《2次試験対策》設問解釈 by k.c

皆さん、こんばんは。
はじめましての方は、はじめまして。
ご覧いただき、ありがとうございます。
タキプロ関西11期オンライン班のk.cです。
今回も、よろしくお願いいたします。

今回は、2次試験についてのお話をしたいと思います。

1次試験対策の勉強に余裕が出てきて、2次試験対策の勉強を始めた方や、1次試験終了後の帰り道、燃え尽き症候群を回避すべく、とにかく早く、2次試験の情報を入手したい、という方に読んでいただければと思います。

ただ、余裕の無い方は無理に2次試験対策を始める必要は無いと思います
昨年の私も、試験の1ヶ月前のこの時期に、そんな余裕は全く無く、2次試験対策の勉強を始めたのは1次試験終了後の翌々日からでした。特に今年は、1次試験終了後から2次試験まで、例年よりも余裕があります。大丈夫です。

◆ 2つの重要なポイント

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最初に注意事項です。

これからご紹介する考え方は、予備校等に通わず、タキプロの勉強会にも参加したことが無い、独学者である私の個人的な考え方です。そのことをまず、ご了承ください。

中小企業診断士試験の2次試験は、正解が公表されていない試験です。お一人お一人が、「ご自身なりの解法」を見つけ出すことが大切です(タキプロの勉強会でも、これを目的としています)。

そのための、ご参考としてご覧いただき、ああ、こんな考え方や見方もあるんだな、という「気付き」に繋げていただければ、と思います。

また、今回の記事では、令和元年の事例Iの第1問と、事例IIの第3問設問1を参考に、具体的な解答プロセスの解説を行っています。
ご自身が挑戦なさる前に解説を見てしまうのは嫌だ、という方は、一度、この事例に挑戦してみてから、後日、ご覧いただいた方が良いかも知れません。

ちなみに、過去の試験問題は中小企業診断士協会のWebサイトで公開されています(→コチラ)。
与件文の引用はしておりませんので、別途、ご確認ください。

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では早速ですが、
2次試験対策の勉強に於いて、私は、2つの重要なポイントがあると考えています。

  1. いかに、頭の中の引き出しに知識を詰め込むことができるか。
  2. いかに、事例企業に寄り添って知識を語ることができるようになるか。

今回は、このうちの事例企業に寄り添う、という部分について、その中でも特に重要であると私が考えている「設問文を読み解く力」について、ご説明したいと思います。

◆ 事例企業に寄り添う

 2.いかに、事例企業に寄り添って知識を語ることができるようになるか。

2次試験はペーパー上のコンサルティングです

与件文に書かれている情報を踏まえたうえで、設問文が問うていることについて、的確に答えられるようになる必要があります。

知識を充分に身に着けていれば、設問文を読んだだけでも、ああ、この設問の解答には、あの論点の知識が必要だな、えーっと、〇〇については、……とか、……とかだな、と頭の中に思い浮かんでくることも多いです。例え、設問文だけでは分からなくても、与件文の関連する部分を読めば、そうなることも多いです。

しかし、与件文に書かれている情報や、設問文で問われていることを無視してはいけません。すなわちクライアントである事例企業の実情に合わないことや、社長が聞いてもいないこと、あるいは望んでもいないことを答えても、何の意味も無いのです。

事例企業が必要としていることを答える、これが事例企業に寄り添って知識を語ることです。

では、そのために、どのような勉強をすれば良いのでしょうか?

そこで私は、設問文を読み解くトレーニングをお勧めします

そんなことのためにトレーニングが必要なのか? と、思われるかも知れません。しかし、2次試験の設問文は、一見しただけでは、何を問うているのか分からないものが多いのです

以降で、具体的な設問文の読み解き方をご説明したいと思います。

◇ 設問文の読み解き方

結論から言うと私は、フレームに当てはめながら読む、という手法をお勧めします。

私は、「原状」→「問題」→「課題」→「施策」→「効果」→「結果」(+ 「制約条件」)という、私なりのフレームに当てはめて設問文を読んでいました。

それぞれのフレームの内容をご説明すると、以下のとおりです。

「原状」:
強み、弱み、外部環境、など。

「問題」:
利益率が低い、外部環境の変化に対応できていない、など。

「課題」:
問題を解決するために設定された経営目標。利益率を上げるために経費を削減する、など。

「施策」:
課題を達成するための具体的な策。

「効果」:
施策が生み出した効果、結果に必要な効果。

「結果」:
読んで字のごとく。ただし、ある結果が、別の結果のために必要な効果であることもある。

「制約条件」:
○○を踏まえて、や、○○以外で、といった解答時の注意事項。

このフレームに当てはめて読むことで、設問文に書かれていることの流れや、前後関係、そして、解答しなければならないことが何なのか、といったことを整理することができるのです。

では、具体例を挙げてみましょう。

私の受験した令和元年の事例Iの第1問と、事例IIの第3問設問1を参考にご説明したいと思います。

令和元年 事例I 第1問

まず、次の写真をご覧ください。
私の受験時のメモの一部を、説明用に再現したものです(実際にはもっと簡略化して書いていましたが)。

令和元年 事例I 第1問

 

まず上の写真内でメモを書き入れているとおり「自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた」という記述は、事例企業が過去に実施した「施策」に当たる部分です。そして、「結果的にビジネスとして成功しなかった」という記述は、そもそも文章内にも書かれていますが「結果」に当たる部分です。

続いて上の写真内で波線を引いている「最大の理由は何か」という記述は、正にこの設問で解答しなければならない部分であり、ここでは、この「結果」に至った理由が問われている訳です。

では理由はどこにあるのでしょうか?

上の写真をもう一度見てください。

「施策」から「結果」に向かって矢印を描き、「効果」とメモを書き入れています。

「施策」を行った以上、何らかの「効果」を得ることを目的としていたと考えられますが、望んだような「効果」が得られなかったから、望んだような「結果」が得られなかったと考えられます。

ですから「効果」にあたる部分に、理由があるのだと、まずは考えられます。

また、「施策」の前に、「原状・問題・課題」とメモを書き入れています。

「施策」を実施するにあたって、考慮した「原状・問題・課題」があるはずです。
もしかしたら、「原状」に何か理由があったのかも知れません。例えば、強みを活かせていない、弱みを克服できていない、外部環境の変化に対応できていない、といったことです。また、「問題」「課題」の設定を誤っていたのかも知れません。

ですから、「原状・問題・課題」にあたる部分にも、理由がある可能性が考えられます。

そして、この考え方に基づいて、与件文の中から理由に当たる記述を探します。

そうして考えた、私の解答メモは以下のとおりです。

原状(外部環境要因)

  • タバコ市場自体が縮小していた
  • 自社製品の機械自体の売上が落ち込んでいた
    → メンテナンス需要、縮小

原状(弱み)

  • 社員が新しいことに挑戦したくない
  • 前近代的な経理体制 → 高コスト体質

課題の設定ミス

  • 個別顧客対応 → 過剰在庫

そして、このメモから作成した解答の再現答案がこちらです。

健康志向の強まりと受動喫煙の社会問題化、生産者の後継者不足で市場自体が縮小したこと、社員に新事業へ挑戦する意欲が無かった、個別対応により在庫過大、前近代的な経理体制で計数管理が不十分だったことが理由。(100文字)

補足その1

今思えば、「効果」に当たる部分が書かれておらず、例えば「上記の理由により、メンテナンス事業の売上と利益が伸長しなかった」、といったことも書けば良かったかな、と思いますが、文字数の制限もありますので、より優先順位が高いと考えられるキーワードで解答を構成しました。

補足その2

この設問では「最大の」というキーワードが含まれています。ここは意見が分かれるところであり、議論の余地がある部分ですが、私自身は、ポイントを稼ぐような解答を心がけていましたので、「最大の」というキーワードはあまり重視していませんでした。そのため、今回の説明では、敢えて無視しています。

補足その3

この設問だけで、どの程度の得点が取れていたのかは分かりません。
ちなみに、特典開示請求の結果、事例I全体では74点でした。

令和元年 事例II 第3問 設問1

令和元年 事例II 第3問 設問1

この設問も構造としては、先程ご説明した事例Iの第1問と、よく似ています。

「減少するであろう顧客分を補う」という記述が、B社が求めている「結果」であり、「どのような協業相手と組んで」と「どのような顧客を獲得すべきか」の記述が、求めている「結果」を得るための「施策」となります。そして、「施策」「結果」の間には「効果」が必要であり、また「施策」の前には考慮した「原状・問題・課題」があるはずです。

ただ少し違うのは、「どのような」という記述が「施策」の中に含まれていることです。この「どのような」という部分が、解答すべき部分であり、この設問では「施策」の内容自体が問われているのです。

また「理由と併せて」という「制約条件」も忘れてはいけません。この理由は、先程ご説明した事例Iの第1問と同様に、「効果」「原状・問題・課題」の中にあると考えられます。

つまり、この設問では「施策」の内容を中心として解答を組み立てなければなりませんが、「効果」「原状・問題・課題」についても、ある程度言及しなければならないのです。

そして考えた、私の解答メモは以下のとおりです。

施策_協業相手

  • Yさん、(以前の勤務先の)貸衣装店
  • 宝飾店、ファッション関連路面店、有名ブランド店

施策_顧客層

  • 高価格商品を買う層
    ↑ 高級住宅地に住む、40代女性。人口の多い。

原状(強み)

  • 商店街の他店と既に良好な関係性がある。
  • コーディネートについての提案力が強い。

効果

  • 客単価の向上。
  • 競合との差別化。

そして、このメモから作成した解答の再現答案がこちらです。

Yさんの以前の勤務先の貸衣装店や有名ブランド店と協業し高級住宅地に住む構成の多い40代女性をターゲットとする。既に関係が深く、客単価の向上が図れ、強みの提案力を活かし、競合との差別化が図れるためである。(100文字)

補足

ちなみに、特典開示請求の結果、事例II全体では67点でした。

◆ いかがでしたでしょうか?

今回ご紹介した、設問文を読み解くトレーニングは、通勤時間、お昼休憩、パスタを茹でている間、その他、工夫次第でいつだって場所を選ばず僅かな隙間時間でも行えます(でも、車を運転しながら、とかは絶対に止めてください。歩きながら、も危険です)。

前述のとおり、中小企業診断士協会のWebサイトで過去問がPDF形式で公開されていますから、それをダウンロードしてGoogleドライブやDropboxに入れて置けば、スマートフォンでも見ることができます。もちろん、紙に印刷して持ち歩いても良いでしょう。

◇ 次回予告

もちろん、事例企業に寄り添うためには、設問文を読み解くだけでは、不十分です。
与件文を読み解く能力も必要となります

与件文の読み解き方や、今回ご説明できなかった、もう一つの重要なポイントである「1.いかに、頭の中の引き出しに知識を詰め込むことができるか。」ということについて、加えて、80分の中での時間配分など、2次試験をクリアするために必要なその他のことは、次回、お話したいと考えています。

しかし、設問文が問うていることを理解することができるようになると、与件文から解答根拠を探す作業が非常に楽になります
探すべき内容が、強みや弱みなのか、問題なのか、課題なのか、といったことが分かるからです。また、与件文からの抜き出しだけでなく、類推が必要な設問であっても、どこまで類推すれば良いのかがハッキリします(施策だけではなく、結果を得るために必要な効果も解答する、等)。

私自身、この設問文を読み解くトレーニングを始めてから、得点力が一気に向上したように感じています。そこで今回は、このトレーニングをご紹介いたしました。
皆様の勉強のご参考にしていただければ、と思います。

◆ それでは

このあたりで、今回の記事を終わりたいと思います。

ところで、6/5に、「【号外】全国の受験生必見!オンラインによる2次試験対策勉強会のご案内」が掲載されました(→コチラ)。

私も先日、模擬勉強会に参加させていただいたのですが、受験生時代に勉強会に参加したことが無い私にとっては、非常に新鮮で刺激的な体験でした。
他の方の解答を見ることが初めてで、自分とは異なる見方があることに気付くことができただけでなく、自分に欠けている部分や、逆に、自分が得意としている部分にも気付くことができたように思います。

よろしければ、オンライン勉強会へのご参加もご検討ください

 

それでは、頑張ってください!

明日の朝は、私と同じく関西メンバーの、しょっちさんの投稿です。皆さんお楽しみに!!

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k.cの過去記事はこちら

3/1[日] 最初にお伝えしたい大切なこと(→コチラ)
4/10[金] スケジュールの作成方法について(→コチラ)
5/15[金] 記録のすゝめ(→コチラ)

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【令和2年度中小企業診断士試験日程が公開されました。詳しくはこちらのページから】

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