2次試験における専門家と多年度生の悲哀(前編) / Kappa
皆さん、こんばんは。
毎土!関西から隔週でお届けするKappa@タキプロ関西です。
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今日は皆さんに、Kappaが 2次試験で大変苦労した事例Ⅲについて、お話ししたいと思います。Kappaの経験を皆さんの他山の石にしていただければと思います。
事例Ⅲ、それは、Kappaにとって、最も得意な科目の筈だったのです・・・。
今を去ること15年、Kappaは、Los Alamos研究所(原子爆弾を実用化した研究所)の元教授が設立した会社に在籍し、とある怪しげな装置を試作していました。その会社は、①奥さんの逆鱗にふれた同僚が「俺はもう、明日からこの会社にはいない」と荷物をまとめる暇もなく追い出されたり、②「腹で冷たい銃口の感触を感じたのは初めてだ」と青ざめた唇で前夜の強盗話を切り出されたり、と、中小企業の悲哀とサスペンスに満ちあふれていました。勿論、危ないことばかりやっていた訳ではありませんよ?
会社から車で、インディアンの聖地にして西部劇の舞台、モニュメントバレーに遊びに行く途中、突然現れた慣れない砂利道にハンドルを取られ、車ごと横向きになったり、数時間に渡ってすれ違う車すらない荒野の雪道で、あまりにも美しく、星に埋め尽くされた広大な夜空を眺めながら、行く当てもなく、カーナビをケチった我が身を呪ったり。 ん? いや、だから、危ないことばかりやっていた訳ではない・です・よ・・・
人は、生命の危機を感じるとき、不思議な充実感に包まれるそうです。危険と背中合わせだったあの場所で過ごした足かけ3年の歳月が、Kappaに不可避の変化を与え、それが、Kappaと事例Ⅲとの間に横たわる、決定的な亀裂につながったのだとしたら・・・。
ところで、皆さん、中小企業の社長の最終学歴ってどのぐらいだと思いますか? 大卒が52.4%、32.5%が高卒、中卒が6.7% だそうです(http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20160916_01.html 東京商工リサーチ)。すなわち、診断士は、3回に1回は高卒の社長と、15回に1回は中卒の社長と接することになるわけです。
ちなみに、この統計には趣味や誕生日の統計もあったりします。社長には、元旦(1月1日)生まれの人が最も多いって知ってました?
で、次に多いのが1月2日・・。3番目が・・・1月3日ぁ~?
・・・・・。 社長って・・・。
この結果から言えることは、診断士たるもの、学歴に自信の持てない社長に対しても、十分にわかりやすく企業の方向性を説明し、指導していかなければならない、ということです。当然、診断士試験においても、このようなスキルが採点基準に組み込まれている可能性は高いと思われます(Kappaの私見です)。
さて、彼の地に行くまでの Kappaは、主に工場での不具合対策を生業にしていました。仕事の流れは、①工場からの派遣要請、②QC七つ道具を使った不具合分析、③分析結果のまとめ、④工場と協議しながら対策を具体化、という感じです。これって、事例Ⅲそのものだと思いませんか? そう、この時のままの Kappaだったら、事例Ⅲは大好物になっていた筈でした。しかし、彼の地での不具合対策は、これとは全く異なる方式だったのです。
何せ社長は元教授ですから、バリバリに頭が切れます。不具合が起こった場合、まず装置の設計図を眺め、起こりうる不具合を考察し、ピンポイントで原因を特定、対応策を決定します。その間、約半日(遅くても2日ぐらい)。しかも、ほぼ100%的確だったりします。以下、その当時の社長とKappaのやりとりです。
社長「QC7つ道具? 何それ。そんな非効率なもの、ここじゃ使わないよ?」 (QC7つ道具は、通常、原因を特定するだけでも1週間近くかかります)。
Kappa「でもそれが通常のフレームワークですし・・・」
社長「フレームワーク? 不具合なんて千差万別! 定型的なやり方など非効率だ。対策はその場で考えろ! 考えられないような奴はここには必要ない!!!」
・・・こうして Kappaは進化しました。QC7つ道具なんかなくても、その半分ぐらいの時間で原因究明や対策が打てる程度には、です。設計図の見方を覚えた代わりに基本を忘れ、素早い対策を打てる代わりに、人への説明が難しくなってしまったのです。
そして、時は過ぎ、昨年の夏がやってきました。Kappaは、ぼんやりと事例Ⅲの問題を見ながら、「設計図を見ただけで、故障の原因が推定できる社長の割合は(社長がKappaの説明を理解してくれる割合は)、どのくらいだと思う?」、と、自問します。「そうだよね、そんなのわかるぐらいだったら、最初から、コンサルなんかに、用は無いよね・・・。」
そんなことはわかっているのです! でも、それがわかっていても、進化した Kappaが元に戻ることは出来ません。オタマジャクシが進化して、雨蛙になってしまったら、もう水の中で暮らすことなど、できはしないのです!!! (暮らせる蛙もいるみたいですが、雨蛙には無理です)
でも、いくら進化したとはいえ、QC7つ道具は、昔取った杵柄です。基本を忘れたとは言っても、事例Ⅲの解答を作成するぐらいの知識はまだ残っている筈だと思いませんか? まして、数ヶ月しか勉強していないニュービーに後れを取ったりすることなど断じてない筈だと。 Kappaも模試を受けるまではそう確信していました。でも、模試の結果を見て愕然としました。話はそんなに簡単ではなかったのです・・・(後編へ続く)。
今日は、どうしてKappaが、事例Ⅲで、「基本を疎かにする」「より効率的だけど、わかりにくい手法にこだわる」ようになってしまったかをお話ししてきました。当然、こんなことをやっていては、合格からは遠ざかるばかりです(Kappaの本試験での事例Ⅲの成績はC判定(45点)です)。「高度なスキルを身につけ、人よりも早く、的確な対策を講じ、依頼元や同僚から感謝される」ってちょっとプロ(専門家)っぽくありませんか? そういう成功体験を積み重ねてしまった人、要注意ですよ? 勿論、技術に限りません。人事やマーケティング分野の専門家も要注意です。
では、どうすれば良かったのか。最後まで対応できなかったKappaが言うのもおこがましいのですが、「診断士試験では、あくまで与件に忠実に、基本をしっかり復習した上で、基本の遵守を習慣化すること」が王道だと思います。専門家が直面するこの課題、後編(次々回)で触れる業界慣習とも相まって、対応が難しいと思うので、早めの修正をお勧めします。多年度生との関連についても後編で。
で、なぜ後編が次々回になっているのかって? そんなの決まってるじゃないですか。次回の予定は4/1。東京の桜が満開になると予想される日なのですよ? そんな日に桜以外の話題を持ってくるなんて無粋、少なくともKappa的にはNGでーす。
さて、日曜の朝は名古屋から。 いろんな苦労もしたけれど、いろんな手管で乗り切った、仲間思いの熱血漢、「梅吉」が初登場します。
その微笑ましくも凄まじい、蛍雪時代の体験から練り上げられた方法論とは? 請うご期待です!
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