私の合格体験記 by nyoko

合格体験記

タキプロ15期の   nyoko と申します。  今回は合格体験記を担当することになりました。投稿される時期的に、これから中小企業診断士試験にチャレンジしてみようと考えていらっしゃる方も、もしかしたらご覧になっているかと思います。今からしっかり学習すれば、まだ1次・2次ストレート合格を目指すことも可能です。少しでも参考になれば幸いです。



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■受験歴

タキプロで初めて担当した以下の記事にも書きましたが、改めて私の受験歴を記載させていただきます。

中小企業経営・政策の特徴と効率的学習法 bynyoko

受験歴:1次 1回、2次 2回
勉強方法:1次 メイン:診断士ゼミナール サブ:TAC1次直前パック、
2次 1年目:TAC2次直前パック 2年目:LEC2次上級合格コース

記載したとおり、私は「資格予備校をがっつり利用」しました。ちなみに合格後に自分がどれだけ投資したか、計算したところ、合計で50万円を超えておりました・・・。
ただ、タキプロに入会されている方の受験歴を拝見すると、結構独学の方が多い印象で(正直自分は意外でした)、私のようなタイプはタキプロにおいて、どちらかと言えば少数派の方なのかもしれません。なので、独学で合格を目指されている方には今回の記事はあまり参考にならないと思うので、独学で合格された方の合格体験記を、ぜひご参考いただければと思います。

逆に資格予備校を利用して、合格を目指されている方には、少しでも参考になるところがあれば幸いです。

■受験しようと思ったきっかけ

2020年に社会保険労務士試験を合格したものの、社労士試験がハードだったことで、合格したら、もう資格試験は受けないと思っておりました。
ただ、合格して最初の1ヶ月こそ解放感で一杯だったものの、何か物足りなさを次第に感じるようになりました。

段々と社労士と相乗効果がありそうな資格を探し始めていたところ、中小企業診断士がありました。実は社労士受験でも資格学校の通学講座を利用しておりましたが、担当講師の方が「社労士の他に中小企業診断士も持っている」とおっしゃったことがあり、元々それが診断士資格を知るきっかけでありました。ただ、そこから少し気にはなる存在にはなっていました。

改めて受験科目を確認したところ、今後、もし社労士として活動していくときに、2次試験の科目に「組織・人事」があり、経営コンサルの知識も加われば、社労士としての活動にも幅も出ると感じたからです。

■1次試験

ちなみに最初から独学の選択肢はありませんでした。自分の能力からして、独学での合格は無理だと思っていましたので。
また、ストレート合格も正直厳しいと感じておりました。
理由はまず1次はマークシートであるものの、2次試験が筆記試験であることを知ったからです。筆記試験はだいぶ遠ざかっていたので、自信はありませんでした。また、1次試験自体も2日間で7科目あるため、1次試験1発合格も正直自信はありませんでした。幸い1次試験には科目合格制度があるので、1年目は半分の4科目くらい合格すればいいかくらいの気持ちで始めました。

そのため、大手の通学講座も考えたものの、大体20万円前後かかります。それは2年目以降で科目数が減ってからでも良いと考え、最初の1年は費用を抑えた診断士ゼミナールという通信講座に決めました。ちなみに1次単独コースで2次の講座はつけませんでした。

学習は2021年9月から本格的に開始しました。通信講座はある程度、自分でスケジュール管理が必要と感じていたため、以下のようなガントチャートを作って管理しておりました。仕事でもあまり作らないのですが。

診断士ゼミナールでは教材は動画講義と7年分の過去問(ただし、最新年度の過去問は4月ごろに別途配布)でした。まずは動画講義を自分の立てたスケジュールに沿って視聴しつつ、学習した内容について過去問学習するというスタイルでした。

過去問学習ですが、自分のやり方は、いきなり問題演習には入らず、まず設問の選択肢に解答を見ながら、正しいことを記述している選択肢には「〇」、間違ったことを記述している選択肢には「×」を選択肢の近辺に赤のボールペンで書き込みました。最初の3週くらいは、とりあえずなぜ「〇」「×」なのか、テキストや解説を見ながら、とにかく頭に叩き込みます。
ある程度解答を覚えられたと感じたら、赤い下敷きで解答を隠しながら、各設問1肢ずつ「〇」「×」判定を理由も考えながら、問題演習をすることで、より頭に定着させていきました。

また、過去問学習だけでは不安であったので、ゴールデンウイーク明けからはTACの1次直前パックも受講することにしました。この講座で個人的に受講して良かったのは「中小企業経営・政策」の解答選択肢の絞り込みの考え方でしたね。あと、直前講義レジュメはコンパクトにまとまっていて、本試験当日にも持っていき、試験前の最後の追い込みで目を通しました。

1次試験2日間受験直後の手ごたえは「経営法務」は基本的な問題が多く、手応えありました。逆に「財務・会計」は過去問で見たことない問題が多く、下手したら足切り食らうかもと覚悟したくらいです。その他の科目も特に「行けたかも」という手ごたえはありませんでした。
2日間の試験直後に会場近辺で配布している解答速報をもらい、すぐさま会場近くの喫茶店に駆け込み、自己採点しました。「経済学・経済政策」48点、「財務・会計」56点、「企業経営理論」5割強、「運営管理」7割強という結果でした。帰りの電車で思ったのは、「あと1問できていれば財務・会計が合格点だったのに」という後悔ばかりだったのが記憶に残っています。

帰宅後、KECの解答速報で、2日目科目を自己採点したところ、「経営法務」68点、「経営情報システム」56点、「中小企業経営・政策」8割弱でした。これは正直「行けたかも」と期待しましたね。

翌日、既に有給休暇は取得しており、万全の態勢で公式サイトで合格発表を確認しました。自分の受験番号がありました。「半分以上受かってたらいいな」と思って、始めましたが、まさかストレートで1次合格できるとは思ってもいませんでした。これはやっぱり嬉しかったです。
※経緯は割愛しますが、事前講座として最初に選んだのは「運営管理」と「経営情報システム」の2科目でした。特に「運営管理」は馴染みのない言葉ばかりで、とんでもないところに足を踏み入れてしまったと若干後悔したくらいでしたから。

要因があるとすれば、社労士試験の合格体験は結局大きかったと思います。テキスト⇔問題集の反復学習が身についていたので。ちなみに1次試験の実際の点数は以下でした。

  • 経済学・経済政策:48点
  • 財務・会計:56点
  • 企業経営理論:54点
  • 運営管理:71点
  • 経営法務:68点
  • 経営情報システム:60点(実際は56点だったが、没問があったため4点繰り上がり)
  • 中小企業経営・政策:78点
  • 合計:435点

ほとんど「運営管理」と「中小企業経営・政策」のおかげですね。逆に2次試験に直結する「財務・会計」と「企業経営理論」が物足りない結果となりました。

■2次試験(1回目)

1次ストレート合格はとても嬉しかったですが、2次試験の対策は何も取っておりませんでした。とりあえず2次試験のマストアイテムとのことであった「ふぞろいな合格答案」の最新版は購入したものの、その当時は正直頭には全く入らなかったです。

自力だけでは到底無理と思ってましたので、迷うことなくTACの2次直前パックを受講いたしました。

当時はインプット講義2回と答練8回+模試だったのですが、60点どころか、40点すら、まともに超えられず、模試もD評価でした。完全に落ちこぼれですね。そもそも当初はSWOT分析が何たるかさえ、よく分かってないくらいでした。ぶっちゃけ「Oって何だっけ?」レベルでした。

そんな実力では到底太刀打ちできるはずもなく、合格発表日に公式サイトで確認しましたが、自分の番号はありませんでした(もしかしたら合格しているかもと淡い期待はしていました。)。ちなみに最初の2次試験は以下の点数で惨敗でした。

  • 事例Ⅰ:49点
  • 事例Ⅱ:58点
  • 事例Ⅲ:57点
  • 事例Ⅳ:57点
  • 合計:221点

事例Ⅰが特にひどいですね。一応、本業はこれでも総務人事で、社労士の資格も持ってたりするのですが。

■2次試験(2回目)

特に惜しい点数でもなかったので、合格発表後、すぐに切り替えて再始動することはできました。講座選びは1週間ほど悩みましたが、自宅から通学可能なLECの2次上級合格コースにしました。なお、1次の保険受験は全く考えず、2次に全集中することにしました。

合格発表後、講座開始から時間があったこともあり、その期間は過去問ではなく、ひたすらTACの「事例Ⅳの解き方」をやっておりました。既に1回目の受験時で購入しており、1回は解いたものの、理解しているとは到底言えない状態でしたので。
結論から言うと、これはやって本当に良かったです。事例Ⅳで必要な知識が整理され、苦手意識が払しょくされました。逆によくこの状態で、1回目の2次試験受けたのかと思うと、恥ずかしくなるくらいでした。なので、2次試験再チャレンジの方で、特に事例Ⅳに苦手意識のある方には事例Ⅳ問題集から取り組まれることを個人的には強くお勧めしたいです。

LECでは、かなり鍛えられました。特に「答案の書き方」ですね。自分では気づかなかったのですが、だらだら文章を書く癖があったようで、答練の度に「だらだら書いていて読みにくい」と添削で指摘されていました。100文字を1文で書ききってしまうような、ご法度なことも平気でやっておりました。

そういった指摘を反省して、自宅自習での過去問演習では、以下のようなことを心掛けるようにしていました。

  • 解答文字数が100文字であれば、最低
  • 2論点は入れる。できればメリット、デメリット等、二面性で書く。
  • 結論先出しで記述する。
  • 問われていることを漏らさないように、オウム返しで記述する。
  • 助言問題は文末は効果を必ず書く。
  • 体言止めはなるべくしない。
  • 実際の実務でどうかは一旦置いといて、あくまで診断士で学んだ理論を当てはめる試験だと割り切る。(事例Ⅰで「ジョブローテーションでモラール向上」が解答例として挙げられてますが、必ずしも全員望んでいるわけではなく、今の仕事から離れたくない社員も一定数いるはずで、ジョブローテーションによって、かえって退職者が出る可能性もあり、私自身もジョブローテーションは避けたいタイプです)

※独学の方でも「第三者に自分の解答を見てもらう」ことについては強くお勧めしたいです。普段から文章を書く仕事の方であれば問題ないかもしれませんが、私のように多くの受験生は恐らくそうでないはずです。独りよがりの文章に陥る危険性や、ふぞろい等で自己採点しても甘めになってしまうかもしれないので、自分の弱点に気づきづらい可能性があります。第三者のフラットな目線で採点してもらうことで、文章の悪い癖を修正しやすくなると考えます。

平日は仕事が終わってから、LECから配布された過去問を1日1事例解くようにしていました。自分が書いた解答とLECの模範解答を見比べながら、入れられなかった要素はどのようにすれば入れられたのかを自分なりに徹底的に考えましたね。

LECの答練や日々の過去問演習を繰り返す中で、8月ごろには自分なりの事例を解くフォームが定まってきました。80分のうち、前半30分はとにかく与件文と設問解釈に費やし、解答が書けそうな設問については解答骨子まで書き、残り50分の時点で解答骨子ができた設問から書き始めていくというスタイルです。
このスタイルは自分には合っており、LECの試験直前で行われる答練では全事例で60点以上は外さない、安定した点数が取れるようになりました。何度か優秀答案にも選ばれました。

遂にやってきた2回目の2次試験当日、前年よりは確実にスキルアップはできているとは思いつつも、不安はやっぱりありました。1次の保険受験をしていなかったので、これで落ちたら、また1次試験からやり直しという背水の陣ということもありました。

そして、始まった事例Ⅰですが、正直試験終了直後、かなり手ごたえありました。順調なスタートを切れたと思いました。

しかし、続く事例Ⅱで暗雲が立ち込めます。第2問と第3問の設問の意味が全く理解できなかったからです。配点が30点と高い第1問の3C分析と第4問にリソースをつぎ込むことにしました。当然、第2問の価格戦略で「サブスク」は書けませんでした。事例Ⅱは「とにかく50点を上回ってほしい」と願うばかりでした。

後半戦の事例Ⅲの分岐点は、やはり第5問の「設備投資妥当性可否」でした。実は最初は「妥当性なし」で書こうとしていました。設備投資系の問題は基本的に事例Ⅳ以外では「金を払えば解決できるのだったら診断士でなくとも助言できる」ということで、ご法度が暗黙のセオリーとなっておりました。ただ、いざ「妥当性なし」で書こうとすると「留意点」が、自分の引き出しでは、どうあがいても書けませんでした。こうなったら、「妥当性あり」に方針転換して書くしかないと割り切りました。結果論からすると、これは正しい選択だったのですね。

そして、最後に控える事例Ⅳですが、第2問の損益分岐点(CVP)の問題は焦りました。令和3年と令和4年で固定費が一致しないことで本当にパニックににりました。結局、一致しないことに日和って、変動費率を丸めることなく、固定費を算出してしまいました。また、損益分岐点比率の低下を悪化のことと思い込み「△」を付けてしまったり、「貢献利益」を「限界利益」と書いてしまったり、得点源にしなければならないCVPで、かなりつまずいてしまいました。一応、全問は解答したものの、悔いの残る事例となってしまいました。

余談になりますが、土日でホテルを取っていたので、試験直後は脳がくたくたに疲れ切っていたため、真っ直ぐホテルに戻りました。もし、翌日有給休暇を取れるようであれば、日曜日もホテル宿泊はお勧めです。

■2次試験合格発表と口述試験

試験翌日から各資格予備校が発信する解説動画を毎日むさぼるように見てました。事例Ⅲで「妥当性あり」書けた、事例Ⅱで「サブスク」書けなかった等、一喜一憂してました。

また、不合格だった時に備え、通信講座でLECの1次・2次上級コースにも申し込みました。今回落ちたら、もう受験するつもりは当初なかったのですが、ここまで来たら受かるまではやろうと思ったからです。合格した場合は証明書を提出すれば、受講費は返還されるので、そこは安心でした。11月から2か月間で「財務・会計」と「運営管理」については講座と答練まで受講は完了させました。

再現答案サービスも、いくつか提出しました。事例ⅠはどこもA評価でしたが、他の事例ではA評価は1つももらえませんでした。それでも前年よりは期待しつつ、祈るように年越しをしました。

そして、迎えた合格発表日、期待と不安が入り混じりながら、公式サイトで自分の受験番号を探しました。

そして、自分の受験番号を見つけました。本当に嬉しかったし、幸せでした。今でもまだ、この余韻に浸っているかもしれません。後日、協会から送られてきた採点は以下となっておりました。

  • 事例Ⅰ:76点
  • 事例Ⅱ:60点
  • 事例Ⅲ:62点
  • 事例Ⅳ:53点
  • 合計:251点

事例Ⅳ以外は合格点でした。合格できた要因は主に以下であったと考えます。

  • まず最大の勝因は事例Ⅰで70点以上取れたこと。
  • 事例Ⅱは配点が低く設問解釈が難しかった第2問・第3問よりも、配点の高い第1問と第4問にリソースをつきごんで、ギリギリ合格点を確保できたこと。
  • 事例Ⅲの第5問で「妥当性あり」を書ききったこと。

特に自分の場合は事例Ⅱに当てはまるのですが、やはり「解けそうにない問題があったとしても、何とか他の問題で粘って、最後まであきらめない」ことは、とても大事だと思います。最初に設問を見て頭が真っ白になり、最悪足切りまで覚悟した事例Ⅱで、まさかの合格点だったので。

合格したから良かったのですが、事例Ⅳだけ合格点に届かなかったのは今でも悔いが残っています。一番合格点取りたかった事例で、思い入れも強かったので。

口述試験はLECの口述模試で対策しました。「当日試験会場に行けば、ほぼ合格する」と言われているとはいえ、当日はやっぱり緊張しました。聞かれたのは事例Ⅰと事例Ⅱだったことは覚えていますが、何を聞かれたかは全く覚えていません。

万が一もあるかもと思いつつ、合格発表確認したら、無事合格していました。こちらはホッとしたという感じが強いですね。

■おわりに

その後、実務ポイント15ポイント(実務補習10日+実務従事5日)を獲得して、現在は登録待ちです。登録が今から楽しみです。

なお、社労士の登録はまだです。社労士の活動の幅が広がると考えて受験を始めた診断士の方が先に登録することとなるのは不思議なものですね。

次回は、MOV さんの登場です。 

お楽しみに! 

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