タキプロ的おすすめ書籍『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』
中小企業診断士を目指す皆様、こんにちは。がんちゃん/岩間です。
学業や仕事において、「自身の考えを整理し、読み手に伝わるように書く」という作業が必要になります。とりわけ中小企業診断士においては、経営診断を行うにあたり、その作業の重要性は高いといえます。
しかし、このような作業が苦手で、上手く早くできるようになりたいと思う方も多いでしょう。
この技術を高める方法(※1)はないでしょうか?また、あるならどうしたら良いでしょうか?
⇒その疑問に答えるのが、本日ご紹介する『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』(バーバラ・ミント[著], グロービスマネジメントインスティテュート[監修]、山崎 康司 [翻訳])です。
※1 1次試験の「運営管理」や事例Ⅲ(生産・技術)では、作業面での品質改善において、標準化やマニュアル化が重要であるということを学習します。具体的な内容は、標準化により作業の品質のばらつきを抑え、マニュアル化により、他の人が同じ品質で作業できるようにし、品質を改善するというものです。本書は、「考えを整理し読み手に伝える」という技術において、標準化し、マニュアル化したものと考えられます。
本書では、「ピラミッドの鉄則」(※2)を基本として、「考えを構成すること」、「本質的な考えを抜き出すこと」、「問題解決方法を見つけること」、「表現すること」に関するテクニックが紹介されています。
※2 「ピラミッドの鉄則」とは、主眼となるメッセージを最も上に置き、それを支持するメッセージを下へ広げて、全体としてピラミッドの構造をつくるという考え方です。
本書自体をご存知の方も多いと思いますし、
「要素はMECEで並べよ」「結論は先行せよ」、「要素を並べるのは3つに留めよ(それ以上ならグループ化せよ)」などの作文テクニックをお使いの方も多いと思います。
⇒そこでテクニックの各論については他のブログを参照していただくとして、今日は「診断士受験生が本書をどのように活用していくか」の一例をご紹介いたします。
- 【基本編1】学業・業務に
- 【基本編2】次は、2次筆記試験の答案作成に
- 【応用編】2次筆記試験の事例分析に
1.【基本編1】学業や業務に
学生の方やお仕事をされている方は、日常的に文章を書く機会があると思います。まずはそこを土台にトレーニングすることをお勧めします。
【行うべきこと】
- まずは本書を入手します。
- 本書の第Ⅰ部「書く技術」と第Ⅱ部「考える技術」を読みます(約170ページ、30分〜2時間)。
- 各章・各節の導入部分のみ精読し、その他は、他の学習時間と調整のうえ、適度な時間で読みます(※3)
- すぐに使えそうなテクニックの部分に、線を引く、付箋を貼るなどマークをします
- マークした箇所を抜き出し、即日実践します。
※3 本書は精読するに値する内容が詰まっていると考えていますが、受験勉強をされている方には本を読むための十分な時間を取ることが難しい場合があると推測し、「適度な時間で読む」と表現させていただきました。
【使えるテクニック】
- 結論先行で書く
- 導入部分は、S(状況)+C(複雑化)+Q(疑問)+A(答え) の4文構成にする
- 箇条書きの各要素間(階層化上の横の関係)は、
(1)抽象度を合わせる
(2)一定の序列に従って配置する
2.【基本編2】2次筆記試験の答案作成に
【基本編1】でのトレーニングに慣れてきたら、2次筆記試験の「答案作成」のプロセスで使いましょう。
【使えるテクニック】
- 要素を並べる際には、要素間で内容の抽象度を一致させる
- 結論先行で書く
【注意点】
「2次筆記試験」においては、本書のテクニックを使うとかえって解答の質が下がる可能性があることに注意しましょう。解答の質が下がる理由は、2次筆記試験では、(1)字数の制約があることや、(2)与件文中の表現を用いることなどの特徴があり、これらと本書のテクニックが競合する場合があるからです。
2次筆記試験においては、これらのテクニックは愚直に使えるものではないことを理解し、「使えるときに使う」という方針で進めるのが良いでしょう。
- (1)「構造上の分かりやすさ」を求めると、より多くの字数が必要となり、重要なキーワードを盛り込めなくなることがあります。
- (2)抽象度を一致させたり、要約を入れたりした結果として、与件文中にない表現を利用することになり、採点者への説得性が低下することがあります。
3.【応用編】2次筆記試験の事例分析に
本書の第Ⅲ部(問題解決の技術)には、問題解決のフレームワークが書かれています。具体的には、「問題の定義」、「分析の構造化」、「解決の発見」です。
⇒これらを2次筆記試験の事例の分析に用いてみましょう。ここに書かれているフレームワークに慣れることで、2次試験(特に事例Ⅲ)において解答骨子を素早く作れるようになると思います。
【例】[平成25年度事例Ⅲ 第3問]
- 状況: C社経営者が、新規事業開発を模索している
- 懸念される出来事: 今後の新規事業に失敗
- 何が好ましくないか?(R1)/代わりに何を望むか?(R2):
過去に共同開発事業に失敗/今後の新規事業開発を成功
⇒解決策:過去の失敗原因を排除し、今後の新規事業にて留意 - 何が好ましくないか?(R1)/代わりに何を望むか?(R2):
競争力の低い製品/付加価値高い製品
⇒解決策:開発体制の強化
本日は、「診断士受験生がどのように活用していくか」という観点で、(1)学業・仕事に、(2) 2次の答案作成に、(3) 2次の事例分析に、という活用方法を紹介しました。当然ながら、本書は中小企業診断士に関係なく、文書作成に関わるすべての作業に役立つものですので、長期的に色々なシーンでご活用いただければと思います。
来週から新年度がはじまります。年度の切り替わりは、新しいことに取り組むのに絶好の時期です。新しいことにチャレンジしながら、診断士の学習も継続していって下さいね。
以上、がんちゃん/岩間 でした。
『[新版]考える技術・書く技術 問題解決力を伸ばすピラミッド原則』
- バーバラ・ミント著、グロービス・マネジメント・インスティテュート監修、山﨑康司訳
- ISBN:978-4-478-49027-3
- http://www.diamond.co.jp/book/9784478490273.html
タキプロ勉強会のお知らせ
【今後の予定(東京)】
◆日時・場所
・3/30(日) 9:30~12:00 京橋区民館 題材:H25事例3
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・4/23(水) 19:00~21:30 京橋区民館 題材:H24事例3
◆会費 :500円
*題材の過去問を解いて、解答のコピーを8部 ご用意ください。
*問題を忘れずに持ってきてください(自分で確認用)。
*お釣りが出ないようにご用意ください。
*一次試験対策も5月以降検討中です。ご要望あればコメントください。
*時間の都合上、全部の設問を扱うことはできません。あらかじめご了承願います。
【今後の予定(大阪)】
2次試験の問題を基にした設問をこちらで用意しますので、グループメンバーで議論や意見交換を行った上で解答を作成していただき、各グループから発表をしていただきます。初学者の方も受験経験者の方もぜひご参加ください♪
①4月13日(日)10:00~16:00
◆内 容:
10:00~12:30 グループディスカッション(H24年度2次試験事例Ⅰ)
13:30~16:00 グループディスカッション(H24年度2次試験事例Ⅱ)
◆場 所:
梅田阪急オフィスタワービル29F セミナールーム
(大阪府大阪市北区角田町8番1号)
◆参加費:1,000円 ◆定 員:40名
◆持ち物:
・H24年度2次試験問題用紙(事例Ⅰ、事例Ⅱ)
・上記再現答案(作成されている方は併せてご持参ください)
②4月18日(金)19:00~21:30
◆内 容:
グループディスカッション(H25年度2次試験事例Ⅲ)
◆場 所:
グランフロント ナレッジキャピタル7階(大阪市北区大深町3番1号)
◆参加費:1,000円 ◆定 員:20名
◆持ち物:
・H25年度2次試験問題用紙(事例Ⅲ)
・上記再現答案(作成されている方は併せてご持参ください)
※参加者の方には、当日の受付について、別途メールにてご連絡差し上げます。万が一前日になっても連絡が来ない際は、お手数ですが、下記までお問合わせください。
お問合先:
k.matsuki.1113(あっと)gmail.com(大阪勉強会担当/松木)
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