合格体験記 ~こじらせ多年度受験生の失敗~ by 一陽人
読者のみなさん、こんにちは。
何度やってもNPVの計算が合わないという悪夢に、いまだに週1回はうなされる“事例Ⅳ・PTSD”の、タキプロ13期の 一陽人(はじめはると)です。
どなたかのお役に立てるならうれしいです。
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■はじめに
私の場合、多年度になればなるほど、ホント合格への道筋がわからなくなりました。今回は、そんな私の2次試験における
「こうなったらヤバいサインだ!」
「私はこう乗り切った!」
という観点を書いたつもりです。他のタキプロメンバーと異なる意見も書いていますが、どれが正しい/間違ってるじゃなく、みなさんに合う情報を取捨選択してください。
■1回目の2次試験での失敗
2次試験には、「模範解答が非公表」から生じた様々な「説」があります。例えば、
「2次試験の答えは1つ/複数ある説」
「この論点が書けたら合格点取れる説」
「採点は1人でやってる説」
「解答に差別化は不要/必要説」
などなど。
「2次試験の答えは1つ説/複数ある説」は、令和3年度事例Ⅲの第4問のように ”高級感を出すか、アイテム数を増やすか” という問題の場合、出題者の意図はどちらか1つであり、意図に合わない方を選んだらその設問はバッサリNGとなるのか、いやいや、どっちの結論でも妥当性があれば加点されんじゃね? という説です。
また、「この論点が書けたら合格点取れる説」というのは、言い換えれば「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」だとあまり加点されないという説です。
「採点は1人でやってる説」というのは、もしそれが事実なら答案1枚あたりの採点時間は数分。その短い採点時間で理解してもらえる文章を書けないと、いくら解答要素が書けていてもダメだよという説です。
私は、当時通学していた予備校の有名講師が力説していた「2次試験の答えは1つ説」、「この論点が書けたら合格点取れる説」、「採点は1人でやってる説」、「解答に差別化は必要説」を盲信しました。
で、結果は…
出題者の意図なんかまるで汲み取れず、仕方なくキーワードの羅列で解答し、不合格。この結果だけで、「やっぱり多面的に書いてもダメだ!出題者の意図を当てなきゃ合格できない!」という感じで、「この論点が書ければ合格点取れる説」や「差別化必要説」を曲解してしまったのです。
このときの私の勘違いにお気づきですか?
はい、キーワード羅列と多面的記述とを混同しています。
北斗神拳伝承者のあの人なら、この時点で
「おまえはもう 多年度だ…」
と呟いたことでしょう。
なお、私なりの今の結論は、「出題者の意図を汲み取ったうえで、多面的に書くこと」が大事であり、「アイデア勝負やマニアックな1次知識での差別化」は不要だけど、「きめ細やかな意図の汲み取りと、論理性と読みやすさでの差別化」は必要、と思っています。
「採点は1人でやってる説」は、個人的には非現実的だと思っていますが、それくらいわかりやすく解答を書かないとダメなんでしょう。
「2次試験の答えは1つ説/複数ある説」は、正直わかりません…。
■2回目の2次試験での失敗
「今年で絶対に終わらせる!」
と強く誓う私。だって、落ちたらまたトラウマ1次試験を受け直しですから。
私は既に予備校の支払いで金欠でしたが、合格したら買おうと思っていたギターの貯金を、ある通信の予備校に注ぎ込むことにしました。(でも、結局落ちます。)
その予備校では、私はとにかく出題者の意図を読み取ることに専念しました。その結果、答練では何度も優秀答案に選ばれ、模試では上位4%以内に入ることができました。(でも、結局落ちます。)
「おぉ!今年はイケんじゃね?!」(いや、結局落ちます。)
こんな状態で迎えた2次試験当日。いきなり事例Ⅰの与件文から、それはもう、おもしろいように出題意図らしきモノが見えるではありませんか!
シータの遠い親戚のあの人なら、
「読める・・・読めるぞ!」
と呟いたことでしょう。
しかし、ここに重大な落とし穴があったのです。
今、当時の再現答案を見ると、見事にどれも出題者の意図を外したと思われる、しかも単一指向的な解答要素で書かれておりました。もちろん結果は不合格。なぜ、こうなったのでしょうか?
はい、私は本試験の与件文に、予備校の策問者が好みそうなテーマを勝手に見出し、「これだ!」と言い当てた気になっていたのです!
つまり、私は出題者の「意図」ではなく、予備校の策問者の「好み」を読み取るのが上手くなっていただけなのでした。
仕事以外の様々なことを犠牲にして勉強に打ち込んだのに、1回目よりも点数が下がり、おまけにお金もすっからかん。もう、絶望と憂鬱で、その後1か月以上は立ち直れませんでした。
■2次試験3回目の勉強法
努力を全て否定されたような喪失感の中、「ここまで勉強してきたんだから」と勉強を再開した私。正月休みを使って、まず1次試験の復習を始めました。
特に心配だったのが、記念受験で “なんちゃって合格” したっきり、約4年間全く勉強しなかった経済。しかし意外にも、勉強を始めると知識が次々に甦ってくるのです。これは他の教科も同じでした。
8月21,22日の1次試験が終わるまでは2次試験の勉強に入れないと考えていたのですが、これはうれしい誤算でした。一度合格した科目は頭の中に残っているものですね。(なので私は、保険受験は非推奨派です。)
そこで、2次試験の勉強にもっと時間を割くことにした私は、こんな感じでスケジュールを見直しました。
1月~3月 1次試験の復習
4月~6月 Zoom/FB勉強会に参加しまくり
7月~8月 1次試験の過去問を解きまくり
8月21,22日 1次試験本番
9月~10月 ふぞろいによる ”B答案” の徹底研究
11月7日 2次試験本番
このスケジュールの中で、私にとって効果を実感できた学習法は2つ。
1つは、受験生活4年目にして初めて参加した、タキプロZoom勉強会とFB勉強会。
もう1つは、ふぞろいによる(A答案ではなく)B答案の徹底研究。なぜその答案はB答案なのか?を、単にキーワードが足りないからという見方で終わらせず、その受験生の頭の中に浮かんでいると思われるストーリーを想像し、
「あなたの考えた事例企業のストーリーがこうだとすると、こんなキーワードも解答要素に入らない?」
と、会ったことのないその受験生と妄想ディスカッションを繰り返しました。これ、「A答案のキーワードを中心に分析しているけど伸び悩みを感じている」という方にはお薦めです。
ちなみに、この2つは私にとっては一連の勉強法です。5月28日公開予定の、「Zoom勉強会 & Facebook勉強会の効果的な活用方法 (仮)」でも述べますね。
あ、上記の期間中はほぼ毎日、事例Ⅳの計算問題集(計4冊+10年分の過去問)を5周以上解き続けました。特に、どうしても苦手意識が消せないNPVは10周をカルく超えていました。(後述しますが、これで命拾いすることに…。)
■2次試験3回目当日、私はただ悪あがきをしただけ
11月7日、2次試験当日。
前年度の「読める・・・読めるぞ!」状態から打って変わって、事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲとも
「出題者の意図の候補が複数浮かび、どれが正解か確信が持てず」
の連続でした。済んだ試験を引きずらず、気持ちを切り替えろとよく言われますが、私にはムリ。この時点でもう不合格を確信しました。
そして、“事例Ⅳ・PTSD” である私の鬼門科目、事例Ⅳへ。もう帰りたかったです。それでも事例Ⅳの鉄板セオリーである「NPVで勝負するな、CVPで勝負しろ。」を肝に銘じ、いざCVP問題へ。ところが…。
あれ?
簡単そうなのに解法が浮かびません。あせればあせるほど負のスパイラルにハマり、時間だけが過ぎていきました。ヤバい!
このとき私の心に浮かんだのは、
「事例Ⅳの出題者はきっと、受験生がCVPで勝負するのをわかっていて、今年は “簡単そうに見えて実は超難問” を仕込み、時間を浪費させる作戦なのではないか?」
という猜疑心でした。落ち着けばそんなことはないと気付けたでしょうに、あの場で落ち着くなんて、私にはムリ。
「絶対に足切りだ…。(涙目)」
と、心では試合放棄しているハズなのに、なぜかNPVの計算過程の欄を綴り始めていました。
「これでも解き方は一応、勉強したんですよ。ヌケモレだらけのブザマな解答ですがね…。(涙目)」
と、放心状態で悪あがきをしたその解答が無性に情けなく感じられ、解答用紙を回収する試験管に心の中で、
「私の解答用紙をそんなに見つめないで~(涙目)」(いや、見つめてないでしょうが)
とつぶやきました。しかし…。
あとで各予備校の模範解答例を見てゾッとしたのですが、私は経営分析や記述問題も大当たりというわけではなく、落としてはいけないCVPも結構落としたのに、結果はギリギリB判定でした。勉強中、一度たりとて初見で解けたことがない、あのNPVの悪あがきに救われたとしか思えないのです。
選択と集中も重要ですが、私のように近道ができない人は、「勝負するな=勉強しなくていい」ではなく、たとえ遠回りでも努力はしておきましょう。(私はロック・リー派です。)
■おわりに
その後、2次筆記の合格発表1月14日まで、また立ち直れないほど落ち込んで過ごしましたが、結果はなぜか合格。得点開示結果を見ても、事例Ⅰ~Ⅲも決して悪い点数ではありませんでした。
「絶対にあきらめるな!」
ありきたりな言葉ですが、これほど真実を言い表した言葉もないな、と今、副業の準備を粛々と進めながら、しみじみ思います。
次は、「最後まで絶対にあきらめない」あなたが合格する番です。
おしまい。
次回はけいさんの登場です。
お楽しみに!
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