中小企業診断士2次試験「SWOT分析」で解ける問題を見逃すな![よっしーのノウハウ#06]
勉強お疲れ様です。「よっしー」です。
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前回紹介した「事例別ヒアリングシート」は、お持ちですか?まだの方は5/4(金)の過去記事を見てぜひGETしてください!
本記事後半でヒアリングシートの活用ワンポイントアドバイスがありますよー!
今日は、中小企業診断士2次試験「SWOT分析」だけで解ける問題と、「SWOT分析」だけでは解けない問題の見分け方を伝授します。
前回のお土産「事例別ヒアリングシート」には「SWOT分析」がついていると思います。今回はこちらの活用方法になりますので、ぜひお手元にご用意下さい。もし、「ヒアリングシートなんて使わない」という方でも、与件文を「SWOT分析」で読み解くテクニックのご紹介ですのでご安心を!
目次
1.SWOT分析だけで解ける問題
特定の「キーワード」が設問文に書いている場合です。「キーワード」とは「SWOT分析」を連想させる言葉のことです。もしこのような問題に出会ったらラッキー!と思ってください。
平成21年第1問:「A社とX社の強みには」:S(強み)で解答。
傾向として「第1問」で「SWOT分析」を問われる問題が多いと感じました。
事例Ⅰ過去10年を確認しましたが、「第1問」から「SWOT分析」が全く通用しなかったのは平成25年から平成23年までの3年だけと私は考えます。詳細な分析結果は次回の投稿で以下のような図を使って紹介します。お楽しみに!
2.設問の解釈を変えることでSWOT分析で解ける問題
「SWOT分析」を連想させる「キーワード」は直接書いてはいませんが、設問文の解釈を変えるだけで「SWOT分析」に当てはめれる問題も見られました。これも比較的取り組みやすい問題といえるでしょう。
第1問設問1:「A社は成長を遂げることができた」
:S(強み)+O(機会)
第1問設問2:「新規事業は大きな成果をあげてきたとはいえない」
:W(弱み)+T(脅威)
ポイントとして、事例企業にとってポジティブな設問内容の場合、事例企業のS(強み)や、外部環境のO(機会)を用いて書くと、良い解答が出来ると考えています。逆にネガティブな設問内容の場合、事例企業のW(弱み)を用いて答えていき、それだけでは内容が薄い場合、外部環境のT(脅威)を用いてW(弱み)の理由付けをすれば、説得力のある解答に仕上がると考えます。
3.SWOT分析だけで解くのが難しい問題とその”対応法”
3-1.「中小企業診断士として助言せよ、答えよ、述べよ」の問題
出たー!事例企業に対する理解力、問題分析力、助言力が問われる、つまり総合力を問われる問題です。「SWOT分析」だけでは全然情報が足りません。そして過去10年の事例Ⅰでは、毎年必ず1問以上出題されます。平成29年、25年、24年は2問も出題され、大変な年でした(涙目)。
よっしーの対策と解答プロセス
「SWOT分析」 + 他のヒアリングシート要素の組み合わせで解答を構成していきました。
例えば平成29年の第4問は「全国市場に拡大を進める上での障害となるリスク」を「中小企業診断士の立場で助言せよ」と問われています。私はヒアリングシートのW(弱み)+組織図で解きましたが、その解答プロセスをご紹介します。
——プロセスStart——
1.設問文と社長の想いで解答の方向性を決めます。
方向性「規模拡大と首都圏進出」
2.「障害となるリスク」 = W(弱み)を確認します。
候補「未だに前身のX社主力商品に依存」「創業時メンバーが定年退職」「自社店舗の販売実績なし」
3.「全国展開」 = リソース = 組織図を確認します。
「商品開発する部署が明記されていない」「営業部が候補だが業務が多い」
4.解答を構成します。
赤文字は与件文・設問文に書いていない部分です。1次試験知識で補足します。下の枠に私の解答例を紹介します。
①業務に精通した戦友が定年退職する事によるノウハウの流出。W(弱み)
②首都圏市場へ事業推進できるマネージメント層の不足。W(弱み)+組織図
③全国市場に拡大する為の戦略商品の不足と新規製品開発リソース不足。W(弱み)+組織図
——プロセスEnd ——
いかがでしょうか?文章だけではピンとこないという方、多いのではないでしょうか。お土産に「私が試験中に書いた平成29年事例Ⅰのヒアリングシート」を準備しましたので、参考資料として使うとわかりやすいです。この記事の最後にダウンロードリンクを準備しましたので、よろしければどうぞ!
3-2.「時制の変化」を問われる問題
「過去と現在」のように時制が変わることで、事業環境の変化を問う問題。ただ「SWOT分析」に要点を書いているだけだと苦戦しますが、一工夫すると対応できます。
よっしーの対策
与件文に「先代が…」とか「2代目が…」のように過去の事例企業の記述がある場合、「SWOT分析」のS(強み)とW(弱み)の枠に半分に分ける横線を引きます。また過去の業界全体に対する記述がある場合、O(機会)とT(脅威)に同様に横線を引きます。目的は「SWOT分析」で時制が区別出来るようにすることです。
2次試験中は頭をフル回転させる非日常な時間です、ちょっとした工夫がミス防止になると私は考えています。
3-3.「どう考えられるか」と問われる問題
例えば平成24年の第1問が該当します。海外の市場環境変化、海外進出のメリット/デメリットを、時制を考慮に入れて解かなければいけない難問です。与件文にない知識を問われる問題には「SWOT分析」だけでは歯が立ちません。1次試験の知識を活用して臨みましょう。
また同じく平成24年の問3のように、与件文にヒントがそのまま書いているが、A社固有ではなく業界共通の一般論だと、A社の「SWOT分析」には記述されないケース(A社の特徴ではないから)も中にはあります。「SWOT分析」に依存しすぎると大事故(注1)になりかねない問題ですので注意しましょう。
(注1)大事故…出題者の意図とは異なる見当違いの解答を書き、1つの設問でほとんど加点されない”やらかし”のこと。
4.終わりに
一般的に「SWOT分析」は、企業のマーケティング戦略で内外環境分析に活用されるものです。一方、中小企業診断協会発表の2次試験「出題の趣旨」には「経営環境を考慮」や「分析力を問う問題」という外部環境や分析力を連想させるフレーズが散見されます。「出題の趣旨」からも「SWOT分析」を用いて事例企業を分析する必要性を改めて感じます。
私見ですが中小企業診断士の2次試験において、「SWOT分析」の考え方が不要だと考えているのは事例Ⅳだけで、事例Ⅰ,Ⅱ,Ⅲは「SWOT分析」を使うことによって、「出題の趣旨」から垣間見える「出題者の意図」に近づけるのでは!と考えています。ぜひ活用してみてはいかがでしょうか?
5.今日のお土産
私が試験中に書いた平成29年事例ⅠのヒアリングシートをPDFでご用意しました。黒文字は試験中に書いたものの清書、赤文字は「こうやって分析すればよかった!」の補足です。