海外駐在×診断士 by よしのぼり
こんにちは! タキプロ13期のよしのぼりです。(自己紹介はコチラ)
2次試験を受験された方はお疲れさまでした!
今回は、海外事業に興味のある方や将来的に海外駐在の可能性がある方を対象に、海外における中小企業診断士の関わり方をご紹介したいと思います。
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■はじめに
私は、現在、アメリカ東海岸にて、駐在員として仕事をしています。中国、アメリカ西海岸の駐在を経て、3度目の駐在生活です。昨年まで数年間、日本に帰任していましたので、そのタイミングで中小企業診断士試験を受験することができました。
■海外における資格の維持・更新
中小企業診断士は、めでたく新規登録されると同時に有効期間5年間のカウントダウンが始まります。
更新のためには実務要件のポイント数を稼ぐ必要があり、基本的に海外でできることとなると「実務従事」となります。しかしながら、いきなり冷や水を浴びせるようで心苦しいのですが、海外での実務従事は、すごくハードルが高いです!もちろん、拠点とされる国や地域、業界によって、人それぞれ状況は大きく異なると思いますが、大きく2つの点で難しいと言えそうです。
①人脈が乏しい
その地域に初めて赴任される方や新規業務を展開される方は、ほぼ人脈ゼロからのスタートなので、たとえ同じグループ企業内の出向であっても、転職したかのように新しい人脈づくりからのスタートとなります。よほどの大都市でのセールス業でもない限り、社外との交流も乏しく、実務従事をお願いできるような知り合いに出会うまでにはけっこうな時間がかかり、その間に有効期間のカウントダウンが進みます・・・。
②中小企業が少ない
制度上、実務従事の対象は中小企業に限るということになっています。しかしながら、海外に進出している中小企業は少数ですし、特に、アメリカまで進出している中小企業となるとかなり限られてしまいます。
とある支部の国際部では、実務従事ポイントの支援について検討されているとのことですが、現実的には既存制度のままでは資格更新は断念せざるをえない状況です。グローバルな時代に、海外で維持・更新できない資格ってどうなの?という感じです。
■海外における中小企業診断士資格の知名度
海外で「中小企業診断士」という資格を知っている外国人はほぼいないと思います。定義の違いはあれど、日本では欧米に比べて中小企業の中でも小規模企業の割合が高いそうです。統計を見なくても、街並みを比較すれば日本では家族経営のような小規模企業が圧倒的に多いことが分かります。そのような中小企業を支援するための資格が中小企業診断士だとすると、欧米ではあまり需要がなさそうです。
また、欧米の経営コンサルタントといえば、誰もが知っているMBAがあります。日本のように年功序列でいつかは管理職・・・ではなく、ビジネススクールで体系的に「経営」について学んだ人が、年齢に関係なく経営に関わることが多いのだと思います。
■海外における中小企業診断士の活用
海外における知名度はほぼゼロ⤵ですが、中小企業診断士の知識を活用できる場面は至る所にあると思います。なぜなら、たとえ大企業からの出向者であっても海外子会社は中小企業規模である場合が多く、社員一人一人の業務範囲はとても広くなります。起業される方も、社長兼何でも屋という状態からスタートすると思います。資格試験で学んだ人事・組織、マーケティング、生産管理、財務会計は海外事業の必須要素であり、問題解決のためのフレームワークや意思決定のためのアプローチが日々の業務で実践できます。
■海外における類似資格
前述の通り、少なくとも欧米では「中小企業」を対象とした診断士資格というのはなさそうです。しかしながら、「業務」を対象とした場合、いろいろな資格がありそうです。
①MBA(経営学修士)
人事・組織やマーケティング分野では圧倒的に評価が高そうです。
名門校のMBAとなると自費では手が出ないほど高額ですが、将来的に得られるものも大きい資格なのだと思います。(詳しく知りません・・・。)
②PMP(Project Management Professional)
プロジェクトマネジメントに関する国際資格として知名度が高いです。
プロジェクトというと、建設業やプラントエンジニアリング、ITシステムなどをイメージしますが、身近な商品・サービス開発や設備投資などもプロジェクトといえます。
それらのプロジェクトを効果的に進めるための体系的な手法やノウハウを学ぶのがPMPですので、幅広い業種で活用できそうです。
③Six Sigma
日本の全社的品質管理(TQC)を手本にアメリカで普及したといわれるシックスシグマ。
統計学を用いて経営や品質管理を改善するための手法が体系的にまとめられています。
イエローベルト、グリーンベスト、ブラックベルトというように段階的に内容が変わり、グリーンやブラックは、中小企業診断士と同じような分野がカバーされています。
親和性が高そうだなと感じる一方、新たに学ぶ必要性はなさそうに感じました。(少なくともアメリカでは根強い人気があるため、外資系製造業に応募する際には一つのアピールになるかもしれません。)
④USCPA(米国公認会計士)
自分には全く縁がなさそうですが、グローバルなビジネス関連資格というとこの資格も耳にします。グローバルなM&Aや連結決算などに関係する業務の場合には、勉強する価値はありそうです。
その他にも、IT、エネルギー、貿易などなど、世界標準の資格はたくさんあると思いますので、仕事に合った資格を英語で受験してみるのも面白いかもしれませんね。
■おわりに
以上、あくまでも私が見聞きした範囲での話ですので、正確でない部分があったらご容赦ください!
海外では、中小企業診断士という資格名称そのものにはほとんど価値を見出せませんが、診断士試験を通じて学んだ体系的な知識は、教育やキャリアの背景が異なる社員やビジネスパートナーと仕事を進めるための共通言語でもあり、自信をもって仕事を進めていくことができます。
海外にいてこそ日本の良さを実感する反面、海外市場における日本の存在感の低下を強く実感するのも事実です。一人でも多くの方が海外事業に挑戦し、活躍されることを願っています。
次回はS@buさんの登場です。
お楽しみに!
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