【事例Ⅳ】NPV、CVPより大事なこと(諸説あります)by S@bu
おはようございます。
相変わらず
酒ぇ!! 煙草ぉ!! 女ぁ!!(妻)
に溺れるタキプロ13期のS@buです。
自己紹介はこちら。
■はじめに
2次試験本番まで二週間強となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?自分が去年の今頃どうしてたかなぁと思いましたが、まぁ合格体験記にも書きましたがやさぐれ受験生だったのであまりガツガツしてませんでしたねぇ(遠い目)
今回はやさぐれ受験生から酒焼け診断士に進化したS@buより事例Ⅳのお話です。
■自分にとっての事例Ⅳ(財務会計)
コロナ禍以降、タキプロでの受験生に対する活動、セミナーや勉強会はほぼ100%、Zoomを利用したオンライン開催をおこなってきました。その際参加するタキメンは「共通背景」を利用しています。
これです。
タキプロイベントに参加された受験生はご覧になったことがあると思います。
HNの他に自己紹介をいろいろ書いているのですが注目していただきたいのがこの部分
はい。自分は事例Ⅳを得意科目(自称)としてます。
とは言っても診断士試験当初から得意としていたわけではありません。
自己紹介でも書きましたが本業はシステムエンジニアで、おもにサーバやネットワーク機器の設計・構築をおこなってきており、最近はクラウド周りを触っています。
ユーザーへの業務パッケージの導入もやってきましたが担当していた業務範囲は販売管理だったり生産管理だったりで財務会計に関わることはほとんどありませんでした。
入社間もない頃、当時配属されていた支店で「支店全員で簿記三級取ろう!」というイベントがあり、その際に簿記三級は取得しましたが、それも診断士試験に臨む10年以上前の話であり、勉強開始時は「借方は左、貸方は右」くらいの知識しか残っていませんでした。
診断士試験の勉強を始めるにあたり、1次試験の対象科目は財務会計以外も、経営情報システムを除けばほぼなにもわからない状況だったのでTACに通学しました。講義の中で数回行われる「答練」と呼ばれるテストでは60点前後の得点はとっていましたが本番を見越した「1次公開模試」では制限時間60分、問題総数25問でしたが時間内に全問解くことが出来ず、最後の5問くらいは問題も見ずに適当にマークシートを埋めた結果36点という点を叩き出しました。
これはいけない・・・
それから1次試験本番までは他の科目にも不安がある中でも財務会計対策に重点をおきました。その結果本番では76点を取り無事通過を果たします。
しかしながら2次試験対策は不十分なこともあり、その年の2次試験事例Ⅳは50点:B、総得点236点で2次敗退となりました。
来年合格のためには事例Ⅳ対策が重要だ!事例Ⅳを制するものは2次試験を制す!!
ということで以後事例Ⅳ・財務会計対策に注力することになります。
2回目の2次試験は56点:Bでしたが、その後は平成30年 68点:A 令和元年 66点:A 令和2年 70点:Aと安定した得点をとれるようになりました。(何年も受けているのはどうなの?という指摘は置いておいて)
合間に簿記二級取得してみたり、2次試験敗退後簿記論の勉強してみたりで、結果「得意科目は事例Ⅳ(自称)」と言えるようになったのです。
■令和3年度事例Ⅳ 再現答案からの分析
事例Ⅳ対策において、よく言われるのは「毎日1問でもいいから計算問題を解くこと」です。
自分も毎日とは言いませんが過去問、予備校でもらったプリント、意思決定会計講義ノート(通称:イケカコ)、簿記一級問題集など、いろいろ活用しながらNPV、CVPの計算問題を解いていました。
ただ合格してから言うのもなんですが、ちょっと違和感を感じたことがあります。
なので令和3年度事例Ⅳの自分の再現答案から分析してみます。
本試験問題は協会HPで確認することができます。
第一問(配点 30点)
① 売上高総利益率 27.78%
② 有形固定資産回転率 4.56回
③ 売上高営業利益率 0.32%
④ 負債比率 403.82%
D社は、多店舗、多事業展開により総利益段階の収益性や効率性は高いが、競争激化による本業の低収益性の向上と借入金返済による脆弱な資本構成の解消が課題である。
第二問(配点 30 点)
(a) 1360万円
(b) 取り替えない場合のCF=減価償却費×税率=2000×30%=600
取り替えた場合のCF=(人件費削減額-下取りによる特別損失)×(1-税率)+減価償却費×税率
=(2500-1200)×70%+3500×30%=1960
2年目〜6年目のCF=人件費削減額×(1-税率)+減価償却費×税率
=2500×70%+3500×30%=2800
NPV=1360×0.943+2800×3.974×-(210-8)×100=-7790.32
∴NPVが負となるため投資案は採用しない
(a) 無回答
(b) 1台あたりの購入額をxとする。
CF=人件費削減額×(1-税率)+減価償却費×税率
=2500×70%+(100x÷5)×30%=1750+6x(ここで時間切れ)
第三問(配点 20 点)
31243kg
(a) 39000kg
(b) 養殖料1kgあたりの変動経費率=3000×60%÷50000=0.036
販売数量20000kgの時の利益=1400×20000-0.036×20000-12000000=8800000
販売数量30000kgの時の利益=1240×30000-0.036×30000-12000000=14400000
販売数量40000kgの時の利益=1060×40000-0.036×40000-12000000=16000000
よって年間1500万の利益の年間販売数量は30000kg超〜40000kg以下である。
14400000÷16000000=0.9となるため求める年間販売数量は30000+10000×0.9=39000
第四問(配点 20 点)
移動販売を担当する従業員の販管費が削減されるため売上高営業利益率が改善する。
高齢化進行による一定の需要はあり、事業展開によりシナジーを発揮する可能性がある。
ふぞろいや予備校の模範解答お持ちの方は見比べてみてもらうと「おや?」と思うかもしれません。
そうなんです!第二問と第三問のNPV、CVPがほとんど間違っています!!
第二問は全滅、第三問は設問1のみ。
では結果、得点開示はどうだったかというと・・・
59点:Bでした!!
各問題の配点も考えると計算過程で多少加点されているにせよ第一問と第四問で満点に近い得点をもらわないとこの得点にはなりません。まぁよく言われるように毎年2次試験合格者率を一定にするために下駄を履かせている・・・ゲフン!ゲフン!!
ともあれ、令和3年度の再現答案と得点開示から言えること、それは、
NPVとCVPが出来なくても合格点前後は取れる!
つまり本当に大事なのは経営分析と記述問題である!!
経営分析は毎年問われるので受験生間の差がつきづらいため、真の差が生まれるのは記述問題である!!!(諸説あります)
という分析結果が導き出されます。
■NPV、CVPの出題傾向について
なぜこのような結果が出るのでしょうか?もう少し掘り下げて見ましょう。
6年連続で2次試験の事例Ⅳを受けている(多すぎ)中で毎年感じていたこと、それは
毎年難化してない?
近年、年を追うごとにNPV、CVPの出題内容が複雑になっています。例えば自分が初めて受験したH28年の事例Ⅳ、当時は50点しかとれませんでしたが、2次敗退したH29年、「事例Ⅳが去年くらいの難易度ならなぁ」と思うくらいNPV、CVPともに基本的な論点が問われていました。
NPVは年々与えられる条件が多く複雑となり、CVPも2年ほど前から利益や売上によって変動費率が変化するなど一筋縄ではいかない問題となってきています。
難しくなるとどうなるのか?それは
多くの受験生が間違えます。
昨年の事例Ⅳについて、タキメン含めてまわりの診断士試験合格者に聞きましたが
NPV、CVPを全問正解した人には出会っていません。
令和3年度の2次試験終了後、某予備校に再現答案を提出して採点してもらったのですが、返ってきたコメントの中にも「再現答案を送ってきた受験生の中でNPV全問正解者はほとんどいません。」と書かれていました。
もちろんファイナンスを本業としている公認会計士や財務DD担当のコンサルタントなど80分の間に解ける人はいますが、普段ファイナンスに触れてない受験生にとっては「付け焼き刃程度の勉強では歯が立たない」難易度になっています。
■事例Ⅳで本当に大事なこと
以上の分析結果より導き出されること、それは
NPV、CVPは捨てても良い!
捨てても良い!まですると言い過ぎかもしれませんが、難化した問題に対して、時間のほとんどを使って取り組むのは、80分という限られた時間の中では得策ではありません。もちろんできれば設問1くらいは取りたいところではありますが、難易度を見極めて「捨てるものは捨てる」という判断が重要になります。
ではどこに注力するべきか?
上記にもあげましたが本当に大事なのは
経営分析
記述問題
まず、経営分析について、毎年問われる論点であり、多くの受験生が勉強をしてきている範囲なので受験生間での差はつきにくい範囲です。経営分析解く上で重要なこと、それは
過度な時間をかけない。
毎年聞かれていて毎年同じような解答内容になります。タキメンの中でもすべての指標を計算していた、という人もいましたが自分の場合はある程度決め打ちでのぞんでいました。
収益性:売上高総利益率
効率性:有形固定資産回転率、棚卸資産回転率を頭にいれて与件文から判断
安全性:当座比率
もちろん与件文で販売管理費の話があれば売上高営業利益率、支払利息云々なら売上高経常利益率、長期借入金が多ければ負債比率、状況に応じて変えていましたが一番意識していたことは
経営分析の解答に時間をかけないこと
毎回かける時間は15分を目処にしていました。
本来、売上高営業利益率が最適な解答のところに売上高総利益率と書いても、それが設問要求(同業他社比、前年同期比)で辻褄が合ってれば多少減点されるとはいえ不正解になることはないと思います。それよりも限られた時間の中で経営分析以外にも多くの問題を解いていかなければならないため経営分析はできるだけ短時間で解くようにしていました。
次に記述問題ですが重要なことがふたつあります。
最後に解かない
なんでもいいから書く
まず解答する順番ですがたいてい記述問題は最後の方に出題され、そこに至るまでにNPVやCVPの計算問題が出題されます。上から解答していくと計算問題に時間が取られ、結果最後の記述問題にかける時間がなくなる、ということに陥ります。NPVやCVPは設問を見た上で「今取り組むのか?それとも後回しにするのか?」を判断して記述問題に取り組む時間を失わないようにしてください。
大抵の場合、記述問題は「いままでほとんど出題されていない範囲から」出題されます。なので事前の対応が非常に難しい部分です。
過去出題された範囲の中では、実はイケカコでは取り上げられていてイケカコを勉強していた受験生はそれほど苦にはならなかったこともあったのですが、それもだいぶ出し尽くされており、本年度の出題も思いもよらない範囲から出題されるかもしれません。(1次財務会計の出題傾向から見ると会計論あたりの論点は怪しいですが)
全然解答が思いつかないことを問われた際、大事なのは
事例文でも設問文でもなんでもいいから用語を拾って書く
合ってなくてもいいんです(暴論)。白紙では点は入りません。事例文でも設問文でもそこから用語を拾って記述すれば「一見合ってそう」な解答は書けます。例えば事例Ⅰでは与件文にろくにヒントがない問題も出題されますが、皆さんはそのような場合でも1次知識を使いながら解答骨子を組み立てているはずです。
合ってなくてもいい、と書きましたが、例を上げると令和2年事例Ⅳ 第3問(設問1)において
と出題されました。自分の回答がこちら
差額はのれんとして会計上の処理を行い、金額は最大20年の間で減価償却を行う。(ドヤ顔)
はい。正しくは「負ののれん」のことを書かなくてはいけないのに「のれん」のことを書いています。全く真逆のことを書いてますね。
でも結果は上記にあるように令和2年 事例Ⅳは70点:Aでした。もちろん他で稼いだ、ということもあるかもしれませんが。
白紙解答の0点には加点のしようがありません。
■おわりに
暴論含めた事例Ⅳの分析、いかがだったでしょうか?
すでに直前期であり、残り二週間強で積み上げられることは多くありません。もちろんNPVやCVPを正しく解くことが合格への近道であることは間違いありません。
しかしながらもし本番で難しい問題を前にしたとき、少しでもこの小ネタを思い出していただければ幸いです。
これで今年の試験前の自分の担当分ブログは最後となります。皆様の健闘をお祈りしております。
次回はリリィさんの登場です。
お楽しみに!
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