口述試験対策から始める2次対策 byかずや
タキプロ15期のかずやと申します。
15期のひとりとしてブログを書かせていただきます。よろしくお願いします。
■はじめに
私はたまたま2次試験の関門を通してもらえた1人、それだけです。
不合格となった方と自分が大きく違うわけでもなく、数か月前には同じように受験生でした。合格したからといって偉いわけでもありません。実際に企業の支援ができるのかも、対価をいただけるようにアウトプットできるのかもわかりません。
何かの縁で私の文章を読んでくださる方は、きっと2023年の2次試験で悔しい思いをされた7,080人の方が中心になるのではないかと思います。
わたしも、去年は通してもらえなかったひとりです。なんとなくわかっていたけど、心のどこかでは通してくれたらいいなと思っていたので、やはりショックでした。
ただ誰かが用意した関門を通してもらえたか、そうでないかだけ。
であれば、素直にありのまま、今日は2次試験の勉強中に、何に困り、どう対応していたのかに特化して私の記事をまとめていきたいと思っています。
私の戦歴。
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | 合計 | |
2022 | 63 | 55 | 62 | 52 | 232 |
2023 | 76 | 64 | 74 | 67 | 281 |
特に以下のような思いを持っている方に読んでみてほしいです:
- 2次試験で合格につながる文章がなぜ書けないかと悩んでいる
- 何が合否を分けているのか、よくわからない
- わかりやすく的を射た文章を、短時間でつくることに苦労している
そんな方の何かヒントになればと思います。
■自己紹介
- 年齢性別:30代男性
- 職業:JTC
- 受験歴:1次2回/2次2回
- 勉強時間:1次500時間/2次500時間(1年5ヶ月)
- 勉強方法:1次・2次ともに自習
- 保有資格:簿記2級、ビジネス実務法務・会計2級、ITパスポートなど
■私が困っていたこと
私が困っていたことから自己開示します。
私は、
- 試験時間として許されるわずかな時間に
- 聞かれていることに対して真正面から
- 端的でわかりやすい文章にまとめること
に困っていました。
まず、質問に対して真正面から回答することがどういうことなのかがよくわかりませんでした。
解答に含まれるべきとされるキーワードが知りたいのではなくて、その解答に至るまでのプロセスを知りたかったのです。合格者が文章を作成した頭の中で、どういう整理がなされたのかが知りたい。どうやってそのキーワードを選んだのか。どうしてこの順番でキーワードをつなげたのか。なぜこちらのキーワードは使わないのか。
このキーワードと順番で、質問の何を捉えて、どう打ち返そうとしたのか・・・。
そして、書いた文章の因果関係が通っているのか。理由と結果に抜け漏れはないのか。それをどのように見極めるのか。
自分で「よし」と思って書いた答案を、自分で客観的かつ批判的に読むことに限界がある。そもそもその能力がないから困っている・・・。
さらに、その力をどう鍛えていくか。
模範解答としてきれいにまとまったものは様々なところに出回っています。各予備校の模擬試験も、こう書いたらよいという模範解答があります。でも私が知りたいのは、先にも述べましたが、そのプロセスなのです。出来上がった筋肉質な体は美しいのですが、その過程を見せてもらって、自分も追体験したい。すべての問題でプロセスに触れてもらえていればよいのですが、そんなことはありませんよね。
こうした考え方に慣れていたり、どこかで気が付いて変化をさせてこれた方が、こうした力を身に着けてこられたのではと思います。でも自分はそんな経験やスキルがなかったのだと、試験勉強を通じて理解しました。
■「蕎麦屋の売上が下がったのはなぜ?」
では、それに対する自分なりの向き合い方として、ひとつの例を示したいと思います。
もしあなたが令和5年の事例Ⅰでこう尋ねられたら、どのように答えますか?
与件文のキーワードだと、概ね以下のようなものでしょうか。
与件からのキーワード
- 競合が現れたから
- 昼食の顧客需要が奪われたから
- バブル経済が崩壊したから
- 従業員の離職が続き、サービスの質の低下を招いたから
- オペレーション効率が悪いから
- 蕎麦以外にも経営資源が散逸したから
“ファミリーレストランやうどんやラーメンなどのチェーン店、コンビニエンスストアなどの競合が現れたから”
幼かった、以前の私の回答
私は以前なら、こういう回答をしていたと思います。
「え、当たり前でしょ?!」といった感じで、それ以上の深掘りはしなかったし、できませんでした。
でも今は違います。
- なぜこの競合が現れると売上が下がるのだろう?本当に下がるのだろうか。
- 競合の何が脅威なんだろう?
- 昼食の顧客需要ってなんだろう?
こんなふうに、さらに、「なぜ(Why?)」や「だから何?(So What?)」を繰り返して、深掘りしていきます。
競合は大きく2つに分けられますね。
与件では明記されていませんが、句読点の位置からすると、与件の分類の軸は外食か中食かだと思います。
外食産業としての | ファミリーレストラン・うどん・ラーメン店(与件でいずれも「チェーン店」) |
中食産業としての | コンビニエンスストアなど |
まず外食産業としては、ファミリーレストラン・うどん・ラーメン店が競合ですね。で、これらがなぜ競合なのかというと、蕎麦店が「うどん、丼もの、カレー、ウナギ、豚カツ、オムライスなどもメニューに加え始め、まちの食堂的な役割」を果たしていくようになったからですよね。要はメニューが重なるからです。
ここでしいて言えば、ラーメン店はメニュー、品揃えの観点で競合になる理由はないと思います。蕎麦店のメニューにはないからです。ラーメン店が競合するのは、たとえば人々の好みの変化によってラーメンが選択肢になってきて、かつ、ラーメンのほうが反復性の高い食べ物だから、になるでしょうか。どういうことかというと、まず人々がラーメンの美味しさに気づき、ラーメン店に行くようになる。しかし、ラーメン店に月に1回行くだけなら、蕎麦店とは競合しないかもしれない。蕎麦店にとって脅威が具体化するのは、人々がラーメン店に繰り返し行くようになり、蕎麦店に足を運んでいた日がラーメン店にとって代わられるときです。ここではじめて売上に影響するようになります。したがって、競合が現れたからだけではなく、ラーメンという料理の特性や人々の食生活の変化、そういったものも背景にあるはずです。(※与件に書いていないので、回答では使えませんが。)
つぎに、中食産業としてのコンビニエンスストアです。
コンビニがなぜ競合かというと、これまではお店で食べることが前提であった世界に対して、家・職場、あるいは移動中の車中などで食べるという新たな市場を開拓してきた結果、人々のライフスタイルに変化を起こしたからです。さらに、蕎麦をはじめとして、うどん、丼もの、カレー、ウナギ、豚カツ、オムライスなどがコンビニでも扱われることで、競合になったわけです。
ここまででみると、競合が現れたこと、それはそうなのですが、さらにこれらが競合になったのは、「メニューが重なるから」だといえます。
なので、冒頭の質問には、「競合が多数出店し、そこで提供されるメニューが重なった結果、顧客が奪われたから」、と回答すべきと考えます。
ちなみに、売上高の大半を昼食の顧客需要が占めていたとの記載もありますね。売上が下がった理由を問われており、大半を占める昼食の顧客需要にも触れたくなりそうです。しかし、与件文にはなぜ売上の大半を昼食の顧客需要が占めていたかの記載まではありません。したがって、ここに触れるのは根拠が薄くお勧めできません。あるいは、昼食の顧客需要が失われたことも、メニューが重なる競合に顧客を奪われたからということができます。
「多少離れていてもマイカーで来店する顧客も年々増え始め、県道沿いの立地が功を奏した」り、「店舗周辺の宅地化が急速に進み、地域人口が増えるに従って、来店客、出前の件数ともに増加していた」り、ということであれば、夕方~夜の需要も獲得できていたのではないかと思いますが。。ここからはポエム化しそうなので、深入りしないほうがベターです。
また、これらの店舗はチェーン店のようですね。
チェーン展開しているということは、大量の仕入れや集中工場での生産によるコストリーダーシップ戦略(マイケル・ポーター教授)によって、コストメリットを得ているかもしれません。しかし、コストを抑えることと売価を抑えることは必ずしもイコールではないとされます。コストは抑えるが、売価は高く保って利益を多く出すということもできる。あくまでコスト(利益)の話だということですね。
ということは、競合がチェーン店であるという要素が価格競争に使われているともいえず、蕎麦店の売上とは直結しない、と考えるほうがよさそうです。チェーン店でなくとも、メニューが重なれば競合になります。
ここでは、チェーン店であることが脅威であることを否定するものではありません。ブランド力や知名度が高く、たとえばハンバーガーが食べたくなったらマクドナルドというように、想起してもらえる可能性が高いということが十分あり得ます。
ただ、自社の売上を減少させた理由としては、今わかっている与件の範囲からは遠因であるといいたいだけです。
■どうやって鍛えるのか、口述試験対策から手を付けてみては
では、鍛えていくためにどうしたらよいでしょうか。
過去の私に伝えるなら、「口述から始めてみることも手だよ」と伝えたいと思います。単にキーワードの説明を行うものではなく、「なぜ?」系に応えるものが良いと思います。問題がなければ、2次試験の問題を口述試験だと思って対策してみてもよいと思います。
ほぼ100%受かる口述試験の対策は、2次合格からで全然遅くない。そんなコメントをよく見ました。合格するためなら、それでよいと思います。
大して過去問も見当たらないですし、私もそれでいいと思っていました。
しかし、実際に口述対策を行い、試験を終えてみると、「短時間で因果関係をつくるトレーニングができるじゃん。実はこれが必要だったんだ。」と感じました。
瞬時に質問の意図を判断し、根拠を並び替え、声に出してアウトプットする。1問の回答は1~2分。2分話そうと思うと、ゆっくり話しても400文字は必要です。400字分も文章をさっとまとめられるようになれば、2次筆記は余裕で対応できるようになると思います。
結局2次筆記であっても80分の制限があるので、アウトプットが書き言葉か話し言葉かの違いだけですよね。声に出してアウトプットする、というところがミソだなと思います。
実は前述の「蕎麦屋の売上が下がったのはなぜ?」も、私が実際に口述試験で尋ねられた質問です。
私はこんな風に、一つひとつの言葉や事象を「なぜ?」「本当に?」と思い返しながら深掘りしてきました。協会からの正解の発表はありませんが、単に「競合」とだけ回答していたときよりも解像度が一段上がり、具体的に回答できるようになったと思います。
受験が終わった後、コンサル出身の方が出されているいくつかの本を読み(もっと早く読めばよかった)、同じような思考回路で考えていることがわかり、自分の進んできた方向は誤っていなかったのではないかと思います。
■おわりに
いかがでしたでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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次回はたろーさんの登場です。
お楽しみに!
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