少し息抜きしませんか?たくさん学べる実務補習の紹介 byアラキ

実務補習 実務従事

読者のみなさん、こんにちは!
タキプロ14期のアラキです。

暦上では本日からGWですね。

5日間しっかり勉強、息抜きに旅行するなど、過ごし方は人それぞれだと思いますが、最終日に休みを無駄にしてしまったと後悔しないよう、有意義に過ごせたら良いですね。

■はじめに

さて、本日のテーマは「実務補習」です。

前回、私の記事(3/2の合格体験記)の最後に「次回以降、実務補習についても触れられたら」…と書きましたが、早速執筆の機会を頂けました。

14期がスタートしてから、試験や合格体験記以外の初めてのテーマでもあります。

みなさんの中には「試験のこと以外考える余裕がない」という方もいらっしゃるかもしれません。ただ、これまでのタキプロブログでも再三書かれておりますが、1次試験の勉強は暗記が中心です。「暗記ばかりで疲れた」「この知識が診断士としてどう役に立つかわからない」と、勉強のモチベーションが上がらない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな方々向けに、中小企業診断士の実務イメージをしてもらうため、そして試験勉強の息抜きに読んでいただけたらと思い、執筆しました。

正直、実務補習を受けている最中は大変でした。ですが、終わった今、本当にたくさんの学びがあったと思っています。本日はその中で、特に印象深く、本業や診断士活動に活かせると思った3つの学びを紹介します!

■実務補習の概要

本題に入る前に、実務補習ってなに?という方もいらっしゃるかもしれないので、実務補習について簡単に紹介しますね。

実務補習とは、2次試験合格者5~6人が1チームとなり、指導員のもとで実際に、中小企業に対する経営診断・助言を行うものです。

コースは、5日間コースと15日コースがあります。

5日間コースのスケジュールは下記の通りです。

日数活動内容
~0日目(木)事前準備(企業・業界の情報収集)
1日目(金)午前:オリエンテーション、午後:担当企業にヒアリング
2日目(土)ヒアリング内容の整理、 SWOT分析、問題点・課題抽出
個人作業期間 (日~金)各自の報告書作成
3日目(土)グループ討議 各自の報告書作成
4日目(日)グループ討議、報告書の統合・印刷
5日目(月)午前:各自で発表練習、午後:社長にプレゼン

補足①:5日間は、チームで集まり、作業をする日数です。個人作業の日数を含めると、企業1社を担当する期間は、実質14日間となります。

補足②:私は15日間コースでしたので、上記スケジュールを3回行いました(1社目が終わったら、同じ週の金曜日から2社目が始まります)。

補足③:3社目の5日目は、午前がプレゼン、午後は修了式というスケジュールでした(担当企業の事情で午前と午後が逆の場合もあります)。

実務補習の概要について知っていただけたところで、次から本題である3つの学びについて紹介します!

■学び①:どんな企業も必ず問題点、課題はある

これはヒアリングから得た学びですね。

ヒアリングは、企業の現状や問題点を把握するために重要なプロセスです。ヒアリングの質が、報告書の質を決めると言っても過言ではありません。ヒアリングしていると、「この企業の問題点はここだな」「これが課題だろう」というのが何となく見えてくるのですが、それが見えて来ない場合があります。

私たちが担当した企業は、ヒアリングを通し、社長の手腕が優れていたので、今のままでも特に問題ないように感じてきました。それはとても喜ばしいことですが、私たちは、報告書を書くために問題点を見つけ出さなければいけません。

そこで私は、「社長が今後やりたいことはありますか?」と未来に関する質問をしてみました。すると、前から考えていたけど、出来ていない、けれどいつかやりたいことを話してくださったのです。そして、そのやりたいことは今の状態では実現不可能であることもわかりました。未来について質問をしたことで、私たちに支援出来ることが見つかったのです。

私たちのチームは、「この企業は、どんなネガティブ状態なのか」「出来てないことは何か」と、今の状態が良くないという前提でヒアリングしていました。マイナスからゼロ以上に持っていくことを目指していたのです。

しかし、ヒアリングを通してしてわかったのは、この企業はマイナス状態ではなく、プラス状態であるということ。そして、さらにプラス状態を目指していること。

私たちが担当した企業は、「明らかにマイナス状態」「このままだとマイナス状態になる」「既にプラス状態」の3つの状態でした。状態は3社それぞれ異なりますが、企業が存続・発展していくために解決すべき問題点が必ずあることを学びました。

■学び②:報告書を読めば社長や社員が施策を実行出来るくらい、多面的かつ詳細に書く

突然ですが、みなさんは、やったことがない仕事を人から依頼されたことはありますか?あった場合、普通は、依頼者がやり方を丁寧に教えてくれた、もしくはマニュアルを渡してくれたと思います。ところが、中には「これやっといて」とお願いや指示だけする、雑な方もいらっしゃったのではないでしょうか。その仕事を知らない私たちは、やり方を教えてもらう、もしくは自分でマニュアルを探すなどしないと、実行することが出来ません。

実務補習の提案も同様です。「○○をやりましょう」だけでは、社長は「どのようにやるのですか?」と疑問を持ちます。そこで具体的な説明が出来なければ「口だけの診断士」「無責任な診断士」だとみなされてしまうかもしれません。

そうならないためには、「いつから始めるべき」「このような順番で進めていく」「費用は○○円かかる」「(システムを入れるなら)どのシステムがお勧め」…実行する上で必要な情報を書くことが大切です。と言っても、提出する報告書のページ数も上限があります(最大110ページ)ので、細かいところまですべて記載するのは不可能です。私は、自分がその提案を実行する立場をイメージしながら報告書を書きました。「まずは、この作業をやりたい。でもどのようにやればよいのか…マニュアルが必要だ」と、具体的なプロセスを思い浮かべると、書くべき情報が自然と浮かびます。細かい枝葉の部分はページ数や時間に余裕があれば書きましょう。

私は、1社目の診断時に、指導員から「どうやってやるの?」「これ本当に出来る?」と質問をされたことをきっかけに、提案の具体性や実現性が伝わるよう、多面的かつ詳細に書くことを意識するようになりました。

■学び③:社長の心を動かすプレゼンをする

さて学び①②を経て、最高な報告書が完成したので、あとは社長にプレゼンするのみです。

実務補習とは言え、担当企業のために一生懸命作った報告書です。社長に喜んでいただきたい、出来れば実行して欲しいと思う方が多いはずです(少なくとも私のチームはそうでした)。提案を実行していただくには、聞き手であり、決定権を持つ社長の心を動かすことが全てです。社長の心を動かすためには、何をどのように伝えるかが重要なカギとなります。

まず、プレゼン時間は約1.5時間です。一見長いと感じますが、報告書のページ数からすると全然時間が足りません。報告書は70ページ以上が提出条件のため、全ページ話すと、1ページにかける時間は80秒も無いのです。

つまり、発表内容の取捨選択が必要です。

例えば、企業の最大の課題が財務部門であれば、財務戦略の発表に時間を割くべきです。なぜなら、社長も「どんな提案をしてくれるんだろう」と強い興味を示し、真剣に聞いてくれる可能性が高いからです。一方で、重要度が低い部門は、社長の興味や集中力もそれほど続かないので、発表もコンパクトにまとめるのがベターです。その部門を担当した人にとっては、物足りないかもしれませんが、部分最適ではなく全体最適、何よりも顧客視点で考えるのが大切です。

次に、提案に至るまでのストーリーです。冒頭でいきなり「○○をやりましょう」と言われても「どうして?」となってしまいます。社長に提案を受け入れてもらうため、その提案に至った背景の説明が求められます。また、その背景についても認識合わせが必要です。SWOT分析、現在の戦略を説明し、社内外の現状が社長の認識と合っているか確認しましょう。その上で、「御社にはこのような問題があるので解決する必要があります」「御社が発展するためにはこの姿を目指しましょう」と対応すべきこと、未来の姿を紹介すると、納得性が高まります。そして、問題解決するため、未来の姿を実現するための経営課題を紹介し、営業、人事、財務等の各部門につなげていきます。

そして、各部門で意識していただきたいのは、最初に社長や企業を褒めることです。

私たちが社長とお会いするのは、1日目と最終日の5日目のみ。関係性が出来ているわけでもありません。そんな人に、自分たちの問題点を指摘されても素直に聞き入れる気になりません。「この人は自分たちの良さを分かってくれている」と社長が思い、私たちに心を開いてくれるよう、相手が喜ぶことから始める必要があるのです。

「御社の○○部門は強みがたくさんあります。具体的には○○や□□です。本当に素晴らしいです!ただ、御社がもっと成長するにはこんな問題点がありますよね」

私は毎回上記のように話していました。

■おわりに

今、1次試験、2次試験の合格が最重要事項になっているみなさんの中には、実務補習で得られる学びなんて、それほど興味が沸かない方もいらっしゃると思います。「ふーん、そうなんだ」と思われた方はもちろん、「こんなことを学べるんだ!」とワクワクした方でさえ、数日後には忘れてしまうでしょう笑

これは私の経験ですが、1回目は自分には関係ないと聞き流した内容を、後日、別のところで目にしたり、耳にしたりしたときに「あれ、前に見たこと(聞いたこと)があるな…」と想起し、その時に初めて知識として身についたことが何度もあります。

そのため、本日書いたブログをみなさんが試験に合格した後に、もう一度この記事を読んだとき、もしくは実務補習を受けている中で、指導された際に「前に聞いたことがある内容だ」と思い出していただけたら、嬉しいです。


次回はべーやんさんの登場です。
お楽しみに!

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