「不合格者の反面教師=国語力」で合格 by ニクキュー
読者のみなさん、はじめまして。
タキプロ13期のニクキューと申します。
私は中小企業診断士試験の1~2年目は1次試験で不合格、3年目に1次試験と2次試験に連続で合格しました。
3年目に1次試験と2次試験に合格できた理由は、自分なりの試験の攻略法を見つけて、試験当日に再現できたことだと考えています。
特に、2次試験の勉強開始は1次試験の自己採点後の75日前だったので、2次試験の攻略法を見つけられたことは大きかったです。
■1次試験の攻略法
・「勉強をしているつもり」にならない
・過去問を繰り返し解く
・平均65点を狙う
・科目別の得点戦略を立てる
・「時間対得点」で勉強時間を決める
■2次試験の攻略法
・不合格者を反面教師にする勉強法を考える
・中学受験の国語ドリルで勉強する
ここで紹介する攻略法は、私の主観による決めつけなので拒絶反応を起こす人はいるかもしれませんが、読んでくれた人の何人かに役立ってくれるとうれしいです。
目次
■自己紹介
名前:ニクキュー
年代/性別:40代 男性
職種:会社経営(副業でたまに経営コンサル)
受験歴:1次3回、2次1回
勉強時間:合計1200時間 1年目(120時間)、2年目(350時間)、3年目(1次410時間、2次320時間)
勉強方法:1年目(通信講座)、2年目(独学)、3年目(独学)
得意科目:1次(財務会計、情報システム)、2次(特になし)
苦手科目:1次(経営法務)、2次(事例Ⅳ)
保有資格:簿記2級(2年目の不合格後に取得)、FP2級(10年以上前に取得)
ゲームクリエイターとして、企画職→ディレクター→プロジェクトマネージャー→経営者(起業)というキャリアで長らくゲーム業界で働いていました。
縁があって、ターミナル駅の超一等地にあるのに倒産寸前の飲食店の経営者となり、未知の異業種であっても真摯に取り組むことで成果を出せた経験をきっかけに、業界を問わず「経営をすること」を仕事にしています。
簿記2級は、仕事のスキルアップと中小企業診断士試験にプラスに働くと考えて、400時間の勉強で取得しましたが、試験対策として取得を目指している人がいたら、1次試験の財務会計の「会計パート」だけしか楽勝にならないのでオススメしません。
■受験年別の成績
1年目は1次試験で合計338点となり不合格(科目合格:財務会計)
2年目は通信講座を翌年も利用しようとしたら追加費用が必要なことが判明したため、独学に切り替えて再挑戦。
独学では「テキストをノートに書き写す勉強法」にかなりの時間を使ってしまい、途中で過去問を繰り返し解く勉強法に切り替えたものの、結果は411点で不合格(科目合格:企業経営理論、情報システム)
3年目はこれから紹介する攻略法を使い、1次試験と2次試験に合格。
合格年1次試験の得点
経営理論:免除
財務会計:72点(科目合格の免除を使わず)
運営管理:67点
経済学:68点
情報システム:56点(科目合格の免除を使わず)
経営法務:64点
中小企業政策:63点
合計:450点
3年目は苦手な経済学と経営法務の目標得点を55点、他の科目を得点源として合計450点を狙う戦略でしたが、経済学が楽しい&得意科目になったり、得点源にするはずの情報システムが足を引っ張るなど、狙い通りとはいきませんでした。
ちなみに、試験直後の手応えは「70%の確率で合格できそう」でした。
合格年2次試験の得点
事例Ⅰ:82点
事例Ⅱ:62点
事例Ⅲ:72点
事例Ⅳ:47点
合計:263点
過去問を90事例、事例Ⅳの問題集を2~3周ほど勉強しました。
事例Ⅰ~Ⅲを70事例くらい解いた段階で「開眼」と呼ばれる境地に達して、初見の問題でも60~80点はとれる自信がありました。
事例Ⅳは全体の勉強時間の40%を使っていたにも関わらず応用問題となるとさっぱりで、初見の問題は40~50点しかとれない状態でした。
試験当日、事例Ⅰ~Ⅲは60~80点とれた手応えはあったのに、事例Ⅳは経営分析と記述以外は全く解けなかったので足切り不合格を覚悟していました。
それでも、試験直後の手応えは「40~50%の確率で合格できるかも?」でした。
■中小企業診断士試験に挑戦したきっかけ
動機は不純です。
私は底辺大学卒の学歴、ゲームのヒット作もなく大手ゲーム会社出身ではない、という加点要素がないなりに、経営の勉強を10年以上続けていたおかげで、倒産寸前のダメ会社の業績をV字回復させた実績を作ることができました。
しかし、数字という明確な実績があるにも関わらず、周りの社内外の人(前経営者、部下、取引先、税理士、弁護士等々)になめられることでマウンティングを仕掛けられたり、論理的にていねいに説明してもなかなか納得してもらえないなど、面倒くさい場面がたくさんありました。
「あなたよりも経営のプロですよ?」と言ったり言わなかったりしつつ、客観的にわからせる方法が何かないかと考えていたときに、中小企業診断士の資格をふと思い出し、
「現役の経営者だし、少し勉強すれば受かるでしょ?」という安直な思いつきと受験申込期限にギリギリ間に合ったことをきっかけに挑戦しました。
要するに、「マウンティングされたら、マウンティングし返すためのお手軽な手段として」です。
1年目は試験の難易度、合格に必要な勉強時間、勉強法についてまともに調べなかったこともあり、1次試験の財務会計がまぐれで科目合格、残りの科目は40~52点というひどい結果でした。
(もし財務会計の科目合格がなければ、2年目に再挑戦することはなかったです。)
ちなみに、2年目の時点で、中小企業診断士の資格に「水戸黄門の印籠のようなマウンティングできる効果」なんてものはなく、資格によって収入が激増するわけじゃないのは知っていたので、「あわよくば権威付けできたらいいけど、コスパの悪い資格だな~」とボヤキながら勉強を続けていました。
■1次試験の攻略法
「1年目と2年目前半の失敗」と「2年目後半と3年目の成功」から見つけた1次試験の攻略法を紹介します。
「勉強をしているつもり」にならない
私自身、大学受験や難関資格の勉強をした経験がないこともあり、「通信講座のカリキュラム通りに勉強を進めることが合格への近道」だと思いこんでいたので、1年目は何百本もある講義動画を全て視聴することを重視しました。
しかも、2.5倍速再生で賢く時短できていると得意げになっていました。
「え? 講義動画の視聴がなんでダメなの?」と疑問に思う人も多いと思いますが、動画を見たあとに過去問・問題集を解いてみてください。
おそらく、動画の内容をほとんど覚えておらず、半分も解けないと思います。
独学に切り替えた2年目は「動画を見るだけで、手を動かさないからダメだった」と考えてしまい、勉強をしたことのない人にありがちなテキストをノートに書き写す勉強を必死でやっていました。
最初に勉強した企業経営理論はテキストの書き写しに70時間、過去問を解くのに10時間、合計80時間を消費しました。
次の運営管理でもテキストの書き写しの中間時点で40時間を消費しており、「このペースで続けても7科目の勉強は絶対に終わらない! 勉強法が間違っているのでは?」と疑って軌道修正できましたが、ノートに書き写す行為は勉強するだけで褒められる学生だけに許された勉強法と言えるでしょう。
要するに、講義動画の視聴、テキストのノート書き写しに時間を使って勉強しているつもりでも、資格試験の勉強にはなっていないのです。
過去問を繰り返し解く
勉強を「インプット」と「アウトプット」に分けて考えます。
インプットは、テキストを読んだり、講座を聞いたりして知識を記憶することです。
ノートに書き写すこともインプットと言えます。
アウトプットは、過去問・問題集を解くことで脳内にある記憶を呼び起こし、正解や不正解を繰り返しながら知識を脳に定着させることです。
インプットがないとアウトプットはできませんが、市販の過去問題集は解答と解説がセットで載っているので、講義動画や分厚いテキストでインプットをすることなく、過去問を繰り返し解くことで同時に行えるメリットがあります。
効率重視の勉強をする
社会人は仕事、人によっては子育てがあり、時間を確保することが大変です。
だからこそ、限られた時間で効率的に勉強する攻略法を3つ紹介します。
①平均65点を狙う
1次試験は7科目で合計420点以上とれば合格です。(ただし、40点未満の科目があると足切りで不合格になる)
1科目あたりの平均では60点で良く、残りの40点は解けなくても良いのです。
経営に関する勉強をするからには平均80点くらいはとりたいと思うかもしれませんが、60点をとるための勉強時間に比べて、80点をとるための勉強時間は単純計算で1.3倍ではなく、勉強の範囲が広がり、難しい問題を解く必要があるので2~3倍かかるのではと思います。
しかも、1次試験で高得点だからと言って2次試験で優遇されるわけでも、中小企業診断士として活動する際に仕事が増えたり、収入が上がったりするわけではありません。
中小企業診断士試験を「競技大会」に例えると、1次試験は「予選」、2次試験が「決勝」なので、1次試験の勉強時間は必要最低限+アルファの65点を目標に、勉強時間に余裕ができたら2次試験に使うのが賢明です。
②科目別の得点戦略を立てる
科目によって、得意・苦手・楽しい・つまらない、と人それぞれに分類できると思います。
1次試験は全科目で60点以上とらなければいけないのではなく、全科目の合計で420点以上とれば良いので、苦手でつまらない科目は40~59点の不合格基準であっても、得意で楽しい科目で70~80点とってカバーできれば合格できるのです。
つまり、苦手でつまらない科目は「最初から40~59点狙いでOK」とするなど、科目ごとの目標点数を決めることで、計画的かつ効率的な勉強スケジュールを立てることができます。
③「時間対得点」で勉強時間を決める
「時間対得点」とは「費用対効果」と同じような意味合いで、勉強時間に対して獲得できる得点のことです。
科目によって「理解をして繰り返し問題を解く必要がある」「暗記を短期間するだけで十分」など、合格するために必要な勉強時間はさまざまです。
実例をあげると、私の2年目の経済学は100時間勉強して56点、中小企業政策は16時間勉強して58点でした。
1時間あたりの勉強で何点とれたかを計算すると、経済学は0.56点/1時間、中小企業政策は3.63点/1時間です。
つまり、同じ1時間の勉強でも、科目によってとれる得点が違うのです。
合格基準が全科目60点以上であれば、条件はみんな同じなので気にもとめませんが、重要なのは1次試験は7科目合計で420点以上で合格だということです。
勉強時間の多い理解系科目の「企業経営理論」「財務会計」「運営管理」「経済学」は各50点であっても、勉強時間の少ない暗記科目の「情報システム」「経営法務」「中小企業政策」で各75点とって合格を狙うような、勉強時間に対する得点効率を重視した戦略が効果を発揮します。
一般的に暗記科目は、早い時期に勉強しても時間経過とともに忘れていき、勉強時間は少なくて済むので後回しにされやすく、全体スケジュールが遅れると勉強時間を削られがちです。
だからこそ、少ない勉強時間でも得点に直結しやすい暗記科目は勉強時間を多めに設定し、全体スケジュールが遅れても勉強時間は優先的に確保します。
さらに踏み込むと、情報システム・経営法務よりも勉強範囲の狭い「中小企業政策」に一点集中する攻略法が効率的でオススメです。
■2次試験の攻略法
2次試験の採点基準はブラックボックス化されており、なかなか難しい1次試験を突破した人の80%が不合格になる難関試験です。
不合格になった人の中には「採点基準がわからないから、運の要素に左右される運ゲーだ。」と不満を言っている人がいますが、そのような考えでは本当に運まかせになるので、合格の道のりは遠いでしょう。
では、どうすれば良いかというと、「合格する人と落ちる人の差は何なのか?」を自分の頭で必死に考え抜くことです。
攻略法にたどりつくまで
タキプロのセミナーや一発合格道場のブログなどで2次試験の情報収集を行い、実際に過去問を10事例ほど解いて「ふぞろいな合格答案」で自己採点してみたら30~50点しかとれませんでした。
どんな勉強をすれば合格できる答案を書けるようになるのかが想像できず、さらに試験日までの勉強期間の足りなさから絶望していました。
しかし、合格者がどんな人たちなのかを改めて調べてみると、高学歴、大企業勤務、難関資格保有者(弁護士・会計士・医師など)のエリートばかりではなく、さらには資格予備校出身よりも、独学で合格した人が想像以上に多いことに気づきました。
つまり、「圧倒的に頭がよくて、確立された試験合格ノウハウのある人たち」という、最初から勝ち目のない化け物と戦うのではなく、「背伸びをして手を伸ばせば届く距離の人たち」と戦うのだと気づきました。
「1次試験を突破する頭の良さがあり、資格予備校に大金を払っているのに80%が落ちて多年度生になっているのはなぜか?」
「正攻法の勉強では合格できないのでは?」
「合格する人と落ちる人の差は何なのか?」
不合格になる人はどんな理由で落ちたのかを考えたとき、「不合格者を反面教師にすれば合格できるのでは?」という結論にいたり、そのアプローチから2次試験の勉強をすることにしました。
合格できた最大の理由
さまざまな要素の積み重ねで合格できましたが、最大の要素を一つ紹介します。
それは「国語力・読解力」です。
私は国語の読解力を鍛えるためだけに、限られた勉強期間の序盤に37時間も使いました。
「読解力を鍛えるのはありがちじゃない? 自分も大学受験の現代文の参考書を読んだし。」と思った人は大ハズレです。
私が読解力を鍛えるために使った教材は「中学受験の国語ドリル」です。
書き間違いではありませんよ?
小学6年生の国語ドリルで難関資格に挑戦中の40代中年男が真剣に勉強しました。
実際に使った国語ドリルはこちらです。
中学入試を制する国語の「読みテク」トレーニング 説明文・論説文
著者:早瀬 律子
国語ドリルで鍛えたこと
- 文章を制限文字数におさまるように要約する
- 文章を正しく読み解く
- 他人が読みやすく、理解しやすい文章構成にする
- 文字を手書きして、文字数感覚をつかむ
■2次試験で不合格になる人はどんな理由で落ちるのか?
勉強時間が少ない人は論外として、「ふぞろい」で事例をたくさん解いて勉強しているのに、なぜ不合格になるのかを推理しました。
推理:聞かれたことに、きちんと答えていない
合格者の答案では、設問文で理由を聞かれていたら「理由は~」、施策を聞かれていたら「施策は~」など、文章の最初に主語をわざわざ書いていることが多いです。
逆に、不合格者の答案だと、主語が省略されていたり、あるべき姿である「課題」を聞かれているのに、「問題点」や「提案」を答えていたりします。
つまり、子供でも守れる最低限のルールを破っていることに気づいていないのです。
これが大きな減点(キーワードを含んでいても加点されない)につながっているのでは?と推理しました。
推理:ごちゃごちゃした文章を書く
不合格者の答案では、文章を句点「。」で短く区切ることなく、ムダに長いごちゃごちゃした文章になっています。
キーワードを含んでいるものの、長い文章のせいで異なる因果(「原因」と「結果」)が入り組んでしまい、書かれていることが読み取りづらいです。
ビジネス作法では、まずは結論だけを簡潔に述べ、それから理由を伝えたり、箇条書きで簡潔に列挙したりすることが多いです。
それを考えると、ムダに長い文章は仕事のできない人の特徴なので印象は悪いです。
文章の構成力がないのであれば、「、」で文章を続けるのではなく、「。」で短く区切った方が書きやすいです。
しかし、短く区切った文章は「ふぞろい」の合格答案ではあまり見かけなかったので、文章を短く区切った答案で良いのか迷いましたが、ビジネスの基本である箇条書きのような短い文章がマイナス評価されることはないと推理しました。
推理:キーワード採点の意味を勘違いしている
採点基準はブラックボックス化されているので確証はありませんが、「ふぞろい」の分析・検証を見る限り、キーワードの有無で採点しているのは間違いなさそうです。
ただ、「ふぞろい」のキーワード採点で単純に自己採点すると、キーワードの有無で得点を加算するので、極端なことを言えば、キーワードを機械的に羅列しただけでも高得点になります。
要するに、日本語としておかしい、論理的でない文章であっても、間違った自己採点のせいで合格基準の答案を書けていると勘違いしているのでは?と推理しました。
試験問題の出題者・採点者はバカではないので、キーワードの羅列だけで加点されるわけはなく、おそらく、キーワードが含まれていても論理的で筋が通っていないと加点されないはずです。
■まとめ:不合格者を反面教師とする攻略法
不合格になる理由を推理した結果、読解力・文章の要約力である「国語力」が合格のカギを握っていて、それも高度なものではなく、義務教育レベルの基礎が重要だと気づきました。
私は1次試験の財務会計で小数点同士の割り算の筆算ができなかったくらいなので国語力の基礎に自信はなく、何かいい勉強法がないか調べた結果、試験合格者のブログ記事かTwitterで「中学入試を制する国語の『読みテク』トレーニング」を紹介されていて、良さそうだったのですぐに購入しました。
(当時見た記事をタキプロ、一発合格道場、ふぞろいのブログなど、いろいろと検索しても見つけられなかったので、恩人にお礼をまだ言えていません。)
国語ドリルの内容は、長文を読み、文章内のキーワードを見つけて制限文字数に要約することの繰り返しです。
小学生向けとはいえ、難関中学に受験する人向けなので、なかなか難しくて、慣れるまでは相当時間がかかりました。
ドリルを解くのは1周で十分だと思いますが、私は念のため2周解いたので37時間も使ってしまいました。
私はこのドリルのおかげで「主語の重要さ」「キーワードの見つけ方」「他人が読みやすい文章構成」「残り文字数におさめる文章のまとめ方」などを身につけられたと思っています。
ただし、ドリルを解き終えたあとでも、過去問の事例を解くと、無意識に不合格になる人の特徴に当てはまる答案を書いてしまうことが何度もあり、その都度、反省点や次回の課題をノートに書き出していました。
■おわりに
2次試験では「国語力」が大切だと書いてきましたが、最終的に行き着いた推理は「2次試験の採点者なら、ボーダーライン上にいる2人のうち、どちらを高く評価するか?」です。
- 賢くないのに頭の良いフリをしている大学院生
- つたない文章だけど一生懸命勉強している小学生
私なら素直で成長を期待できる小学生を高く評価します。
要するに、資格予備校や高得点合格者の高度でスマートな解法をマスターできないのに、賢い人のマネをした出来損ないの答案を書くのは逆効果ということです。
今回の記事は以上になります。
意見や感想があれば、コメント欄やTwitterに書いていただけるとうれしいです。
次回はぺさまさんの登場です。
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