ケーススタディと2次試験の違いから見えた合格のポイント by おくしげ
読者の皆様、初めまして!
タキプロ12期の「おくしげ」と申します。
今回がはじめての投稿になります。受験生の皆さんに少しでも役立つ情報をお届けできたら幸いです。
突然ですが、皆さん「ケーススタディ」ってご存じでしょうか?(ケースメソッドなんて言われたりもします)
ケーススタディはよくビジネススクール(MBA)の講義に用いられる学習方法で、一言で言い表すと「事例研究」です。
MBAなどのビジネス分野以外でも、医療や法律などの各教育分野で活用されています。
でっ、なんで急にこんな話をしているかというと、このケーススタディと中小企業診断士の2次試験はよく似ているんです!
今日はそんな両者の共通点と違い、そこから見えた2次試験合格のポイントについて書いていこうと思います。
■自己紹介
まずは、私「おくしげ」の自己紹介です。
年代/性別:30代後半/男性
職種 :自動車業界で生産技術職 → 製造業で技術営業 → (退職し)国内MBA入学・修了→家業で経営管理全般
受験歴 :1次2回(H30、R1)、2次1回(R2)※R1年は受験せず
勉強方法 :1次 通信、2次 通学
■ケーススタディとは
まずは、ケーススタディについて簡単に紹介したいと思います。
ケーススタディ(ケースメソッド)は、昔から多くのビジネススクール(MBA)で導入されている教育方法です。
ケーススタディをビジネススクールに取り入れたのは、MBAの最高峰であるハーバード・ビジネススクールだそうです。
MBAで実践されているケーススタディでは、「ケース」と呼ばれる過去の企業の成功や失敗事例が書かれた教材があり、ケース企業の主人公(経営者等)が直面する課題や意思決定を生徒が自分の視点で追体験することを通じて「自分ならこう行動する」という姿勢や考え方を習得します。
つまり、受け身的な「知識の修得」ではなく、生徒間の議論を主体とした学習によりビジネスパーソンとしての世界観や視野を広げることを目標としています。
簡単に言うと、2次試験の事例文の長め(20ページくらい)の文章を読み込んで、『企業の課題や改善策、今後の戦略など』をまとめた上で授業に参加し、他の生徒と議論するというものです。
■中小企業診断士2次試験とは
続いて、中小企業診断士2次試験についてです。
これに関しては、あえて説明するまでもないと思いますが、簡単に言うと、
事例文を読んで、『企業の課題や改善策、今後の戦略など』に関する設問に解答するというものです。
■ケーススタディと2次試験の比較
上記でケーススタディと2次試験について簡単に紹介しましたが、どうでしょう??
同じような感じがしませんか?
ケーススタディと2次試験はどちらもある企業の事例を基に分析を行い、設問に答えるという意味では同じです。
私が2次試験の問題をはじめて見たのは、1次試験が終わってからだったのですが、第一印象は「なんだ、ケーススタディと一緒じゃん!もしかして余裕??」と思いました。(笑)
しかし、実際に2次試験の問題を解いてみると両者には大きな違いがあり、それが私を苦しめることになったのです…。
先に両者の違いを表でまとめると次のようになります。
ケーススタディ | 2次試験 | |
① 制限時間 | なし(自分次第) | あり(80分) |
② 設問 | ほぼ無し(予想不可) | あり(制約条件付き、予想可) |
③ 解答方法 | 口頭 | 記述(字数制限あり) |
違い① 制限時間の有無
1つ目の違いは「制限時間の有無」です。
まず、ケーススタディの場合は、遅くとも講義の2週間前までにケースが配られます。講義の日までという一応の時間制限はあるのですが、個人の時間の使い方次第でいくらでも時間をかけることができます。
一方で、2次試験は80分間という時間が全受験生に平等にはっきりと決められており、この80分という時間でいかに合格答案を書き上げられるかがポイントになります。
違い② 設問の有無
2つ目の違いは、「設問」です。
私的には、これが決定的な違いと言っても過言ではないと思っています。
まずケーススタディの場合は、設問はケースによってあったり無かったりします。そう、ない場合もあるんです!
設問が無いということは、授業で教授がどんな問いかけをしてくるのか、分からないということです。また、議論の流れで色々な角度からの問いかけが来るので予測がつきません。
つまり、考えうることは全て用意していかないと「解答」することが出来ないのです。まぁ、それは現実的ではないので、その場で考えて発言するという瞬発力というか、地頭の良さが求められるようにも思います。
個人的には、事前に準備した自分なりの考えを披露して終わりではなく、講義中に他の生徒との議論を通して自分の考えをブラシュアップしていくようなイメージだと思っています。
一方で、2次試験ははっきりと「設問」が示されており、受験生は問われたことにもれなく「解答」する必要があります。
しかも、細かい制約条件が書かれており、中にはちょっとひっかけのような条件設定もあったりします。
また後述しますが、ある程度の過去問を解けば「頻出の設問」が分かりますので、予測し、事前に準備することが可能です。
つまり、地頭力の良し悪しはそこまで重要ではありません。
違い③ 解答方法
3つ目の違いは、「解答方法」です。
まずケーススタディの場合は、授業内で「議論」することが前提となるので「口頭」で答え(自分の考え)を表現します。
もちろん、発言するための手元資料として文書に残しておくことはあります。
一方で、2次試験はご存じの通り答えは解答用紙に記述することで表現します。
しかも、字数制限のおまけつきです。つまり、決められた字数で採点者に伝わる文章にまとめる能力が求められます。
2次試験の勉強を始めたばかりの頃は、ケーススタディと同じような感覚で過去問に取り組み始めたのですが、全く書けないし、考える時間も書く時間も全然足りず、こんなはずでは…と絶望を感じたのをはっきり覚えています。
■両者の違いから見えた合格のポイント
最後に、ケーススタディと2次試験の違いから見えた、2次試験合格のポイントについてお話します。
違い① 制限時間の有無
〇タイムマネジメントが重要
2次試験は制限時間が厳密に決められているため、試験時間の使い方、つまり、タイムマネジメントが非常に重要です。
具体的には、80分間という時間の配分を決めておくべきですし、合格者の多くは過去問を通して時間配分を決めている方が多いです。
例えば、事例や設問の読み込みに時間制限を決めておいて、必ず○○分までには解答を書き始めるなどです。
事例の読み込みや分析ばかりに時間を取られて、解答を書いてる途中で時間切れになってしまったなんてことになったら得点に繋がりませんからね。
〇その場で考える時間を減らす
『事例文を読む、設問を読む、事例文を分析して解答を考える、解答を文字数に収まるよう文章にまとめる、解答用紙に清書する』
このように、2次試験に合格するためにはやることがたくさんあります。
初めて解いたときに制限時間内に書きあげられる受験生は、本当に少数ではないでしょうか??
では、どうしたらいいのか?それは、事前に準備できることはしておき試験時間中に考える時間を極力減らすべきです。
具体的には、過去問から頻出の設問に対する解答パターンを用意しておいたり、キーワードを覚えて使えるようにしておくという対策が有効です。
こういった対策は時間制限のないケーススタディでは全く不要ですし、考えたこともなかったです。
違い② 設問の有無
〇設問は注意深く読む(事例文より大事)
設問には何について答えるべきか、何については触れてはいけないか、など解答を書く上で非常に重要な条件が書かれています。
「目的」を問われているのに「効果」を書いてしまったり、「~を考慮した上で答えよ」といった制約条件を無視してしまったり、こういったミスは大きな減点になります。(分かっていても結構やってしまいます。)
また、設問をしっかり読むことは違い①の対策にもつながります。
ケーススタディの話に戻りますが、ケーススタディでは設問が無いんです。だから、考えられることは全て分析して用意して授業に臨みます。
また、その場で考えて発言できる地頭の良い人が圧倒的に有利です。
でも、2次試験は設問があるので、何について分析する必要があるのか、それは事例文のどのあたりを読めばよいのか絞り込みが出来るのです。
また、過去問から頻出の設問が分かりますので、事前に準備することが可能で地頭の良さはそこまで関係ありません。
これは大きな違いです。
違い③ 解答方法
〇解答の骨組みを用意しておく
こちらも違い①の対策にもつながります。
ちょっとイメージが付きにくいかもしれないので、ひとつ例を紹介します。
例えば、、、
理由を問われたら、「理由は、①~、②~、③~、だったため」といったようなものです。
こういった解答の骨組みのパターンをいくつか使えるようにしておけば、分かりやすい文章が短時間で書けるようになります。
前述した頻出の設問に対するパターンを用意しておくといいと思います。
そして最後に重要なポイント『字はマスいっぱいに大きくはっきり丁寧に書く!字が汚い、小さい、薄いは論外!!(言い過ぎ??(笑))』
これ気にしていない方も多いと思うのですが、個人的には結構大事だと思います。
なぜなら、2次試験は1次試験と違って記述式。つまり、採点するのは人間です。しかも、5000人以上の答案を少数の採点者で1ヶ月程度の期間内に採点しなければなりません。
採点作業がどのように行われているのか私には分からないので仮定の話になりますが、5000枚の答案を10人の採点者で1ヶ月(20日)で採点すると、、、
5000(枚)÷10(人)=500(枚/人)
500(枚)÷20(日)=25(枚/日)
25(枚)×5(問)=125(問)
つまり、1日125問採点しなけばならないのです。1問に1分だとしても2時間以上掛かる計算になります。5人ならその倍です。
採点者の方(恐らく大学教授)は当然通常のお仕事もあるでしょうから、それをこなしつつ採点をするのは非常に大きな負担だと思います。
そんな状況の中で、雑に書かれた小さくてミミズみたいな字の答案があったらどうでしょう??
私は過去に記述答案の採点をしたことがあるのですが、文字の汚い答案を見ると、「あぁ、勘弁してくれ…、読む気しないなー」と思ってしまいました。
一生懸命書いてくれた受験生には申し訳ないんですけどね、人間なので。。。
ということで、『字はマスいっぱいに大きくはっきり丁寧に』書きましょう。中身も大事ですが、見た目も大事、採点者への思いやりです。
2次試験受験者の点数は合格ラインの240点付近に非常に集中するそうです。あと1点で泣かないためにも、字は大きくはっきり書きましょう!
■おわりに
いかがでしたでしょうか?
少し長くなってしまいましたが、私が感じた「2次試験合格のポイント」について書いてきました。
少しでも受験生の皆さんの気づきになれば幸いです。
次回はわたさそさんの登場です。
お楽しみに!
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