実務補習とはどんな感じ? by nyoko
タキプロ15期の nyoko と申します。 今回は診断士試験合格後に体験することができる実務補習についての記事となります。この記事で少しでも実務補習についてのイメージできていただけたら幸いです。
タキプロ15期メンバー募集
★参加応募受付中★
下記バナーから参加申し込みいただけます!
目次
■はじめに
私は実務補習を2回受講しております。7月と9月で、どちらも5日間コースでした。ただ、5日間コースは、一部地域以外ほとんどの地域で2024年をもって廃止となり、2025年以降の実施はありません。2025年以降は原則として8日間コースか、15日間コースのどちらかとなります。以下のサトシさんの記事で、2025年以降の日程について詳しく記載されております。
そのため、私が体験した5日間コースのスケジュールは、これから受けられる方には残念ながら、ほとんど参考になりそうにありません。
一方で変わらないと思われるところもあるはずなので、2025年以降も変わらないであろうことを中心に記載させていただきます。
■そもそも実務補習とは?
一言で表すと「中小企業診断士として正式に登録するための手段の1つ」と言うのが適切なのかもしれません。
あくまで手段の1つなので、「実務補習を体験しなくても診断士登録はできる」ということとなります。
中小企業診断士として登録するためには2次試験(筆記・口述)合格後、3年以内に以下のいずれかに15日以上従事する必要があります。
1.診断・助言業務
(1)国・都道府県、中小企業基盤整備機構または都道府県等中小企業支援センターが行う診断・助言業務
(2)中小企業基盤整備機構または都道府県等中小企業支援センターが行う窓口相談などの業務
(3)中小企業に関する団体が行う中小企業の診断・助言または窓口相談などの業務
(4)その他の団体または個人が行う診断・助言または窓口相談などの業務
(5)中小企業の振興に関する国際協力などのための海外における業務
2.実務補習
(1)登録実務補習期間による実務補習
(2)中小企業基盤整備機構または都道府県等中小企業支援センターにおける実務補習
診断士合格後に「1.診断・助言業務」に従事できる人は少数派と思われ、診断士登録するために実務補習を受ける人が多いのではないでしょうか。
なお、診断協会によると実務補習は「経営診断のインターシップの場」とのことです。
■ノートパソコンの準備
まず、実務補習の事前準備についてです。
実務補習では実習中の何日かは診断士協会が用意した会議室で全員集まって終日作業となるため、ノートパソコンでの作業が必須となります。
もし、プライベートパソコンはデスクトップのみという方は実務補習までにノートパソコンの購入が必要となります。その際はWindowsパソコンが無難です。
■Microsoft Officeの準備
続いて、実務補習ではMicrosofi Officeのアプリケーションである「Word」は全員必須です。加えてSWOT分析で「Excel」もほぼ使います(更にリーダーや財務・会計戦略担当になる方は必須)。
そのため、Officeがインストールされていない方は、こちらも購入が必要となります。ちなみに私のパソコンは恥ずかしながらサポート切れのOfficeを使い続けていたのですが、実務補習を機に、Microsoft365にしました。
■役割分担
実務補習では基本的に5~6名で1チームとなり、1人1戦略の担当となります。担当戦略については事前に実務補習の指導員の先生からメールで連絡があります。実務補習先の業種によって担当戦略は変わるのですが、主な戦略はこんな感じです。
- 経営戦略(基本的にリーダーが担当)
- 財務・会計戦略
- 人事・労務戦略
- 営業・販売戦略
- 製造戦略 等
この中で「経営戦略」と「財務・会計戦略」は、どの業種で実務補習を行っても必ずあるはずです。そのため、「経営戦略」と「財務・会計戦略」は必ず体験しておいた方が良いと言われているようです。更に、どちらかとなれば、やはりリーダーが担当する「経営戦略」になるようです。
ちなみに私は1回目の実務補習では初めてということと、普段の実務に近いということで「人事・労務戦略」を担当しました。「人事・労務戦略」として、診断先の企業では社長が従業員の給与の決め方に悩んでいらっしゃいましたので、人事考課についての仕組みづくりの提案や、従業員満足度向上に寄与するような施策について検討しました。その際、中小企業白書は大変重宝しました。
また、2回目の実務補習では「経営戦略」と「財務・会計戦略」で悩みましたが、「財務・会計戦略」を選択しました。これは財務的観点で経営を診断する経験をしてみたいという思いがあったからです。
「財務・会計戦略」は担当して本当に良かったです。実は診断先の企業は、いわゆる「債務超過」の企業でした。要するに診断士試験ではまず見ることがない、「純資産がマイナス」の状況です。そんな貸借対照表の企業を生まれて初めて見たので正直衝撃でした。
この債務超過を解消するためには、財務面でどんな施策があるのかをひたすら考えることとなりました。必要な売上高・原価・販管費・運転資金についてエクセルを駆使して、シミュレーションも行いました。また、補助金や日本政策金融公庫の融資等も調査しました。今後、診断士活動を行っていく上で、良い経験となりました。
ただ、やはりリーダーを経験しなかったのは、「もったいない」と言えるのかもしれません。
■経営者へのプレゼンはメンバー全員必ず行う
(残念ながら)プレゼンは避けて通ることはできません。担当する戦略のメンバーが必ず自分自身でプレゼンを行うこととなります。
プレゼンの順番ですが、リーダーが担当する経営戦略は必ず最初です。ただし、その後の戦略の順番は任意で、メンバーで話し合って決めることとなります。その企業が特に重要視している戦略は何かを目安として、無駄のない流れになる順番になるのが多いのではないでしょうか。なお、診断報告書も、この発表順で並べていきます。
私もそうだったのですが、人前で話すのに慣れていない人は非常に緊張します。ただ、今後の診断士活動に間違いなく必要なことだと考えると、少し前向きにはなりました。
7月の実務補習では経営者の最終プレゼンの直前にリハーサルを行いました。指導員の先生から各戦略でプレゼン時間の目安は20分と言われていたので、20分に収まるようにリハーサルしたのですが、これはやって良かったです。リハーサルでは30分くらい行きそうだったので、診断書に書いてある全部を話すのではなく、ある程度重点項目を絞って話すよう心掛けました。本番では20分以内に何とか収めることができました。
■服装について
経営者の方とお会いする日(初日のヒアリングや最終日の診断報告日等)についてはスーツ着用が必須です。なお、私が実務補習を受けた7月と9月は猛暑だったので、ネクタイ着用までは求められませんでしたが、男性であれば基本ネクタイ着用も必須となります。
それ以外に集まって作業する日は普段着で問題ありません。ちなみに私は短パンにサンダルの、かなりラフな格好で参加したこともあります。
■意外に出費がかさむ?
実務補習の受講代金以外にも、実は案外出費がかさみます。
世の中にあまたある中小企業は決して最寄り駅から徒歩で行けるようなところばかりではなく、最寄り駅からタクシーで30分と言ったところも珍しくないです。その場合、タクシー代は基本的に全員で割り勘になります。
また、昼食代もそうですが、作業が終わった夜にも飲み会は結構あります。もちろん、それも全て割り勘です。
更に、診断先の企業に提出する診断報告書の製本に必要な費用も、確か2000円までは診断協会で払われますが、それを超える金額は割り勘となります。
電子マネーも浸透はしつつあるものの、割り勘になると不便なことも少なくないので、ある程度は現金も所持していた方が無難です。
■実務補習は受けた方が良いか?
結論から申し上げますと、普段の実務でポイントを獲得できる方は、あえて受ける必要性は低いのかもしれません。
ただ、普段の業務でポイントを稼げないのであれば、1回は必ず受けた方が良いと思います。
なお、率直に私自身は「受けて良かった」です。スケジュールは正直タイトではありましたが、経営者の方と直接対面でヒアリングできるのは、普段の本業業務では、なかなかできることではないので、緊張はしましたが、本当に貴重な体験でした。また、そのヒアリング内容を元にメンバーとのディスカッションを通じて、多様な視点や考え方を共有することで、新しい発見や気づきを得ることができました。
診断報告書ができあがったときの達成感は何とも言えないものがあり、私にとっては宝物です。今でもたまに診断報告書を見返しているくらいです。
最終日の経営者の方へのプレゼンは、やはり緊張はしましたが、経営者の方から「参考にします」と言われたときは本当に嬉しかったですし、これが診断士としての醍醐味なのかもしれないと思いました。
■おわりに
実務補習10ポイントに加え、別に実務従事でも5ポイントゲットして、2024年11月1日付で晴れて中小企業診断士に登録することができました。
また、この記事が2024年に私が担当する最後の記事となります。実は既に診断士として、2025年の目標があり、それは「診断士活動で報酬をもらう」ことです。そのための第一歩として、居住地の診断協会に先日加入させていただきました。ただ、どのように活動したらよいか、何もプランが固まっていないので、結局絵に描いた餅になりそうな気もしなくもないですが。
次回は、ビビタク さんの登場です。
お楽しみに!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
↓下のボタンを押して、読んだよ! と合図していただけると、とっても嬉しいです。
(診断士関連ブログの人気ランキングサイトが表示されます[クリックしても個人は特定されません])