやキャリアアップのために知識能力を高める方も見えるでしょう。

その目的はいろいろと異なっているとはいえ、目先にある経営課題を解決する能力を高めることで、中小企業の助けになることもあれば、自社内部で適切な提案をすることにより自らのキャリアアップを図ることも出来るようになります。

ここでも1次試験の全体感からの提案や2次試験での課題抽出、解決策提示能力を活かす事が出来ると思われます。

そんな将来を思い描き、中小企業診断士を身近なものして感じることで何故この試験制度になっているかを理解し、試験問題の出題の意図を把握することが合格への近道となると思われます。

将来の自分の進む道を頭に描きながら一歩一歩進んでください。応援しています。

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次回はベグライトさんの登場です。
お楽しみに!

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