これをやったら二次試験は不合格!(7):小数点第3位の曲解
こんにちは、ブルペンエース@タキプロです。
本シリーズでは、二次試験でやってはならないことをテーマに、本試験の際、ブルペンエースが実際にやらかしてしまった事故(失敗)をご紹介していきます。
受験生の皆様は、同じような失敗を犯さないように、ぜひ、本ブログを反面教師として頂きたいと思います。
さて、第7回は、「小数点第3位の曲解」についてお話します。
失敗の現場は第6回から引き続いて平成22年事例Ⅳです。本試験終了10分後の私を奈落の底に突き落とすことになった実話を、コーヒーでも飲みながらお楽しみください
過去問を繰り返し解いていると、中小製造業の目指すべき道が、「高付加価値、多頻度、小ロット、短納期」方向にあることに気付いたりするのですが、平成22年事例Ⅳの電子部品メーカーは、今まで出題された中小企業と毛色が異なり、大手メーカーZ社への依存度が高まることを良しとする、ある意味潔い事例でしたね。
与件と設問を貫く事例のテーマは、「大量生産がコストダウンに繋がることを知ろう 」だったのもしれません。
さて、平成22年事例Ⅳは、平成21年のように、意地悪な受験生泣かせの計算問題は少なかったですよね。計算問題4問中、3問が損益分岐点売上高を問う問題で、残りの1問が設備投資の経済性計算でNPV(正味現在価値計算)を問う問題でした。
第5回のブログで紹介した損益分岐点売上高計算の失敗を経て、十二分いや、十五分に計算問題に対する備えをしてきたブルペンエースにとっては、正直言って「CVPもNPVもそれほど小難しい計算問題」には見えませんでした
第2問設問1①納入価格を20%引き下げた場合、②納入価格を30%引き下げた場合の損益分岐点売上高、これは、念には念を入れて、何度も何度も計算しました。第3問設問1(a)設備投資のNPVはいくらになるか、(b)第2年度以降の損益分岐点売上高はいくらになるか、の問題も繰り返し繰り返し電卓を叩きました
「ここまで計算してやったら、間違いもなさそうだ」
「よっしゃ解答用紙に書いたれ」
「あれ 」
「そういえば小数点第3位を四捨五入はどーした 」
ちょっと焦ったブルペンエースは設問文を再読します
「(単位:百万円)・・ 」
「(単位:百万円)しか縛りないわ」
「小数点以下はどーすっぺ 」
「けど、単位は百万円で書けば良いって書いてるからなぁ 」
「百万円までで良いってことか」
「ぢゃ、小数点第1位をまるめてっと」
「よっしゃ。3回目のチャレンジで初めて計算問題当てたな、俺 」
「経営指標に戻れー、急げー、時間ないぞー」
という経過を辿り、第6回のブログでご紹介した経営指標の選択に戻っていくのでした・・
その後、二次試験との壮絶なバトルは、目覚まし時計風のベルとともに終了し、明治大学リバティタワーの教室からは戦いを終えた受験生が三々五々と退出していきます
あまりにも脳みそを使いすぎて、ちょっと呆けてしまったブルペンエースは、しばらく席に座って事例Ⅰ~事例Ⅳの与件をパラパラめくっては、闘いを振り返ってましたが、やがて大きなため息 (ほっとしたんですね)の後、教室を出ていこうとしました
その時です。
後ろから声をかけられました。振り向くと見知った顔の男性がいます。声をかけてきたのは、2年目のチャレンジの際、1年間通学した神田の受験予備校で同じクラスにいた方でした
「久し振り 」
「どうだった 」というあいさつの後、話題は事例Ⅳになります。
「今年も難しかったね」
「ほんとですよー」
「まさか、グラフを書くとはね」
「面喰いました。定規ないんで筆箱で引きましたよ~」
「○○さんはどーでした 」
「計算は当たっていると思うんだけどねー」
「ブルペンさんは」
「自分は三回目のチャレンジで初めて何問か当たった気がします」
「ただ、小数点第3位の縛りがなかったのが気になりました 」
「あー、それ俺もわかんなかったんだけど、与件文の最後に書いてあったよ!」「見落としそうになったよー。」
ドッカーン(大事故)
頭の中が真っ白に、そして、身も心も燃え尽きた灰のようになりました ふるえる手で問題用紙をめくれば、最終段落に、「以下の問題に答えよ。なお、計算の結果は小数点第3位を四捨五入せよ」と書いてあるじゃないですか
「大丈夫、大丈夫」
「計算問題の小数点なんて、些細なことだよ」
「計算より、記述のほうが大事だし 」
という知人の慰めの言葉は、ほとんど私の心に染みませんでした。こうして、三度目の本試験チャレンジ終了から10分後、私は奈落の底にいました。リバティタワーから新御茶ノ水駅までの道のりが遠く、そして足が異常に重たかったことを、昨日のことのように覚えています
それでは、試験当日の再現答案を見ていきましょう。
【平成22年事例Ⅳ 第2問 再現答案】
(設問1)
①3,279 (百万円)
②3,825 (百万円)
(設問2)
納入価格を30%引き下げる案を採用する。生産余力があり、受注量増で製造原価が低減し、受注単価減でも利益を確保できる為である。
【平成22年事例Ⅳ 第3問 再現答案】
(設問1)
17 (百万円)
3499 (百万円)
(設問2)
新生産方式を採用すべきである。理由は変動費削減、受注量増により、1個あたりの製造原価が低減し、利益が増加するためである。
うーん惜しい!小数点第3位の設定を見落としていなければ、第2問と第3問設問1(a)は当たってました。※第3問設問1(b)は減価償却費の増加を加味しないで計算したため間違ったようです。
第7回の失敗事例から学ぶ教訓
その :小数点の処理は、与件、設問のどこかに必ず書いてあるので読み落とさない。
その :勝手に解釈し、思い込みで自分だけの解答ルールを作らない。
※国家試験です。公平を期すため、与件、設問に必ずヒントがありますし、解答の前提条件が記載されてます。
ちなみに、平成22年事例Ⅳの失敗を経て、私は当たり前のことを、当たり前のようにやろうと心に決め、事例Ⅳのファイナルペーパーを作りました。自宅で過去問を解く時も、模試を受ける時も、必ず以下のファイナルペーパーを心の中で唱え、小数点の縛りを探すようにしました。
本試験では、「作問者の罠」と呼ばれる、気の利いた難易度調整が行われることがあります。見慣れぬ指示にも慌てふためくことなく、当たり前のことを当たり前に遂行し、何があっても動じない、そんな明鏡止水の境地に達するには事前のシミュレーション、そして周到な準備が必要であることを、三回目のチャレンジを終えて、ようやっと気づいたブルペンエースでした
これから受験される皆様は、「小数点縛り」に限らず、「勝手な解釈」、「与件の設定から離れた思い込み」で失点することがないよう、十二分、いや十五分に気を付けてくださいね。
【実録】「これをやったら二次試験は不合格!やっちまったシリーズ」
第1回:受験番号を書き忘れた(かも)
第2回:事例1も生産事例?
第3回:切り口の悪夢
第4回:適当な生産キーワード
第5回:損益分岐点分析のお作法
第6回:経営指標の選択に悩んで40分
第7回:小数点第3位の曲解 ←今回はここ
□ 第8回:社長の思いを踏みにじる
□ 第9回:設問の注意書きを読み飛ばしてますけど、何か?
□ 第10回:衝撃!○○欄を間違えるなんて・・
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