2次筆記試験-本当はどうやって採点するのだろう?by Naobo
読者の皆さん、こんにちは。タキプロ15期の Naobo と申します。2次筆記試験も終わり、試験勉強中でできなかったことに取り組まれている方も多いと思います。私も昨年の今頃は、温泉に行ったり、後回しにしていた仕事に取り組んだりでいました。
今回のブログは、謎の多い?2次筆記試験の採点に関するちょっとした考察になります。受験後の気晴らしに軽く読んでいただければ幸いです。
タキプロ15期メンバー募集
★参加応募受付中★
下記バナーから参加申し込みいただけます!
目次
■はじめに 2次筆記試験の合格基準と合格率
正解が一切公表されていない2次筆記試験の合格基準について、日本中小企業診断士協会連合会のHP上の「試験に関するよくある質問(FAQ)- 第2次試験の合格基準等について」では、
https://www.jf-cmca.jp//contents/013_c_faq/001_faq_shiken.html
「筆記試験における総点数の 60% 以上で、かつ、1科目でも満点の 40% 未満がなく、・・・」
と書かれているだけです。毎年公表されている数字を基に2次筆記試験の合格率を再確認すると、
となり、合格率は18%台でほぼ一定です。採点方法も公開されていないので、複数の担当者が同じ設問を採点しているのか、設問ごとに採点担当者が決められているのか一切わかりません。いずれにせよ、何ら調整されていない採点結果だけではだけでこのように一定の合格率になることは考えにくく(1次試験の合格率のばらつきを見てもらえればわかると思います)、「タキプロ」を始め、「一発合格道場」、「みんなの再現答案」 その他ネット上に、試験の採点基準についての考察結果(偏差値仮説、大問ごとの得点調整 など)がまとめられています。今回は、仮に偏差値を最終得点の基準とした場合(偏差値仮説)について少し深堀したことをまとめたいと思います。
■偏差値が最終的な点数の基準に使われているとしたら
偏差値と言われて、記憶が大学受験まで遡る方もおられると思います。テストの偏差値は、テストを受けた集団の中で自分の成績がどの位置にあるかを示す数値です。平均点を基準にして、成績のばらつきを考慮して計算されます。偏差値の計算方法は以下の通りです。
((個人の得点 – 平均値)/ 標準偏差)x 10 + 50
そして採点結果が正規分布だとすると(これから先の話は正規分布を仮定して進めます)、次のような分布図となり、偏差値60以上は上位15.87%となります。参考まで偏差値59以上の場合は上位18.41%となります。これらの数字が2次筆記試験の合格率18.x%に近いことから、偏差値が基準になっている可能性がある、と言う説(偏差値仮説)が導かれています。
仮に、各事例の偏差値を最終的な点数とした場合、40点の足切り後の総点数240点以上の人が何%になるかは分かりませんが、偏差値を基準に、必要に応じて若干調整を行った結果、合格率を18.x%に収めていると推測しています。
■個人の得点、全体の平均値が同じ試験でも、標準偏差によって偏差値は変わる
もう一度偏差値の計算式を見てください。(個人の得点 – 平均値)/ 標準偏差となっているので、標準偏差が小さい程、得点が平均点より高い時には偏差値はより高くなり、逆に平均点より低い時には偏差値はより低くなります。例えば、個人の得点が65点、平均点55点の試験があったとします。標準偏差が10点の場合は、偏差値60ですが、標準偏差が5点の場合は偏差値70となります。
もし、偏差値が点数計算に使われているとすると、自分のできた感(個人の得点)と、試験全体のできた感(平均点)だけではなく、採点結果のばらつき具合(標準偏差)によって偏差値(偏差値仮説が正しければ最終的な点数)が大きく変わることになります。
■参考になる!? 司法試験の論文式試験における採点格差の調整方法
筆記試験のある国家試験は多くありますが、その一つである司法試験について、その採点方法で公開されている情報があったので紹介したいと思います。
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi01700001_00062.html
https://www.moj.go.jp/content/001408480.pdf
この書類には、「司法試験予備試験考査委員会議申合せ事項」とありますが、論文式試験採点格差の調整方法ついて触れています。
少し乱暴にまとめると、同一問題に対する各考査委員格差に加えて、問題間の格差を是正するために受験生の試験の点数(素点)から偏差値算出して最終的な得点とする、ということです。司法試験では、各考査委員の採点毎に偏差値を計算しています。中小企業診断士2次試験の採点においても、司法試験で用いられているように、偏差値を最終的な得点の基準にしている方が自然な感じがします。
■おわりに
今回は、2次筆記試験の得点を計算するのに偏差値が使われているのでは? という仮説に基づいて少し深堀してみました。偏差値を最終的な得点の基準にしているとすると、自己採点と実際の結果が大きく異なることもあります。仮に失敗した、と思った事例でも実は合格点レベルに達しているかもしれませんし、その逆もありえます。試験当日には、自分以外の受験生の状況は判りません。とにかく試験の点数を1点でも積み上げることが合格への道です。
次回は、かずや さんの登場です。
お楽しみに!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
↓下のボタンを押して、読んだよ! と合図していただけると、とっても嬉しいです。
(診断士関連ブログの人気ランキングサイトが表示されます[クリックしても個人は特定されません])