毎週日曜日は名古屋の日!紫雲和尚の「財務特講Vol.2これが減価償却費の本質だ!」の巻
みなさん、毎週日曜日は名古屋の日!
トワイライトファイナンシャルアワー担当の紫雲和尚です。財務CF特講その2、題して「これが
減価償却費の本質だ! 英語では Depreciation(有形固定資産にかかるもの)、 Amortization(無形固定資産にかかるもの)っていうのよ!」
をお送りします。
最近、財務にかかる記事を書くことが多くて、いろんなことを考えさせていただいております。みなさんの支援をする中、自分が気づかされることも非常に多いのです。それは役得だなあ、とこの試験に合格させていただいたタキプロと読者の皆様に感謝いたします。
財務学習について、気がついたことを申し上げます。
それは、
「何のために、何の目的で、財務の問題(もしくは指標、分析解釈)が作成されているのか?」
→いわゆる財務分析の本質
ということがあまり考慮されていないのではないかと、そう思うのであります。
煎じ詰めてみれば、財務の問題なんて公式「のみ」ですべての問題を解ける可能性もあります。今回お話しようとする減価償却費についても、「丸暗記で」覚えてしまえば解ける可能性も十分有ります。
(余談ですが、私の大学(文系ですが2次試験で数学有り)の同級生に「数学は公式覚えてパターン化させてしまえばOK→要は合格している」と言っていたのがいました。受験数学でもこういう事態は十分起こり得るものでしょうから、診断士試験は何をかいわんや、です)
ただ、それだけでは最終的に「限界」が来ることが必至なような気がするのです。
では、和尚が提唱する中小企業診断士における受験勉強、
特に財務・会計に関してはこういう
「どうして『何のために?論』が必要なのか」・・・いわゆる本質論に対する答えはなんなのか?
私は答えを2つ用意しています。
それは
①試験の「度忘れ」を防ぐ意味合い。
損益分岐点売上=固定費÷(1ー変動「費」率)
なーんて式を丸暗記するよりは、
「売上ー変動費ー固定費=0となる売上」
「変動費率=(変動費÷売上高)すなわち変動費=変動費率×売上高」
と覚えておいて、
これを移項させていく方が、売上ー利益の構造も直感的に理解でき、凡ミスも防げるというものです。
それよりか
②例えば財務指標を使用する際、その本質が解ってないと痛い目に合う。
例)流動比率が高いので、短期の安全性は確実である
→実はデッドストックが多く、在庫勘定が過大であるために流動比率は非常に良好となる。
①よりも②の方が重要です。
事態をミスリードしてしまい、合格後の診断士活動に齟齬を来す可能性は大でしょう。
このような丸暗記を推奨する部分のある日本の教育論に対して一席ぶちたくなりますが、それはともかくとして
「人様にいわゆる『先生』と呼ばれることとなる資格なのだから、物事の本質をしっかりとらえること」
を心してください。この心持ちは
「あくまで、試験は通過点なんだ!」
という意味合いを再確認することになり、試験に対する「精神的余裕」を是非醸成していただきたい、と思います。
さて、本題。
この減価償却費という概念、実は税金と密接な関連があるということをご存じでしょうか。
※突然ですが減価償却のない世界のお話。
社長「うちは5月決算だからそろそろ〆の時期だなあ、おい、経理部長、今期の決算はどんな感じだ?」
部長「はい、今期は人気アニメをパクリにあやかりました『妖怪マッチ』が子供たちに大人気でして、それとともに子供を起因とする当県のボヤの発生率も高くなりましたが(おいおい)、うちの税前利益は100百万円に達します」
社長「それじゃ、盆時には・・・」
部長「そうです、法人税ともども40百万円くらい、支払わなければならないかと・・・」
社長「せっかく儲けたのに、40百万円も税金とられるのか・・・それは嫌だな、なんとか知恵を絞れ!」
部長「そうですね・・・そしたらいっそ設備投資しちゃいましょう。社員の保養所として、熱海のリゾートマンション買っちゃいましょう、全部損金で費用計上できますから、最上階の超見張らしがいい物件買えちゃいます!そして税金は0!銀行も当社には金を貸したがっていましたから、資金調達は大丈夫ですよ」
社長「やだ」
部長「え、どうしてですか」
社長「どうせならベンツが欲しい」
部長「・・・」
社長「今まで国産車ばかりだったんだもーん、一度ぐらいはベンツに乗りたいんだよぉ!!!!ベンツがいいベンツがいい。。。」
・・・
バカ社長&部長を見せてしまいました。
減価償却のない世界では、「今期は儲かりそう」と思えば、期末直前になって設備投資をしてしまえば、赤字を発生することも可能でかつ税金を払わなくてよい、ということになりそうです。
こういうことをなくすために(税金をしっかりとるために)、「税務会計」という視点に立てば、設備投資してお金を使った年度でもそれを全額費用と認めず、しっかり徴収すべきでありましょう。
違った言い方をします。設備投資をした場合、一般的にはその効果=利益を増加させることは、設備投資した年「のみ」に利益が増加するわけではなく、数年度に渡って効果をあげるでしょう(例えばコンビニが別店舗を作ったときのことを考えてみてください、たぶん1年で設備投資分の利益を上げることは困難でしょう)。となれば、その設備投資にかかった費用は数年度にわたり、分割計上すべきではないでしょうか。これが本質的な減価償却費の考え方でしょう。
そもそも、和尚は管理会計的な考え方、すなわち上記説明の後者については、公認会計士ならばともかく、中小企業診断士にはあまりそぐわないのではないか、と個人的に考えています。逆に前者的な説明の方が、社長さんに説明するのに、ぴったりくるのではないか、と。
なぜか・・・。
中小企業の社長は、税金を払うために決算書を作っているから。
はい、これ大事ですよ。だから自らの会社運営特に財務面に敏い社長さんでない限り、「決算は嫌々作っている」、少なくとも「積極的には作っていない」。
税金の本質は「自分が1年で儲けた金額を自分で計算して、それを自発的に国(地公体)に納める」です。サラリーマンの源泉徴収制度が特殊なだけなのです(ですからFP1級的に申し上げますと、国民に税は知らしむべからず、という風潮は絶対にあって、源泉徴収により国民の大半が自分の税金がどのように計算されているかあまりわからない。すなわちまだ自ら計算できる自営業の人々のほうがマシ)。
これ、和尚の持ちネタですが、奈良時代から変わっていないのです。租庸調って覚えてますか?これ自分でとれた作物を自分で計算して、税金を自分で奈良の都まで運ぶのです。現代もその方式は基本的には変わっていないのです。
話はそれましたが。
だから。CFの話。
期末日に設備投資をした場合には
1年目CFは、「投資」CFはマイナス
になり、
それ以降の年度は
「営業」CFは減価償却を年度ごとにプラスしなければならない。
(設備投資にかかるお金は1年目にすべて出ていっている。一方2年目以降費用分配の観点から減価償却費を計上するも、お金の「出」は発生していない)
いかがでございましたでしょうか。
行きつ戻りつ、つらつらと減価償却「のみ」(いや以外も・・)のべさせていただきました。
試験では試験勉強だけではなく、こうした「回り道の知識」も必要ではないか、と感じております。
変化球大好きな和尚謹製。
合掌。
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