中小企業診断士のお勉強④ ~ビックバンディスラプション~
おはようございます。零細企業内診断士 おぎ です。
中小企業診断士のお勉強④です。このシリーズは、私が中小企業診断士の受験勉強内容と実際の経営診断経験で感じている知識的なギャップを埋める為の記事を書くことを通じて、受験勉強をされている方々の息抜きにしてもらえたらと思い書いております。
さて、イノベーター理論というのはご存知でしょうか?診断士受験の中では、テキストによっては出てこない用語かと思います。この図を見れば、ああ、という方も多いかと思います。試験には、おそらくでないでしょう。
消費者の新商品購入に対する態度を分類したもので、購入の早い順からイノベータ=革新的採用者(2.5%)、アーリー・アドプター(オピニオンリーダー)=初期少数採用者(13.5%)、アーリー・マジョリティ=初期多数採用者(34%)、レイト・マジョリティ=後期多数採用者(34%)、ラガード=伝統主義者(または採用遅滞者)(16%)の5つに分けられるという内容です。1962年、米国スタンフォード大学の社会学の教授であったエレベット・ロジャーズ氏が提唱した理論です。
この理論は後に、診断士の企業経営理論などでおなじみの、PPM・PLMなどにも影響を与えたとても重要なモノで、50年以上たった今でも、各地のマーケティングセミナーなどで説明されている内容です。
ただ、現実社会では、この理論(あるいはPLM)では、すでに説明がつかない事が多いと感じている方も多いと思います。このイノベータ理論は、5つの消費者層に「徐々」に新製品・新サービスが浸透していくというモデルですが、現在はこのように「徐々」に浸透せず、爆発的に市場を席巻するという製品・サービスが多くなってきています。その現象をビックバンディスラプションと呼び、アクセンチュアのコンサルタントが理論化しました。以下の図ご参照。
この理論では、トライアルユーザーという試しに使うユーザーが登場したかと思うと、その後は、バーストマジョリティという顧客層が、一気に市場を席巻し、それらがすぐに減少、衰退していくという現象を説明しています。従来のアーリーマジョリティ層に行く時間軸ではすでに市場での役割が終わっているというもので、つまり製品・サービスの寿命がとてつもなく短くなってきているという現象です。
最近発刊された長沼博之氏著「ビジネスモデル2025」の中では、その象徴的な例として、kinectというマイクロソフトのジェスチャーコントローラの販売状況を取り上げています。kinectは最初の60日間で800万台を販売し、消費者向け販売のギネス記録を打ち立てました。しかし、その後半年で急速に売り上げを減らし、2年もたたずに、その製品寿命をほぼ終えてしまっており、まさに、上図のビックバンディスラプションの理論が現実化している事になります。
このように製品寿命がどんどん短くなっているという事実は、中小企業経営者であれば、上記の理論を知らずとも、肌身で感じている現実だと思います。そういう方々に対して、中小企業診断士のテキストにあるPLMなどをもろに持ち出した経営診断をしても、全く響かない可能性が高いですよね。
今後も、中小企業診断士の受験勉強内容と、現実の経営診断・コンサルティング・ビジネス活動のギャップを埋めるべく、診断士受験時代以上に勉強をしていかなければならないと感じる今日この頃です。
では、また来週。
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