資格についてつれづれ by かわけん
皆さん、こんにちは。
「人と会社を健康で幸せにする」、体と心と会社の医士(医師+中小企業診断士)のかわけんです。
自分の専門である、医療、労働衛生、メンタルヘルスの分野から皆様に役立つ情報を発信したいと考えています。特に、私と同じような方(高齢、独学、初学者)の助けになれば幸いです。よろしくお願いします。
もうすぐ2次試験の結果発表ですね。受験された方は、結果を知りたいような知りたくないような、かなり不安な気持ちでおられるかと思います。ただそれは皆さんが感じられるふつうのコトですよ。全く心配ありません。
私も結果発表前は微妙な気持ちでした。2次試験のできが悪かったので不合格を確認するのはイヤでした。でも当日、10時ちょうどに医局の自分の机でHPを確認しました。自分の番号を見つけたときは、涙が出そうなくらい嬉しかったですよ。小さくガッツポーズをしてしましました。周りの医師には意味がわからなかったでしょうね。正直、人生で一番嬉しい合格発表だったかもしれません。もうあれから1年になります。時間が過ぎるのは早いものです。
だたそのような嬉しさを体験できる人は5人から6人に1人で、残念ながら残りの人達は正反対の体験することになります。その中で、ある人は再チャレンジを、ある人はリタイアを決断されることになるでしょう。どちらの決断も熟考された上でのものであれば、十分に尊重されるべきだと思います。
さて今回は先週に引き続きフリーテーマです。2次試験の結果発表を前にして勉強の話なんて頭に残らないでしょうから、今日は資格についてお話しよう思います。
本日の題名、つれづれは徒然草でもあった”次から次へと物思いにふけること”の意味です。かわけんの資格試験に対する思いを書きました。いつものように長いですが、内容は軽めのエッセイです。気楽な気持ちでお読みください。長いのはイヤと言われる方は、「9かわけんが中小企業診断士を取るに至った経緯」だけでもお読みください。
2次試験の結果発表を控えた皆さんの気持ちがちょっと軽くなって、今後のことを考える上で役立てば幸いです。
よろしくお願いします。
私は今まで以下のような投稿をしています。興味のある方はご覧ください。
※どれも長いですm(__)m
1回目 合格体験記
2回目 令和二年の事例Ⅳ、どうすべきだった? かわけんの経験より分析してみた!
3回目 ITを活用した効率良い勉強方法 by かわけん
4回目 運営管理の勉強で使った副読本 by かわけん
5回目 まだ1次試験に間に合います。気合を入れて最後のラストスパート!by かわけん
6回目 事例1・幸の日も毛深いネコとモチベーション by かわけん
7回目 独学・初学者のための2次試験の解き方 by かわけん
8回目 インターネットから学んだ事例Ⅲのエッセンス by かわけん
9回目 審査員から皆さんに伝えたいこと by かわけん
10回目 事例Ⅱの戦略とモデル企業 by かわけん
11回目 経済学・経済政策 ゲーム理論 by かわけん
12回目 タカ・ウサギ・カメ・ドラゴンとストレス対策 by かわけん
目次
はじめに
私はもともと医師系の資格を多数取得してきました。専門家以外では珍しい、病理解剖の免許も持っています(もう今はとてもできません)。それは専門領域を見える形にするには、資格というわかりやすいものにするのが一番いいと思ったからです。ただ取りすぎて逆に専門がわからなくなるという弊害もありましたが・・・。
そして、2018年から医師系の以外の資格を取り出しました。現在、以下のような資格を持っています。
労働衛生系
・労働衛生コンサルタント
・メンタルヘルスマネジメント検定1種・2種・3種
・両立支援コーディネーター
・メンタルケアカウンセラー
・健康経営アドバイザーとエキスパートアドバイザー
ビジネス系
・中小企業診断士
・ビジネスマネジャー検定
・ビジネス会計検定 準1級・2級・3級
・医療経営士2級・3級
・日商簿記3級
資格を取得するのに、レポート提出だけのものから、かなり難しい試験のものまで様々です。これらを4年前から少しずつ取得しました(一覧表参照)。診断士試験受験後もいろいろ受けています。
最初は労働衛生系のもの(青)を取って、そこからマネジメント系や経営系(緑)のものへ、そして中小企業診断士(赤)を取って、最近は労働衛生系と経営系の両方が活かせる健康経営系になった感じですね。目的のものは一通り集めました。
よく資格を取るのが趣味の人がおられすが、私は決して資格マニアではなく、一覧表でおわかりのように基本的に仕事に役立つ資格しか取りません。
これらの資格取得の目的は
1幅広い知識を備えた上司として、いい外科チームを作ること
2専門知識を備えたプロの産業医として、クライアントのニーズに応えること
3将来に備えて医療経営を理解すること
4上記3項目を通じて、人と会社を幸せかつ健康にすること
です。簡単に言うと、「外科医師、部長、産業医として、しっかり誰かの役に立ちたい」ということですね。
そして中小企業診断士を取った目的は
1プロの産業医として、広い視野で事業所の課題解決に取り組めるようにすること
2知識を得、交流範囲を広げ、新しい世界を知ることで、自分の好奇心を満たすこと
です。こちらも簡単にまとめると、「産業医に+αを加える、自分の楽しみ」のためとなります。
明らかな目的はあるものの、資格取得にはそれなりに手間と時間と金がかかります。そのため、いろいろ戦略を考えながら各種資格を取得してきました。今日はその事に関する雑感を、順に話させていただきます。いつものようにこのブログはかわけんの私見ですのでご了承くださいね。
1資格の分類
まずは資格の分類についてつれづれです。
資格は一般的に「国家資格」「公的資格」「民間資格」に分類されています。
この分類は法令上の明確な定義ではないようですが、とてもわかりやすいと思います。以下に列挙します。
- 国家資格:国の法令に基づき、全国一律の基準で認定される資格。中小企業診断士もこれに該当します。
- 公的資格:何らかの公的性質を有する資格。商工会議所が実施・認定するもの、地方公共団体の条例に基づいて認定されるもの、国の法令に基づいて認定されるが認定基準が全国一律ではないもの、が該当します。
- 民間資格:公益法人・民間団体等が、法令等に基づかずに実施・認定する資格。簡単に言うと国家資格・公的資格に該当しないものです。
資格には、この3種類があります。
民間資格は多数ありますが、法令で規定されたものではないため、業界によって一定の能力担保がされていると認知されている資格から、「資格商法」で与えられるような社会的な評価が低いもの、企業が自社の活動のために従業員に対して付与するも社外では通用しない社内資格、まで存在します。資格を認定する団体の信用度によってその価値が左右されるようです。かわけんの資格では、ビジネス会計検定や医療経営士が民間資格です。どちらも大阪商工会議所、日本医療経営実践協会がやっているものなのである程度信頼があるものです。
ちなみに医者の専門医は民間資格になります。かわけんはいっぱい持っているのに、なんとなく価値が低いような気がして寂しいですね。ただし専門医の運営団体はほぼ一般社団法人である学会なので、業界によって一定の能力担保がされていると認知されている資格です。信頼性はありそうでよかったです。
ところで、資格のとり方のHPで各種資格の難易度ランキングで最も高いものをみると以下のようになります。
- 国家資格:司法試験・公認会計士(偏差値77)
- 公的資格:中央競馬騎手(偏差値69)、ボートレーサー(68)、オートレース(67)
- 民間資格:剣道八段(偏差値73)!
司法試験・公認会計士が難しいのは納得です。
剣道八段はびっくりでしょ!。診断士の世界には、弁護士や公認会計士はそれなりにおられますが、剣道八段は聞いたことがありません。がんばっても絶対取れませんね。民間資格恐るべき、公的資格もスポーツ系はすごいです。
ちなみに中小企業診断士は67で難関に分類されています。まあまあでしょうか。一般人が仕事をしながら取れるギリギリのレベルでしょう。ちなみに似たような偏差値でも、ボートレーサーやオートレースは仕事をしながらではとても無理ですね(笑)。
ちなみに、一説では弁護士より稼げるといわれるひよこ鑑定士(弁護士の人ごめんなさい。ネットにそう書いていました。興味があれば調べてください)は、正式名称「初生ひな鑑別師」で公益社団法人畜産技術協会の民間資格です。偏差値はなんと63の難関資格!中小企業診断士よりやや落ちる程度です。噂の憧れの資格ですが、簡単には取れそうにないですね(笑)。
もし皆さんが資格を取るには、できれば国家資格や公的資格、民間資格なら運営団体がしっかりしているものを選ぶのがおすすめです。
かわけんはそれを考えながら資格取得戦略を考えてきました。
2”しぎょう”について
次のつれづれは”しぎょう”です。
よく中小企業診断士を士業といいます。語尾に「~士」が付く資格の職業だからですね。一方、私の本業の医師は、あまり一般的ではありませんが師業と呼ばれることもあるようです。読みは同じ「しぎょう」ですが、内容は少し違います。
ここではその違いについて調べてみました。
士業:弁護士や公認会計士など「~士」と付く資格を持つ職業を指す言葉。国家資格や民間資格が求められる専門的な知識を持ち、国に仕えるような職業が多いことが挙げられます。いくつかの資格をまとめて、八士業や十士業を呼ばれることがあります。
八士業:士業のうち、戸籍・住民票などについて、職務上必要な場合において職務上請求を行う権限が認められている主要なもの。弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、税理士、社会保険労務士、土地家屋調査士、海事代理士。
十士業:商工会議所の相談窓口に設置されていることが多く、個人や中小企業と密接した業務が対象が多いもの。八士業のうち海事代理士を除いた七士業に、公認会計士・不動産鑑定士・中小企業診断士の三士業を加える
中小企業診断士は十士業になってでてきます。業務独占資格ではないのが理由かもしれません。一方、超難関の業務独占資格である公認会計士が八士業に入っていないのは意外でした。また、海事代理士が八士業から十士業に増えるときに削除されるのはなんとなくかわいそうでしたね。
一方、師業は以下のようになっています。
師業:医師や調理師など「~師」と付く資格を持つ職業を指す言葉。特徴としては、教師などの人に何かを教えるような職業や、医療関係など特殊な技術が求められる職業が多くあります。医師、看護師、薬剤師、教師、講師、漁師、調理師、絵師など
なんとなくスッキリした説明ではありませんね。医師や看護師は、士業であってもおかしくないような気がします。
ただ詳しく調べてみると、歴史的経緯からこうなったようです。すなわち経路依存性ですね、診断士試験でも出てきます。皆さん憶えておられますか?。経済学用語で、過去の経緯や歴史によって決められた仕組みや出来事にしばられる現象のことです。経路依存性なので理屈はあまりなく、なかなか変えられない。まさにその通りですね。
3資格取得のメリット
次のつれづれは”メリット”です。
資格を取得したときの、メリットはいろいろ書かれていますが、だいたい以下のような感じになるでしょうか。
1法的効果:法的にある行為が認められることや、法的な認可が得られること(業務独占資格)
2シグナリング効果:自分の知識・技能・能力・努力を示す証になること
3コミュニティ効果:有資格者のコミュニティに参加することができること
4学びの効果:勉強や努力の過程で身に付けた知識やスキルが役立つこと
5経済的効果:収入が得られること
6精神衛生効果:安心、自信になること
このメリットを中小企業診断士に当てはめると
1法的効果:✕ 業務独占資格ではないので。
2シグナリング効果:○ 経営コンサルタントの基本知識を持っている証明になる。ただし普通は経営のプロとやりあえるほどではありません。かわけんは今後も絶対無理ですね。
3コミュニティ効果:◎ とても仲のいい濃い面白い世界です。業務独占資格ではないので、資格取得者がライバル同士ではなく、協力して助け合う立場だからかなとおもいます。受験生の皆さん、なかでもタキプロは素晴らしいですよ。
4学びの効果:◎ とても幅広い知識が得られます。この試験勉強で得た知識はまずどんな仕事でも役に立ちますね。
5経済的効果:✕から○ 人によりけり。ただ本業にするにはかなりの覚悟が必要かと思います。ちなみにかわけんは診断士の収入はゼロです。
6精神衛生効果:◎ 仕事をしながらあのとても負担の多い試験をくぐり抜けた自信は、いかなる時でも頼りになる安心感を生みます。それは医師であるかわけんにとっても同じです。
こんな感じでしょうか。もう少し経済効果があればいいですが、総じると診断士はなかなかいい資格だと思います。
ちなみに医師免許は、1と3と5が○、2と4が✕です。とっただけでは全く役に立たない資格ですね。現在は、2年間の初期研修を終えて、やっと正規の医師と認められるようになっています。
いずれにせよ、資格取得にはメリットを考慮した戦略が必要ですね。
4資格と経済学・シグナリング
次のつれづれは”資格とシグナリング”です。
メリットの一つ、シグナリングについて詳しく取り上げます。
覚えておられる人がいるかもしれませんが、私は少し前のブログでゲーム理論の事について勉強しました。そこで知ったのですが、実は経済学と学歴や資格には密接な関係があります。経済学の学歴モデルとされ、情報の経済学(特にシグナリング理論)として研究されているみたいです。
「学歴モデル」とは、大学に行くことが本当に得になるかどうかを考えるものです。簡単に言うと、
「優秀な人が大学に行くことで優秀と信じてもらえるのであれば、時間と費用をかけて大卒となる方が得」
というものです。またそのためには、
1大学へ行くことが優秀であると信じてもらえること
2その時間と費用がちょうど良いバランスであること
の2つの条件を満たすことが重要であるとされています。これらはけっこう面白いお話なので、興味のある方は調べてください。
ところで、最近は大学に比較的簡単に入れるようになってることや、一芸入試など多様な試験が広がっていることで、上記の条件1が満たされないようになってきました。そこで単に大卒と言うだけではなく、いい大卒がシグナリングの条件になっていると書かれていました。また興味深いことに、最近は出身大学だけでなく出身高校を重視するようになっているそうです。いい高校に入るのも努力を必要とすると言う事ですね。高校選びから就職に関係するとは油断できない時代になりました。
学歴モデルはもちろん資格にも当てはまります。中小企業診断士で言えば、
1この資格を持つものが、難関資格をくぐり抜けた根性と能力があり、経営課題の解決に優れていると信じてもらえること
2資格取得にかかる費用と時間がちょうど良いバランスであること
ことがシグナリング成立の条件になりますかね。
皆さんどう考えられますか?
私の個人的な考えで言えば、現状では診断士試験の難易度に対して資格の評価がやや低いように思います。資格取得のメリットのところで書きましたが、経済的なメリットがかなり乏しいですね。現状より、もう少し難易度を下げるか、評価を上げてもらうかの方が良いように感じます。
ここでも前項と同様に、バランスを考慮した戦略が必要ですね。
5資格の1級、2級、3級と中小企業診断士試験
次のつれづれは”試験レベルの選択”です。
資格には難易度別に1級、2級、3級と分かれているものがあります。3級から順に受けなければならないもの、好きなものから受けられるもの、同時に受験可能なものなどがあります。
いくつかを受験した私の感覚で言いますと、以下のような表になります。
興味本位で受けるなら2級までくらいでしょうか。2級まではマークシートがほとんどなので、ほぼ過去問の繰り返しで対応できます。
ただ仕事に本当に使うなら1級を取ったほうがいいと思います。ただし1級になるとマークシートにプラスして筆記試験や口頭試問が入ってきます。どの試験においてもこれが結構厄介です。ちなみに私が受けた1級から3級の結果を示すと以下のようになります。
どの試験も7割で合格です。
どれもマークシートは高得点です。1級でも2級や3級並みに取れています。マークシートでも明らかに1級は難しいのですが、それに向けてかなり努力をしていますので好結果です。ただ、筆記は点数が伸びてません。どうしても60点前後になりますね。診断士試験とほぼ同じです。あと、ビジネス会計検定3級の点数が低いのは、同時受験した2級ができたためやる気を無くして半分の時間で退出したためです。これはダメでしたね!
メンタルヘルスマネジメント検定1種は専門分野なので頑張りました。一方、ビジネス会計検定1級は合格に3点足りず、準1級となりました。素人が事例Ⅳのリベンジで頑張った(以前のブログ)のですが惜しかったです。相当ハードルが高いのがわかったのと、準1級と一応形になったのでもう受験予定はありません。
ちなみに医療経営士1級は受験料が5万円と高いので受けていません。合格者が少なく、合格率にばらつきがかなりあるので、本職でないものが受けるにはちょっとシグナリングのバランスが悪いですね。ちなみにこの試験は、問題の持ち帰り不可、正解の発表なし、点数の開示なしです。
中小企業診断士試験で考えると、1次試験は各種の2級よりやや優しい程度かと思います。おそらく1教科だけなら全然たいしたことないでしょう。ただ問題は7教科と科目がとても多く、基本的に同時受験が必要なことです。単純に考えると、必要勉強時間は7−14ヶ月になります。それが1次試験の最大の困難さになりますね。
中小企業診断士試験の2次試験は、各種試験の1級に近いレベルの印象です。単純に考えると、必要勉強時間は12ヶ月になります。2次試験も1次と同様に4科目一気に受けなければならないのが最大の困難さです。ちなみにビジネス会計検定1級の筆記は事例Ⅳより難しかったです。日頃から会計に携わっているものでないととても解ききれないと感じました。
これらを考えると、中小企業診断士試験は1年半から2年で合格を目指すのが、一般的なパターンになるでしょうね。やっぱり科目の多いことがこの試験の難しいところでしょう。今更ながら大変な試験だと思います。強い決意でこの試験に臨まれている人は偉いですよ!
もし他の資格試験を受けようと考えられている方は、級別の考察を参考にしてください。
6資格試験の勉強方法と醍醐味
次のつれづれは”勉強方法”です。
受ける試験を決めたら勉強をしなければなりません。
受けるからには、「絶対合格をして形にする」がかわけんのポリシーです。
そして資格試験の王道は「過去問の繰り返し」です。これはゆるぎない事実です。
ただ、かわけんの場合、資格の勉強は仕事でガチで使う知識なので、「過去問の繰り返し」でなく「基本から理解して合格」を勉強の方針にしています。
だから過去問だけではなく、教科書をしっかり理解してまとめることから入ります。そして問題集を解いて理解を深め、過去問をするようにしています。イメージ化すると、なにもない土地に、教科書で土台を作り、問題集で低い建物を作り、過去問で高い建物を作る感じです。試験勉強中に理解が深まると、高低の建物の間が繋がり、大きな一つの建造物になっていきます。試験勉強をしていて、大きな建造物になっていくプロセスはとても醍醐味のあるものですね。この感覚を味わいたくって試験を受けている言っても過言ではありません。大きな一つの建造物になったら試験は合格できるだろうといつも感じています。
中小企業診断士の1次試験でその感覚ができたのは試験の1週間位前でした。ギリギリ直前でしたが多分行けるだろうと思いました。一方、2次試験では最後までその感覚は全くなかったです。まあ、中小企業診断士試験に限らず、筆記試験ではいつも確信を持つことは困難です。
一方、「過去問の繰り返し」で受けた試験もあります。医療経営士試験で、教科書が高くて揃えられなかったからです。過去問はバッチリやり込みましたが、広い土地に高い建物がいくつか建っただけで、最後までそれらが連結されることはありませんでした。最終的に合格していますが、あまりまともに使える知識にはなっていない気がします。
受験生の皆さんも、どのように勉強するか悩まれていると思います。
繰り返しますが、試験合格には「過去問の繰り返し」が王道であることには間違いありません。ただし合格率の低い試験の場合には、不合格のときも考えておく必要があります。「過去問の繰り返し」で不合格となり最終的に試験を諦めた時、勉強した内容が本当に使える知識になっているだろうかを考えてもいいかもしれません。前述の資格取得のメリットの4学びの効果と6精神衛生効果の面ですね。
どちらの勉強方法が正解というわけでもないと思います。皆さんの状況と試験勉強の達成度を勘案して考えてくださいね。
7資格試験本番
次のつれづれは”試験本番”です。
皆さんは試験本番はどんな気分ですか?
私は試験が始まる前の引き締まった緊張感がとても好きです。今までの努力の成果を出す瞬間ですね。しかもその瞬間はめったに訪れないのでとても貴重で価値があると思ってます。
大体、数日前から緊張感は高まっていますが、試験中は一切の緩みなくマックスのテンションを持ったまま駆け抜けます。今まで勉強した内容を頭の中で思い浮かべながら、一つ一つの問題に対応していきます。うまくわかるものもあるし、全く理解できないものもあります。試験前に過去問を勉強している時は、わからない問題はぼやいてそのまま解答を見たら済みますが、本番のときにはそういうわけにはいきません。頭を絞り少しでも正解に近い答えを考えるのはとても楽しいです。うまくできなくて悩むのもまた一興でしょう。
試験が終了すると、試験中の高いテンションから一気に開放されます。私は試験の少し前から大体不眠になりますが、試験が終わるとほぼ軽快します。まさにストレッサーから解放されてストレス反応が消えると言う教科書通りの問題焦点型ストレスコーピング対策ですね(前回のブログ参照)。
かわけんの家では、家族もかわけんが試験を受けていることを知らないためねぎらいの言葉はありません。かわけんが買って帰る豪華ケーキで試験終了を知るパターンになっています(・_・、)。いつも以下のような感じです。
かわけん(豪華ケーキを持って):ただいま
嫁さん(ケーキの箱を見て):おかえり、なんかあったん?
かわけん(ケーキの箱を見せて):資格試験
嫁さん(ケーキの箱を凝視しながら):おつかれ!
かわけん:うん。(かわけんの心の声:いつもながら気持ちの入ってないおつかれだな・・・)
嫁さん(ケーキの中身を見ながら):美味しそうなケーキだね。どこの?
かわけん:〇〇のケーキ。(かわけんの心の声:なんの試験とか、結果とか聞かんのかい!!!)
また試験が終わり休養期間ができるとたまっていた読書や映画鑑賞に没頭します。これも期間が限られるのでかえって集中できて良いですね。
そして試験が終わると結果が分かります。自分の努力の成果が、合格もしくは不合格、また具体的な点数で厳格に評価されます。高得点だと努力が評価されて嬉しいし、ギリギリだとその幸運に感謝するし、不合格だととても落ち込みます。不合格の場合は次回への対策を練らなければなりません。
このように、試験を通じてメリハリのある充実した日々と明確なフィードバックが得られるのは、資格試験の良いところでしょう。モチベーション理論に完全に合致するプロセスです。ある意味、麻薬みたいもんでしょうね。かわけんが資格試験を続けて受けていたのはそのような理由です。
そのなかでも中小企業診断士は最上クラスの資格試験でした。なんせ勉強量が多いし時間もかかるので、本番前の準備が大変でした。そして試験本番、特に2次試験は試験中の緊張感が半端ではありませんでした。あの試験はおそらく誰にとっても余裕ではないでしょう。みんな時間いっぱいを使ってフルに頭を回転させなければ対応しきれないと思います。
中でも私が受験した令和2年の事例Ⅳは、かわけん史上で一番興奮した資格試験でしたね。テンションマックスの中、事例を3つ解いたあとの疲れ切った頭で、わからない問題、足切りの恐怖、迫りくる時間と戦いながら、最後まで頭をふり絞り答案を書ききった体験はそう簡単にできるものではないです。いい意味でも悪い意味でもめっちゃエキサイティングでした。出来は悪かったけど、正直終わった時は、やりきった自分を褒めてやりたいと思いましたよ。
そして終了後の安堵感と合格発表時の感情の起伏の高低感、どれをとってもメリハリが半端ではなかったです。医師免許や労働衛生コンサルタントも国家資格試験でしたが、中小企業診断士試験は全く別物でした。
もし2次試験を受けることなく診断士試験からリタイアしようと思われている方は、それを知らずにやめてしまうのは本当に残念です。ぜひもうひと頑張りして一度は2次試験を受けていただきたいと思います。結果はどうであるにせよ、一度は受ける価値がありますよ。
私はもう今はほぼ当初の目的を達成したので、今後は資格試験の予定はありません。知識のインプットは終了したので、今後はアウトプットを中心に考えたいと思っています。ただ最近、日常生活にややもので足りなさを感じているので、また何か麻薬的な充実感を求めて資格試験を受けるかもしれません。
それは弁護士より稼げるといわれるひよこ鑑定士かもしれませんね!(弁護士の人、何度もごめんなさい)
8資格と起業
次のつれづれは”起業”です。
嬉しいことに試験に合格してして資格を取れたとします。もし中小企業診断士などの資格をとられて、今後ビジネスをすることを考えておられる方にアドバイスです。
起業しましょう!
サラリーマンなら1度は「領収証ください」と言ってみたいでしょ。かっこよくって、憧れのセリフです。
そのための起業なんて驚くほど簡単です。書類をたった2枚税務署に出すだけです。それで個人事業主の社長、代表、CEOになれます。
先日、大阪中小企業診断士協会で福嶋先生の「企業内診断士をしながら個人事業主になるとは?」というショートセミナーがありました。新米診断士にとって、とても参考になるセミナーでしたよ。起業すると損益通算、必要経費、小規模企業共済、青色申告などが使えるようになります。どれも国に認められたお得な制度です。詳細は調べてくださいね。
「売上もないのに起業なんて!」と言われる方がおられるかもしれませんが、今後しっかり事業にするつもりなら初年度は売上はほとんどなくても大丈夫です(おそらく・・・です)。
かわけんは合格した年の1月1日付で税務署に開業届と青色申告承認申請書を提出しました。もちろん最終発表の前で、職業は経営コンサルタントで提出しました。かわけんは行動がアジャイルで、面白い人間でしょう。
受験生でも「今年、絶対受かってやるんだ」と言う強い決意を持っておられる方は、もう今すぐ開業届を提出してもいいかもしれませんよ。
起業して「領収証ください、○○CEO宛で!」と言えるようにしましょう(笑)。
9かわけんが中小企業診断士を取るに至った経緯
ここまでとりとめなく資格について分類、選択、勉強、試験本番、起業と順につれづれを書いてきました。あまりまとまりがなかったですね。
実は皆さんに一番言いたかったのはこのパートです。
かわけんが各種資格や中小企業診断士を取った目的は最初に書きました。でもそれだけでなく実はいろいろなことがありました。
ここでは5年前まで普通の医師だったかわけんが、中小企業診断士をとるに至った経緯についてご説明しようと思います。
私は6年前に大学の医局人事である病院に異動を指示されました。
その病院には半年前に赴任した上司がいました。その上司には色々と問題があり、9人いた外科医が1年間で5人も辞めました。私も若い連中をまとめようとしたのですが全くダメでした。大学から1人補充があり何とか外科の機能は維持できましたが、とてもひどい状況でした。
そんな上司ですからもちろん私ともうまくいくわけがなく、私もパワハラからメンタルヘルス不調をきたしました。今なら上手に対応しますが、その時点ではメンタルヘルスの専門家ではなかったんです。そこで1年後に辞めようと決めました。ただ単純に辞めるだけでは悔しいのでお土産として何か資格を取ろうと思いました。それが労働衛生コンサルタントです。産業医活動に面白みを感じていたので、ちょっと難しい上級資格はモチベーションを維持するのにちょうどよかったです。
そして、資格のために勉強してみると、想像していたより勉強そのものがずっと面白く、幸い合格し結果を出すことができました。その時に勉強する面白さと合格する充実感を覚えました。
その後、異動希望を出した私ではなく上司が大学の医局人事で左遷されたので、私がそこの病院の責任者になりました。ばらばらになった外科をまとめるのにしばらくは忙しく資格試験の勉強できなかったのですが、少し余裕ができた頃に1年前に経験した自分のメンタルヘルス不調のことを思い出しました。その頃、産業医先でもメンタルヘルス不調者がそれなりに出ていました。そこで、産業医業務に役立てるためメンタルヘルスマネジメント検定を受けようと思いました。無謀にも1種と2種の同時受験です。かなり難しかったですが、その勉強もやってみたらやっぱり面白かったです。また資格勉強が実務にとても有効でした。そんなことから、その後も資格試験を定期的に受けていました。
ところでメンタルヘルスマネジメント検定1種に合格すると、合格者のフォーラムがあります。初めてそこに参加した時、緊張しながら隣におられた方と話しました。その方は関西学院大学でMBAをとられた方でした。その方に誘われ、関西学院大学のイノベーション研究会に顔出すようになりました。イノベーションで有名なクリステンセン教授の直弟子である玉田俊平太教授の研究会です。そこでは全くの門外漢の外科医を抵抗なく受け入れていただきました。私にとって全然知らない世界だったのでとても楽しかった。その頃からでしょうか、ビジネス系の資格を取り出したのは。
ある時その研究会で、自分の人生の紆余曲折を表現するライフグラフを描いて、みんなの前で発表する機会がありました。その時、私の横に座っていた若い女性が、「私の人生はどん底だったのですが、中小企業診断士をとってからバラ色になりました」と話されているのを聞きました。その言葉にとても興味を覚えました。それを聞いた後で中小企業診断士と言う資格を調べてみるととても面白そうな資格でした。資格試験に慣れていたこともあり、ハードルはかなり高そうでしたが深く考えずチャレンジしようと思った次第です。
これが、かわけんが中小企業診断士をとるに至った経緯です。今から振り返っても世の中はわからないものだなと思います。
簡単にまとめると、
1たまたま、異動先で上司のパワハラ
2パワハラを前向きにとらえ産業医の上級資格である労働衛生コンサルタントを取得
3自分の経験を産業医業務に役立てるため前向きにメンタルヘルスマネジメント検定取得
4前向きに参加した合格者のフォーラムで、たまたま関学MBAの人と知り合う
5前向きな気持ちでイノベーション研究会に参加
6たまたま、中小企業診断士の女性と隣になった
以上がかわけんが中小企業診断士を取得した経緯なんですよ。上司のパワハラに反発して中小企業診断士や労働衛生コンサルタント(?)をとったならわかりますが、労働衛生コンサルタントから中小企業診断士まで回り回ってつながったのはこんな経緯なんです。
たまたまの偶然と前向きがつながって面白いでしょう。こんなことでもなければ、5年前まで普通の外科医だった私が、中小企業診断士をとるわけがないんですよ。
このようなことは
日本風に言えば「風が吹けば桶屋が儲かる」
と言います!
ウソです。カッコつけましたが、これは冗談ですから真に受けないでくださいよ(笑)。
「風が吹けば桶屋が儲かる」も立派な日本のことわざですが・・・
本当は
Planned Happenstance Theory
につながるものです。
Planned Happenstance Theoryは日本語で「計画的偶発性理論」と呼ばれるキャリア形成理論です。これはスタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱したもので「個人のキャリアの8割は、予期せぬ出来事によって形成される」とするものです。この理論のポイントは、以下の3つです。
・変化の激しい現代において、キャリアの8割は偶然の出来事によって形成される
・偶然の出来事を利用して、キャリア形成に役立てる
・自ら偶然の出来事を引き寄せるよう働きかけ、積極的にキャリア形成の機会を創出する
計画的偶発性理論で重要なのは、偶然の出来事や出会いをキャリアアップにつながる機会と捉えることが重要で、計画通りのキャリアステップでなかったとしても、まずは挑戦してみようというスタンスが次の扉を開くことがあるとされています。また、偶然の機会を積極的に増やすよう行動することで、キャリアが広がっていく可能性が高まることを示しています。先の見通せない現代社会において、決められたゴールを目指すというより、現在の置かれた状態を起点に「今目の前にあることを頑張る」ことで将来が開ける、といったイメージでしょうか。偶発といいつつ、いつか訪れるであろうラッキーを指をくわえて待っていよう、というものではありませんからね。
私の診断士をとるに至った経緯を見ても、予期せぬ偶然がかなり作用しています。もとを辿れば上司のパワハラですから。
ただですね、偶然だけに頼らず、出来事を前向きにとらえ積極的に資格試験にチャレンジする姿勢が、中小企業診断士となり面白い世界に足を踏み入れる現在につながっています。
どうです?。なにか感じるところがあったでしょうか。
皆さんも資格試験にチャレンジすることによって、新しい世界を切り開いていければいいですね。
10先人たちのアドバイス
自分で考察をするだけでは、どうしても独りよがりになりがちです。そこで今までのタキプロブログの中を検索しました。
その中から素晴らしい先人たちの珠玉のアドバイスを列挙します。参考にしてください。
ステップアップ【予習】資格取得のススメ byぱんだ
診断士試験の知識を活用して、是非とりたい国家資格とは?
科目合格者の逆襲:他の資格取得について
最後に
今日は資格試験についてかわけんの思うところをつれづれにお話しました。思うままに分類、選択、勉強、試験本番、起業と順に書きました。最後に計画的偶発性理論でまとめてみましたが、いかがでしたか?
さて、今日のブログの最後はダーウインの名言で締めくくりたいと思います。
無知というのは、しばしば知識よりも確信に満ちている。ダーウィン
Ignorance more frequently be gets confidence than does knowledge.
テレビで新型コロナウイルスの特集などを見ていてよくわかると思います。確信を持って断言しているのは、よく知らない素人コメンテーターや専門外の医療関係者なんです。良識のある専門の医療関係者のコメントは歯切れが悪いですよね。あれはまさにこのダーウインの言葉を示していると思っています。新型コロナ分科会の尾身会長は、テレビで見ていて本当に気の毒ですよ。深い知識を持っているから不確実にしか話せないのに、浅い知識しか持っていないマスコミから後出しジャンケンで断定的に責められて。
わたしも昔いろいろなことを知らなかった外科医のときは、迅速にキレよく自信を持って判断をしていました。それが、専門性を高めるにつれ、熟考するため判断が遅くなってきました。しかし、正確な判断ができるようになり、また間違ったときの方向転換もできるようになった気がします。昔はダーウインの言葉のように、無知のため確信があったんですよ。
外科以外の、労働衛生や経営やメンタルヘルスやチームビルディングのことも、資格試験の勉強をするにつれて同じようになっている気がします。すなわち勉強して知識が増えるにつれ、資格取得のメリット、4学びの効果と6精神衛生効果が増加し、正しい判断をできるようになったと思います。
そのような観点から見ると、知識を増やし無知から脱却できる資格試験はとてもいいものでしょう。
このブログを通じて私が資格試験に思うつれづれを書かせていただきました。目一杯書いたので、ブロガーとしてはもう十分満足です。
来週は2次試験の合格発表があります。
合格された方は診断士としての道に進まれるでしょう。ぜひ今後も診断士として頑張って欲しいと思います。開業届を出して起業しましょうね。それと自分のブログの宣伝にもなりますが、口述試験の前に事例Ⅱの戦略とモデル企業 by かわけんの8 2次試験の事例のモデル企業をご一読ください。参考になると思います。
一方、不合格だった方は、今後どうするか悩まれるかもしれません。もう一度チャレンジか、リタイアか、他の資格を受けるのか、どれを選択されてもご自分で納得されるなら正しいことだと思います。
私の経験を見ていただいても、人生がどうなるかは誰にもわかりません。なんせ、上司のパワハラが回り回って中小企業診断士につながったんですから。
リタイアして中小企業診断士はだめになっても、もしかしたらもっとレアでかっこいい剣道八段やひよこ鑑定士になっているかもしれませんよ。いずれにせよ自分で納得できる道を進んでくださいね。
発表を見た時、合格にせよ不合格にせよ、「今、目の前にあることを頑張る」ことで、前向きな気持ちとたまたまの偶然が繋がり、将来が開けるという計画的偶発性理論のことを思い出してください。
この理論は誰にとってもなんらかの力になってくれると思いますから!
長文を最後までお読みいただきありがとうございました。かわけんでした。
次回は、ナナセさんの登場です。
お楽しみに!
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