この時期だから【2次試験の権利を持つ方】1次試験を受けるか否か

 

おはようございます。まゆげです。

今週は受験生の皆様も業務がお忙しかったのではないでしょうか 多くの企業では、年度の締め日、もしくは四半期の締め日だったかと思います。 多忙の中でも中小企業診断士の合格に向けて頑張っている皆様には本当に頭が下がります。心より応援しておりますので、引き続き頑張ってください。

 

さて本日は、2次試験の権利を持つ方を対象に「1次試験を受けるか否か」について、まゆげの考えをお伝えします。

2次試験の権利を持つ方は、当たり前ですが、1次試験を受けずに2次試験を受けることができます。2次試験で合格すれば、晴れて中小企業診断士へのプラチナチケットを手に入れることができます。中小企業診断士試験の制度上、1次試験は受ける必要はありません。

 

経営戦略の「選択と集中」の観点から、リソース(勉強時間)は2次試験のみに集中したほうがいいという考えもあると思います。背水の陣を敷くことでモチベーションを鼓舞するという考えもあると思います。ここは意見が分かれると思いますが、まゆげはあえて、1次試験を受けることを推奨します。

 

理由は以下の2つです。

  • 2次試験において、2次に関連しない1次科目(※)の知識があると有利に働く問題がある。
  • 仮に、2次試験に落ちたとしても翌年のダメージが少ない。

※経営法務や経営情報システム、中小企業経営・政策など

 

●2次試験において、2次に関連しない1次科目の知識があると有利に働く問題がある。

過去問を紐解き、いくつかピックアップしてみます。

—–

<事例Ⅰ>

[平成23年第2問]経営法務の知的財産の知識があると有利と思われる)

厳しい競争を展開している医療品業界にあって、新商品や新規技術の開発は極めて重要である。しかし、そうした中で、A社では、自社開発した技術の特許をあえて出願しないこともある。その理由として考えられることを100字以内で説明せよ。

 

<事例Ⅳ>

[平成24年第3問]中小企業経営・政策の事業承継の知識があると比較的有利と思われる)

前述したように、オーナー夫妻には後継者がなく、親族にも経営を任せられる人材が見当たらないという。場合によっては、旅館の売却を伴う事業承継も視野に入れているといい、今年度の状況を前提とした具体的なケースについて説明を求められた。

(設問2)

事業承継を考える際、承継先としてどのような相手が考えられるか。また、その際の留意点について中小企業診断士の立場から200字以内で説明せよ。

 

[平成20年第4問]経営法務の種類株式の知識がないと厳しいと思われる)

D社のおかれた状況に照らし合わせて、設備更新に必要な資金調達に関する以下の設問に答えよ。

(設問2)

社長一族が過半数を超える出資を受け入れつつも経営権を維持するには、どのような方法があるか。40字以内で答えよ。

 

[平成16年第2問]経営情報システムのネットワークやセキュリティの知識がないと厳しいと思われる)

D社が工場移転計画を進める場合には、これまでの情報ネットワークシステムである構内LANを変更しなければならない。そこで以下の設問を答えよ。

(設問1)

どのような情報ネットワークシステムを用いることがD社にとって費用負担面で適切であると考えられるか、60字以内で述べよ。

(設問2)

(設問1)で解答した情報ネットワークシステムではセキュリティについてどういう方策を取ることが必要か、60字以内で述べよ。

—–

いかがでしょうか。1次知識が頭に残っていれば、与件文から情報を見つけやすくなり、解答の方向性も定まりやすくなると思います。

また、事例Ⅰ~Ⅲに比べて、与件文やほかの設問から独立した出題がされやすい事例Ⅳにおいては、1次知識をそのまま問うていると思われる問題もありました。頭に残っていれば、得点源になるサービス問題です。やっておいて損はないと思いますよ

 

●仮に、2次試験に落ちたとしても翌年のダメージが少ない。

こちらについては、まゆげの実体験からのアドバイスです。(まゆげの受験歴はこちら)

ストレート合格を狙っていた1年目に2次試験で失敗したまゆげは、2年目に選択と集中の観点から2次試験に集中するため、1次試験を受けませんでした。結果は撃沈。 3年目(平成22年)は、1次試験7科目からのスタートでした。モチベーションが上がらないため、簿記や販売士の資格を取ったり、1次試験のサブノートを作り直したりと今思うとメリハリのない勉強をしていました。1次試験本番では、経済学・経済政策の問題で大苦戦(例年に比べ難問だったそうですが、40点ギリギリ)。そのあとの企業経営理論も落とし、まさかの1次試験敗退でした。 この時の精神的ダメージは相当のものでした(ストレート合格を狙っていたくらいなので、「絶望感」に近い感じでした。) 4年目はなんとか1次試験を突破しましたが、2次試験で再度敗退。 5年目の時は2次試験の権利がありましたが、迷わず1次試験も受けました(結果は1次も合格)。

もし2年目の自分にアドバイスができるならば、「ぶつくさ言わず、1次試験も受けとけ」と言いたいです。また、皆様にも私が経験した3年目、4年目の辛さを味わってほしくないと思います。

 

しかし、1次試験を受けるのであれば、2つの条件を提示させてください。

  • 1次試験の直前に夏休みが取れること
  • 1次試験の勉強は、過去問に限ること

希望を言うと、7月29日(月)~8月2日(金)の1週間を夏休みにしてほしいのです。そうしたら、試験前日に総復習の時間を設けても、7月27日(土)~8月1日(木)の6日間をまるまる学習期間に充てることができます。  ここでは、過去問だけをやってください。1日1科目とした場合、3~6年分くらいの過去問を解くことは可能です。そうすれば、6科目を学習できます。残りの1科目は7月20日(土)~7月26日(金)でやります。白書や施策総覧を個別に勉強したいのであれば、その前の7月13日(土)~7月19日(金)の間だけで対応します。

これだけでいいです。あくまで目的は2次試験合格なのですから、むしろ、これだけにしてください(まゆげも5年目の1次の勉強はこれだけでした)。2次試験の受験権利をもっているので、1次試験は科目合格でもいいのです。2~3科目だけでも受かっておけば、翌年かなり楽になります。

 

もし、7月29日(月)~8月2日(金)に夏休みを取れないようでしたら、無理に1次試験を受けなくてもいいと思います。 

それこそ、2次試験のみに注力するという選択もあり得ると思います。

 

さて、まゆげはなぜ7月の話を3月末にしているのでしょうか?

そうです。4月1日に出社したら、「7月29日(月)~8月2日(金)の夏休み」が取得できるように会社と調整をしてほしいのです 今からなら比較的楽に調整できるのではないでしょうか

 

翌週は、知識一辺倒の人が陥る罠について、まゆげの経験を踏まえて紹介します。

 

最後に勉強会のお知らせです。

 


タキプロ勉強会のお知らせ

【今後の予定(東京)】

・4/7(日) 9時半~12時 京橋プラザ区民館 題材:H23事例1&1次対策(希望者あれば)

・4/11(木) 19時~22時 京橋区民館 題材:H23事例2&1次対策(希望者あれば)

・4/21(日) 9時半~12時 京橋区民館 題材:H23事例3&1次対策(希望者あれば)

・4/25(木) 19時~22時 八丁堀区民館 題材:H23事例4(予定)&1次対策(希望者あれば)

*2次試験対策では、すべての設問を議論の対象とすることは時間の都合上できません。なるべく受験生の希望を反映するため、参加申し込み時にディスカッションをしたい問題をご記載いただければと思います。
また、題材の事例について事前に解答を作成し、5部程度コピーをお持ちください。
*1次試験対策を希望される方は、参加申し込み時に対策をしたい科目と、どのようなことをしたいかを簡単にご記載ください。

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この時期だから【2次試験の権利を持つ方】1次試験を受けるか否か” に対して3件のコメントがあります。

  1. Kitty より:

    まゆげ様

    いつも有益な情報をありがとうございます。

    とくに今回の記事はとても悩ましく難しい選択を迫られるもので、私も本当のところはどうなんだろうと考えていました。

    まず、私の状況から。

    昨年2012年に1次試験は初挑戦で合格できましたが、2次試験で敗退しました。
    したがって、今年2013年は1次試験は免除される権利を持っています。
    2012年度の1次試験の科目別取得点数をみると、企業経営理論、財務会計、経営情報システムは60点に満たなかったという結果でした。
    私としては今年2013年の2次試験で終わりにしたい!!という大きな野望はあるものの、どこかで残念な結果だったら本当に初めからやり直しになってしまい、もうたちなおれなくなってしまうのではという恐怖もあります。

    そこで、2013年の1次試験を2012年度に60点に満たなかった上記3科目だけ科目合格を狙って受験してみようかと考えていました。まゆげさんは、1次試験全科目を受ける選択肢を条件付きながら紹介されていましたが、全科目を受けると負担が大きく本来の2次試験の学習に影響がでそうな気がしています。私の考えをどう思いますか?もしよければ、アドバイスをいただけると嬉しいです。

    1. takyprofessional より:

      Kitty様

      まゆげです。
      書き込みを入れていただき、誠にありがとうございます。

      Kitty様が仰るとおり、悩ましいですよね。
      実際、判断の難しいところだと思います。

      大変恐縮ですが、「まゆげだったら」の意見を書かせていただきます。

      やはり7科目受験をします。
      (今から1次試験直前に夏休みが取れるように、ありとあらゆる手段を使い社内調整をします)

      ●理由は、
      ・1次試験の学習が案外楽になっていること(思った以上に時間の無駄にはなりません)
      ・1次試験の勉強が、2次試験の勉強に対する息抜きになること(案外楽しいですよ!)
      ・2次試験に対する、一定の相乗効果が期待できること
      ・2次試験において、精神的に余裕ができること
      だと思います。

      あと、試験に直接関係ありませんが、
      7科目の知識があることが「中小企業診断士の独自の価値」だと思うのです。

      Kitty様も、来年の今頃、中小企業診断士に合格しましたら(いや、ぜひ合格してください!)、
      「実務補習」か「実務従事」というものをやることになるかと思います。
      (「実務補習」、「実務従事」の時期は、ずらすことも可能です)

      まゆげは実務補習(15日コース)を受けました。
      実務補習では、6人ほどのチームで実際の中小企業を診断します。
      たまたま、私のチームの中に公認会計士の方がいました。
      まゆげ自身「財務・会計」が得意だったのですが、足元にも及ばず、たくさんのことを学ばせて頂きました。

      そこで感じたことは、
      「中小企業診断士の価値」は、幅広い知識を持つことで、
      さまざまな社長から問合せやクライアント企業で起こる事象に対して、
      瞬発力を持った回答ができることだと思ったのです。

      例えるならば、
      専門業務がある弁護士や会計士のような一点集中のメガトンパンチは打てませんが、
      全方位的なジャブを瞬時に打てるといったところでしょうか(例えが下手ですが)。

      私自身、少しでも瞬発力を持ち、より的確で重いパンチを打てるように、
      これからも、1次科目の総復習しつつ、専門性を深める勉強をしたいと思っています。

      ●注意点
      時間は有限なので、やりすぎないように注意してください。
      過去問を回すだけでいいと思います。
      どうしてもご心配なら、加えて、受験校の模試程度(1校だけとか)でいいと思います。

      ●最後に
      「財務・会計」が60点に満たなかったとのことですが、苦手意識はおありですか?
      ご存知かもしれませんが、近年、事例Ⅳの出題傾向が変わっており、
      計算力を問う問題が多くなっております。
      学習すれば確実の伸びるし、得点も見込める科目かと思うので、
      頑張って克服することをお奨めします。
      まゆげも受験開始時は簿記3級の知識が何となくあるある程度で、苦手でした。
      しかし、その後克服して、受験において頼もしい武器になりました。

      では、引き続き、勉強頑張ってください。
      心より応援しております。
      合格のご連絡をお待ちしております!!

  2. Kitty より:

    まゆげ様

    早速、本当に貴重なアドバイスをありがとうございました。

    まだ1次試験の申し込みまで時間があるので、自分の今の状態を良く分析して結論を出したいと思います。

    まゆげ様が1次試験すべてを受ける理由として挙げていた『「診断士はメガトン級の専門家パンチは打てないが、たくさんの物事を知っていてその時々に適切な助言ができることが強み」となるので、1次試験に出てくるようなことは今後、診断士になった後に絶対に必要になってくる知識だから、今のうちからたたきこんでおけ』ということは、私もすごく共感できます。

    また、財務会計が60点以下だったことでのアドバイスも有益でした。どなたもおっしゃるように私も財務会計が大事だと思います。特に診断士になったあとに必要だと考えています。一筋縄ではいかない社長さん達(ちょっと偏ってる考えかもしれませんが)の意識改革には「数値」で指摘するのが一番わかりやすいからです。私は、財務会計に苦手意識があるのではなく、もっと根本的なところに苦手意識があります。それは、電卓を使えない試験であるというプレッシャーです。非常に手計算が苦手でスピードが出ないのです。そのため60分間でこなせる問題数が限られてしまうところが最大の弱点です。これを補うため、今は解き方の標準化を図っております。毎日コツコツがかなめなのですがなかなか・・・というのが実態です。
    でも、まゆげ様のアドバイスに従って地道に努力したいと思います。

    ぜひ来年の今頃、中小企業診断士となっていられるように、あと6カ月とちょっと最大限努力したいと考えています。

    また、アドバイスをお願いすることがあると思いますが、その時はよろしくお願いします。

    最後になりましたが、どうもありがとうございました。

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