シニア受験生の戦術 by 五鉄
■はじめに
読者の皆さん、こんにちは。
タキプロ12期の五鉄です。自己紹介は、前回のブログ こちら をご覧ください。
2回目のブログとなる今回は「合格体験記」です。1次試験まで「あと3か月」となりましたので、主に1次試験準備について、五鉄の経験と振り返りを書かせていただきます。
昨年の受験時点で、五鉄は58歳でした。
もうすぐ「干支が一周する」シニア受験生で
▲眼の衰え(老眼・疲れ目)
▲酷い肩凝り
▲記憶力の減退
▲集中力の長時間持続が困難
等のフィジカルな制約を感じていました。
シニア受験生として、工夫したこと、割り切ったこと等をお伝えしたいと思います。
■使用した機材と教材
(1)1次試験準備に使用した学習ツール
私が1次試験に使った学習ツールは、以下の通りです。
①スタディング通信講座
②一発合格まとめシート(前編・後編) 野網美帆子さん著 KNS出版
③LEC 1次ステップアップ全国模試 科目別通信「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」
「それだけですか?」と突っ込まれそうですが、幅広く取り組む余裕と自信が無かったので、最初から「初回挑戦は限られた教材だけで学習しよう」と決めていました。タキプロのブログを始めとするWEB上の多くの合格体験記を読んだ上で、①スタディングと②まとめシートを選びました。
①スタディングは、学習コンテンツと備わっている機能が私には合っていて、かなり役立ちました(後述します)。
②まとめシートは、購入特典のダウンロードPDFを印刷して、科目別の冊子として使いました(後述します)。
③模試についてはオンラインで、特に「経営法務」と「中小企業経営・政策」が法改正や新しい統計と支援制度をカバーするという趣旨で購入しました。ちなみに、LECを選んだ理由は、模試問題を「科目別に切り売り」しているためです。
(2)1次試験準備に使った機材と補助教材
次に、使った「機材」と「補助教材」です。
●自宅: ノートパソコン (Windows、ASUS製)
●外出時: スマホ(iPhone7) 、まとめシートPDF版を印刷した冊子(科目別に日替りで携帯)
こちらも「少ない!」と言われそうですが、自分の行動特性として「色々な機材やツールを使うと、記憶が混乱したり、集中力が散漫になって結局は溺れてしまう」傾向があるので、意図的に「機材と教材を簡素化」しました。もともと ITツールに疎く、未知のソフトやアプリを短時間では使いこなせませんし、連続スキャンできるような機材も持っていないので、「機材と教材の簡素化」戦術を採用するしかなかったとも言えます。
■学習スタイル
(1)過去問重視
1次試験・2次試験共に「過去問重視」で臨みました。多くのタキプロ・メンバーが書いていらっしゃいますが、限られた時間の中で診断士試験に取り組むには「過去問に重点を置いた試験勉強」が効率的な選択肢だと思います。
居住しているマンションで管理組合の理事をした経験から思い立って、2年前に「マンション管理士」試験(択一式 50問、試験時間2時間)を受験しました。何とか合格することができましたが、その際の学習方法に関して、テキスト学習に時間を掛け過ぎたという反省がありました。
その反省を踏まえて、診断士1次試験対策では、講義動画やテキスト内容が「十分には呑み込めない」場合でも、直ぐに過去問に向き合うことにしました。講義動画の視聴とテキスト学習は「インプットのみ」で(私にとっては)集中力を持続することが容易ではありませんでしたが、過去問を解いて解答・解説を読むことは「アウトプットを伴う学習」ですので、メリハリが付き、集中力を維持しやすいという面がありました。
スタディングに収録されている1次試験過去問は、「過去問セレクト」という過去問群(10年間程度の試験問題から選ばれた重要な過去問)と直前3年間の全問題です。過去問のカバー範囲としては「やや少ない」という感じもしたのですけれども、実際に7科目の過去問に取り組んでみたところ、自分のキャパシティとしては「スタディング収録分だけで一杯一杯」でした。合格ラインが平均60点ですので、スタディング収録の過去問ボリュームは合理的であるかもしれません。
(2)オンライン学習機能の活用
スタディングにはオンライン講座ならでは機能が予め備わっていて、操作も難しくないため、ITツールに疎い自分には非常に役に立ちました。活用した機能は、以下の通りです。
◆学習の記録機能:講義動画や過去問取組の学習時間や回数を記録されます。小まめに自分で記録するのは億劫な性格なので、自動的に記録してくれるのは有り難かったです。学習時間は自動的にグラフ化されるため、視覚的な認識ができて、例えば「今週は先週よりも学習時間が少ない(あるいは多い)」等、気付きや励みを与えてくれました。
◆過去問の横断復習機能:間違った問題や復習マークを付けた問題を横断的に復習することができます。復習の際に、設問の順番をランダムにすることができることは有用で、本や紙での学習では実現できない機能です。
◆ノート機能:「マイノート」という機能があり、過去問解答に付帯する説明文をコピペする等して、自分のノートとして使えます。太字にしたり、蛍光ペンのように色を着けることができるだけではなく、カテゴリー別にフォルダを作ることができますし、暗記ペン(赤色で文字を隠す)も使えます。例えば「ポーターの戦略」や「プロダクツ・ポートフォリオ・マネジメント」といった重要と思われる事項は全て「マイノート」にコピペし、色を着けて、隙間時間での復習に使いました。
◆スマホでの利用:外出時、特に通勤電車の車内、ランチタイムなどには、スマホを最大限活用しました。オンラインでクラウド形式ですから、当然のことなのですが、パソコンとスマホの間で共通の学習情報が使えます。間違えた過去問や「マイノート」を両方の機材で見ることができるので、例えば、就寝前にパソコンでコピペした論点や用語の意味を、翌朝の通勤途上にスマホを使って憶え直すという時期も有りました。ちなみに、この「翌日に復習する」方法は「エビングハウスの忘却曲線」の示唆に敵った遣り方ですので、「お勧め」したいと思います。
(3)講義音声の聴き流し
上記の通り、講義動画視聴やテキスト学習にはあまり時間をかけず、過去問を中心に取り組みました。但し、「企業経営理論」と「運営管理」の2科目は、2次試験で必要となる知識(学説、ロジック、用語等)を多く含んでいますので、これら2科目は座学的な学習を確りと行う必要があると考えました。
そうは言っても、動画やテキストと過去問を連続して長時間に亘り学習することは、フィジカル面で(特に眼の疲れ!)なかなか困難でした。そこで工夫したことは、過去問を解く学習の合間に「眼の休憩」を兼ねて、講義を聴き流すことでした。眼を休めるためですので、動画を全く見ないで(眼の完全休憩のためには、アイマスクを使うと良いです)、音声だけを聴き流しました。
音声聴き流しについて、自分としての「コツ」は以下の通りです。
◆音声を早回しで聴く:早回して聴きました。少し慣れれば、2倍速でも問題無く聴くことができます。1時間の講義を30分間で聴くことができるだけではなく、自分としては「テンポが良い早回し音声」の方が頭に残りやすいと感じました。
◆無理に憶えようとせずに繰り返し聴く:講義音声を聴く際には、無理に憶えようとしない方が「気楽で長続きする」と思います。「企業経営理論」と「運営管理」の2科目については、1次試験前の2か月間で6周程度は聴いたと思います。3~4周目頃から、だんだん頭に入ってきて、1次試験本番時までに「主要な学説や用語が概ね頭に残っている」状態へ漕ぎ着けることができました。
◆過去問学習と音声聴き流しを交互に行う:在宅時の学習では、
「過去問50分間 → 音声聴き流し(眼の休憩を兼ねる)30分間 → 過去問50分間 」
というように取り組みました。音声聴き流しは、最初の内は座って聴いていたのですが、途中から「座っている必要は無い」ことに気が付いて、ソファーやベッドで横になり、アイマスクを付けて聴いていました。ときどき寝てしまう(笑!)ことがありましたが、横になると肩や首も休めることができるので、結果的には「体力の節約や温存」を通じて、学習総量を増やすことに繋がったと思っています。
(4)丸暗記への対応
歳を重ねれば重ねるほど、丸暗記はどんどん苦手になって来ます(個人の感想です!)。そのため、暗記モノに対してはできる限り「エピソード記憶」(関連付け、ストーリー性で憶える)を使いたいところなのですが、「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」(通称『暗記3兄弟』)は、どうしても丸暗記が必要な項目が多いです。
『暗記3兄弟』の丸暗記対応には、1次試験本番の約40日前から「一発合格まとめシート後編」を使いました。タキプロ・メンバーの多くの方々が指摘されている通り、同書は良く纏まっていて、使い勝手も良かったです。
書籍購入特典のダウンロードPDF版を印刷して、憶える必要がある箇所に蛍光ペンを引くことで、纏めノートやファイナルペーパー的に使うことができます。外出(通勤)の際には『暗記3兄弟』のうち1科目の「まとめシート印刷物」を日替わりで携帯していました。
試験直前期には、電車内では主にスマホ、ランチタイムや退勤後のカフェでは「まとめシート印刷物」を使って学習しました。時間帯や場に応じて、機材や教材を変えることは「暗記作業に飽きないようにする」副次的な効果も有ったと思います。
「試験本番の約40日前から」丸暗記への本格的な取り組みを始めた理由は、7科目を均等に並行学習することが難しかったためで、丸暗記するタイミングを「後回しにせざるをえなかった」ということです。
日中のランチタイムや退勤後のカフェに加えて、毎日就寝前に「まとめシート印刷物」を「20分間だけ流し読み」しました。「暗記は寝る前に行うこと」は、学生時代(40年も前ですが…)から維持している「私の流儀」です。
疲れていた日も含めて「就寝前に20分間だけ」と決めて「流し読み」で暗記した戦術は、自分としては「一定の成果があった」と思っています。
振り返ってみて、短期集中で相当程度の暗記ができましたけれども、全体的には「丸暗記が不完全なまま本番を迎えた」感じになってしまいました。『暗記3兄弟』の試験結果は「経営法務」が56点(7科目中、唯一の60点割れ)、残り2科目は共に68点を取ることができて、何とか乗り切りました。記憶できていた出題箇所に恵まれた可能性があり、幸運でもありました。丸暗記を後回しにしたのは「仕方がなかった」ものの、丸暗記を集中的行う期間が「短過ぎた」ことは反省点です。
■試験直前が勝負どころ
シニア受験生としての私の学習スタイルをご紹介しましたが、次に試験準備全般についての経験と感想を書かせていただきます。
(1)不得意な事項には割り切りも「あり」
試験対策の学習を続けて行くと、どうしても簡単に対応できない事項が出てくると思います。1次試験の7科目は範囲がとても広く、全体の学習量も多いことから「一定の割り切り」をしても良いのではないかと思います。
ひとつの例ですが、私は「運営管理」の「アローダイヤグラム」における所要日数計算が「何故か苦手、理屈は理解できていて、遣れば何とかできるけれども、時間をかなり浪費してしまう」と自覚していました。しかし、全体的に余裕が無かったので、それを早く計算できるようにする訓練を敢えて行いませんでした。その日数計算問題が本番で出題されたら「一旦はパス」して、もしも時間的余裕が有れば最後に解く、時間的余裕が無ければ潔く捨てる、と決めていました。
「場合によっては捨てる」設問が沢山あるのは不味いですが(!)、合格ライン平均60点の試験ですので、特に「問題数が多い(試験時間90分の)科目」では苦手な事項への取り組み優先度を落とすことにより、「7科目全体への学習や得点力アップを図る」という手も「あり」だと考えています。
試験本番までに、本番での「割り切り」「タイムマネジメント方法」「不測の事態への対処方法」などを考えておくことをお勧めしたいと思います。
(2)試験直前まで得点力は伸びる
個人の経験と感想ですが、1次試験・2次試験共に「試験本番の直前まで得点力は伸びる」と信じています。
現時点は1次試験3か月前で、計画的に学習を進める時期だろうと思います。向こう2か月間は、本番1か月前からギアを上げられるようにする助走の期間として、頑張り過ぎて「燃え尽き」を起こすことが無いように「ペース配分」することも、大切だと思います。特に、シニア受験生におかれましては、体調を崩すことが無いように十分注意して頂きたいです。
直前期になると、モチベーションは自ずと上がって来ます。
体力や持久力を維持できていれば、直前期は相当集中できますので、得点力は試験前日まで上がり続けます。
■おわりに
私が実際に行った1次試験の学習スタイルと経験をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
おひとりおひとりに適合する学習方法は様々であると思いますけれども、読者の皆さん、特に私と同世代のシニア受験生の方々に、少しでも御参考になれば幸いです。
次回はみささんの登場です。
お楽しみに!
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