ワンランク上の受験生は、全体を俯瞰して試験勉強戦略を立てて、中小企業診断士というキャリアを構築するー! by ないち
読者の皆様、こんにちは! ないちです。
2次筆記試験を受験された皆様、お疲れ様でした!
口述試験へ駒を進められるかどうかの結果は、年明けになります。それまではずっと気持ちが落ち着かない日々かと思いますが、しばしの時間、趣味に没頭したり、家族と休日を楽しく過ごしたり、読書をしたり体を動かしたりと、オフに充ててください。
そして今回は、これから中小企業診断士を目指す方、最近試験勉強をスタートさせた方、合格までまだまだ道半ばな方、に向けた内容を書いています。
やや長文ですが、是非、最後までご覧ください。
~以前のないち関連の記事はこちらです。~
2021/9/20:ワンランク上の受験生は、戦略ドメインを描いて、事例Ⅱにおけるプロマーケターになるー! by ないち
2021/8/16:ワンランク上の受験生は、工程内のボトルネックを見つけ出し、事例Ⅲを攻略するー! by ないち
2021/6/28:ワンランク上の受験生は、選択と集中で事例Ⅳの経営分析を20分以内で仕上げるー! by ないち
2021/4/26:ワンランク上の受験生は、経営情報システムをさらりとこなすー! by ないち
2021/3/1:【★タキプロ12期スタート★】自己紹介と”合格に必要な五箇条” by ないち
2021/1/15:【祝!令和2年度合格】自身の勝ちパターン構築で掴んだ合格/ないちさん
1.中小企業診断士への道
まず、中小企業診断士の登録までの道のりを確認しましょう。
次の図を見てください。
As Is(現在の状態)とTo Be(理想の状態)で表現しました。
皆様、中小企業診断士を目指す動機としては、人それぞれだと思いますが、広い意味では「キャリアアップ」だと思います。「目の前の試験に合格する」という視点だけではなく、まず、この最終目的である「キャリアアップ」ということを忘れないようにしてください。
それに向けては、
①1次試験合格
②2次試験合格
③中小企業診断士登録
これらのステップを踏まなければなりません。
①1次試験については、7つの科目に関して、マークシート形式で回答し、基準点を満たすことで合格できます。
②2次試験については、筆記試験と口述試験があります。筆記試験は、4つの事例に関して、筆記形式で回答し、基準点を満たすことが必要です。それにクリアした後は、口述試験で筆記試験の事例に関しての質問にしっかり回答することで合格できます。
③中小企業診断士登録については、実務補習または実務従事を15日間以上行うことが必要です。
晴れて合格となった暁には、中小企業診断士ならではの業務を行ったり、また付加価値として関連資格にチャレンジしたりと、さらなるキャリアアップの活動を行っていきます。
なお、タキプロでは、主に2次試験対策について、セミナーや勉強会、当ブログなどのさまざまなコンテンツを用意しております。その前後にあたる1次試験や実務補習なども、ブログを中心に、対策内容を紹介しております。
2.1次試験合格への戦略
1次試験は、経営をする上で必要な知識、全7ジャンルを学習する必要があります。ここで一番ネックになるのが、ズバリ「求められている知識量」です。
果てしなく続く、各科目の各テーマ。それなりに時間確保も必要なため、まずは、この試練に耐えられるかどうか、覚悟が必要となります。ここで無理と思ったら、むしろ中小企業診断士を目指さないほうが良い、とまで言えます。
そして、苦手だろうが何だろうが、しっかり内容を理解して覚えなければならない、ということです。マークシート形式とはいえ、わかりやすい選択肢もないため、決して簡単ではありません。
ただし、安心してください。各科目に対して対策すべきコツはあります。
以下、科目ごとの概要と重要度をまとめましたので、ご参考ください。
■企業経営理論(重要度:S)
経営戦略、組織人事、マーケティングといった内容で、中小企業診断士として絶対に欠かすことのできない内容です。2次試験にもかなり密接に関係する科目です。これは時間をかけてでも、隅から隅まで理解することが必要です。随所に出てくるフレームワークをまずはしっかり理解して覚えましょう。
さらに、実際の問題はかなり国語力が試されていて、問題文・選択肢の文章の言い回しが難解です。過去問を中心にしっかりトレーニングしましょう。そして、選択肢が”誤”のものは、どこが”誤”なのか?を理解しておくと、応用が効きます。
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■財務・会計(重要度:S)
経営資源の「カネ」について、会計(アカウンティング)と財務(ファイナンス)の切り口で学んでいくもので、この科目も、経営に携わる者であれば必須の内容です。2次試験もほとんど全内容が直結します。
公式がいろいろ出てきますが、形だけ覚えるのではなく、「なぜこの公式となっているのか?」「この公式を使うことで何がわかるのか?」をしっかり理解してください。そして、あとは過去問や問題集でひたすらトレーニングしましょう。
どうしても苦手、という人は、会計分野に関しては簿記2級の内容がかなり役に立ちます。補足として学習しておけば、仕組みがわかるので、ワンランク上の理解になります。
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■運営管理(重要度:A)
生産管理と店舗・販売管理の2つに分かれます。この科目はほぼ現場視点の内容であり、現場のイメージをつけることによって、理解度がアップします。工場見学に行く(もしくはYouTubeにある生産現場を見てみる)、ショッピングに行くなどで、イメージ力をつけましょう。
現場のイメージを描きながら内容をインプットしたら、過去問をベースに着実に学習しましょう。特に、生産管理については、2次試験の事例Ⅲでメインテーマになりますので、内容はしっかり押さえておきましょう。
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■経済学・経済政策(重要度:B)
ずばり「経済」の学問です。「グラフを読み解く力」と「経済が成立する仕組の理解力」が必要となります。これは、経済のニュースとかが参考になったりもします。
2次試験との関連性は薄いので、過去問をベースとしたほどほどの学習で良いですが、この科目は年度による難易度の波が少なく、意外と安定しているので、ここを得点源にすることは、有効かもしれません。(ちなみに私は、このタイミングで初めて経済学を学びましたが、わけのわからないまま運よく1回目で合格しており、あまり内容覚えていません。)
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■経営法務(重要度:B)
経営に関係する法律の内容です。苦手な人はとことん苦手です(私も・・・)。まずは、「会社法」「知的財産権」を軸に、「民法」もある程度押えておく、ことが必要です。
2次試験との関連性は薄いので、ほどほどの学習で良いですが、年々法改正する内容もあるため、そこは確実に押えましょう。そのため、使うテキスト・参考書は最新が望ましいです。加えてこの科目は、実は難易度が高かった場合が多く、足切り回避程度で点数を狙ったとしても、結果的に足切りになってしまう、というトラップがあります。最低6割目標を目指してください。
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■経営情報システム(重要度:B)
経営に関係するITの内容です。苦手な人はとことん苦手です。「英語の略語は正式名称で覚える」「情報がどのように伝達されるのか図でイメージする」などの対策が必要です。
2次試験との関連性は薄いので、ほどほどの学習で良いです。得意な方は、得点源にしてください(情報処理技術者試験の中で免除できる資格があるので、できる方は免除しましょう)。
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■中小企業経営・政策(重要度:A)
これぞ、中小企業診断士ならでは、の内容です。実際の学習は、テキスト・参考書を元に、ひたすら暗記です。この科目は、直前期に一気にやったほうがよいと考えます。そして、古い過去問はあまり役に立たないため、最新のテキスト・参考書や公開模試の問題をしっかり学習したほうが良かったりもします。
2次試験との関連性は薄いですが、「中小企業白書」の内容が2次試験の問題を解く上でのかなりのヒントになったりもするので、しっかり押さえておきましょう。
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3.2次試験合格への戦略
2次筆記試験は非常に学習が難しいです。というのも、過去問に対しての協会からの正式解答が無く、実際に受験しても結果的に何が良くて何が悪かったのか分からない点です。そして、資格予備校も解答例が割れますし、受験生ごとに学習スタイルも見事に割れます。
この試験ならではの難易度ですが、やるべきことは3点あります。
①必要知識を構造化してインプットする
②自分なりの解答アプローチを確立する
③時間内に適切な文章が書けるように、ひたすら過去問でアウトプットする
事例Ⅰ~Ⅲと事例Ⅳで大きく分けて解説します。
■事例Ⅰ~Ⅲ
必要知識の主な内容は、1次試験の「企業経営理論」「運営管理」です。まずは、その科目がしっかり知識として定着しているか、が大前提となります。ただし、脳みそにある知識の引っ張り方は、1次試験と異なります。2次試験用に、知識体系を整理する必要があります。
まずは「レイヤー」です。大きくわけると「戦略」「組織」「人事」「マーケティング」「生産管理」です。
戦略なら、成長戦略、競争戦略・・・。組織なら、機能別組織、事業部制組織、マトリックス組織・・・といった具合に、内容を整理します。
次に「フレームワークと構造化」です。SWOT分析は大前提として、ドメイン、マーケティングの4P、生産計画と生産統制・・・といった具合に、内容を整理します。
そして「メリット・デメリット」です。機能別組織のメリット・デメリット、受注生産のメリット・デメリット・・・といった具合に、内容を整理します。
これらを整理しながら、過去問をベースにしっかりと学習していきます。実際に問題を解く際は、与件文や設問文に沿って、上記で整理した内容を記憶から引っ張り出します。そして、与件文を分析(SWOTなど)し、進むべき経営戦略の方向性を示し、設問文で問われている事を素直に、与件文から外れた内容にならないように解答をしていきます。
解答アプローチはいろいろありますので、これは自分なりの方法を確立する必要があります。
あとは答案作成は、時間内に、指定文字数に合うように、練習をしていきます。有効な言い回しは、各種参考書や再現答案、同じ受験生の答案などを参考に研究していきます。
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■事例Ⅳ
必要知識の主な内容は、1次試験の「財務・会計」です。「財務分析」はもちろんのこと、「CF計算書」「CVP分析」「投資の意思決定」「企業価値」あたりは最低限、「デリバティブ」「連結会計」「株価配当」なども押さえておきましょう。
過去問をベースに学習をしていきます。できれば最初は、年度別に解いていくよりも、テーマ別に解いていくほうが、スキルアップには有効です。最後の仕上げとして、80分でミスなく解ききれるか?を目指します。
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■口述試験
2次筆記試験がクリアした後に、面接形式で、面接官の質問に対して回答します。事例Ⅰ~Ⅳからランダムに2事例程度、関連した内容の質問が飛んできます。合格率は99%以上ですが、準備しないと答えられずに不合格という可能性もあるので、対策はしっかりと練る必要があります。
4.実務補習・実務従事を経て、登録へ
2次試験に合格した後は、人脈はかなり広がります。私は、タキプロを通して、いろいろな方とお知り合いになり、企業診断業務に関していろいろな情報が入り込んできます。視野が爆発的に広がり、いろいろな活動の幅が広がりました。慌ただしいながらも、すごく楽しい毎日です。
ただ、「中小企業診断士」として名乗るためには登録が必要で、そのためには実務補習・実務従事を行う必要があります。
実務補習は、1コース5日分設けられています。5~6人+指導員の先生で班が決められ、実際の中小企業に出向き、経営者からヒヤリングをし、問題点の分析、課題の策定、具体策の提言を報告書にまとめて、最後にプレゼンします。実務従事も、実務補習とやることは比較的似ていますが、従事する案件によってそれぞれなので、ここでは割愛します。どちらも試験ではないので、不確実性はなくやればよいだけですが、実はかなり労力を使います。
実務補習に関しては、本業との日程調整が必要な点、実働が1コース2週間はかかる点、報告書の作成で他のメンバーとの整合性をとらなければならない点、などで労力をかなり使います。実際私は実務補習期間の後半は、常に睡眠不足でした。
実務従事に関しては、まず案件を探すところから労力を使います。すんなり案件が見つかればよいですが、やはり実際に診断業務を行うため、決して楽ではありません。
実務補習・実務従事を行い、規定をクリアすれば、晴れて「中小企業診断士」の登録、となります。
登録後は、さらにいろいろな情報が手に入ります。自分のアクション次第で、診断士ならではの業務が経験できたり、独立も視野に入れることも可能です。
5.さいごに~「中小企業診断士」とは?~
今日はかなり長文となってしまいました。
いつもの私のブログは、科目単体の対策内容を伝えていましたが、今回のこの全体的な内容は、ブログでいつか伝えたかったのです。
最後に、「中小企業診断士とは何か?」ということを書いていきます。
中小企業診断士は、「士業」となります。それでは、「士業」とは何か?
私が実務補習でお世話になった診断先の企業の社長のお言葉をお借りすると、「士業とは、正義であり、人を助ける使命がある」ということです。この意味を中小企業診断士に当てはめると、「中小企業の経営を持続させるため、品行方正に、何かしらの支援で助ける」ことになります。
また私自身も、「中小企業診断士とはいったい何者か?」というのを、この1年色々考えていました。そして、自分の中である1つの結論が出ました。
私が思う中小企業診断士とは、「きっかけ」です。
なぜこう思ったかというと、まずは、中小企業の経営者は、実は「中小企業診断士」を求めているわけではありません。中小企業の経営者は、「経営改善の相談相手」を求めているわけです。
中小企業診断士は、独占業務ではない点が全てです。中小企業診断士と顧問契約しないと、全く経営活動が成り立たないこともない上、経費を削減するためにどの士業との顧問契約を解除しようか考えたときに、真っ先にやり玉にあがったりもします。単なる「補助金申請書を書く人」と思われているかもしれないし、そもそも「中小企業診断士」の存在自体も知らない経営者もいるかもしれません。こう書くと、努力して資格を取得しても、メリットがないじゃないか、と思われるかもしれません。
ただし、そうではありません。
この資格は、他のどんな資格よりも、「人と人とを繋ぐ」ことに長けています。
中小企業診断士の方に共通して言える点は、いろいろな情報を取得してスキルアップやビジネスにつなげるために、とにかく人に会います。独占業務が無い点もあり、積極的に動かないと、スキルアップやビジネスができないからです。なので、本腰いれて中小企業診断士の活動をされている方は、とにかく動いて、とにかく人に会って、中小企業の社長さんと仲良くなって、スキルアップをしたり、ビジネスとして成り立たせているわけです。
本腰いれて中小企業診断士活動をしている方とご一緒すると、「今度○○さん紹介するよ!」「○○の会社の支援、一緒にやらないか?」といったことが結構仲間うちでされています。中小企業診断士は、他のどの士業よりも、そういった人の繋がりを活かした活動をすることが求められていると考えています。
また、中小企業診断士は、経営全般の各分野の知識をある程度はつかんでいるゼネラリストであるため、税理士や社労士といった各スペシャリストを束ねることは可能です。(RPGで例えると、戦士でもなければ魔法使いでもない、「勇者」です。)異業種の士業の方と仲良くなっておけば、経営者が本当に欲しい(ニーズに合った)士業の方を紹介できますしね。ヒヤリングしてニーズを把握するのは中小企業診断士の得意とするところです。
中小企業診断士になって、「すぐに稼げる」「簡単に出世とか独立とかできる」ことはないです。さすがにそんなに甘い世の中ではありません。ただし、中小企業診断士という称号は、人に会う「きっかけ」は作ってくれます。そして、それを活かせば、貴重な情報を得られる「きっかけ」、ビジネスとしての案件の話をいただく「きっかけ」などが生まれてきます。ご自身が描いているキャリアプランにかなり近づくことができるのは、間違いありません。
(ちなみに私は、タキプロに入会したら、そういった「きっかけ」はかなりありました。)
では最後に。中小企業診断士を目指す過程で、これは常に自分に問うてください。
自分が思う「中小企業診断士」とは何なのか?
以上!
次回はじゅんさんの登場です。
お楽しみに!
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