タキプロ的おすすめ書籍「復興の書店」

 

みなさんこんばんわ。

本の問屋の営業マン！みにぽこ＠タキプロです。

 

今週は事例Ⅱとしてマーケティングの本をご紹介する予定でしたが、3月特別企画としてお届けします。

 

2011年3月11日（金）14時46分、あなたはどこにいましたか？

 

私は開店を数日後に控えた新規書店に到着したところでした。

不足している商品の手配について、書店様に説明している際、微妙な揺れを感じました。

あれ？地震・・ですよね。部長と目を合わせた瞬間、大きな揺れ。

電車の手すりのように書棚が振り子運動をし、金属のこすれあう音の中、棚から本が一斉に落下し始めました。

店内のあちこちで女性店員の悲鳴。正直、「死」が脳裏を掠めました。

 

今回、ご紹介する本は被災した東北3県の書店復興ノンフィクションで

す。

小学館

ISBN：978-4-09-379834-1

 

皆さんも憶えている通り、震災後ガソリン不足で輸送は混乱を極め、出版業界は戦後初めて「発売日取消」という、予定した発売日をすべて中止する事態になりました。

それも仕方ない。まずは食料品・衣服などの救援物資が先だ。

誰もがそう思っていたのですが・・・・

それが違っていたことを、ノンフィクション作家・稲泉さんがリアルに伝えてくれています。

本は「生活必需品」だったのです。

なんとか開店できた書店に、被災者の方が押しかける様子は泣かずにはいられませんでした。

命の危機にあい、ぎりぎりの生活でも本を求める。

本は人々の生活になくてはならないものだったのです。

絵本を読んで笑っている子どもの写真。ジャンプを回し読みする子ども達の話。

子どもを安心させたい、そう言って書店を訪れる母親。

もう時代から消え去るだろうと言われる「紙の本」の持つ力を感じられました。

 

「本の力を借りて　言葉の力を借りて　そして私たち自身が元気でいれば誰かの涙を乾かすことぐらいできるんじゃないかな」

青空移動書店・素人集団による書店立ち上げ。

きっといつか再オープンするぞ!!というメッセージが貼られた「ほんの森いいたて」

「本屋は町の灯り　とにかく灯りをつけよう」

掲載されている「復興の書店MAP」から、書店の熱いメッセージが聞こえてきます。

 

ジュンク堂書店・工藤会長の言葉です。

「本屋というのは神社の大木みたいなものでね。刈られてしまって初めて、そこにどれだけ大事なものがあったかが分かる。いつも当たり前のようにあって、みんなが見ていて、遊んだ思い出がある場所。震災が浮かび上がらせたのは本屋はなんとなくあるようでいて、街の何かを支えている存在なのだということではないか」

 

この本は単なる震災本ではありません。

書店に限らず、「街」を支えているのは無数の商店や中小企業ではないかと気づかせてくれます。

 

あの日なにが起こったのか。

今年、3月11日に会社で1分間の黙祷がささげられる中、あの日の決心を思い出していました。

ああ、そうだった、復興には長い時間がかかるだろう。

だから早く診断士になって、復興に協力したいってあの日に決意したんだ・・・。

勉強に行き詰まり、もう止めようかと思う日々の中、私の背中を押し続けたのは「誰かのためになる仕事がしたい」という原点だったと思います。

あなたが勉強を始めたきっかけは何ですか？

モチベーションがなかなか上がらないときは、原点を振り返るのも効果的ですよ！

 

出版社・取次（卸）・書店は本を通じて全国に「思い」を届ける仕事をしています。

この本が何かの役に立ったり、楽しみや慰めになりますように、と。

このコーナーも同じ思いでやっています。