経営したことがない診断士の強み by 風さん
どうも、タキプロ15期の風さんです。
7回目の投稿となる今回のテーマは「診断士活動」です。
気づけばタキプロ15期ブログ班として私が記事を書くのも、今回で最終回となりました。最近ネット界隈で、経営したことがない経営コンサルタントの話がプチ炎上していたので、企業内診断士の端くれとして物申したいと思います。以後は個人SNS等で細々と執筆を続けたいと考えていますので、引き続きよろしくお願いいたします。
- 事例Ⅱ:事例2の必須フレームワーク6+6選
- 勉強方法:1次は16科目に 2次はBSCで 解像度を上げる勉強法
- 経営情報システム:残り10日間の過ごし方
- 事例Ⅱ:事例Ⅱミーム+2次試験の裏テーマ15選
- 合格体験記:2次試験当日の意外な伏兵3選
- 4科目共通:R6にAIが挑戦!事例は突然Ⅱ?
- 診断士活動(今回)
思えば、事例Ⅱと情報が高得点だったから、その辺を書きたい!とお願いして、いろいろ我儘を聞いてくださり、ご調整いただいたブログ班の皆様、ありがとうございました。
少しでも皆様が合格に近づけるように、合格率が1%でも上がるように、長過ぎる駄文を何度も推敲して、それでも長いな~と自分でも思いながら、これ以上は削りたくない、もうこれ以上は直す時間が取れない、と思うラインで妥協する。その繰り返しでした。
私は勉強会班にも所属しているのですが、オンライン勉強会(zoom)中に受講生の方々から「風さんのブログ、メチャメチャ面白いです!」「居眠りしちゃったとか、本当ですか!?」等とお声掛けいただくことが何度かあり、大変励みになりました。
診断士のお仕事の中には「執筆」も一定程度あると言われる中、タキプロは無償の活動ではありますが、先達が育てたそのブランド力のお陰で、無名の合格者がインターネットに記事を公開して、多くの方に見ていただけること。それは非常に有難く、また、掛け替えのない成長の機会をいただけたなと、深く感謝しております。
是非、今年の合格者の方には、タキプロへの入会を強くお勧めいたします。診断士協会への入会はいつでもできますが、タキプロへの入会は合格初年度しかできません。そして、自分の受験経験を振り返り、受講生に説明するために知識を再整理→不足分を追加でインプットして、ブログや勉強会でアウトプットするという一連の活動が、日本版MBAとも言われる診断士の知識体系の(記憶の)定着に非常に有用でした。
さらに、日本全国にそういった意識の高い同期合格者の100名を超えるネットワークが作れます。協会は基本的に都道府県単位なので、全国区の診断士のネットワークが作れる機会というのも、そうそうないでしょう。 今思えば、この経験と人脈をタダ(無料)で得られるのは絶っっっ対にお得です。本当に、心からそう思います。
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目次
最後のテーマはアンケートで
どうやら今回が最終回らしいということで、何を書こうかなと。当初の枠は「フリーテーマ」でいただいていたので悩みに悩んだ挙句、実はX(旧twitter)でアンケートを取りました。選択肢は以下の4つでした。
- ITストラテジストと診断士のシナジー(仮):22.7%
- 中小企業経営は麻雀だ!(仮):22.7%
- 経営したことがない診断士の強み(仮):40.9%
- 事例2の満点答案はこれだ!(仮):13.6%
というわけで栄えある第1位は「経営したことがない診断士の強み(仮)」となりました。
うっかりすると大炎上しそうなテーマですし、実際にこのネタは定期的にSNS等で炎上しているような気もしますが…。まぁ、第1位になるということはそういうことでしょう。
ただ私は、一体全体なんでこんな下らないこと(え)で炎上するのか、よく分からんな~といつもネット界隈を静観しております。
もしかしたら「経営したことがない診断士は経営に口出しするな!」という風潮?があるのでしょう。けれど、そんなことをもし他ならぬどこかの診断士が言ってるんだとしたら、「まぁ落ち着いて…」と諭したくなる。そんな案件です。
というわけで今回は、「経営したことがない診断士の強み(仮)」について、私見を語らせていただければと思います。なお、アンケートの他の選択肢のテーマも書きたかったので、近々個人のnoteに載せられたらと考えています。興味を持って下さった奇特な方は、よかったら検索してみてください。
経営したことがない診断士の強み(仮)
「経営したことがない診断士の強み」って、何でしょうか。
そもそも、なんか変な日本語ですよね。普通に考えたら、経験が強みになることはあっても、経験がないことが強みになる?うん、やっぱりなんか変です。
でも、そういえばよく似た話を診断士の受験生界隈で聞いたことがあります。実務経験が豊富なベテラン受験生ほど、与件文で与えられた情報だけでなく、そこから連想される自分の経験を交えた妄想を解答してしまい、不合格になってしまうという話。いわゆる「ポエム」ってやつですね。
実はこの話、経営したことがない診断士の強みを考える上で、切っても切れない関係にあります。さらに言えば、診断士とは何者か、という本質的な問いに対する答えを考える上でも、非常に重要だったりします。
以下のような流れで、順を追ってご説明します。
- 中小企業診断士は経営コンサルタントの一種
- 経営コンサルタント界隈の悪評とその理由
- 大手コンサルティングファームの功罪
- 経営したことが「ある」とはどういう状態か
- 中小企業診断士の強み
- 経営したことがない中小企業診断士の強み
1⃣中小企業診断士は経営コンサルタントの一種
中小企業診断士は、経営コンサルタント唯一の国家資格だとか、日本版MBAだとか、よく言われますよね。
でも、じゃあ世の中の経営コンサルタントが必ず診断士を持っているかといえば、全くそんなことはなく、むしろ持っていない人のほうが圧倒的に多いでしょう。経営コンサルティングが診断士の独占業務なら良かったのですが、そんなことは当然ないわけです。
ただ、せめて中小企業に対する経営コンサルティングだけでも診断士の独占業務になっていれば、事業承継とかM&A周りで起こっている最近の悲惨な事件・ニュースも、ある程度は防げたのでは?と思ってしまいますね。
職務基本規程等を充実させて、違反者は免許剥奪というペナルティを科すことで、ある程度の抑止力にすることができるからです。
そのためには取得者数をもっと増やさないとなんですが、まだまだ診断士は認知度も低いし、ブランディングも足りていないですよね。かといって試験の難易度を下げると、質の低下というまた別の問題が起きる。士業あるある、ですね。
その辺は合格者や受験生の皆様、そして何より中小企業庁や経産省の「優秀な」官僚の皆様の努力が欠かせないですね。
皆で「中小企業診断士」ブランドを盛り上げていきましょう。中小企業庁ガンバレ!!
2⃣経営コンサルタント界隈の悪評とその理由
さて、では一旦、診断士を持っているか否かを横に置いて、経営コンサルタント界隈について考えてみましょう。
一言でいえば、評判が悪いです。嫌われています。
原因はいくつかあると思います。
- フィーが高い
- 態度がデカい
- その割に大したことできない(業種・職種の知見が浅い)
- 机上の空論を売りつけて終わる(戦略の実行支援をしない)
- 何なら会社に損害を与えるまである
ひどいな!そりゃ嫌われるわ、って感じですね。
でもこの辺は、診断士あるいはそれを目指す人間としては、肝に銘じつつ反面教師としなければなりません。
経営コンサルティング界隈、なんでこんなことになってるのかといえば、これはもう大手経営コンサルティングファームの功罪なんだと思います。
そもそも、経営資源に乏しい、お金のない中小企業には高いコンサルティングフィーが払えないし、何となく経営が上手くいっているうちはコンサルタントになんて用もないので、接点がありません。
しかしなぜか。世の中には高いフィーを払ってでも、コンサルタントに丸投げしたい人種がいます。大企業の経営層がその代表格で、思いつきの戦略や大規模な投資判断、経営の舵取りをコンサルタントに任せることで、あわよくば責任転嫁を目論んでいたりします。
損失を出したら、「あのコンサルタントのせいだ」として切り捨てて保身に走る。そのための「弾除け」になら、高い金も払える。新卒や最前線にいる中堅社員から搾取したお金を、弾除けの購入に使う、経営者の風上にも置けない人種です。
さて、ここで1つ気づいてほしいことがあります。失敗したらコンサルタントのせい。
では、成功したら?
そう。
失敗はコンサルタントのせい。
成功は、自分のお陰…
そりゃあ、コンサルタントのイメージが良くなるワケないですよね。
3⃣大手コンサルティングファームの功罪
で、まぁそういう大手コンサルティングファームで高いフィーを稼いだコンサルタントが、何かの拍子に独立してコンサルタントになったとしましょう。
新卒でコンサルティングファームに入ったりしたら、もちろん経営そのものの経験なんてありません。でも、大手企業の経営層に助言したこともあるし、役員や部課長クラスとの対話は慣れっこで、年収も高かった。
そりゃあ、態度もデカくなりますよね。いや、多くの場合は単なる勘違いなんですが。
フィーも高く設定しがち。でも、経営資源に乏しい中小企業の経営なんて見たことも聞いたこともないから、無茶な戦略を描きがち、大風呂敷を広げがち、法螺を吹きがち…
そうなるともう、実現できない戦略を描くから実行支援はできないし、実行しても失敗して損失を出したりするわけです。
秒で、嫌われる理由5つコンプリートです。こりゃダメです、悪循環。そりゃあコンサルタント嫌われます。最近じゃ、コンサルタントって名乗りたくないからアドバイザーって言ってみたり、伴走支援とか言ってみたり…。
もうこれは、業界を取り巻く悪習であり、良くない商慣習だと思います。それも、日本だけでなく全世界的な問題だと思います。なぜなら、大手コンサルティングファームは多くの場合グローバルに展開しているから。
ただ私は、別に大手コンサルティングファームが悪いと言っているわけではないんです。
失敗だけをコンサルのせいにする一部のダメ経営者や、勘違いをして上から目線で身の丈に合わないフィーを請求する一部の勘違いコンサルタントがダメだと言っているだけ。
多くの経営コンサルタント、とりわけ大手コンサルティングファームにいる経営コンサルタントは非常に優秀です。賢いし、コミュニケーション能力も高い。大手コンサルティングファームの功罪の「功」の部分です。でも、彼らは経営したことはないんです。
これは一体、何を示しているのでしょうか。
4⃣経営したことが「ある」とはどういう状態か
もうお分かりかと思いますが、経営コンサルタントに必要なのは、経営コンサルティング能力であって、「どれだけ経営者(役員等)のポジションに長い間いたか」ではないんです。
何年、何十年と経営者のポジションにいたとしても、コンサルに丸投げして責任を取らない、成功したら自分の手柄…という人よりも、たった数年間でも時流を掴む一つの経営テーマについて十数社の伴走支援をしてきました、という若者の方が、下手をすれば経営の経験が積めているし、(そのテーマに限っていえば)経営コンサルティング能力も高いと思います。
補足すると、経営者のポジションにいて、かつ、ちゃんと経営している人にはもちろん敵いません。でも、その若者はそれでも、その「時流を掴む一つの経営テーマ(たとえばESG投資とか)」についてはその経営者に助言することができます。
なぜなら、経営者は基本的に自分の会社・業界での実体験しか持てないからです。その点、コンサルティングファームに所属して様々な業界や複数の企業の経営を「疑似体験」できることは、コンサルタントという職種の強みの一つと言えます。
ところで、経営者が経営を「丸投げ」する先はコンサルタントだけでしょうか。
ここで一つ視点を変えて、経営者が統治する社内に目を向けましょう。経営者が丸投げする先は何もコンサルタントだけではありません。そう、部下です。
まったく同じ話で、部長や課長といった中間管理職は基より、場合によって特定の経営テーマということで言えば時に末端の一般社員にまで、「経営」の仕事は下りてきます。
ここまでの理屈で言えば、それに従事するということは経営の疑似体験であり、経営コンサルタントとしての能力向上に繋がる仕事ということになります。そして、診断士を持っているか否かに関わらず、そういう方は世の中にたくさんいます。
むしろそういう方が、経営に興味を持ち、診断士という国家資格と出会い、合格を目指すという構図なのではないでしょうか。
なので私は、診断士あるいは診断士を目指す人が「でも私は経営したことはなくて…」と下を向く必要は全くないし、メンタリティとしてはむしろ間違っていると考えています。経営者が不甲斐ないから、代わりに私が経営を操ってやる!そのくらいの気持ちでいてください。というか、いろ!(笑)
5⃣中小企業診断士の強み
さて、ここまで一般的な経営コンサルタントという枠組みでいろいろと書きました。ここからは中小企業診断士の強み、について触れたいと思います。
少なくとも私は、冒頭で述べた経営コンサルタントのイメージを払拭したい、ですね。良くも悪くも知名度が低い今のうちが勝負です。もう一度、嫌われる理由5つに戻って、一つずつやっつけていきましょう。
- フィーが高い
中小企業は経営資源に乏しいです。つまり、お金がありません。大企業向けの水準よりは下げていくことが必要です。あとは、公的機関の支援を活用して、企業の負担感を軽減することが必要です。具体的には補助金とかでしょうか。
ただし、補助金は必要な施策を打つ上での支援策であり、手段に過ぎないことを忘れてはいけません。補助金(の分け前)をもらうことが目的化してしまっては、必要のない施策を実行することになり、ひいては企業に損失を与えてしまい、少なくとも継続的な支援にはつながらないし、そればかりか診断士のブランドを毀損することになります。気を付けましょう。(以下、自戒も籠めて)
- 態度がデカい
これはもう、最終的にはその方の人間性の問題に帰着するとは思いますが。大手コンサルファーム出身で診断士に合格したばかりの若い方や、経営資源の豊富な名立たる大企業の管理職を経て診断士に合格したベテランの方は、特に要注意です。
2次試験の勉強をしていると、気づくことがあります。診断士は飽くまで、経営者から雇われ(委託され)ているということです。そのため、一部の某最大手戦略コンサルティングファーム(マッキンなんとか)を除いて、経営コンサルタントは「経営者のビジョン(やりたいこと)の実現」のための対価をいただいている、のだということを決して忘れてはなりません。
そうである以上、態度がデカい、なんてことはあり得ないんです。また、よく聞くのが「雇い主である経営者には腰が低いけど、末端の平社員への態度がデカい」とかです。今の時代、そんな悪評はネットで一瞬で広まります。悪事千里を走る、です。気を付けましょう。
- その割に大したことできない(業種・職種の知見が浅い)
これはですね。2の裏返しなんですよね。態度がデカい割に、なんだアイツは。ということです。なので2に気を付ければ、半分は解決です。
そして、ここまで私が力説してきた「経営したことがあるかどうか」の話で言えば、ついこの間まで会社員だったような診断士が、仮に独立して形式的に経営者の看板を手に入れたとしても、その業界業種でこれまで経営してきた中小企業の経営者に向かって何を言ったところで、どこまで行ってもその領域(業種・職種)の知見は浅いです。勝てるはずがない。そこは診断士の土俵ではないんです。
もちろんキャッチアップのための勉強は必要ですし、勉強が得意なことは間違いなく診断士の強みですが、基本的にその領域の知見や経験値で経営者を追い抜かすことはできない、と心得ましょう。
唯一の例外は先ほど挙げた「特定の経営テーマのスペシャリスト」としてコンサルティングを提供する場合ですが、それにしても実際にその業種に適用するとなった場合は、個々の企業の経営状態によって具体的な施策はアレンジが必要になります。
だから謙虚に、クライアントの業種の勉強に励んでください。それに尽きると思います。
- 机上の空論を売りつけて終わる(戦略の実行支援をしない)
これは、中小企業だとあまりないのかなとは思います。なぜなら、何かをするためのお金しかないからです。アイデアだけを買う、そんな余裕は中小企業にはありません。あるとしたら、「補助金をもらうために、今まで立てたこともない事業計画を診断士に立ててもらう」みたいなケースでしょうか。
ただ、この机上の空論というのは、逆に診断士の強みでもあると思います。どういうことか。
しっかりと日本版MBAとも言われる理論を学んでいるからです。具体的には経営学や会計学、経済学、マーケティング、IT…をちゃんと一通り学んでいる。これは、診断士なんてなくても名乗れるコンサルタントという職種の中では、大きな差別化要素となります。
そういう意味では民間の実務従事ではなく、診断士協会の実務補習を是非受けてほしいな、と私は思います。協会の実務補習は総合診断といって、経営の全領域に亘る幅広い診断を複数の診断士で分担して実施します。もちろん、指導員の指導の下で短期間に行われる模擬的なものではありますが、無資格のコンサルタントとの違いを出せる部分だと感じています。
というのは、たとえば会社員時代にマーケティングをやっていたから、マーケティングコンサルタントとして独立しました、といった場合、やはり施策はマーケティングに偏りませんか?その企業の本当の、最大の課題は、マーケティングではなく生産管理にあるかもしれないのに。
そこを、網羅的な知見、経営学の知識を活かして経営の全体最適を図れること。経営そのものを真上から俯瞰できること、これが、目下私の考える、診断士の最大の強みです。
- 何なら会社に損害を与えるまである
なので、戦略の実行支援までちゃんとする前提で考えた場合、無駄な施策は打てないですよね。本当は生産管理に経営課題があるのに、マーケティングに使うお金はないはずです。
それが分かる、経営の全体を俯瞰できる診断士だからこそ、本当に必要な施策が打てる。そうすれば、会社に損害を与える可能性はグッと減ります。
それでも、実行の支援までするとなると、プロジェクトを立上げ、伴走支援しなければなりません。その時に本当に役に立つのは、私は他ならぬ会社員時代の経験だと思います。
プロジェクトは一人では実行できません。役員を説得して、必要なスキル・ポジションを持った人選でチームを組んで、メンバー間で密に連携して、部門間の垣根を越えて。場合によっては、外部から人を採用したり、外注したり…。
そして、逆説的に言えば、それはそのプロジェクトの中にいる人、つまり企業内診断士であっても、同じことです。経営者に企画書を出して、役員を説得して…
むしろ自分事だからこそ、失敗はできない、ということもあると思います。自分の会社が傾くようなことには、診断士のスキルを活かして反対する、自分の会社を立て直すためなら、診断士のスキルを惜しみなく会社に提供する。
コンサルタントとして外部から入る場合は、逆にそこに気をつけましょう。自分事として考えれば、いかに自分の得意領域といえど無駄な施策は打てない。
というか、本当に自分の得意領域なら分かるはずです。今この会社に必要なのはコレじゃないな、と。そして、得意領域以外の施策を提案する必要があると感じたら、診断士や他士業とのネットワークの出番です。必要に応じて連携する仲間がいる、これも診断士の強みだと思います。
6⃣経営したことがない中小企業診断士の強み
はい、やっとタイトルに辿り着きました。
まぁ、ここまで読んでいただければ、私の言いたいことはもうお分かりだと思います。
中小企業診断士に本当に求められるのは、形式的な経営の経験ではない、ということ。
診断士が戦う土俵は、その業種での経営の経験値の物量ではない、ということ。
ただもちろん、経営したことがあることは、診断士にとっては間違いなく強みです。
なんだ、じゃあやっぱ経営したことがないことは弱みにしかならないじゃないか、というと、そうでもない、という話をして、クリスマスイブの無駄話を終わりにしたいと思います。
結論から言えば、冒頭のポエムの話です。クライアントの業種や企業規模に近い経営の経験があればあるほど、特定の経営テーマの経験があればあるほど、人はその経験に引っ張られます。
あの会社の時、ああだったから、こうなるはずだ。
2次試験では与件文があるため、与件文にないことはポエムだ、と断じることができますが、現実世界ではそうはいきません。
PEST分析然り、この現実世界に起こっていること全てが与件文です。
幸い、診断士やMBAで扱っている経営学は学問であるため、それはもう地球上でも一握りの頭の良い人たち(=学者)が、この現実世界に起こっていること全てを「できるだけ」カバーして理論を確立しようとしています。あまりに偏った理論は、汎用性がなくて支持が得られず、淘汰されていきます。
その、なるべく偏りのないように高名な学者たちが練り上げた汎用性のある「経営学」が診断士の武器なのに、それに基づく総合診断を歪める要素があります。それが、個々の診断士の実体験です。
基本的なロジカルシンキングができる人でないと、2次試験の通過は難しいと思います。ですが、ロジカルシンキングの本質は
と、
なので、個人の経験はその帰納法のベースである「この現実世界に起こっていること全て」すなわち与件文に加えられてしまいます。そうなるとロジカルシンキングが得意な人ほど、そのロジックが歪められて判断を誤る可能性が高まる。それは時に経営したことがある診断士の弱みにもなる、ということです。
そして、その逆もまた真なり。
だからこそ、経営経験の多寡にかかわらず診断士は、常に最新の経営学や「この現実世界に起こっていること全て」にアンテナを張り、自身のアップデートを続けなければなりません。陳腐化した化石のような古い経営学にしがみついているだけでもまた、時代に合わない与件文を基に助言することになるからです。
よく、「MBAが会社を潰す」的な論調を聴いてみると、どうやらそういう理屈のようで…。
そう考えると、診断士の試験勉強をしていた頃と、試験合格した今とで大した違いはないと私は思います。合格は、通過点に過ぎません。結局、経営コンサルタントという仕事を続けたければ、診断士に合格していようがいまいが、ずっと勉強ということです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今日はクリスマスイブですが、約3週間後に迫る診断士2次筆記試験の合格発表が気になって、それどころではない方も多いかもしれません。しかし、泣いても笑っても結果は発表されます。
皆様の合格を心よりお祈り申し上げます。
でも、もし不合格だったとしても、合格するまで受け続ければ、それもまた良い思い出です。
だって、どのみちずっと勉強なんですから。
ともあれ年内は診断士のことは忘れて、ゆっくりと心と体を癒してください。
温泉旅行もいいですね!♨
そして、年が明けたら合格発表です。そしてその翌週くらいに口述試験です。
うっかり合格…いえ、タキプロで勉強なさっていたなら、きっと合格していることでしょう。
その暁には、口述試験対策でタキプロの門を叩いてください。
皆さんのお越しを、タキメン一同、心よりお待ち申し上げております。
次回は、Kota さんの登場です。
お楽しみに!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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